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●DC講座Re:フェイトと呼ばれた者たち・その2

2010.03.08 Mon

▼前口上:

 そーいうわけで、続きー(ナゲヤリ)。

  
  
▼フェイトA(ジャレッド・スティーブンス)

・オリジン:ゼロ・アワー事件の後、ナブの兜・アヌビスの護符・運命の外套の3種のフェイトの呪具はネルソン夫妻の支配から離れる。次空間を超えた呪具はナブの墳墓にて実体化し、盗掘家のジャレッド・スティーブンスによって見いだされる。
 直後、ネルソン夫妻はフェイトの塔(時空間の狭間に存在する塔で、時にマサチューセッツ州セイラムに顕現する。ドクター・フェイトの称号を受け継いだものの拠点)にジャレッドを召還し、呪具を取り戻そうとする。が、フェイトの呪具を求める謎の教団キングダムの配下が乱入し、夫妻は殺害される。この時ジャレッドは、右手にアヌビスの護符を握り配下に殴りかかるが、護符は彼の右手ごと砕かれてしまう。護符のエネルギーの暴発により、かろうじて怪物を退けたジャレッドは、引き裂いた運命の外套を包帯がわりに右腕の傷に巻く[Fate #0: 1994/10]。
 程なくして復活したナブは、ジャレッドをケント同様、自身の依代にしようと試みるが、ジャレッドは拒否。ジャレッドの右腕と一体化したアヌビスの護符のために彼に手を出せないナブは、不承不承彼を放す。
 その後、ナブの兜はナイフとアンク状の投げナイフに変異(元々ナイフの使い手のジャレッドが使いやすいよう)。彼はフェイトとして混沌の勢力と戦うこととなる[Fate #1: 1994/11]。

・能力:暫定的な魔力の行使。ジャレッド自身は魔術師としての訓練を全く受けていないため、物質変換などの高度な魔術は行使できない。主にナイフやアンクを媒介に魔力を発動させる。

・備考:フェイトは『ゼロ・アワー』直後に開始された『フェイト』オンゴーイング・シリーズの主役。『クライシス』で代替わりさせたはずが、気付けばまた初代に戻ってるドクター・フェイトを、再び代替わりさせようと試みた……んだと思う。
『フェイト』の連載は約2年程継続(#0-22 [1994/10-1996/9]の全23号)。
『ゼロ・アワー』イベントを契機に創刊された新世代ヒーローのオンゴーイング・シリーズは、ぶっちゃけジェームズ・ロビンソンの『スターマン』以外は短命に終わったのだが(※記憶で書いているので「あれは長命だったじゃねぇか!」とかいうツッコミ歓迎)、その中でも『フェイト』はもった方だと思う。

・余談:そういや、『フェイト』のオンゴーイング・シリーズが出てる時期にアマルガム・コミックスから『ドクター・ストレンジフェイト』が出てるけど[1996/4]、面倒なのでパス。
  
  
▼ドクター・フェイト(1)E(ケント・ネルソン+ナブ)

・オリジン:上記の『フェイト』シリーズの最終エピソードにて、ユージン&ウェンディ夫妻(前回参照。ドクター・フェイト(2)が転生した肉体な)に、死んだネルソン夫妻の魂が乗り移り、さらにユージン(ケント)とその娘ライナ(ナブ)が、かつてケントが使用していたハーフ・ヘルムを媒介に合体し、ドクター・フェイトとして再生する。
 ナブに支配されたこの新ドクター・フェイトは、真の力を取り戻すためにフェイトを襲撃する。が、折しもフェイトは謎の存在ファラオ、それに復活したティフォンと戦っており、大混戦となる。最終的にティフォンと共闘したフェイトは、新ドクター・フェイトを倒す[Fate #20-21: 1996/7-8]。
 この後、突如現われた秩序、混沌の大公らによって「私欲に堕した」との裁きを受けたナブは秩序の大公の資格を剥奪され、混沌の大公にされる(そんなすんなり転職できるものなのか)。また現世をさまよっていたネルソン夫妻は、スペクターが召還した大天使ミカエルの祝福を受け、昇天する[Fate #22: 1996/9]。

・備考:『フェイト』最終エピソードに登場した、ドクター・フェイトのバリエーション。デマティスの『ドクター・フェイト』の設定を再利用しつつ、フェイトvs.オリジナル・ドクター・フェイトという夢の対戦実現という、かなり燃えるシチュエーションなのだが、諸事情により、現在では「なかったこと」になっている模様(後述)。

・余談:ナブとケントの合体した存在ってことで、一応、ドクター・フェイトに含めたけど、この人、劇中でドクター・フェイトって名乗ってたっけ(うろ覚え)。
 追記:アメコマー菅野さんにより、劇中のモノローグで「ドクター・フェイト」と記載されてたことが確認されました。なのでこのバージョンもドクター・フェイト(1)の1バリエーションであります。
  
  
▼フェイトB(ジャレッド・スティーブンス)

・オリジン:ゼロ・アワー事件のさなか、エクスタントによって魔力を奪われたネルソン夫妻はフェイトへの変身能力を失う。それから3月と7日と16時間後、ナブの寺院に盗掘に訪れたジャレッド・スティーブンスは、幽霊のような姿のケント・ネルソンと遭遇する。
 ケントはジャレッドを寺院に導き、発狂したインザの傍らに置かれたフェイトの呪具を示す。呪具に触れたジャレッドは、いずこかの領域に転送され、秩序の大公ナブと遭遇する。
 ジャレッドを次代のドクター・フェイトにしようとするナブだが、ジャレッドは拒否し、ナブの寺院に戻される。と、呪具の内、兜と護符はいつのまにかナイフとアンクに変化していた。
 呪具がジャレッドに託されたことでナブのくびきから解放されたネルソン夫妻は、閃光と共に消失。ジャレッドは呪具を集め、寺院を去ろうとする。が、そこへナブと混沌の大公が現われ、それぞれジャレッドを己の配下にしようと争う。ジャレッドの半身は混沌、もう半身は秩序に犯されるが、ジャレッドはどちらの勢力につくのも拒む。やがて寺院は爆発。右腕に重傷を負ったジャレッドは、外套を包帯がわりに腕に巻く。こうしてジャレッド・スティーブンスはフェイトとなり、秩序、混沌いずれにも属さぬ、均衡のエージェントとして活動することになる。

・能力:まあ、フェイトと同じ。

・備考:『フェイト』オンゴーイング・シリーズ終了から数ヶ月後、新タイトル『ブック・オブ・フェイト』[1997/2]が創刊される。同誌は、『スケア・タクティクス』『チャレンジャーズ・オブ・ジ・アンノウン』『ナイトフォース』といったオカルト系タイトルと共に「ウィアードバース<Weirdoverse>」というレーベルを構成していた――まあ、長らく不遇だったオカルト系のコミックを復権させよう、ってな試みですな(同時期にはSF系のタイトルの復権を目指したレーベル「ヘリックス<Helix>」もやってましたね)。
 で、この『ブック・オブ・フェイト』の創刊号にて、フェイトのオリジンは上記のような具合に全面改定される。でもってオリジンが改定されたことにより、『フェイト』オンゴーイング・シリーズの展開は、割とウヤムヤにされる。
 やがて『ブック・オブ・フェイト』は1年で終了(#1-12: 1997/2-1998/1)。ウィアードバースの他のタイトルも、やはり1年かそこらで力尽きる(ついでにいえば「ヘリックス」の方も、『トランスメトロポリタン』以外はいずれも1年程度で終わりましたが)。
 ギフェン自らがアートも担当した『ブック・オブ・フェイト』最終回のナゲヤリっぷり――フェイトがロボとバーで延々と酒を飲んでるだけ――は一見の価値あり。


▼ドクター・フェイト(4)(ヘクター・ホール+ナブ)

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・オリジン:混沌の大公の1柱である魔導師モードルーは、ドクター・フェイトの力を求め、フェイトことジャレッド・スティーブンスを殺害する[JSA #1: 1999/8]。結果、ジャレッドの支配を離れたフェイトの呪具は、再び元の兜・アミュレット・マントの姿に戻る。続いてモードルーは、次代のドクター・フェイトになるべき運命を持って生まれた赤子を捜し出し、その力を奪おうと試みる。
 が、このモードルーの計画は、再生したJSAによって防がれ、赤子はナブの魔力によって急速に成長を遂げる。しかもその赤子は、JSAとゆかりの深いヘクター・ホールが輪廻転生した存在であった。かくて、再び現世に降臨したドクター・フェイトは、JSAに参加し、悪と戦っていくのだった。

・能力:魔力の投射。へクターは魔導師としてはまだ未熟だが、ナブの兜の中の秩序の大公ナブの加護を受けることにより、相応に高度な魔術を操る。

・備考:ゼロ・アワーのスピンオフとして創刊されたジェームズ・ロビンソンの『スターマン』オンゴーイング・シリーズは、当時巻き起こっていた「王道もののヒーローものコミック再評価」なブームにも乗り、望外のヒットとなる。
 このヒットは同時に、『スターマン』にてリスペクトされたDCのゴールデンエイジ期のヒーローの再評価にもつながる(ゼロ・アワーは、JSAの面々を一線から引かせて、フェイトや新スターマンら、新世代のヒーローを送り出そうという意図もあったのだが、まるっきり逆の結果を残したことになる)。
 そんなわけで1999年、『JLA』へのJSAのゲスト出演[JLA #28-31: 1999/4-7]や、イベント「ジャスティスソサエティ・リターンズ!」[1999/8]といった露出を経て、新生『JSA』オンゴーイング・シリーズが創刊される運びとなる(あとジェフ・ジョーンズのデビュー作『スターズ&ストライプ』も『JSA』に先駆けて創刊されてますね)。
 で、この最初のエピソードにて、ドクター・フェイトが新生することとなる(※フェイト/ジャレッド・スティーブンスはあくまで「フェイト」というヒーローであって、「ドクター・フェイトの○代目」としてカウントされるわけではない点を、今更だが指摘しておく)。
『JSA』の創刊当初のライターは、ジェームズ・ロビンソン&デヴィッド・ゴイヤー。ロビンソンは、なんつーか、新規タイトルの第1話で「景気づけにマイナーキャラを殺す」というイヤなクセがあり、『JSA』ではフェイト/ジャレッド・スティーブンスに白羽の矢が当たる……。
 なお、『JSA』創刊号に登場したフェイトのコスチュームは、何故か『ブック・オブ・フェイト』版ではなく『フェイト』版だったりする。ただし、『JSA』の作中にて、「ネルソン夫妻がアヌビスのアミュレットの中に住んでいる」「ナブが秩序の大公として登場」といった事柄が描写されており、このことから『フェイト』のラスト・エピソードの「ネルソン夫妻昇天」「ナブ、混沌の大公に転身」の展開は「なかったこと」になった模様。

・備考2:ヘクター・ホールは、ゴールデン・エイジ・ホークマン&ホークガールことカーター&シーラ・ホール夫妻の1人息子。この人とその周辺の歴史を語るとすげぇ長くなるのですが、語る。
 大学へ進学したヘクターはエヌス・メタル(着用者が意志の力で重力を制御できるようになる神秘の鉱石で、ホークマンらの飛行能力の源)を用いたパワードスーツを開発し、ヒーロー・シルバースカラベとしてデビュー。
 一方で、同世代の仲間たち(いずれもゴールデンエイジのヒーローとゆかりが深い)と共にJSAへの加入を志願するが、すげなく断られる。これを受けて独自のヒーローチーム・インフィニティ・インクを結成する[Infinity, Inc. #1: 1984/3]。
 インフィニティ・インクとして活動するかたわら、ヘクターは幼なじみであり、チームメイトのフューリー(リタ・トレヴァー。旧設定ではゴールデン・エイジ・ワンダーウーマンの娘。現設定ではワンダーウーマン(3)ことヒッポリタ女王の義理の娘っぽい人の娘)と恋仲になり、婚約する[Infinity, Inc. #16: 1985/6]。
 が、ホークマンの仇敵ハス・セトの呪いに支配されたシルバースカラベは、インフィニティ・インクと交戦し、死亡する[Infinity, Inc. #44: 1987/11]。
 しかし、彼の魂はいかでか異世界ドリーム・ディメンジョンに引き込まれ、そこにて死亡していた2代目サンドマンの肉体に憑依。3代目サンドマンとして活動することとなる。ドリーム・ディメンジョンの住人となったサンドマンは、現世には1日に1時間しかとどまれず、ヘクターはその時間を、婚約者のリタとの逢瀬に利用する。やがて、インフィニティ・インクの面々は、ヘクターの現状を知り、最終的にリタが現世での生活を放棄し、ドリーム・ディメンジョンに住むことになる[Infinity, Inc. #49-50: 1988/4-5]。
 ……が、実はヘクターは夢界(ドリーミング)の妖魔ブルートとグロブによって、王なき夢界を支配するための道具として利用されていたのであり、サンドマンが守護するドリーム・ディメンジョンは偽りの世界に過ぎなかった。
 やがて夢界の本来の王モルフェウス(ドリーム)は、永きにわたる幽閉より解放され、夢界に帰還する。夢を操る呪具と、夢界の支配を取り戻していく過程で、モルフェウスはヘクターを打ち倒す。この結果、現世に帰還したリタは、モルフェウスをヘクターの仇として憎むようになる(実際には、ヘクターは3代目サンドマンとなった時点で死亡しており、モルフェウスは彼の魂を解放したに過ぎぬのだが)[Sandman (vol. 2) #12: 1989/12]。
 モルフェウスの兄弟であるデスによって、ヘクターの魂は死後の世界へ送られた……はずだったが、運命の気まぐれによって、彼は再び現世に転生することとなる。

・備考3:その後リタは、ヘクターの子を出産。モルフェウスにより赤子はダニエルと名付けられる[Sandman (vol. 2) #22: 1991/1]。
 が、程なくしてダニエルは、欺瞞の神ロキによって連れ去られる。ダニエルを連れ去ったのがモルフェウスだと思いこんだリタは、かつて彼女に力を与えたフューリーズ(エリニュスとも)の加護を得て、夢界に侵攻。ついにはモルフェウスを討ち果たす。
 しかし、自身が倒れることを予期していたモルフェウスは、ダニエルに自身の力を託しており、彼の終焉をもってダニエルが新たなドリームとなる[Sandman (vol. 2) #57-69: 1994/7-1995/7]。
 その後、現世に帰還したリタは、いつの間にやらフェイトのアミュレットの中に封じられる。後に彼女は、ドクター・フェイト(ヘクター)によってアミュレットから解放されるが、意識不明のまま眠り続ける[JSA #58, Hawkman (vol. 4) #25: 2004/4]。

・備考4:後の『インフィニット・クライシス』のさなか、ヘクター・ホールは暴走するスペクターと交戦。この結果、ヘクターはフェイトの呪具を失った状態で、意識のないリタと共に地獄の辺境にある雪山へと送られる。
 やがてヘクターが意識を失うと共に目を覚ましたリタは、息子ダニエル(ドリーム)の提示した救済にすがり、現世での生活を放棄し、夢界にて生きることを選択する。ヘクター(の魂)を抱き上げたリタ(の魂)は、ダニエルの開けた扉をくぐり、彼方へと消える一方、彼らの肉体は現世に残される(<つまり、上記の事柄は、リタが死ぬ前に見た幻視というイヤな解釈もできる)[JSA #80: 2006/2]。

・備考4:ヘクターさんはミニシリーズを1回獲得するものの、さして人気が得られなかったようで、上記のように『JSA』誌上で退場(しかもメインのストーリーラインではなく、サブのストーリーとして、他のメンバーと全く絡まない形で)。個人的にはちょっとションボリ。
  
  
▼ナブ

・おなじみ、秩序の大公。ヘクターがドクター・フェイトだった頃は、一時的に彼の精神を支配したり、「リタは死んだからあきらめようぜ!」とかウソをついたりしてた。
 スペクターによってヘクターから引きはがされたのを受け、ナブはしばしの間、“よりしろ”となる肉体なしに、兜・アミュレット・マントだけの状態で活動。3たび復活したモードルーを、JSAと共に倒している[JSA #80: 2006/2]。
 この後、ナブはスペクターと再戦するも、スペクターによって致命傷を負わされる。
 ナブの死により、魔術の第9世代<Ninth Age of Magic>は終わり、 第10世代<Tenth Age>が始まる。
 ナブの兜はデテクティブ・チンプに託されるが、チンプは兜をキャプテン・マーベルに渡し(兜が頭に入らなかったのだ)、マーベルはそれを宇宙の彼方に放り投げ、兜を“運命”の導きに任せる。

・備考:こいつはナブ単独の状態ですので、ドクター・フェイトの○代目としてはカウントせず。


▼「ヘルメット・オブ・フェイト」

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・『インフィニット・クライシス』から1年後、フェイトの兜はラルフ・ディブニーさんの手に渡ったかに見えたが、実はこの兜は偽物であった(詳細は『52』を読もう)。

・本物の兜は、宇宙空間をさすらったあげく地球に戻り(なぜか宇宙をさまよううちにハーフ・ヘルム型に変異)、イベント「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」にて、様々な人物の手に渡るのだった。

・備考:この「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」は
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:デテクティブ・チンプ』[2007/1]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:アイビス・ジ・インビンシブル』[2007/1]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:サーゴン・ザ・ソーサラー』[2007/2]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:ザウリエル』[2007/2]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:ブラックアリス』[2007/3]
 という、隔週ペースで刊行された5冊のワンショット(1冊だけ刊行される特別号のこと。基本的にはボリュームが多めで、読み切りのことが多い)にて展開された。
 それぞれの物語は、まあ、タイトルになっているキャラクターの元に「フェイトの兜」が転がり込んだり、あるいはその敵などの手に兜が渡ったりして、なんやかやして結局は兜を手放すぜ、とかいう具合なお話。

・作中ではデテクティブ・チンプ(なぜかこの時は兜を被れた)がドクター・フェイトのコスチュームを身に着けて短期間活躍したり、ブラックアリスがヘルメットを被ったりしてますが、こいつらはドクター・フェイトの○代目とはカウントしない模様。
  
  
▼ドクター・フェイト(5)(ケント・V.ネルソン)

Dr. Fate: Countdown to Mystery
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・オリジン:転々と所持者の変わっていったフェイトの兜は、運命の導きによってケント・ネルソンの甥の息子にあたる、ドクター・ケント・V.ネルソンの手に渡る。
 ネルソンは元々はそれなりに優れた精神科医だったが、浮気が元で妻と不仲になり、あげく、彼の担当患者が正気を失い車で十数名をひき殺すという事件を起こし、わずか数ヶ月で路上生活者にまで身を持ち崩していた。
 わずかな金のために、殴られるところをビデオに撮られたネルソンは、金を取られたあげくゴミ箱に叩き込まれる。が、そこにてケントは偶然にフェイトの兜を手にする。
 何気なしに兜をかぶり、その内に蓄えられていたドクター・フェイトの歴史を知ったケントは、当初は兜を質屋に入れたり、兜を被ってカジノで小銭を稼いだりしつつも、やがて現れた妖魔ネガルとの戦いを経て、ドクター・フェイトとしての運命を受け入れる[Countdown To Mystery #1-8: 2007/11-2008/7]。

・能力:魔力の行使。フェイトの兜の中にはすでにナブはいないが、兜の中に残された魔力と知識によって、広範な魔術を操ることが可能。
 ちなみにフェイトの兜は普段はハーフ・ヘルムの形状だが、いざという時には、フルヘルムに変形して、それと同時にケントの身体がドクター・フェイトのコスチューム、マントに包まれる。日本の変身ヒーローぽくって、なかなかカッコよい。あ、ちなみにハーフ・ヘルムの状態でもそれなりに魔法を使用することは可能。

・備考:一応、現行のドクター・フェイト。元々は「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」の後、スティーブ・ガーバー作の『ドクター・フェイト』新オンゴーイングシリーズが始動する予定だったのだが、ガーバーの体調不良のために、新シリーズは取りやめとなり、代わりに『カウントダウン・トゥ・ミステリー』全8号ミニシリーズにて、「エクリプソ」とのカップリングで掲載されることとなる。
 が、第7号までのシナリオを書いた時点で、ガーバーは亡くなり、物語はケントと友人マディが妖魔ネガルの領域に引き込まれたところで未完となる。
 そこでDCは、ガーバーが生前親しくしていた4人のライター(アダム・ビーチェン<Adam Beechen>、マーク・エバニアー<Mark Evanier>、マーク・ウェイド<Mark Waid>、ガイル・シモーネ<Gail Simone>)を招き、それぞれに「ガーバーならこのように決着をつけるだろう」というエンディングを書かせ、それを各4ページでコミック化したものを、『カウントダウン・トゥ・ミステリー』第8号に掲載する、というやり方でこの物語を完結させる。
 各作家のエンディングは、「ケントがネガルに勝利し、マディ、インザ(※物語の中盤で登場した少女。インザ・ネルソンと同名なのは“運命”の導きか?)と共に現世に帰還する」という流れはおおよそ共通しているものの、ケントがネガルに勝利する方法や、インザの復活の経緯(※インザは初登場回のラストで、ネガルに唐突に液体に変えられ死亡? していた)などが大きく異なっている。
 ちなみに、その後、ドクター・フェイト(5)は、ミニシリーズ『レイン・イン・ヘル』や『ジャスティスソサエティ・オブ・アメリカ』誌に登場しているが、上記の4つのエンディングの内、どのエンディングが「正しい」かは明言されていない。
 個人的には、この「どれが正規のエンディングなのか明言されていない」状態というのは、非常に居心地が悪いので、どれかに決定して欲しいのだが、まあ、そういうワケにも行かないのだろう。


 以上。
  
  
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タグ:アメコミ講座

●DC講座Re:フェイトと呼ばれた者たち・その1

2010.03.01 Mon

▼前口上:

 今回は旧ホームページに掲載してたドクター・フェイトに関する記事のリメイクを、まぁ載せようかという次第で。

 つか、ちょろっとの手直しでリメイクしたかったのに、過去の俺の野郎が諸々の出典を明示してやがらないので非常に困る。

 あと、オリジナルの原稿を書いた当時は、まだヘクター・ホールさんがデビューした当時だったので、今回のリメイクにあたり4代目以降を追記してみた。……つか4代目の過去と、4代目~5代目の間の出来事についての説明を書くのが面倒くさくてイヤになった。

 ていうか、現ドクター・フェイトの初出エピソードはコミックを買ってたけど読んでなかったのですが。今回の記事のために読んでみたら、ラストがエライことになってた(まあ、次回に解説する)。

 っつーワケで。


●JSA講座:フェイトと呼ばれた者たち

 えー、今回はJSAのメンバーの中でも、日本では比較的マイナーな、ドクター・フェイトさんの各バージョン(ていうか、フェイトさんが代替わしてることすら知らない方が多いのではないかと思いますが)を、こうザッと書き出していこう、という。


 その前に、各フェイトのオリジンに深く関わってます、秩序の大公ナブさんについて、軽く説明を(面倒なんで箇条書きで)。


▼“賢きもの”ナブ<Nabu the Wise>:

・ナブは原初の宇宙に誕生した秩序の大公<Lords of Order>の1人。

・秩序の大公たちはその対となる存在、混沌の大公<Lords of Chaos>と宇宙創生以来闘争を繰り広げていた。

・約5500年前、秩序の大公のひとりであったナブは、秩序の論理に疑問を差し挟んだために、秩序の領域シリアから追放される。他の大公たちは、ナブを混沌の満ちあふれる惑星(地球)へ送り込んだ。かの地にてナブが混沌と戦い続けることで、彼が秩序の大公としての論理について学ぶことを願ってのことであった。
 古代の地球に降り立ったナブは、魔術師の姿をとり、エジプトにてファラオを助け混沌と闘ってゆく。

・ラムセス王の統治下において、ナブはファラオの宮廷魔術師となる。ある時、創造主の怒りの化身であるスペクターは、ヘブライ人を迫害したラムセスを殺害するためエジプトに顕現する。
 この時ナブはスペクターと戦うが、容易に退けられる。ナブは新たなファラオ、ラムセスII世にヘブライ人の迫害をやめるよう進言したが、王は聞き入れなかった。結果、スペクターは再度顕現し、エジプト中の長男を殺害する[Spectre (vol. 3) #14: 1994/1]。

※このエピソードの元ネタは旧約聖書「出エジプト記<Exodus>」第11~12章。ちなみに『スペクター』誌での描写では、「出エジプト記」第7章でモーセとの魔術比べで杖を蛇に変えたファラオの宮廷魔術師こそナブー……だったはず(うろ覚えかよ)。このファラオをラムセス王と定義したのは『スペクター』誌のオリジナル……だと思う。<注釈でうろ覚えの知識を羅列するな。

・また、ナブがクフ皇子に仕えていた際、サナガー星の宇宙船が、エジプト郊外に墜落する。ナブは宇宙船から回収した未知の鉱石を用い、テス・アダム(魔導師シャザムによって6柱の神性の加護を与えられたチャンピオン、後のブラック・アダム)と共に、呪具「ホルスの爪」を作り出す[JSA #22: 2001/5]。
 また、この時代に顕現したミスター・テリフィック、ホークガール、キャプテン・マーヴェルと共に、ヴァンダル・サヴェイジと交戦する[JSA #42-44: 2003/1-3]。

・やがて度重なる混沌との戦いで疲弊したナブは、当時仕えていた王に願い、ウルの谷なる地に寺院を建てさせ、その最奥にて深き眠りにつく。

・備考:ちなみに、オイラが元々書いてたテキストでは、ナブはメソポタミアに降り立ってて、ウルの谷もメソポタミアのいずこかにあった、と記述してましたが、どの資料を基にしてメソポタミアと書いたのかを失念したので(多分、More Fun Comics #67かSecret Origins #23のどっちか)、今回はメソポタミアの記述を外しました。ま、そのうち調べて修正します。

・ちなみにナブの元ネタはおそらくはバビロニア神話の学問の神ナブ。……メソポタミアともエジプトとも関係ないぞ、おい。

・秩序の大公・混沌の大公の設定は、ぶっちゃけ、マイケル・ムアコックの「永遠のチャンピオン」シリーズのパクリ。DCユニバースにおいて混沌/秩序の大公が初登場したのは、おそらくは『1st Issue Special』第9号[1975/12]掲載のドクター・フェイトのコミック。

・また、この『1st Issue Special』第9号では、ナブはアヌビス神(実は混沌の大公の一柱が姿を変えたもの)を崇める暗黒の僧正カーリスを倒し、彼の持つ強力な呪具“アヌビスの護符”(ドクター・フェイトが胸につけている丸い飾り)を手に入れた、との設定が書かれていた。

・ただし、『JSA』第42号で、「アヌビスの護符は異世界ジェムワールド出身の人間が作った」とかいう記述が登場しており(ただ、この設定も本当かどうかは不明)、『1st Issue Special』版の設定が現在も「イキ」であるかは不明。
  
  
■フェイトさんたち:

 そんなわけで、歴代ドクター・フェイトさんと、「フェイト」の名を冠したその他のキャラクターらの紹介をしてくワケけですが。

 各文の見出し部分は「ドクター・フェイト(n)A(名前)」のように表記していますが。この整数nはそのフェイトが何代目に当たるかを、整数nの後ろにあるアルファベットは各代のフェイトの細かいバージョンの違いを示しております(Aから始まりB、Cと続いていく)。

 カッコ内の「名前」は、そのバージョンのドクター・フェイトの「中の人」を記載しております。ドクター・フェイトというキャラクターは、複数のキャラクターが“合体”して変身するケースがママありますが、その場合は「ケント・ネルソン+ナブ」のように、それらキャラクターを全部書き出しております。

 整数nに関しては、DCのオフィシャルに準拠してますが、アルファベットに関しては筆者が便宜上つけているものだったりします。受け売りすると恥をかきますので注意を。
  
  
▼ドクター・フェイト(1)A(ナブ+ケント・ネルソン)

・オリジン:考古学者である父親と共にウルの谷にある遺跡を訪れたケント少年は、運命に導かれ、ナブの眠る石棺を開く(この時、棺からわき出た毒ガスによって父親は死亡)。復活したナブにより、ケントは20歳相当の肉体年齢まで成長させられ、魔術の秘奥を伝授される。
 かくて混沌と戦うチャンピオン、ドクター・フェイトとなったケントは、世界征服を企む悪の魔術師ウータンと闘い、デビューを飾る[More Fun Comics #55: 1940/5]。
 この時、ウータンに人質として捕らわれてたインザ・クレーマー嬢とケントは恋に落ち、後に結婚する。

・能力:魔力の投射。エネルギー源は彼が被る“ナブの兜”内に存在するナブ。ケントは兜を被ることで、生ける魔素の固まりであるナブ自身から魔力を引き出す事が可能。また無限の知識を持つナブと合一することで様々な呪文を駆使できる。魔力はエネルギーボルトの投射から、妖獣の召還、元素変換、物質生成まで広範。また、超人クラスの身体能力と耐弾性、飛行能力も備える。
 ちなみに歴代ドクター・フェイト共通の弱点は、ナブの兜なしには充分な魔力を発揮できない点(※)。ただしケントは継続した訓練を受けているために、兜なしでもある程度高度な魔力を行使することが可能。

(※)その逆っつーか、ナブはナブで宿主無しには現世で魔力を行使できない、ってのが弱点(と、オリジナルの原稿では書いていたけど、近年の『JSA』誌上にて、ナブ単体で魔力を行使してたりもしますね。ガンバればできるんでしょう<適当な)。 

 
▼ドクター・フェイト(1)B(ケント・ネルソン)

・オリジン:1941年中頃、ケントはドクター・フェイトに変身時に、兜の中のナブが己の行動を徐々に支配しだしていることに気付く。そこで彼はナブの兜の着用を止め、かわりに自作した鼻から下が解放されているタイプの兜(ハーフ・ヘルムとでも言いますか)を自作。以降、戦後までそのマスクを着用して活動する。
 戦後は引退していたケントだが、近代に至りスーパーマンらの台頭によるヒーローの新時代が到来したのを受け復帰。この時はハーフ・ヘルムではなくナブの兜を着用している。

・能力:魔力の投射。ただし、ナブを欠くために、その魔力は従来より大幅にダウン。この状態でも超人クラスの身体技能と軽度の耐弾性、飛行能力は健在。

・備考:「兜の中のナブが己の行動を徐々に支配しだしている~」うんぬんの設定は、後年にロイ・トーマスの『オールスター・スコードロン』誌で提示された後付け設定[All-Star Squadron #23 1983/7]。
 これはゴールデン・エイジ期に連載されていた「ドクター・フェイト」のコミックで、途中からドクター・フェイトの兜のデザインが変更された(※More Fun Comics #72 [1941/10]から)のを理屈付けしたもの。
 ……本来のデザイン変更の理由は、多分、人気がなかったんで路線変更。兜のデザインをハーフ・ヘルム(※普通のスーパーヒーローっぽいデザイン)にしつつ、物語もストレートなスーパーヒーローものっぽくして(要するに魔法とかエジプトっぽい要素を削って)、割と一般受けするスーパーヒーローものに転換させたようです。
 ちなみに、このコスチューム変更の翌月から、掲載誌の『モア・ファン・コミックス』には、いきなり3本の“普通の”スーパーヒーローもの(グリーンアロー、アクアマン、ジョニー・クイック)の連載が開始されておりますが。このことからも、時代がストレートなスーパーヒーローものを求めてたんだろうな、と思うわけですが。


▼ドクター・フェイト(1)C(ナブ+ケント・ネルソン+インザ・ネルソン)

・オリジン:強力な混沌の大公に対抗するため、ナブ+ケントの従来のペアに、ケントの妻インザを加え、三位一体をなした存在。
 ドクター・フェイトは、ナブと男女2人の三位一体による合一によってその真の力を発揮するのだが、ナブはケントを自身の支配下に置くことを願い、ケントに必要以上の力を与えるこの合身を長らく秘密にしていた模様。

・能力:ドクター・フェイト(1)に準ずる。ただし魔力の質・量共に数倍のパワーを誇る。

・備考:この形態の初出は『フラッシュ』(vol.1)のバックアップ連載[the Flash #305-313: 1982/2-9]。この連載分は、『1st Issue Special』第9号などと共に、ミニシリーズ『イモータル・ドクター・フェイト』としてリプリントされてるので、今読むならそっちを購入した方が楽。
 一応、初代ドクター・フェイトの最強形態。劇中でも、強大な混沌の勢力に対抗するために満を持して合体した……ような記憶があるが、どうだっけ(今度実家の『イモータル・ドクター・フェイト』を読み返そう)。


▼ドクター・フェイト(2)A(ナブ+エリック・シュトラウス)

・オリジン:『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』事件の後、秩序の大公たちは宇宙が全き混沌“カリ・ユガ”に突入しつつあることを感じ取る。
 輪廻する宇宙に於いては、全き混沌の後に全き秩序の時代が来ることを知る秩序の大公らは、混沌との戦いを放棄。サイクルが巡るまで宇宙が滅びるままにする(「どうせ戦っても混沌の時代が来ることは運命なんだしー、それって無駄だしー、どうせ待ってれば秩序の時代来るんでしょ? じゃ、何もしないしー」とかいう感じ)。
 が、長年の戦いで人類に対し親近感を抱くようになっていたナブは、この計画に反発。ただ1柱、戦い続けることを誓う。
 が、増大する混沌により、ケント夫妻に若さと活力を与えていた魔力は徐々に失われていた。まず、老いに絶望したインザが自殺し、最愛の人を失ったケントは生きる意志を喪失する。必然、ケントはドクター・フェイトとして活動も辞める。
 そこでナブは、8歳の少年エリック・シュトラウスをドクター・フェイトの後継者とすることとし、かつてケントにしたように、魔術で少年を成人させる。

・能力:魔力の投射。だが当初のエリックは充分な魔術の訓練を受けていないため、ナブの魔力を使いこなせていない。

・備考:エリックの初出は『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』の完結後に刊行されたミニシリーズ『Doctor Fate』#1 [1987/7]。なおこのシリーズの脚本はキース・ギフェン&J.M.ディマティスの共著、アートはキース・ギフェン当人。ギフェンの奔放なアートはカオスそのもので、実にすばらしい。TPBになってないのが残念ナリ。
 こう、『クライシス』の完結を受けて、DCユニバースが新世代に移行していく中、ゴールデン・エイジのヒーローであるドクター・フェイトも代替わりさせて新世代標準にしよう、とか考えたかは知りませんが、ともあれ、ドクター・フェイトは誕生から47年目にして、大きな変革を迎えるのであった。
 
 
▼アンチ・フェイト(ベンジャミン・ストーナー)

・オリジン:かくてドクター・フェイトの称号を継いだエリックだったが、突如現われた混沌の大公ティフォンに容易く退けられ、フェイトの3種の呪具を奪われる。
 ティフォンは配下の精神科医ドクター・ベンジャミン・ストーナーにフェイトの呪具を与え、混沌のドクター・フェイト、アンチ・フェイトを誕生させる。

・能力:魔力の投射。基本的にはドクター・フェイトと同程度の魔力を誇ると思われる。ただし魔力の源はナブではなく、混沌の大公ティフォン。

・備考:その後、アンチ・フェイトは真の力に開眼したドクター・フェイト(2)と交戦し敗北する[Doctor Fate #4: 1987/10]。
 後にドクター・フェイト(2)に対抗するために手を組んだ混沌・秩序の両大公は、ストーナーを拉致し、アンチ・フェイトを復活させる。だがストーナーはフェイトとの戦いの中で大いなる愛に目覚め、業を捨て去り昇天する[Doctor Fate (vol. 2) #18-24: 1990/6-1991/1]。
 ドクター・フェイトのバリエーションにはカウントしないけど、「フェイト」の名を冠した存在の1つとして、まぁ、ここに記載する。
  
  
▼ドクター・フェイト(2)B(ナブ+エリック・シュトラウス+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ティフォンに破れたエリックは、その後、ケント・ネルソンとリンダ・シュトラウス(エリックの義母)によって救出される。
 実はリンダはエリックと魂の奥底で結びついており、輪廻転生を繰り返し、幾千もの人生にて恋人同士として巡り会う定めにあったのだった。
 やがて、フェイトの真の力がナブと男女一組との三位一体にて引き出されることに気付いたケントは、渋るナブを説得し合体を了承させる。エリック・リンダ・ナブは合一し、アンチ・フェイトとティフォンを打倒するのだった[Doctor Fate #4: 1987/10]。

・能力:魔力の投射。パワー的にはケント・ネルソンに勝るとも劣らない。

・備考:この後、ケント・ネルソンはナブに死を許され昇天。ナブは残されたケントの遺体に乗り移り、人間性というものについて学んでいくこととする。そんな感じに舞台が整ったところで、『ドクター・フェイト』ミニシリーズ・完。もうすぐ始まる『ドクター・フェイト』新オンゴーイングシリーズにご期待ください(ヲイ)。


▼ドクター・フェイト(2)C(エリック・シュトラウス+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ナブがケントの肉体を得たことで、エリックとリンダはナブ抜きでドクター・フェイトに変身するようになる。
 通常、ドクター・フェイト(2)と言えば、この状態を指す。
 なお、暗黒の帝王ダークサイドとの戦いで、エリックとリンダはそれぞれ単独でドクター・フェイトに変身。ダブルライダーな感じでダークサイド配下のパラデーモン軍団と交戦している[Doctor Fate (vol. 2) #12: 1989/12]。

・能力:魔術の投射。ただし、エリックとリンダの息が合っていないとフェイトとしての全力が出せない。

・備考:『ドクター・フェイト』オンゴーイング・シリーズ(誕生から49年目にしてようやくソロのシリーズを獲得)における、ドクター・フェイトの基本形態。っつーても、この形態が登場するのはほんの1年だけですが(後述)。
  
  
▼ドクター・フェイト(2)D(リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ダークサイドの配下によりエリックは死亡。いずこかへと消えたエリックの魂を探すため、リンダは無理矢理ドクター・フェイトに化身する[Doctor Fate (vol. 2) #13: 1990/1]。

・能力:魔術の投射。ただしリンダはフェイトとして正式な資格はおろか訓練も受けていないため、変身には苦痛が伴う。

・余談:『ドクター・フェイト』オンゴーイングシリーズは、ミニシリーズから引き続いてJ.M.デマティスがライターを担当していたわけですが。
 メヘル・バーバー<Meher Baba>(ミハー・ババ)の熱心な信奉者であるデマティスは、フェイトの物語にバーバーの宇宙観を取り入れて、実にストレンジな味わいの物語を紡いでいったんですな、これが。
 ……ていうか、1年目で主人公のエリックが死亡して、2年目は心の平穏を求めるヒロイン・リンダが輪廻転生したエリックの魂を捜す、ってなスピリチュアルな展開を、ヒーローものコミックで堂々とやってるのが凄ぇよデマティスさん(しかも面白いのは言うまでもなく)。
 ちなみに、「これ、メヘル・バーバーじゃねぇか」な外観のキャラクター(悟りを開いて以降、沈黙を貫いたバーバー同様に、全くセリフをしゃべらない)が、死後のエリックを新たな輪廻に導くヨ!
 っつーか、アンチ・フェイトの業を払った「唯一神」って、明らかに「キリスト教の神様」じゃないし。
 デマティス期の『ドクター・フェイト』、何らかの形で単行本になってくれないかなぁ……。


▼ドクター・フェイト(2)E(ナブ+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:復活したアンチ・フェイトに対抗するため、リンダとナブが合一した状態。腕が4本あるのが特徴。
 この戦いの後、リンダはアンチ・フェイトに負わされた傷により死亡。エリックとリンダの魂は、事故で死んだユージン&ウェンディ・ディベラ夫妻の肉体に転生する[Doctor Fate (vol. 2) #22-24: 1990/11-1991/1]。

・能力:魔術の投射。主導権はナブの方が握っているため、かなり高レベルの魔術の行使が可能だが、リンダの肉体がそれに付いてゆけないのが弱点。

・備考:リンダ単体のバージョンは、DC公式ではドクター・フェイト(3)とは見なされてません。
 これは、リンダ単体の状態は、あくまでドクター・フェイト(2)の構成要素「エリック・リンダ」からエリックが抜けた状態(=ドクター・フェイト(2)のバリエーション)であるため……と、オイラは解釈してます(実際は知らぬ。ていうか、リンダ単体バージョンをドクター・フェイト(2)と見なすのかも不明ですが)。


▼ドクター・フェイト(1)D(ケント・ネルソン+インザ・ネルソン)

・オリジン:リンダの死後、ナブはアヌビスの護符の中の閉鎖世界に封印していたケント・ネルソンとインザ・ネルソンの魂を蘇生させ、ドクター・フェイトとして復帰させる。
 諸々を手配し終えたナブは人間についてさらに深く学ぶため、ディベラ夫妻の娘、ライナに魂を移し、人間として転生する。このため、ケント、インザの2人だけでドクター・フェイトに変身するようになる[Doctor Fate (vol. 2) #24: 1991/1]。

・能力:魔術の投射。ナブ抜きだが、ケントの広範な魔術の知識と、ナブの兜から引き出す無尽蔵な魔力により、依然、最強クラスのパワーを誇る。

・備考:ミもフタもない言い方をすれば『ドクター・フェイト』第24号にてライターを降りたデマティスが、後任のライターのために用意した新主人公。


▼ドクター・フェイト(3)B(インザ・ネルソン)

・オリジン:復活したケント夫妻だが、直後、混沌の大公の妨害によって、ケントはドクター・フェイトに合体できなくなる。結果、しばらくの間、インザが単体でフェイトに変身することになる[Doctor Fate (vol. 2) #25: 1991/2]。
 通常ドクター・フェイト(3)といえば、このリンダ単体状態を指す。
 後にフェイトは、合体不全の原因となった混沌の大公を倒し、再びケント+インザの2人で合体可能となる。
 やがて勃発したゼロ・アワー事件にて、ネルソン夫妻はドクター・フェイトに合体し、JSAと共に時空魔人エクスタントに対抗する。が、エクスタントの圧倒的なパワーにより、ドクター・フェイトは変身を解除され、ネルソン夫妻の姿に戻る。フェイトの3つの呪具は次元の彼方に消え、夫妻は変身不能となる。

・能力:魔力の投射。インザは魔術の訓練を受けていないのだが、それなりに高度な魔術も行使できる模様。

・備考:デマティスに代わり、『ドクター・フェイト』第25号から新ライターに就任したのがウィリアム・メスナー=ローブス。なぜだか彼は素直にケント・ネルソンをドクター・フェイトに復帰させず、奥さんのインザが単独でドクター・フェイトに変身するという、誰が望んでいるのかわからない路線変更を行う。
 結局、リンダはシリーズが休刊する第41号[1992/6]まで、ドクター・フェイトとして活躍し続けたのだった。

・備考2:インザ単体のバージョンは、DCから公式にドクター・フェイト(3)と見なされてます。
 ドクター・フェイト(1)の基本の構成要素は「ケント+ナブ」であり、インザは含まれない→故にケントもナブも含まれていないインザ単体のバージョンは、ドクター・フェイト(1)のバリエーションとは見なせない……てな感じにオイラは解釈してます。
  
  
 とりあえず、長くなったので今日はここまで。

 次回は、『ゼロ・アワー』以降、現代までの「フェイト」の名を冠した人たちをお送りする予定ナリ。
  
  

●本日のドクター・フェイトの本:
Golden Age Doctor Fate: Archives - Volume 1
Golden Age Doctor Fate: Archives - Volume 1 (Archive Editions)Howard Sherman

DC Comics 2007-06-06
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 ゴールデン・エイジ期のドクター・フェイトのソロでの連載分(More Fun Comics #55-98)が全話収録されてるという、実にお得な本。値段はそれなりにするけどネー。
  
  

タグ:アメコミ講座

●DC講座Re:スーパーマンの死と再生について。

2009.10.20 Tue

▼適当なるリメイク:

 さて、今回は旧ホームページに掲載されてた「スーパマンの死」に関する記事のリメイクを掲載しようかと。
 この原稿を書いた当時は、まだまだその辺の大型書店なぞに中央公論社版の『スーパーマンの最期』が転がってたモンですが、最近はようやく見なくなりましたな。
 ま、古本屋に行けば割合見かけるし、Amazon.co.jpでも定価以下で中古が手に入るのですが。

 とまれ、こちらのテキストは、1990年代に物議を醸し、しかも日本で中途半端に邦訳されたことで微妙に知名度のある「スーパーマンの死」について、その前後の出来事も含めて解説してこうという次第で。

 というわけで。

1.基本事項

 そもそも、このスーパーマンの死と再生というのは、全3部の構成にて発表されております。

 最初がスーパーマンが謎の怪物ドゥームスディと交戦して死ぬ、『ドゥームスディ』(単行本タイトルは『デス・オブ・スーパーマン』)
 2作目、スーパーマンの葬式と、彼のいないメトロポリスの風景、そして彼の墓から死体が消失するという、復活を暗示させるラストの『フュネラル・フォー・フレンド』(単行本タイトル『ワールド・ウィズアウト・スーパーマン』)
 そしてスーパーマンの後継者として登場した4人の謎のスーパーマンと、真のスーパーマンの再生を描く最終作『レイン・オブ・スーパーメン』(単行本タイトル『リターン・オブ・スーパーマン』)の3つです。

 日本ではこの3部作の1作目を『スーパーマンの最期』として刊行したものの、残りの2作が発行されなかったために、復活の経緯などがウヤムヤに伝えられることとなったのですが。


2.スーパーマンが死ぬまで:その1・スーパーガールとその周辺

 で、本題に入りたい所ですが、その前にスーパーマンが死ぬまでの経緯、って所から書きたく思います。その、3部作だけ解説してもいいんですが、それじゃ情報として充分じゃないんで、その前後の流れで本編に関わってくる部分は解説させてください。はい。

 いきなり知らないキャラをポンと出されても、ワケ分かんないでしょうし――実際、何の予備知識もなく『スーパーマンの最期』を読んだ人って、スーパーマンやジャスティスリーグと言った登場人物の人間関係や、ルーサーとスーパーガールの関係とかが解らなくて、結局、「スーパーマンが死んだ」という事実だけが、ポンと提示された感じだったでしょ?

 えーと、スーパーマン=クラーク・ケントは実は滅亡したクリプトン星から、小型宇宙船マトリクス・チャンバーに乗せられてやって来て、ケント夫妻に引き取られて、成人してから超能力発現、スーパーマンとして世のため人のためにその力を使うようになった、ってのは大丈夫ですね? ここからダメ、って人はその、容赦なく切り捨てますんで、小プロの『スーパーマン/バットマン』でも読んでから出直して来て下さい。
(2009年註:現在はこの辺の基本設定も改定されてきてるんですが、そこまで言及するとキリがないので「当時はそうだった」ということにしてください)


 で、ですね。そうして活躍してるスーパーマンは、ある時彼とそっくりの衣裳を着た、(しかも幼なじみのラナ・ラングにそっくりな)女性と遭遇します。彼女は自分が我々の地球にそっくりな世界を持つ、ポケット・ユニバース(閉鎖宇宙)よりやって来たことを告げ、スーパーマンに助けを求めます。

 いわく、彼女の地球は、3人の凶悪なクリプトン星人(ゾッド将軍、ザオラ、クエックス・ウル)によって壊滅の危機に瀕しており、同じクリプトン人であるこちらの世界のスーパーマンの助力を借りたい、と。

 ちなみに彼女は、自分が向こうの世界のレックス・ルーサーによって人為的に力を与えられた存在だと思っていたのですが、後にルーサーが、向こうの世界のラナ・ラングをモデルに造り出した人造生命体(プロトマター・マトリクス)であることが判明します。

 ともかく、彼女と共に向こうの世界に渡ったスーパーマンでしたが、自身と同じ能力を持つ(しかも向こうは3人)クリプトン人に圧倒され、生き残りの人々も殺されてしまいます。彼らがこちらの世界にやって来たら、たとえ世界中のヒーローの力を結集させたとしても制止することは困難であり、また多くの犠牲者が出るだろう、という判断から、スーパーマンはクリプトナイトの放射線を用いて3人を殺害してしまいます。

 一方、マトリクスは3人との戦いでダメージを負い、ラナ・ラングの姿を取ることすらできず、いびつな泥人形の様な姿で、ケント夫妻に引き取られます。
 で、このマトリクスは後に知性と変身能力が回復し、スーパーガールを名乗って、スーパーマンと共に戦うようになります。

 『スーパーマンの最期』に少しだけ登場したスーパーガールが、いきなり殴られたら粘土状の肉体になってしまったのにショックを受けられた方も多いかと思いますが、あの子こそが、このマトリクスさんであります。
 ちなみにあの当時、彼女がレックス・ルーサーの側にいたのは、向こうの世界の“善人の”レックス・ルーサーに好感を抱いていたスーパーガールが、こっちの世界のルーサーも善人だと思い込んで、彼の元に身を寄せてたからです。後にルーサーは本性を現して、2人は別れますが。

※この辺のお話は自分も本編は断片的にしか持っておらず、『シークレットファイルズ』や、『スーパーガール』単行本序文等のリトールド部分から構成してますんで、致命的な誤り等ございましたら突っ込んで頂ければ吉です。
(2009年註:ていうか、『インフィナイト・クライシス』周辺の設定改定により、このマトリクス・スーパーガールも「存在しなかった」ことにされました。あとクリプトン人も10万人の生存が確認されてて、その1人には「本物の」ゾッド将軍も含まれてる現在から見ると、たった3人のクリプトン人に汲々としてるスーパーマンがなんだか……)

 ちなみに『スーパーマンの最期』を読んで、髪の毛がフサフサで若々しいレックス・ルーサーに違和感を抱いた方も案外おられるのではないでしょうか。あの人はレックス・ルーサー2世と言いまして、飛行機事故で死亡したレックス・ルーサー1世の隠し子です。
 ……と言うのは真っ赤な嘘で、実は、ルーサー1世本人です。
 一時期、対スーパーマン用にクリプトナイトをはめ込んだ指輪を身につけていたルーサーは、その結果、放射線によって末期ガンに侵されます。しかしルーサーは己の死を回避すべく、元カドモス・プロジェクトのドクター・ドノヴァンの協力で、自身のクローンを製造。この肉体に脳移植を行い、1世の事故死を装った上で、「実は僕は隠し子の2世です」と登場したのでした。


3.スーパーマンが死ぬまで:その2・スーパーマンとモングル

 さて、スーパーマンの過去話はまだ続きます。スーパーガールとの一件で、スーパーマンは相手が地球を滅ぼした大悪人だったとはいえ、自らの手で裁きを下してしまったことに、心の底から罪悪感を抱きます。

 ケントが二重人格になって、クライム・ファイターの「ギャングバスター」を名乗って密かに活動したりといった紆余曲折の末、人々の命をたやすく奪うことのできる自身の能力が、周囲に害を及ぼすことを怖れたスーパーマンは地球を去ることを決意します。

 宇宙をさまようスーパーマンは、やがて、戦闘惑星ウォーワールドの帝王モングルに捕らえられ、彼の奴隷剣闘士となります。しかしながら、剣闘士に堕しても、対戦相手の命を奪うことを拒否するスーパーマンの高潔さは、弱肉強食の論理が支配するウォーワールドに波紋を投げかけ、最終的に下層階級の人々の反乱を喚起、モングルの帝国は壊滅します。
 そのさなか、スーパーマンはクレリックなる異星の伝道師と遭遇します。かつてクリプトン星を訪れたことのあるクレリックは、スーパーマンにクリプトン製の人工知能、エラディケイター(外観的にはフットボールよりやや小さいくらいの頭を持つマクロファージ、とでも言おうか。スーパーマンが地球まで乗ってきたマトリクス・チャンバーにも似ている)を手渡します。


4.スーパーマンが死ぬまで:その3・エラディケイターとハンク・ヘンショウ

 さて、ウォーワールドでの経験で、自身のモチベーションを取り戻したスーパーマンは、エラディケイターを手土産に地球に帰還します。が、元来、クリプトン人を絶対的に守護する兵器として製作されたエラディケイターは、やがて最後のクリプトン人であるスーパーマンを完全なるクリプトン人――情緒も、愛も切り捨て、論理のみに生きる冷血な種族――に昇華させようと試み、徐々に彼を洗脳していきます。

 このことに気付いたスーパーマンは、エラディケイターを南極の氷に封印しますが、人工知能は南極大陸の地下にクリプトン星を再現した要塞を築き、地球全土のクリプトン化を目指します。
 その過程で再度スーパーマンを洗脳したエラディケイターは、彼を感情無き“クリプトンマン”に変えます。が、クラークの両親ケント夫妻の愛情を込めた説得により、スーパーマンは自身を取り戻し、エラディケイターを打倒。人工知能を太陽に投棄します。不屈のエラディケイターは、更に後、太陽エネルギーをチャージして、ヒューマノイドの形態をとって帰還するも、再びスーパーマンに倒されました。
 ちなみにこの時エラディケイターが南極に作った要塞は、“孤独の城塞”と名付けられ、以降スーパーマンが利用することになります。

 一方、それらの出来事とは全く関係なく、ナサの宇宙飛行士ハンク・ヘンショウは、仲間たちと共にスペースシャトルで宇宙に旅立った際、謎の宇宙線に被爆します。シャトルはスーパーマンにより救助されますが、宇宙線の影響でヘンショウの仲間は異形のミュータントに変異し、程なく死亡します。
 ですがヘンショウ自身は、宇宙線の効果により、自身の意識をいかなる機械にも移送できる超能力を獲得しており、周囲の機械に憑依することで肉体を侵していた致死の放射線病から逃れます。やがて、地球に己の居場所がないことを悟ったヘンショウは、スーパーマンの乗ってきたマトリクス・チャンバーに意識を移し、その技術を吸収すると、自身を小型の星間宇宙船に変移させ、宇宙の彼方に消え去ります。

※余談ながら、ヘンショウと3人の仲間たちが宇宙船で放射線に被曝、と言うクダリは『ファンタスティック・フォー』のパロディとなっています。


5.ここまでのまとめ:

 えー、長々と書きましたが、とりあえず

・元ウォーワールドの帝王、スーパーマンに恨みを抱くモングル
・クリプトン人の無差別守護天使エラディケイター
・機械に乗り移れる器用な人ハンク・ヘンショウ

 の3人のキャラについて心に留めておいてください。

 さて、ここからが本番、3部作本編の解説になります。


6.『スーパーマンの最期』

 まずはスーパーマンのデス&ライフ3部作の開幕となる『スーパーマンの最期』について。これはですね、まぁ、テキストとして邦訳版が出てますんで、そっちを読んじゃってください。まだ古本屋でも見かけますし。ストーリーは、謎の怪物ドゥームス・ディが登場して、ジャスティスリーグ・アメリカが壊滅、スーパーマンも相打ち、と。
(2009年註:まあ、読むがよいです)


余談:あの人は誰なの?

 で、ですね。この本を読んだ人から良く聞かれる質問がですね、「ブラッドウィンドの正体って何?」ってやつです。
 邦訳版の真ん中辺りで、ブルービートルが「そうか! ブラッドウィンドの正体は!」とか驚いてるあのシーン。作中ではなんらフォローされてないんで、嫌な感じに気にかかっていた人もいるのではないかと思いますが。

 はっきり言えば、ブラッドウィンドの正体はジャスティスリーグの最古参メンバー、マーシャン・マンハンターです。

 手短に話しますと、この『ドゥームズディ』事件の前に、ジャスティスリーグ全体を巻き込んだ「ブレイクダウン」事件てのが起きまして、この事件で、リーグ内から死者1名と多数の離脱者を出すこととなります。

 この後、当時リーダーを務めていたマーシャン・マンハンターも傷心でリーグを辞し、リーグ自体も解散します──その後スーパーマン、バットマン、グリーンランタンらによって、リーグは再編成されるのですが。

 で、あてどもなく地球の成層圏あたりをさまよっていたマーシャン・マンハンターは、謎の魔術師ブラッドウィンドと遭遇します。その時ブラッドウィンドは、彼の胸に付いているブラッドジェムという宝石に封印されていた、悪の化身ロトの攻撃を受けておりました。で、マーシャン・マンハンターが彼の宝石に触れた所、ブラッドウィンドは宝石の中に引きこまれ、しかも宝石はマーシャン・マンハンターの胸に張り付いてしまいます。
 そして、宝石内部のロトから洗脳と、マーシャン・マンハンターの変身能力により、マーシャン・マンハンターは、身も心もブラッドウィンドに化身してしまいます。

 さて、外界への脱出を企むロトは、宝石の封印を打ち破れるだけの強力なエネルギーを持つメタヒューマンを求めており、そのためブラッドウィンド/マーシャン・マンハンターを、強力なヒーローたちの集うジャスティスリーグに加入させます。
 しかし彼は本質的にはマーシャン・マンハンターでして、『スーパーマンの最期』の件のシーンでは、マーシャン・マンハンターの弱点である火炎に巻き込まれたために、無意識に変身を解除してしまい、そこをブルービートルに目撃されていたのでした、と。

 ちなみに『スーパーマンの最期』の直後に起きた『ハンズ・オブ・ディスティニー』事件にて、ブラッドウィンド=マーシャン・マンハンターという事実が判明し、程なくアトム(2)、レイ(2)らの協力で、ブラッドジェム内から本物のブラッドウィンドが救出され、ロトも倒されます。

 全然手短ではありませんね。反省。


7.スーパーマンなき世界

 さて、『スーパーマンの最期』で、スーパーマンは死亡します(当たり前ですが)。これに続く2話目が『ワールド・ウィズアウト・スーパーマン』、もしくは『フュネラル・フォー・フレンド』というストーリーラインです。

 ストーリーは、スーパーマンの葬式をジャスティスリーグが行う一方、スーパーマンがいないメトロポリスでスーパーガールやガーディアンたちが奮戦。また最愛の息子の葬式が盛大に行われているのに、スーパーマン=ケントという真実を明かすわけにもいかず、葬儀に参列できないケント夫妻の苦悩が、淡々と描かれた話です。

 とりあえず、この話の中のポイントは2つです。
 第1は、政府に支援を受ける遺伝子研究機関、プロジェクト・カドモスがスーパーマンの遺伝子を目的に、彼の死体を盗み出したこと(その後、スーパーガールとレックス・ルーサー2世によって、死体は棺の中に戻されるのですが)。
 第2は、本編ラストにて再び死体が消失し、調査の結果、どうやら墓の“内側から”何者かが扉を開けて出ていったらしい、ということです。

※今気付きましたが、墓から死体が消えるって、某救いの御子と同じパターンですね。確か、本編でも7日目くらいでしたし。


8.スーパーマンの帰還――ただし4倍に増えて……。

 さて、上の2つの伏線を引きつつ開幕するのが、3部作最終話『リターン・オブ・スーパーマン』もしくは『レイン・オブ・スーパーメン』です。

 この話はスーパーマンの死体が行方不明になった直後、「スーパーマンの後継者」を名乗る4人の新スーパーマンが登場する所から始まります。それぞれがスーパーマンという偉大なヒーローの志や外観、あるいは魂を受け継ぐこの4人は、各々の手法を貫き、メトロポリスの市民を守ってゆきます。ではまず、この4人の紹介からいきましょうか。

・バイザー:ラスト・サン・オブ・クリプトンを自称。南極にあるスーパーマンの孤独の城塞にエネルギー体にて顕現、その後メトロポリスのスーパーマンの墓に侵入し肉体を得る。エネルギー源であるはずの太陽光にセンシティブになり、サングラスをかけている(そのため付いたあだ名がバイザー)。
 冷血漢で、手から放射するエネルギーブラストで、悪人どもに瀕死の重傷を負わせるなど、元祖スーパーマンとはかなりかけ離れた行動理念を持つ。
 孤独の城塞を拠点としている、クラーク=スーパーマンだと知っている、スーパーマンの死体に乗り移って復活した(様に見える)等の点から、本物度数はかなり高い。

・サイボーグ:全身の大部分を機械化して復活した(と自称する)スーパーマン。性格的にはオリジナルに最も近いが、記憶の大部分は失われている(らしい)。
 調査の結果、機械化部分はクリプトン星のテクノロジーで構成され、また生身のDNAもほぼスーパーマンと一致することが判明。断片的ながらロイスとの記憶を持ち合わせており、バイザーの次に本物に近い。

・スティール:“マン・オブ・スティール”の称号を受け継ぐ。元エンジニアのジョン・ヘンリー・アイアンズは過去に自身の開発した武器が、ギャングによって悪用されていること、あまつさえその武器で近所の子供が殺害されたことに怒り、過去に製作していたパワードスーツを完成させ、胸にSのエンブレムを付け、スーパーマンの代わりとなってメトロポリスを守ることを誓う。
 スーパーマンとは全くの別人だが、アイアンズの隣人の占い師が「外見は異なっていても彼にはスーパーマンの魂が乗り移っている」と発言したためにスーパーマンの後継者として目される。理念的には最もスーパーマンに近く、ロイスですら一時「魂乗り移り」説を信じかけたほど。
 本人的にはスーパーマンの意志を継ぐ気でいたものの、本物のスーパーマンの座を奪う気は無く、“後継者争い”からは距離を置く。

・スーパーボーイ:“マン・オブ・トゥモロー”を自称。カドモス・プロジェクトが産み出したスーパーマンのクローン。見かけは16歳程度。最もスーパーマンの後継者争いに熱心で、スーパーボーイと呼ばれると「俺はスーパーマンだ!」と、非常に怒る。


9.仁義無き相続

 さて、こうして登場した4人のスーパーメンはそれぞれの手法、方法論を打ち出し、人々に受け入れられていきます。中でもサイボーグはカドモス・プロジェクトが秘匿していたドゥームズディの死体をハーネスだのワイヤーだので隕石にくくりつけて宇宙に投棄。一方でホワイトハウスを襲ったテロリストを倒して大統領の賛辞を得、“本物”として認められていきます。

 が、程なく謎の巨大宇宙船が、グリーンランタン(ハル・ジョーダン)の故郷、コーストシティに襲来。調査に赴いたバイザーは、突如翻心したサイボーグ・スーパーマンに重傷を負わされます。直後、宇宙船はコーストシティに数千の核爆弾を投下、700万人の市民の住む大都市は一瞬にして焦土と化します。悠然と宇宙船の甲板に降り立ったサイボーグを出迎えたのは、かつてのウォーワールドの帝王、モングルでした。


 サイボーグの正体は、ハンク・ヘンショウでした。

 スーパーマンのマトリクス・チャンバーを奪い、外宇宙への旅に出たヘンショウは、荒涼とした宇宙空間を流離う内に精神に異常をきたし、自身の現状、仲間たちの死、それら全てをスーパーマンのせいだと思いこみ、彼に対して激しく憎悪を募らせるに至っていました。
 やがて、荒涼とした惑星に降り立ったヘンショウは、偶然その星に流れ着いていたモングルと遭遇。スーパーマンという共通の憎悪の対象を持つ2人は手を組むこととなります。
 マトリクスから得たスーパーマンのDNAおよびクリプトン星のテクノロジーを用いたヘンショウはサイボーグ・スーパーマンの肉体を作り出します。その後、地球に帰還した彼はスーパーマンの伝説を失墜させるべく、彼の名を騙り、密かに地球破壊計画を遂行していたのでした。

 サイボーグ・スーパーマンとモングルは、地球を第2のウォーワールドとすべく、コーストシティの跡地に巨大な機械化都市、エンジンシティを建設、続いてメトロポリスに狙いを定めます。
 サイボーグはコーストシティの惨事を全てバイザーに被せ、またスーパーボーイをエンジンシティにおびき寄せ、捕虜にします。そして、アステロイド付近に宇宙船の本隊がいるという偽情報でジャスティスリーグやグリーンランタン(初代)らを宇宙の彼方に派遣し、エンジンシティへの介入を防ぎます。

 一方、瀕死の重傷で孤独の城塞に戻ったバイザーは、城塞のロボットたちに治療を受け、その過程で自身の本来の記憶を取り戻します。


 バイザーの正体はエラディケイターでした。

 スーパーマンがドゥームズディと相打ちになったその直後、クリプトン人を絶対的に保護することを第一義とするエラディケイターのプログラムが機動し、人工知能はエネルギー体として孤独の城塞に復活を遂げていたのでした。
 その後スーパーマンの墓に赴いたエラディケイターは、墓の壁をすり抜けてスーパーマンの死体に接触。彼のDNA、記憶を読みとり、自身の肉体を組み上げます(※実体を持たなければ満足に活動できなかったため)。

 こうして実体化したエラディケイターは、スーパーマンの死体を携え孤独の城塞に帰還していました。スーパーマンの死体が消え、墓が内部から開かれていたのは、こうした理由によります。その後エラディケイターは、太陽光線を集束するリジェネレイション・マトリクスを製作、マトリクス内にスーパーマンを封印し、蘇生を試みます。しかし、スーパーマンのDNAを読みとった際にエラディケイターは多少の記憶の混乱を起こしており、自身がスーパーマンであると思いこみ、活動を開始していたのでした。


 さて、エラディケイターが城塞に帰還する寸前、リジェネレイション・マトリクス内の本物のスーパーマンは、奇跡的に蘇生を果たしていました。しかし、復活した彼の肉体からは、超能力が消えていたのです。やむを得ずクリプトン製のパワードアーマーに乗り込んだスーパーマンは、南極から海底を歩いてメトロポリスに向かいます。

 一方、辛うじてエンジンシティからの脱走に成功したスーパーボーイは、サイボーグの翻心とその計画を伝えにメトロポリスへ向かい、スーパーガール、スティール、そしてメトロポリス湾に上陸した本物のスーパーマンと合流します。
 コーストシティの惨状を聞いたスーパーマンは、レックスの部下からロケットブーツを借り、スティール、スーパーボーイ、スーパーガールと共にエンジンシティへ飛びます(ただしスーパーガールは、いざという時のための切り札として、姿を透明化して同道)。サイボーグとモングルの姿を求め、都市内に侵入したスーパーマンたちは、エンジンシティと一体化したサイボーグに出迎えられます。

 エンジンシティでの戦いは苛烈を極めます。やがて、メトロポリスに向けて発射されたミサイルを制止しようとしてスーパーボーイは重傷を負い、スティールもアーマーをサイボーグに乗っ取られ、無力化されます。スーパーマンを密かにアシストしていたスーパーガールまでも倒され、危機に陥るスーパーマンでしたが、間一髪、復活したエラディケイターに救われます。

 他方、コーストシティの守護者グリーンランタンは外宇宙から帰還し、焦土と化した故郷の仇を取るべくモングルと交戦していました。モングルの黄色い肌に苦戦しつつも(※グリーンランタンのパワーは、なんであれ、黄色の物体には無効)、コーストシティの人々の怨嗟の声に突き動かされるジョーダンは、傍らに落ちていたスティールのハンマーでモングルを打ち倒します。

 その頃、エラディケイターと共にエンジンシティ中心部にたどり着いたスーパーマンは、サイボーグ/ヘンショウと対峙します。不敵に笑うサイボーグは、エンジンシティの駆動源が巨大なクリプトナイトの結晶であることを明かし、スーパーマンに向けクリプトナイトの粉塵を浴びせかけます。
 が、いち早くエラディケイターが楯となり、クリプトナイトの放射線を吸収。自身のエネルギーを触媒にしてクリプトナイトの放射線の極性を変換し、逆にスーパーマンにエネルギーを充填させます。結果、超能力が復活したスーパーマンは、弾丸よりも速いその一撃で、サイボーグの胸のエンブレムを貫き、超高速振動でサイボーグのボディを原子から破壊します。

 かくて、ただひとりのスーパーマンが残りました。

 めでたし、めでたし。


追記:事件後の各人各様

・クラーク・ケント:ドゥームズディ事件後、スーパーマンの表の顔であるクラーク・ケントは行方不明として処理される。だが後にスーパーマンは、ドゥームズディに破壊された市街地の片づけの最中、瓦礫に埋もれていた非常用シェルターの中にいるケントをX-レイ・ビジョンで発見し救助する。人々が見守る中、救出されたケントと親友スーパーマンは、固い握手を交わすのだった……以上、スーパーマンとスーパーガールの(救助されたケントはスーパーガールが変身したもの)自作自演でした。
 ちなみに「死んじゃってた」間にアパートの大家はクラークの荷物を引き払って部屋をスーパーボーイに貸すわ、プラネット新聞社は彼の後継者を雇い入れるわで。
 その後、ペリー編集長を拝み倒してプラネットに復帰するわ、住みかがないのでジミー・オルセンの家に居候するわ、エンジンシティで浴びたクリプトナイトの影響で超能力が大暴走するわで、日常を取り戻すのに少しばかり苦労することとなるのでした。

・スーパーボーイ:程なく、自身がスーパーマンのクローンではなく、カドモス・プロジェクトのディレクター、ウェストフィールドの遺伝子から作られたクローンであることを知る。彼の超能力も、スーパーマンの超能力とは異なる接触念動力(タクタイル・テレキネシス)であった。その後ハワイに定住。1年後、スーパーマンの正式な従弟となり、コン・エルの名を貰う。
(2009年註:更にその後、実はウェストフィールドがレックスに騙されていたことが判明。スーパーボーイの正体は、スーパーマンとルーサーの遺伝子のハイブリッドであった)

・スティール:その後ワシントンにてヒーロー活動を開始。その才気を買われ、新生JLAメンバーに。後にメトロポリスに帰還。

・エラディケイター:クリプトナイトにより重傷を負うもかろうじて回復。ガンで死にかけていたスター・ラボの研究員デビッド・コナーの人格と合一する。その後ヴィジランテチーム、アウトサイダーズに参加。やがてエラディケイターの原プログラムと、コナーの人格、それに個としてのエラディケイターの人格がせめぎ合い、人格崩壊を起こすも、個としてのエラディケイターが他の人格を統合し、また原プログラムを切り離すことで、アイデンティティを取り戻す。
(2009年註:最近姿を見ないな、と思ったら、なんや『インフィニット・クライシス』の前あたりに、オマックに襲われて意識不明の重体になった模様。クリプトン人絡みの設定が大幅に変わってる現在、旧設定に依存した出自の彼が復活する余地はあるのか……?)

・ジャスティスリーグ・アメリカ:彼の死んでいる間に、ワンダーウーマンがリーグに招聘され、リーダーに就任。スーパーマンは復帰後、再びリーグに誘われるものの復帰せず。
 ガイ、マキシマ、マーシャン・マンハンターらも程なく抜けてゆき、かわりにオブシディアン、アトムスマッシャー、ブルーデビルといった2線級のキャラが続々加入(解散したジャスティスリーグ・インターナショナルからフラッシュが編入されたのがせめてもの救いか)。おかげでリーグ一層弱体化。
 その後、国連からも支援を打ち切られ、解散同然に。あげく、スーパーマン、バットマンらによって新生ジャスティスリーグ・オブ・アメリカが結成。気付けばワンダーウーマン、フラッシュまでも新生JLAに鞍替え。おまけに異星人に衛星軌道上の基地を破壊され、引導を渡される。合掌。

・レックス・ルーサー:スーパーマンが復活してからしばらくの後、ルーサー2世のクローンボディが突如老化&ロイス・レーンに正体を見抜かれるといったダブルパンチを喰らい、ヤケを起こしてメトロポリスを道連れに自爆を試みるも、スーパーマンらによって阻止され、植物人間状態で警察に拘留。
 が、その後のアンダーワールド・アンリーシュド事件にて、妖魔ネロンと取引をしたルーサーは、若々しく健康な肉体に復帰。その後に行われた裁判では、「クローンボディの一件は、(クローンボディの製作者である)ドノヴァンに脅迫されて従っていただけで、私に罪はない」とヌケヌケといい放ち、更にファイナル・ナイト事件で人類救済に貢献したことで心証を良くし、無罪放免される。

・モングル:メタヒューマン専用の刑務所に収容されていたが、脱走。フラッシュやグリーンランタンらと交戦する。が、程なく欺瞞の皇子ネロンに首の骨を折られ、死亡。
(2009年註:現在シネストロ・コァに所属してるのは、彼の息子の2代目モングル)

・サイボーグ:ドゥームズディの死体を留めるハーネス内にバックアップを保存しており、ドゥームズディと共に、惑星アポコリプスにて復活。アポコリプスの帝王ダークサイド+スーパーマンと交戦。しかしダークサイドのオメガ・エフェクトによって原子レベルまで分解され、彼の虜囚となる。

・ドゥームズディ:宇宙の彼方にて復活し、暗黒惑星アポコリプスを蹂躙。彼の復活を知ったスーパーマンと時空監視人ウェーブライダーにより時の果てに封印される(しかし何者かが時空間に干渉し……)。
(2009年註:その後、幾度も復活したり、ダークサイドによって量産されたりと、スッカリ安っぽい怪物に成り下がりました)

グリーンランタン:自身のパワーリングの力を用い、コーストシティの復活を試みる。が、彼のあるじであるガーディアンズ・オブ・ジ・ユニバースにリングの力を私利に用いたとされ、叱責を受ける。
 逆上したジョーダンは惑星オアのセントラル・パワーバッテリーのエネルギーの吸収を試み、その過程でグリーンランタン・コァを壊滅させる。ガーディアンはグリーンランタン・コァ最大の造反者、シネストロを蘇生させてまで制止にかかるが、ジョーダンはシネストロを殺害。
 ジョーダンはセントラル・バッテリーの全エネルギーを吸収し、エネルギーを断たれたガーディアンズはただひとりを残して全滅する。神域の力を手に入れたジョーダンは全てを有るべき姿にすべく、時空の地平に消える。
(2009年註:すべてはパララックスのせいでした<ナゲヤリ)
  
  
今検索したら、『デス・オブ・スーパーマン』と『リターン・オブ・スーパーマン』ってば、1冊のハードカバーで出てた。……投げ売りされてるソフトカバーを買った方が安い気もするけど、宣伝素材とかの資料集40ページは見たいかも。
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●DCユニバース講座:デッドショットさんの歴史・その3

2008.10.19 Sun

▼前口上:

 うぃす。

 っつーワケで、誰もが忘れた頃に続き~(<悪びれろ、お前は)。


・これまでのアラスジ

 1950年に華々しく登場したデッドショットさんはそのわずか1回の登場だけで消え去った

 1970年代に新コスチュームをまとって華麗に再登場したデッドショットはしかし再登場した回だけで忘れ去られた

 かろうじて数年後に復活できたデッドショットは1980年代前半を「バットマン」各誌のマイナーな悪役として細々と糊口をしのぐのだった


 以上。


 しかしま、前回も言いましたように、ノリの良い編集者と偏執狂的な作家がいて、しかも「時代の追い風」みてぇなモンもあれば、どんなドマイナーなキャラクターでも、平然と復活できるのがDCユニバースの適当かつ豪気な所でして。

 我らがデッドショットさんも、まぁなんといいますか、変な「時代の流れ」に押し流されるように復活と発展を遂げたりするのでした。


 っつーわけで今回は

▼ポスト・クライシス期のデッドショットさんのハナシ(導入編)

 で、ひとくさり行こうか、という(タイトルの最後に何かカッコ括りで文字が入ってるのは気にしないでください)。


 さて、1980年台後半のDCコミックス社ってのは、創業50周年企画の『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』(1985~1986年)を起点に、色々と大きな時代のウネリが訪れてたりするのですが、その辺、説明が長くなるのでスッ飛ばしまして……(※)

 ま、1987年のことですわ。

(※)この辺をきちんと説明しようと思ったらサワリだけで膨大なテキストになったのでやめた。<っつーか、なかなか講座の更新ができなかった理由の9割はこの膨大なテキストを書こうとしたことに原因がありますが


 この年、DCコミックス社から、とあるオンゴーイングシリーズが創刊されました。



 そう、キース・ギフェン&J.M.デマティス、それに編集者アンディー・ヘルファーによる傑作シリーズ、『ジャスティスリーグ』が!



 ……もとい、新進気鋭のライター、ジョン・オストランダーによる傑作シリーズ、『スーサイド・スカッド』が!

 ちなみにこのジョン・オストランダーさん、元々はカソリックの牧師となるべく神学を勉強してた人という異色の経歴の持ち主でして。
 しかも、その後シカゴを拠点に役者兼劇作家として活動して、更に後、34歳でコミック作家としてデビューしたという、まぁ、実に風変わりな人物ですわ(自称・業界最年長のルーキー<Comics' Oldest Rookie>)。

 でー、当初オストランダーはインディーズのファースト・コミックス社で活躍してましたが、ファーストの編集者だったマイク・ゴールドがDCコミックス社に移籍したことで、まぁ、DCでも仕事をするようになりまして。
 んでもってDCの編集者ロバート・グリーンバーガーと組んで送り出したのが、この『スーサイド・スカッド』なのですね。

 このシリーズってのは、まぁ、下記のような背景のお話です。

 メタヒューマンによる大規模な犯罪活動およびメタヒューマンを利用したテロの増加を危惧する元代議士秘書アマンダ・ウォーラーは、大統領と直々に掛け合い、カウンター・テロ組織タスクフォースXと、その実働部隊スーサイド・スカッドを誕生させる。
 このスーサイド・スカッドこそは、逮捕されたメタヒューマン犯罪者(+色々と問題を抱えたクライム・ファイターら)を、刑期の短縮(あるいは、抱え込んだ問題の解決)と引き替えにメンバーに迎え、使い捨て同然に危険な任務に送り込む、文字通りの“自殺部隊”であった……!


 とかなんとか。

 本編の方は、アマンダ・ウォーラーを主役(妙齢で恰幅の良い黒人女性@未亡人という、少年マンガの主役としては多分、空前にして絶後の属性持ち)に、問題児揃いなスーサイド・スカッドの面々と、彼らを援助するタスクフォースXのスタッフらの繰り広げる群衆劇になっております。

 で、このスーサイド・スタッフの創設メンバーとして、我らがデッドショットさんは抜擢されたのでありました。

 めでたいですね。


 ちなみに、デッドショットさんのようなマイナーなキャラクターが、DCがそれなりに期待を込めて刊行した(※)新シリーズのレギュラーメンバーに抜擢された理由は、これが単に「デッドショットさんがマイナーなキャラクターだったから」というオウム返しのようなソレになります。

 ていうか、スーサイド・スカッドの初期メンバー

・リック・フラッグ・ジュニア
・ブロンズタイガー
・キャプテン・ブーメラン
・デッドショット
・エンチャントレス
・ネメシス
・ナイトシェード

 と言った面々は、全員が全員、マイナーなキャラクターだったり忘れ去られたキャラクター(あと、「死んだと思ってたけど生きてたキャラクター」)だったのですが。

 ま、かろうじてフラッシュの主要なヴィランなキャプテン・ブーメランが、メジャーっぽい格ですが、この人ぁ『フラッシュ』本誌が1985年に打ち切られたために割合ヒマでしたし。

(※)オストランダーは1986年のDCコミックス社のメガ・クロスオーバー(「ウチの社が出してる全タイトルとクロスオーバーするぜ!」的なスゲぇクロスオーバーのこと)、『レジェンズ』のプロットを担当。
 で、この作中でスーサイド・スカッドは初登場を飾り、更に『レジェンズ』とタイインした『シークレット・オリジンズ』誌上で「スーサイド・スカッドの歴史」的な基本設定の解説が行われた。
 っつーわけで、幾重ものプロモーションを経て、オンゴーイングシリーズが創刊されたわけで、まぁ、期待は込められていたと思うよ。
 ちなみに、『スーサイド・スカッド』オンゴーイングシリーズの企画自体は『レジェンズ』にオストランダーが起用される以前から進められていた模様。



 そもそも、この1987年という時期は、DCコミックス社が1985~1986年にかけて行った、創業50周年記念イベント『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』を通じて、従来のいわゆるDCユニバースの設定が一旦リセットされた直後でして。

 ま、簡単に言えば、今までDCが50年かけて形作ってきた世界観設定が、初心者の読者に対して複雑で解りづらくなってきたので、「この機会に今までの設定の大部分を見直して&リセットしてスッキリさせなさい」って業務命令が下ったですよ。

 だもんで各コミックスの編集部は、担当しているコミックの登場キャラクター(主役は勿論、サブキャラクターや悪役も含む!)や各種設定(他の編集部の受け持ってる雑誌にゲスト出演した時に生み出された設定も含むよ、勿論)を洗い出して、「リセットすべき設定」「リセットしない設定」に分別、更には「この設定は消しちゃいけない大事なモンだけど、現代の目で見るとちょっと古いなぁ」とかいう設定を作り直したり、「この設定を現代的に解釈すると、こういう背景が存在したとは言えまいか?」的に全くの新設定なぞもを作ったりもしてきまして……

 ま、50年かけて満杯になった土蔵を虫干しして、1個1個丹念にツヅラの中身を確認して大掃除するようなモンですよ。無論、大掃除のかたわら、毎月出すコミックを編集しなきゃならんのですから、その苦労は並大抵のモンじゃなかったでしょう。特に、スーパーマン&バットマンのようなDCの最古参のキャラは。

 ――ちなみに、『クライシス』を起点に、大きくDCユニバースの設定が変わったのを受けて、「プレ・クライシス(クライシス以前)」「ポスト・クライシス(クライシス以後)」という区分でDCの作品世界について語るのが、以降の通例となりました<はい、今回のタイトルの説明オワリ。


 でー、例えばあなたが、『スーサイド・スカッド』の担当編集者のグリーンバーガーだとしますよ。で、クソ忙しそうなバットマン編集部の偉い人デニス・オニールに、
「ウチで新しく、悪人たちを主要メンバーにしたチームもののコミックを立ち上げるんだけど、ついては、ジョーカー貸してよ!」
 とかいうことをサラリと言えるかというと……言えませんね、普通。

 貸す方も借りる方も、まぁその辺空気を読んで、設定改変の核になってるような大メジャーなキャラクターの貸し借りはしませんね、社会人として。

 結果的に、この時期(既存のキャラクターで構成される)チームもののコミックを立ち上げようとすると、デッドショットさんのようなマイナーなキャラクター、言ってしまえばバットマン世界において割とどうでも良い位置づけなキャラクターを貸し出すワケですね。

 ちなみに、この「時期が時期なのでメジャーキャラをヨソに貸してくれない」現象で偉い苦労をしたのが、『スーサイド・スカッド』と同期生のギフェン&デマティス+ヘルファーの『ジャスティスリーグ』。

 そらもう、ジャスティスリーグといえば、「DCの看板キャラクターが集う凄ぇチーム」であることがアイデンティティなのに、時期が時期だけにどこの編集部も看板キャラクターを貸してくれないという、袋小路に担当編集者のアンディ・ヘルファーは陥ったのでした。

 てなわけで、『ジャスティスリーグ』の最初期のメンバーは、

・『クライシス』以降に登場した新キャラクター:ブルービートル、ブースターゴールド、ドクター・ライト
・古参キャラだけど色々な事情でどの編集部にも手をつけられてないキャラ:マーシャン・マンハンター、ミスター・ミラクル
・「新展開が準備中? じゃウチの本でちょっと露出させて宣伝しない?」的にスキマを縫って短期間借りてきたキャラ:ブラックキャナリー、ドクター・フェイト、キャプテン・マーヴェル
・「とりあえず顔だけ出してくれればいいから! オイシイ役回り用意するし!!」的に土下座して連れてきたメジャー級:バットマン
・ライターのスティーブ・エングルハートが「こんな馬鹿げたキャラ使いたくねぇよ!」と放り捨てたのを「要らないならくれよ! ウチで使うからさ!!」的に拾ってきたキャラ(本当):ガイ・ガードナー

 ……と、いった具合に、いずれもヘルファーが苦労して「かき集めた」陣容でした。

 閑話休題。


 そんなわけで、メジャーなキャラがヨソに露出しにくいという時流にあって、マイナーなキャラ故に出番をもらったデッドショットさんは、これまでの不遇な立場から、(無数の登場人物が登場するチームものとはいえ)いきなり主役格のキャラクターに昇格したのでありました。

 でー、まあ、『スーサイド・スカッド』誌上におけるデッドショットさんの活躍について語ってこうと思ったのですが、いい加減長くなったので、今日はここまで。

 続きは、「デッドショットさんの歴史・その4 続ポスト・クライシス期のデッドショットさんのハナシ。」、あるいは「いかにしてデッドショットさんは悩めるキャラとなり、セカイの中に自身の位置を得たのか」の巻で。

 っつーか今回全くデッドショットさんの話はしてませんね。すみません。
  
  



タグ:アメコミ講座 編集者

●DCユニバース講座:デッドショットさんの歴史・その2

2008.08.27 Wed

 っつーワケで、第2回。

・前回のアラスジ:

 1950年に華々しく登場したデッドショットさんは、そのわずか1回の登場だけで、消え去りました。

 めでたしめでたし。


 ……ま、捨てる神あれば拾う神ありと言いますが。酔狂な編集者とマニアックな作家がいれば、何十年前に1コマ出たっきりのキャラクターだろうが、いきなり大物ヴィランに抜擢されたりもするのがDCユニバースの恐ろしい所でして。

 我らがデッドショットさんも、ゴールデンエイジから数十年が過ぎようとしていた1970年代に、突然の復活を果たすことになります。

 ……ま、復活できたからといって、即・活躍できるワケでないのもDCユニバースの常ですが。


 てなワケで今回は、

▼ブロンズ・エイジ デッドショットさんのハナシ:

 で、ご機嫌をうかがおうかと言う次第で。


 ──さて、時代は降りまして1976年。

 この当時マーヴル・コミックス社にて、『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ』などの看板作品を手がけ、名を馳せていた気鋭のライター、スティーブ・エングルハート<Steve Englehart>は、色々あって、マーヴルの競合相手であるDCコミックス社に移籍します。

 色々っつーか、要はDCから引き抜かれたマーヴルの新・総編集長ゲリー・コンウェイ<Gerry Conway>とモメしたからですが。

 ……ちなみに、コンウェイ自身も色々あって、この直後マーヴルの総編集長職を辞してDCに戻ってたりしますが(<本当にワケ解らねぇよ、この人)。

 こう、個人的に、コンウェイのわずか半月だけの総編集長在任期間における最も重要な仕事(※ただし「マーヴル的に」でなく「コミック史的に」)ってのは、この「エングルハートをDCに移籍させた」ことだと思うのですが、デッドショットさんと関係ない話を続けるのもアレなのでこの辺で本筋に戻りますが。

 ……ヒマな人はこのブログの右側の柱にある「ブログ内検索」で、「ゲリー・コンウェイ」で検索かけると、多少、追加情報が読めますが。

 で、エングルハートは当初、DCの名編集者ジュリアス・シュワルツの下で、同社の看板タイトル『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』のライティングを担当していましたが、1977年より、やはりシュワルツが編集していた『デテクティブ・コミックス』誌のライターも担当することになります。順風満帆ですね。

 かくて、『デテクティブ・コミックス』第469号(カバーデート・1977/5)より開始された、エングルハートの最初のストーリーラインは、ブルース・ウェインの新たな恋人シルバー・セントクラウド<Silver St. Cloud>や、謎の悪人ドクター・ポスポラス<Doctor Phosphorous>、バットマンの正体を狙う悪徳政治家(後にゴッサム市長になるヨ!)ルパート・スローン<Rupert Thorne>といった新キャラクターを登場させる一方、とある古参のバットマン・ヴィランを復活させることとします。

 そのヴィランとは、そう! 皆様おなじみ! ゴールデン・エイジ以来、コミック忘却界に墜ちていたあの人、1940年の『デテクティブ・コミックス』第46号以来、30年間忘れ去られていた……



プロフェッサー・ヒューゴー・ストレンジでした!

 ……はいはい(読んでる人に代わって投げやりにツッコミ)

 ……勿体ぶるのもアレなんで、とっととデッドショットさんの話にしましょうか。

 このエングルハートによるストーリーラインの6話目となる『デテクティブ・コミックス』第474号の、その名も「the Deadshot Ricochet」なる話にてデッドショットことフロイド・ロートンは、四半世紀ぶりに復活を遂げます。

 この話でのロートンさんは、この前号(第473号)で牢屋に送られたペンギンの隣の房の囚人として登場(もしかして、1950年以来投獄されっぱなし?)。ペンギンの脱獄用の秘密道具を奪い、シャバに帰還したロートンさんは、再びデッドショットを名乗りバットマンへの復讐を目論むのでした……。

 もっとも、エングルハートによるこの一連のストーリーラインでは、デッドショットさんの出番はこの号だけで(※皆さんの予想通り、ロートンさんはこの号でバットマンに負け、再び刑務所に戻されます)、ストーリーの本筋には全く絡まないのですが。

 しかし、この号でロートンさんに重大な変化が訪れます。そう、この号において彼は、従来の(つっても1回しか着てませんが)地味なコスチュームに代わり、新たなコスチューム――デッドショット・ファンにはおなじみの紅白のコスチューム──を獲得したのでした。


個人的な趣味でスコット・マクダニエル筆のデッドショットを貼る
しかし「燕尾服&ドミノマスク」から、こんな派手なコスチュームになるたぁ、ロートンさんにイカなる心境の変化があったんでしょうか


 ちなみに、この号のアーティストは、当時気鋭のマーシャル・ロジャース<Marshall Rogers>(先ごろ亡くなられました。一礼)。いわば、この人が新生デッドショットさんの外観の生みの親になりますな。


 さて、名ライター、スティーブ・エングルハートによって、現代的な姿で再生したデッドショットさんは、その後エングルハートの筆により、その銃の腕前でバットマンを苦しめる新ライバルキャラクターとして再生……するかと思いきや、やはりコミック忘却界に戻されるのでした。

 その、実はこのストーリーラインが一区切りついた『デテクティブ・コミックス』第476号をもって、エングルハートは同誌のライターを降りちまったのですよ。これが。

 つかブッチャケ、エングルハート先生、「これから私は、華麗に小説家に転身する!」とかなんとか言い出して、コミック業界自体からオサラバしちまったんですが……。

 でー、エングルハート先生の後任には、当時マーヴルで『オールニュー・オールディファレント・X-メン』を手がけて名を馳せたレン・ウェイン<Len Wein>(※やっぱりマーヴルの上層部とモメてDCコミックスに移籍してきた<この頃の作家はこんなばっかしですね)が就任します。

 が、まぁ、皆さんもご存じの通り、新任ライターなんてのは「自分の色」を打ち出そうとするモンで、前任者が再生させたマイナーなキャラクターなぞは自作に登場させたりしないのですね。ええ。

 だもんで、再起のチャンスを掴んだかに見えたデッドショットさんですが、この1回きりの登場の後は、ライター交代のゴタゴタのアオリを受け、再び誌上から消えうせたのでした。不幸。

※一方で、レン・ウェインは3代目クレイフェイスやルシアス・フォックスといった新キャラクターを創造して、バットマン世界を拡張してったのですが。

 まあ幸い、今度の「お休み」期間はさほど長くはなく、それから5年後の1982年に出た『バットマン』第351号(カバーデート・1982/9)から始まる一連のストーリーラインでデッドショットさんは再登場します(※第351号ではカメオ程度の出演ね)。ちなみにこの号のライターはエングルハートと因縁深いゲリー・コンウェイ。

 ついでに言えば、このデッドショットさんの復活に呼応するかのように(してません)、翌1983年に、スティーブ・エングルハートもコミック界に復帰してます(ただしDCでなくマーヴルで)。


 で、この後のデッドショットさんですが、この1982年の再登場で、ルパート・スローンに雇われて、バットマンを狙う暗殺者として暗躍(……したはず。今原本が手元にないからうろ覚えだけど)した後、1984年にも再登場し、アルフレッドの娘(この当時は設定上存在してたねん)を狙うなど、とりあえず、コンウェイ期の『バットマン』&『デテクティブ・コミックス』誌上で、「忘れた頃に再登場してバットマンの手を焼かす腕利き暗殺者」的なキャラクターとして、何とかバットマン世界に位置を得ます。

 と言っても、この時期のデッドショットさんは、キャラクターとして特に掘り下げられることもなく、「無口な銃の名手な暗殺者」という役割だけを買われて、「バットマン」各誌に登場できてる、まぁ、キャラクターの格としては「名前が付いてるだけマシ」な待遇でしたが。


 ──やがて、1985~86年の一大イベント『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』により、DCコミックスの作品世界は新生の時を迎えます。

 会社を挙げての世界観全体の見直しと建て直し、無数の設定の整理が行われていくその渦中で、逆に、これまで個性らしい個性が与えられていなかったデッドショットというキャラクターは、それ故に新たな世界で自分の居場所を見つけてしまうこととなってしまうのですが、その辺はまた次回、っつーことで。


 ツヅク。


▼この時期のデッドショットさんを読むには:

 まず、新生デッドショットさんの初登場回である『デテクティブ・コミックス』第474号ですが。

 実はこのスティーブ・エングルハート期の『デテクティブ・コミックス』は、コミック・ファンから「バットマン」のオールタイム・ベストの1つに数え上げられるほどの評判をとってまして。

 特に、471号からレギュラー・アーティストに就任した、マーシャル・ロジャース<Marshall Rogers>:ペンシル、テリー・オースティン<Terry Austin>:インクの号が高い評価を受けているとか(<すいません、俺個人はエングルハート期の『バットマン』は、キチンと通して読んでないので、この辺は受け売りです。つか、今回のエントリを書いたのを期に後述の単行本を読むことにしました<泥縄だ)。

 その為、エングルハート作になる、この8話分は幾度かリプリントされています(代表的なトコでは1986年・刊の全5話のミニシリーズ『シャドウ・オブ・ザ・バットマン<Shadow of the Batman>』とか。<これは現在ではあんまり出回ってなかったり、余分なプレミアが付いてたりするので、オススメしませんが)。

 現在も買えるものですと、単行本『バットマン:ストレンジ・アパリションズ<Batman: Strange Apparitions>』ですが。

 ……今Amazonで検索したら、なんか微妙に高いですな。

 安く買いたいなら、「ギルド(※神戸のお店な)で注文してみる(※在庫があるかどうかは未確認)」「紀伊國屋書店Book Webで新品/中古TPBを探す」「海外のコミックショップで、他に欲しい本と一緒に買う」あたりをお勧めしますが。

 なお、新生デッドショットさんの初登場号である『デテクティブ・コミックス』第474号は、日本語訳もされてたりします。

 1989年のティム・バートン版『バットマン』の劇場映画の公開時に近代映画社から発行された『BATMANオリジナル・コミック日本語版』ってハードカヴァーがあるのですが。この本に新生デッドショットさんが初登場した「the Deadshot Ricochet」が収録されてるんですわ。上記の単行本が入手できない人はこちらを抑えるのもアリかと。

※ただし、第474号「しか」収録されてないので、これを読んでもロクに話が掴めないんですが。

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343ページもあるのに1800円強、しかもまだ新品が買える(どんだけ刷ったんだか……)のがイカス

 この本、オリジナルは「バットマン」の各年代ごとの傑作を集めた『バットマン:ザ・グレーテスト・ストーリーズ・エバートールド<Batman: the Greatest Stories Ever Told>』でして、まぁ、とりあえず、デッドショットさん目当てでなくとも、バットマンのファンなら一家に一冊常備しといて損のない本じゃないでしょうか。

 こう、自分の中のバットマンに関する知識が増える毎(まぁ、2、3年に1度)に読むと、新しい発見があって面白いすよ、本当。


 その他、この時期におけるデッドショットさんが登場してるコミックは、以下の8冊。

・Batman #351 [1982/9]
・Detective Comics #518 [1982/9]
・Detective Comics #520 [1982/11]
・Batman #354 [1982/12]
・Batman #369 [1984/3]
・Detective Comics #536 [1984/3]
・Crisis on Infinite Earths #10 [1986/1]
・Batman #400 [1986/10]

 これらは、『クライシス』第10号を除いてリプリントされてませんし、多分、今後もリプリントされる機会もないでしょうから(多分)、現状は実本を古本屋なりコミックショップなどで購入するしか、読む手段はないかと。

 ……1冊10ドル前後しますけどね(中でも『バットマン』第400号は記念号な上に、豪華なゲスト作家陣が参加してるので一際高いぜ! っつーか、俺もまだ買って無ぇ!<いばるな)。

 ……ちなみに、『クライシス』でのデッドショットさんの出番は、第10号の9ページ目で、クリーパーに首を絞められているカットのみ。
  
  

タグ:アメコミ講座

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