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●最近の復讐の精霊っぽいソレ。

2007.10.30 Tue

 さっき、トイショップを色々検索してて見つけた、どうでも良いネタ。

 サイドショウ・コレクティブルやネカ、メズコといった、コアなファンを持つトイメーカーの日本国内輸入代理店であるところの、「MSディストリビューション」社のホームページの、新製品「ゴーストライダー レジェンダリー スケール バスト」の紹介ページのテキストが、なんつーか、非常に間違っててね。

ここのページ。

1972年に発行された「マーベル・スポットライト」5号にて、ゴーストライダーがデビューした時の姿を立体化しました。
現在と殆どデザインが変わっていないところは、この初期デザインの完成度の高さを物語ります。
ジョニー・ブレイズ版ゴーストライダーの究極版バストと言っても過言ではありません!

(※斜線部リンク先より引用)

 なんていう、自信満々に商品をオススメしてる感じのテキストにね、“もしかして、商品紹介のテキストと、製品写真が合ってない?”とか不安になって、思わず本家サイドショウのホームページを検索して、同じ商品の紹介ページを確認しちまいましたよ。

ここのページ。

 無論、商品写真はあってて、日本語版のテキストが大間違いなだけでしたが。
 誰だ、日本語版の商品紹介テキストを書いた奴ぁ。
  
  
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タグ:アメリカン・トイ

●どうにもない日常。

2007.10.30 Tue

▼どうでもいい感慨:

 こう、今更カートゥーン版『ティーン・タイタンズ』を見る機会があったんですが。
 とりあえず、原作にゃそれなりに目を通してる俺的に、一番驚いた点は、ブラックファイアさんが萌えキャラになってる上にスターファイアと(表面上は)仲良し姉妹だった、っつー点ですか。

 原作者のマーヴ・ウルフマンから「ブラックファイア? 彼女はスターファイアの真逆のキャラクター、一言でいえば“スーパービッチ”だ」とかいわれてるくらいのアレな人じゃないですか。それがアニメ版ではえらく丸くなったなぁ、と。

 コミック版のブラックファイア様(本名:コマンダー)っつーと、タマラン星の王家の第1子として生まれながら、幼い頃に大病を患ったせいで空が飛べなくなり(タマラン星人は太陽エネルギーを吸収して空が飛べるんです)、全国民から「あんな身体が不自由な子は女王になるに相応しくない」とか、白い目で見られたあげくに性格がゆがみ、妹を鉄拳制裁したり、妹のペットをくびり殺してウサを晴らすような人じゃないですか。


▲(左端)コミック初登場時(回想シーンだけど)のブラックファイア様。精悍な眉毛と不遜な態度が将来を感じさせます。(中央)幼いスターファイアのペットをブチ殺すブラックファイア様。(右端)元気に空を飛ぶスターファイアにニヒルな視線を送るブラックファイア様


▲「俺様が飛べないと笑いやがった」生意気な妹を、両手が血で染まるまで制裁を加えるブラックファイア様。

 でー、10代になるかならないかの頃に、妹を暗殺未遂。それが失敗するや、タマラン人の仇敵シタデル人の元へ逐電、タマラン星の防衛情報を洗いざらいブチまけて、シタデルにタマランを占領させちまうし。あげく、タマラン-シタデルの休戦協定の条項に「スターファイアをタマランから追放して奴隷にすること」ってな条項を盛り込んで、妹を自分の奴隷にしたりするし。


▲10代前半の多感な時代を姉の奴隷として生活するスターファイアさん。「奴隷として1年間重労働→ブラックファイアの元に戻され、しばらく慰み物になる→また1年間奴隷として売り飛ばされる」の繰り返しを6年間。……この後、奴隷船から逃げ出して地球に逃亡、ティーン・タイタンズに加入、っつー感じのハードな10代を過ごしますが。スターファイアさんは。<むしろ、タイタンズ加入後の方がハードですかそうですか。

 あげく、シタデルの指導者を暗殺、シタデルとタマラン双方の支配者になろうとするも、色々あってシタデルからは追放、けど、両親を後見人とすることでタマラン星の女王になることに成功したり。
 けど、悪に転じたレイヴンの差し金で、タマラン星は爆発。ブラックファイアは生き残ったタマラン星人を率いていずこかの星に移住したり。
 さらに、ニュー・タマラン星は「ファイナル・ナイト」事件でサンイーターに襲われて壊滅、ブラックファイアは生死不明になったり(かろうじて生き残ったタマラン人は紆余曲折あってスターファイアを新女王に迎えたり)。
 かと、思いきや、「ラーン・サナガー・ウォー」で残存タマラン人と共に9年ブリに再登場してホークウーマンをブチ殺したり、ホークマンとドツきあいをしたり。

 ……すいません、箇条書きにして書いてるだけでお腹一杯になってきたんで、この辺で。


 ちなみにブラックファイア&スターファイア姉妹の下にはもう1人、ライアンダーっていう弟がいるんですが。たしか最近、コミック版『ティーン・タイタンズ・ゴー!』にゲスト出演してた。


▲『ティーン・タイタンズ・ゴー!』版ライアンダーさん。ネットから適当に拾ってきました。コミック版のほうのデザインもまぁ、大体同じ。

 この人、コミック版では甘やかされの末っ子かと思いきや、「ファイナル・ナイト」事件後にニュー・タマランの生き残りを率いて他のベガ星域の可住惑星を侵略、戦況不利と見るや、タイタンズを騙して侵略戦争に加担させようとする、良く考えたら姉貴並に悪辣かもしれない人でして(でも、タイタンズの尽力で事態が収集した後、「お前は指導者に向いてない」とか言われて、スターファイアに指導者の座を取られちゃうのが末っ子の悲しさ)。

 が、こないだまでやってた『オメガメン』ミニシリーズをまとめて読んだら、この“貧弱な坊や”ライアンダーが、神にも等しい力を手に入れて(詳細忘れたけど重力か電磁力か強い力か弱い力のどれか1つを司るパワーを得てたような)、その名も「ダークファイア」とか改名してて、そのあまりの変貌っぷりにアゴを外しました。


▲現在のライアンダーさん。人が変わった、というより、人じゃなくなりました。


 結論としては、タマラン星人の王家にだけは、生まれるもんじゃないですな(なんだそりゃ)、とかいいつつ、トリトメもなく、オワル。
  
  

  
  
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タグ:タイタンズ

●今日読んだエリプレ:

2007.10.23 Tue

Superman/Batman vs. Aliens/PredatorSuperman/Batman Vs Aliens/Predator
(2007/06/22)
Mark Schultz、Ariel Olivetti 他

商品詳細を見る


▼スーパーマン&バットマンvs.エイリアン/プレデター

 なんつーか、トンカツとステーキとハンバーグと生姜焼きが1つの皿に盛りつけられたような、ヤケクソなカロリーを誇るクロスオーバー。

 ストーリーは、メトロポリス、ゴッサム双方に現れたプレデターを追って、アンデス山脈にたどり着いたスーパーマン&バットマンは、今までとは異質なプレデターたちと遭遇する……。あ、あとついでに、エイリアンも出るよ、な感じ。

 ぶっちゃけちまうと、この本は、ビッグネーム4者が一堂に会する、っつー顔合わせそれ自体と、エリアル・オリベッティ<Ariel Olivetti>のペイントアートを楽しむべき作品ですわ。こう、ストーリーの巧みな構成とか、意外な展開とかいうものを求めて読んじゃダメな本ですね。

 そもそも、スーパーマン&バットマンの世界観と、エイリアン/プレデターの世界観との噛み合わせが悪い。異様に悪い。
 つか、この4者の組み合わせだと、キャラとしての「格」的に、どうあがいても
 スーパーマン&バットマン>越えられない壁>プレデター=エイリアン
 なんで、クロスオーバーと言っても、物語は完全にスーパーマン&バットマンに視点が据えられて、彼らの活躍にのみページが割かれるっつー、エリプレ完全にアウェー状態(ブッチャケ、この話に登場するゲスト宇宙人は、別にエイリアン&プレデターでなくとも成立する程に、彼らの存在が薄い)。

 こう、「vs.プレデター」、「vs.エイリアン」ものの醍醐味、ってのは、「姿を見せず、しかも強力な武装で迫り来るプレデター」や、「単体でも戦闘力が高いエイリアンが、群れをなして襲ってくる」といった、「どうにもならない強さ」を持った奴らに対し、人類側が、1人また1人と犠牲者を出しながら、懸命に打開策を模索する、っつーサバイバルな部分にあると、思うわけですよ。
 でもね、スーパーマン&バットマンというキャラクターは(+脇役のロイス・レーンも)、キャラクターの格的に「どんな状況に放り込まれても、絶対に死なない」ことは、読者のコッチは重々承知なんで、てんでサバイバルの緊張感が盛り上がらねぇのが、なんとも。
 こう、「ハリウッド映画のお子様の登場人物は絶対死なない」と解った上で、子供がメインのパニック物を見せられてるような、釈然としない安定感、っつーか。
 っつーか、エリプレものって、「卑怯者が、自分だけ生き延びようとした行動が、裏目に」とか、「黒人その他のマイノリティの雄々しい散り様」とか、「ムシャムシャとドーナツ喰ってるデブがウッカリ死亡」とかの「各個人の死に様」も、醍醐味に含まれてると思うわけですが。そういうサブキャラがロクに登場してねぇのも、どうかと。

 まぁ、その辺の「格」によるハンデはね、スーパーマン&バットマンのペアを、ライターが工夫して弱体化させることで、なんとか面白味を生み出せるんですが(前のエントリで紹介した『エイリアンズvs.スーパーマン』とかみたいに)、本作では、ライターがテンデ工夫してない、というのが致命的ですね。
 っつーか、この2人、死なないどころか、むしろエイリアン&プレデターを圧倒するですよ。バットマンは格闘・狩猟技術においてプレデターを余裕で凌駕するし、スーパーマンはエイリアンがいくら噛みつこうが酸の血液を浴びせようが「君、話し合おう」と朗らかにほほえみ返すし。

 あと、エリプレもののお約束としては、最初はエイリアン/プレデターの特徴を知らずに、フェイスハガーの抜け殻をつまんで「なんだこりゃ?」とか、光学迷彩中のプレデターを目撃して「なんだありゃ?」ってトコから始まって、徐々にその生態が解っていく、ってのも、大事な点なんですが(逆にこの「お約束」を重視すると、対戦相手側に割くページ数がなくなるのですが)。
 ……でも、本作ってば、バットマン&スーパーマンが、「以前にエイリアン&プレデターと戦ったことがあって、彼らの生態を良く知ってる」という、「お約束台無し」な設定でね。なにそれ。

 結論としては、エイリアン&プレデターシリーズのファンが読んでもガッカリする内容な上に、スーパーマン&バットマンファンが読んでもテンでカタルシスに欠けるという、「誰に向けて書いてんだ?」な感じの内容で。
 ライターがアイデアを振り絞らないと、この手の「vs.」モノは、面白くならねぇなぁ、という感想ですな。
 でも、アイデアを思いついても今度はエリプレシリーズの「お約束」がマンネリになんないように工夫したり、お約束に割くページ数をいかに削るか、という戦いが待ってますが。
 その辺のレギュレーション故に、このジャンルは名作が生まれにくいかなぁ、とか。
 むしろ、『エイリアンズvs.スーパーマン』のダン・ジャーゲンスや『エイリアンズvs.グリーンランタン』のロン・マーズみてぇな、コミック作家として酸いも甘いも噛み分けて、お約束をネジ込んだり、ヨソのキャラとのすり合わせに“場慣れしてる”方が、デキの良い作品を書けるのかもね、と思った。
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タグ:AVP 今日読んだアメコミ

●適当なる日記。

2007.10.22 Mon

▼どうでもいい更新:

 今日、煎餅喰いながらコミック読んでて得られた知識をもって、こないだの「フラッシュ講座」のキャプテン・ブーメラン(2)の項目に追記。
 あと、ジョニー・クイック(悪人の方)の情報も、改定してみた。

▼どうでもいい余談:

 こう、ウチのブログにゃアクセス解析を取り付けてあるんですが。
 最近、「プレデター コンクリート ジャングル」の検索キーワードでウチに来る人がボチボチいてね。ダークホース版あのコミックのことをピンポイントで知りたがってる人間も居りゃしないだろうと、調べてみたら、どうもプレデターのゲーム版で、「コンクリート・ジャングル」ってタイトルのモンが出てるようで、多分、そっちの情報目当てで来たんだろうな、と。

 あと、「ワンダーウーマン 拘束」「触手 エロ」といったエロキーワードでウチに来るヤカラが、日に1、2人のペースでおられますね。人の趣味にとやかく口出す気はないですが。
  
  
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●ヴァーサスな日々。

2007.10.21 Sun

 ふと思い立って、ダークホース社のコミック版『プレデター』及び『エイリアン』と他社のキャラクターとがクロスオーバーした作品全タイトルを検索してみる。

↓で、こんな感じ(並びは対戦者のアルファベット順、リンク先はAmazon)。

Batman vs. Aliens
Batman Aliens II
Batman vs. Predator
Batman vs. Predator II: Bloodmatch
Batman vs. Predator III: Blood Ties
Green Lantern vs. Aliens
□JLA vs. Predator
Judge Dredd vs. Aliens: Incubus
Predator vs. Judge Dredd
Predator vs. Magnus Robot Fighter
Superman vs. Aliens
Superman/Aliens II: God War
Superman vs. Predator
Superman and Batman vs. Aliens and Predators
Tarzan vs. Predator at the Earth's Core
Aliens vs. Predator vs. the Terminator
□Wildcats/Aliens
□Overkill: Aliens/Predator/Witchblade/Darkness
Mindhunter: Aliens/Predator/Witchblade/Darkness

 これで全部、なハズ。もっとあるかと思ったら全19シリーズと、案外少なかった。大半がDCコミックスとのクロスオーバーってのが意外&マーヴルとは1度もクロスオーバーしてねぇのも意外だ。
 とりあえず、一番クロスオーバーしてるのが、バットマン。初めてプレデターが対戦した他社の作品、っつー貫禄もありますか。つか、『vs.プレデター』だけで3作品っつーのは、人気ありすぎ(プレデターに)。
 2番目はバットマンに次ぐ貫禄でスーパーマン。っつーか最終的には、この2人が合流して『スーパーマン&バットマンvs.エイリアン&プレデター』という、アブラッ濃すぎるクロスオーバーも実現してるし。
 派生作品気味な『JLAvsプレデター』は、とても詰まらないのでコメントを控えさせてください<でも、脚本は俺が大好きなオストランダーなんだよなぁ。

 こん中でオイラが読んでないのは、Batman Aliens II、Batman vs. Predator II: Bloodmatch、Batman vs. Predator III: Blood Ties、Judge Dredd vs. Aliens: Incubus、Superman/Aliens II、Superman vs. Predator、Aliens vs. Predator vs. the Terminator、Overkill: Aliens/Predator/Witchblade/Darknessの8つ。大体半分か。

 未読のうち『エイリアンズvs.プレデターvs.ターミネーター』は、「ジョン・コナーに破れたスカイネットが数世紀後にエイリアン+ターミネーターのハイブリッドを生みだし、人類への逆襲を開始。この危機を救えるのは、伝説の英雄リプリーと、外宇宙から来たプレデターだけだ!」的なデタラメなストーリーで、是非読みてぇけど、コミックブックもTPBも売り切れだ。ウヌレ。
 まぁ、版権がらみで再版とかできねぇんだろうな、とか思いつつ。

 一方、読んだ中で個人的にお勧めな本は『スーパーマンvs.エイリアンズ』かな。消息を絶ったレックス・コープの宇宙船の捜索にスーパーマンが向かったら、そこには……ってな、まぁ筋立て自体はプレーンなんですが、
1)本来無敵なハズのスーパーマンを、いい具合にパワーダウンさしてく手際と、その後の程良い緊張感
2)その一方で、クライマックスでの例のアレ(読んだ人なら解るでしょ)含む、『エイリアン』世界の「お約束」がスーパーマンによって台無しにされてくことの面白味
3)スーパーマンの旧設定へのオマージュとなる舞台を用いて、『スーパーマン』と『エイリアン』の世界観を噛み合わせてるトコ
 といったあたりの味付けが非常に素晴らしいです。

 なんつーか、プロレスで言うなら、「スーパーマン世界」というこの上なくアウェーなリングに上がったエイリアンに対し、王者スーパーマンがうまくエイリアンの持ち味を引き出して、いい具合な試合展開を見せてくれる、といった感じ(無論、最後はベビーフェイスのスーパーマンが朗らかに勝ちますが)。
 アートもケビン・ノーランがガンバってるんで、オススメよん。

 逆に既読で残念だったのが『ターザンvs.プレデター』。タイトル通りな場所を舞台にターザンとプレデターが戦うっていうアイデアは、非常にワクワクするんですが、バロウズのパスティーシュとしてそれなりに気を使って書いちゃってるおかげで、いまいちプレデターが前面に出てきてない(メインの悪役別の奴らだし)、っつーか、別にこれプレデターでなくとも、バロウズの作品から適当に蛮族っぽいヤカラを連れてきても成立しちゃうよなぁ、な感じなのが痛し痒し。

 こう、この種のクロスオーバーですと、対戦相手のリング(世界観)にエイリアンやプレデターが上がるのが大前提なワケですが(バロウズ世界にプレデターが、といったミスマッチの妙も楽しみの1つですし)、これが逆に対戦相手の世界観を尊重しすぎると、別にエイリアンやプレデターでなくとも成立する話になっちゃう、っつーのが、これら『.vs』ものクロスオーバーの弱点だなぁ、と思った。
『プレデターvs.マグナス・ロボット・ファイター』なんかも、せっかくプレデターがヴァリアント・コミックスの某有名キャラクターのヘルメットをトロフィーにしていた、っていう、ワンダーな設定で始まっといて、別にヘルメットがロクに絡まなかったのがどうも。

 そうしたモンの最たる例が、こないだの『スーパーマン&バットマンvs.エイリアンズ&プレデター』だと、俺個人は思うわけですが、コイツの「ヒドさ」を語るとちょいと長くなるので、いずれまた。


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タグ:AVP

●再び、どうでもよき日常。

2007.10.20 Sat

 シリーズ「書テリ(略」)」ばっかりも飽きたんで(未発表のテキスト自体はウンザリするほどあるんですが)、今日は通常営業で。

 しかし、この数日、貼っつけてったテキストですが、なんつーか、脈絡ないね、どうも。


 でー、最近の日常ですが。最近発表された、DC新刊のTPB関連が、なんか凄ぇやと。

 まず何が凄いって、『ジャスティスリーグ・インターナショナル』ハードカヴァー。
 偉大なるキース・ギフェン&J.M.デマティス&アンディ・ヘルファー期のアレが、何故か今、いきなりハードカヴァーで再刊。とりあえず、中身は『ジャスティスリーグ・インターナショナル』1~7号までを収録(正確には6号までは『ジャスティスリーグ』のタイトルだったけど)。
 こう、「vol. 1」って書いてないのが非常に不安なんですが、続巻はでるんでしょうか。ギフェン&デマティスの『ジャスティスリーグ・インターナショナル』という作品の真価が発揮されるのは8号からですんで、できれば続巻を出して頂きたいのですが。
 あと、ハードカヴァーってことは前書きがあったりカラーリングが新しくなってるんでしょうな。さもなきゃ買わんぞ(<買う気なんだ。全号持ってるのに<第1号なんざ4冊持ってるわい)。

 あと、次に凄いのが、『ダイアナ・プリンス:ワンダーウーマン』TPB。デニス・オニールによる、ワンダーウーマンがパワーを失ってスパイアクションになってた時期の『ワンダーウーマン』第178~184号と、ゲスト出演している『ロイス・レーン』第93号を収録。現行の『ワンダーウーマン』の展開が、このオニール期へのリスペクトを含んでるんで、まぁ出すんでしょうが、「ショーケース:プレゼンツ」レーベルじゃなく、フルカラーの単行本で出す所がイカス。こっちは「vol. 1」って書いてあるんで、続編も出るようですね。うぬ。

 次が『タイムマスター』TPB。『52』や『ブースターゴールド』で微妙に露出してる、リップ・ハンターの、かなり昔にでたミニシリーズが、何故か今頃TPB化。「ショーケース・プレゼンツ」でオリジナルのシリーズをまとめれば良いのではないかと思うのですが、何故あのミニシリーズを……。あのシリーズで提示されて、そのまま忘れ去られた設定も多いのに(古代エジプト絡みのアレとか、あとハンターのサポートメンバーとか)。

 最後に「ショーケース・プレゼンツ」レーベルで『エネミー・エース』が。この本の何が凄いって、1冊550ページ強という「ショーケース・プレゼンツ」のフォーマットを最大限に生かして、初出から1980年代に至るまでの時期に発表された『エネミー・エース』全話が網羅されてる、という前代未聞の快挙ですが。
 まぁ、『エネミー・エース』って作品は、アンソロジー誌に掲載されてたんで、基本的にページ数は少ないんで、今回みてぇな「全話収録」が可能になったんでしょうが。
 これでグラフィックノベル『ウォー・アイドル』と、ヴァーティゴ版の『ウォー・イン・ヘヴン』を買えば、「エネミー・エース」を主役にした話は全部そろいますな(ま、『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』や、『アーマゲドン・インフェルノ』なんかでのゲスト出演もありますが)。

 ……あれ、「ショーケース」550ページで『エネミー・エース』全話が揃うとなると、各巻200ページ前後で、現在2巻まで出てるハードカヴァー版『エネミー・エース アーカイヴ』の3巻目のページ数……足りなくね? それこそ『ウォー・アイドル』を入れて、200ページに届かせるのか?
  
  

  
  
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タグ:プレビューズ

●なんたる書き逃げ。その3

2007.10.19 Fri

 まだまだ続く、シリーズ「書きテキリメ(略)」ですが。
『PULP』の公式サイトからカッパらってきたテキスト翻訳シリーズ第3弾、『エンパワード』第2巻発売記念(今思いついた)、アダム・ウォーレンのインタビュー。

▼インタビュー:アダム・ウォーレン<Adam Warren>
 キューバート・スクールからダーティペアへ


 インタビュアー:ジェイソン・トンプソン


 もしもあなたが“アメリカン・マンガ”アーティストについて聞いたことがあるなら――ああ、例のイメージ・コミックスの奴ら(※1)は気にしないでくれ――アダム・ウォーレンのことを聞いたことがあるだろう。
 ウォーレンのコミック業界への台頭は1988年、アニメ『ダーティペア』の公式コミック版(※2)の第1作から始まる。それ以降、多くの続編が描き継がれていく中、ウォーレンはそのシャープな脚本と精緻なアートで、『ダーティペア』を自身のものとしていく。
 彼の作品はドイツ語、イタリア語、フランス語、オランダ語で出版され、またコミック版は原作よりも長期に渡り展開している。これは、コミカライズ作品としては最上級の評価といえるだろう。

(※1)当時ブームだった、「クリフハンガー」レーベルの作家たちのことかと思うが、あれ、当時クリフハンガーはイメージに所属してたっけか。
(※2)後述されるが、正確にはウォーレンの『ダーティペア』は、アニメではなく小説版が「原作」にあたる(アニメ版は原作者のみならずサンライズも版権を持ってたりするからだろう)。

 現在、ウォーレンはワイルドストームの『Gen13』の脚本とカバーを担当し、ダークホースから出るカラー再販版『ダーティペア:シム・ヘル<Sim Hell>』用に新作を描き下ろし、「スーパーマンガ・ブラスト!<Super Manga Blast!>」誌に掲載されるマンガ『セラフィック・フェザー』を英語版にリライトしている。
 更に“大出版社での仕事で、身をすり減らしている”という、『ダーティペア』のクロスオーバー企画(※1)を進め、また企画進行中のオリジナル新作用のデザインにも着手している(※2)

(※1)おそらくは、ボツになった『スーパーマン/ダーティペア』。
(※2)多分、ワイルドストームのクリフハンガー・レーベルで進めていたファンタジーもの『カニバル・サン』か『ブラッド・オブ・ザ・マギ』。これも企画段階でポシャった。


パルプ:アニメとマンガを知る前から、コミックを描くことに興味はありましたか?

ウォーレン:ああ、とてもね。俺はちっちゃなガキの頃から沢山のマーヴル・コミックスを読んでいた。小学校3年生ぐらいからかな。当時のコミックは底抜けにくだらなかったよ。
 だが、高校に進んだ俺は、1980年代初期から中期のオルタネイト・コミックのシーンに傾倒した。あの当時は、真に感動的な作品を手に入れられたもんだ。
 例えば、ハワード・チェイキンの『アメリカン・フラッグ!』(※1)や、ムーア、ビセット、トトルベンの『スワンプシング』(※2)、ロス・ブロスの『ラブ・アンド・ロケッツ』(※3)、それに『セレバス』(※4)。とてもエキサイティングな時期だった。
 それらの作品は、コミックが効果的で創造的な媒体であり得ることを教えてくれた。それで俺は、ニュージャージー州ドーヴァー<Dover>の「ジョー・キューバート・スクール・オブ・カートゥーン&グラフィク・アート」(※5)に入ったんだ。

(※1)『アメリカン・フラッグ!<American Flagg!>』:インディペンデント系出版社、ファースト・コミックスから刊行されたコミックシリーズ。作者はハワード・チェイキン。世界的な災害で、アメリカが首都を火星に移した2030年代の地球を舞台に、ルーベン・フラッグ<Reuben Flagg>さんがガンバる話(<読んでないので詳細を語れない)。
(※2)アラン・ムーア(ライター)、スティーブ・ビセット<Steve Bissette>(ペンシラー)、ジョン・トトルベン<John Totleben>(インカー)の体制による、1980年代半ばの『サーガ・オブ・ザ・スワンプシング<Saga of the Swamp Thing>』の連載のこと。
(※3)『ラブ・アンド・ロケッツ<Love and Rockets>』:オルタナ・コミックの古典。作者はヒルバート・ヘルナンデス<Gilbert Hernandez>と、ハイム・ヘルナンデス<Jaime Hernandez>(2人で活動する時は、ロス・ブロス・ヘルナンデス<Los Bros Hernandez>名義)。
(※4)『セレバス・ジ・アードバーク<Cerebus the Aardvark>』:ディブ・シム<Dave Sim>作のオルタナ・コミックの金字塔。ツチブタ(アードバーク)のセレバスが傭兵になったり司教になったり結婚したりする話(かいつまみ過ぎだ)。
(※5)名アーティスト、ジョー・キューバートが創設したコミック作家専門学校。

パルプ:キューバート・スクールではどんな具合でした? 誰が教師でしたか? どんなアーティストと級友でしたか?

ウォーレン:教師たちは主に業界の人々で、ジョー・キューバートその人や、ジョース・デルボ<Jose Delbo>その他のアーティストだ。古き良き学校、と言った風情だったね。
 俺の級友は多岐に渡っていた。ペイント画や、リアルな絵画に傾倒している奴、それに縞々パンツのスーパーヒーローのファンに、ジョージ・ペレスやフランク・ミラーのファンだとか、そんな感じさ。
 それから、俺を含めた普通じゃないものに傾倒するやつら。ちょっとした寄せ集めどもさ。だいたいキューバート・スクールの初年度で、俺はアニメとマンガにハマリ込んだが、それらは当時の学内では非常に異質だった……100人ばかりの生徒で、そうしたシーンに気付いてたのはほんの数名だった。

パルプ:1980年代初頭のコミックでは、日本の文化やニンジャ的なものが流行していましたが、それらに興味は?

ウォーレン:うーん……いや、特には。まあ、あの手のは当時の学校を席巻していて、結構な数のニンジャ・ファンがいたよ。でもそれは、初期のカルト的なアニメとマンガが波紋を起こすよりも更に以前のことさ。俺は『スピード・レーサー』や『スターブレイザーズ』(※)すら見たことはないんだ。

(※)『スターブレイザーズ』:『宇宙戦艦ヤマト』の北米版タイトル。

パルプ:『ダーティペア』が、あなたの見た初めてのアニメだと聞きましたが。

ウォーレン:ああ、実に全くその通りだ。そいつは『うる星やつら』の、確か第3シーズンくらいのと一緒にテープに入ってた。俺は休み中の週末にそれらをいっぺんに見た――『ダーティペア』、『うる星やつら』、それに『ナウシカ』を。

パルプ:もしもアニメとマンガに出会えていなかったら、現在どんなマンガを描いていると思いますか?

ウォーレン:辞めてただろう。

パルプ:本当に?

ウォーレン:ああ。そもそも俺は、キューバート・スクールを初年度で辞めようとしてたんだ。ある日、ザ・ファントム(※)が象の上に乗っかってる絵を描いてた時、ふと悟ったんだ。“神よ、こんなのにはうんざりだ。実に間抜けで、こいつで飯を食ってくなんてのは考えられない” 俺は全くうんざりしていた、それらはてんで面白味がなく、退屈だった。俺は学校を辞めて、普通の学校に入る努力をしてみようとすら考えだしていた。そこで日本のポップ・カルチャーを浴びて、何かに火がついたんだ。

(※)ザ・ファントム<the Phantom>:リー・フォーク<Lee Falk>が創造した、新聞マンガの古典。ファントムには逆らえない。

パルプ:あなたがアニメに対極するものとして、マンガを見つけたのはいつですか?

ウォーレン:それらアニメのビデオを見た2月の休みの後、学校に戻った直後ぐらいだった。けれど、マンガという様式を見る前から、俺は既に“こいつ(アニメ)みたいなのを、どうにかしてコミックスの体裁でやれたら凄ぇぞ”って考えてた。日本のコミックについて、おぼろげに気付いていたんだ。何にせよ、俺は学校に戻るやいなや、ニューヨーク市に行って、キノクニヤに行った――当時はたしかゼン・オリエンタル(※)も開いていたかな?――そしてあらゆる形式のマンガを山ほど買い込んだ。

(※)ゼン・オリエンタル<Zen Oriental>:ニューヨーク市にある日本書籍の専門店。

パルプ:それは何年くらいのことですか?

ウォーレン:1986年初頭、だと思う。

パルプ:キューバート・スクールに行く前は、どんなコミックを描こうと思っていましたか?

ウォーレン:今じゃ思い出すのも一苦労だよ、遠い過去のようでね(笑)。俺はスーパーヒーローの大ファンじゃあなかった。描こうとしてたのはSF的なものだった。ま、結局、今の俺はそうしたたぐいのものを描いてるんだが。マンガ的な感性を加えつつ、な。

パルプ:あなたの“悟り”の後、キューバート・スクールではなにを?

ウォーレン:『ダーティペア』を見てから、初めてマンガを体験した――あれは多分、高橋留美子だったと思う、『AKIRA』(※)の最初の何号も出ていたかな。それに有名な作品をいくつか。
 その後、俺は『ダーティペア』が偉大なコミック・キャラクターになるだろうと確信した! 俺は、『ダーティペア』絡みのマンガのプロジェクトがいくつか存在していたことに気付いてなかった、それらは見てなかったからな。それで俺は決めたんだ、俺はアメリカ版『ダーティペア』コミックスを描くべきだと! そして許諾を得ようと! 実に狂ってる!
 俺は既に『ダーティペア』のコミックを描いていた。それらが日の目を見ることはないだろうが、胸を張っていわせてもらうよ。俺は初年度を通じて、おおよそ5、60ページは描いた。2年度か、少なくとも3年度になる前には、サンプルも描きだしてたと思う。俺は山ほど描いた、俺はほとんどの俺の時間を、なにがしかのバイトか、さもなくば『ダーティペア』を描くことに費やした。この作業をしたことで、俺は俺自身に教えられるような形で、多くを学んだよ。

(※)時期的に見て、エピック・コミックス(マーヴルの大人向けレーベル)から出版されていた英語版『AKIRA』だと思われる。

パルプ:あなたのスタイルは常に大きく変わり続けていますね。とりわけ、最初の3つの『ダーティペア』シリーズを通じて。これらの変化はあなた自身が意識しいるのでしょうか、それとも、ひとりでに?

ウォーレン:おおむね、両方だ……俺は手にしたいかなるマンガでも読んできた。俺の画風は、他のアーティストからつまんできた、ちっちゃなかけらで構成されてる。そうしたものを見つける目があれば、ちょっと面白いと思うぜ。
 一方で、俺の絵が最も変化したのは20代初頭だった。で、俺は、歳月がアーティストにもたらす変化について心に留めるようになった。多くの20代初頭のアーティストは、急速に上達する伸びしろがある。だが彼らは、歳を取るに連れて柔軟性を失い出す。それ以降は手癖で描くようになるか、どうしょうもなく歪んで、崩れていくかだ。
 例えば、名前は挙げないが、いくらかのマンガ・アーティストは、顔のつくりが奇妙になっていく。キャラクターの目と目が離れだし、頭の上の方に寄っていく。さもなくば、腰のあたりの骨格が奇妙になり、肥大化していく。
 そして30代になると――ま、今の俺もそうだが――固定化と反復の時期になり、10年前に描いたものの繰り返しに落ち着く。こいつは常から気を付けておくべきことだ。俺は現在、新しい影響を得ることに最善を尽くしているが、年をとっていくにつれ、改良や変化といったことは明白に難しくなってくる。

パルプ:では、例えばあなたが過去のある時期の自分の作品を見た時、こんな感じに思ったりするのですか? “ああ、これは僕があの作家とあの作家に影響を受けてた時期だ。この時期の僕の作品の何パーセントかは、このアーティストが混じってるぞ”って?

ウォーレン:ああ。俺のこの10年間の画風で、おそらく最も変わってきたのは顔のつくりだ。その他の多くは比較的安定している。デビュー当初の、俺の絵が急速に進化してた頃――大体『ア・プラグ・オブ・エンジェルス』(※)の頃だ――この時点で俺のメカデザインと肉体構造は、あるレベルまで達した。
 で、それ以降、俺は主に顔の描き方をいじくりだした。他からの新たな影響を使ってみたり、新しいことを試してみた。指摘することだってできる。例えば、「こいつは俺が『卒業』のアーティスト(竹井正樹)に影響を受けていた時期だ!」ってね。ま、こいつはうまくはいかなかったんだが。

(※)『ア・プラグ・オブ・エンジェルス<A Plague of Angels>』:ウォーレンによる『ダーティペア』第3作。ラブリー・エンジェルの2人を密着取材するレポーターがヒドい目にあう話。
 1980年代的な絵柄をタテに潰してと士郎正宗(『アップルシード』1、2巻の頃の)を足して適当に希釈した感じの(どんな感じだ)前2作の画風から、真鍋譲治や園田健一的な1990年代前半っぽい画風にシフト。キャラクターの頭身やプロポーションもアメコミ調から、マンガ的にシフトしている。キューバート・スクールで、それなりに鍛えられたアナトミー(解剖学)を、作品を描きつつ、自分なりに消化していく様が、なかなか興味深い(偉そうに)。


パルプ:それは実際に例を挙げられますか?

ウォーレン:ああ、指摘できるよ。『シム・ヘル』(※)と『ア・プラグ・オブ・エンジェルズ』の末期の頃だと思う。俺は彼の目の描き方を模倣しようとしていた、しかし結果は芳しくなかった、なぜなら、俺のスタイルとは相性が良くなかったからだ。でもまあ、「お、こいつは“木城ゆきと時代”だな!」って絵は、誰にも解ると思うぜ。
 それと現在の俺は、かなり誇張された唇の形を描く傾向にあるが、これは数名のアーティストの影響だ。少なくともうち1人は日本人のアーティスト、寺田克也だ。彼は日本のアーティストだぜ! なのに大きな唇を描くんだ! 実に!(笑)

(※)『シム・ヘル』:ダーティペア第4作。この作品から版元がダークホース・コミックス社に移動(元々の版元エクリプス・コミックス社がツブれたので)。仮想空間でWWWAのトラコンの適性試験を受けるケイが、仮想空間から抜け出られなくなったんで、ユリがバーチャル世界に侵入してったら色々と大変な目に遭う話。
 それまでの『ダーティペア』はトーレン・スミス(後述)との共著だったのが、本作よりウォーレン単独の脚本に移行。そのせいか、古典的スペースオペラな世界観だった『ダーティペア』が、本作からいきなりサイバーパンクなお話にシフト。
 また、ウォーレンのライティングの大きな特徴である要所に回想シーンを挟んで、背景や諸設定の説明をしたり、後の展開の伏線にするアレは、本作で既に登場。
 画風を固めつつ、まだ若さの残るアートと、ストーリー構成の巧さ(仮想空間のシミュレーションという形で、うまく過去の事件をケイと読者に追体験させる所が良い)で、『ダーティペア』シリーズの中でも1、2を争う傑作(と、個人的には思ってる)。


パルプ:確かに、大きな唇は、さほどマンガで見られるものではありませんが……。

ウォーレン:だが存在はするよ(笑)。俺の見たところでは、木城の唇の描き方は、内田春菊の描き方からきている。彼女は自伝的な作品を描いている有名な女性作家で、当時木城がやっていたような、奇妙なヒョットコ風<sucker-pout>の唇の描き方をしていた。

パルプ:現在では、あなた版の『ダーティペア』のイメージが、アニメ版よりも広まっているかのように見えますが。

ウォーレン:うん、それは単にアニメ版が長年存在していたからだ。つまりだ、俺版『ダーティペア』が初めて登場した当時は、もう少し大騒ぎされていた。なぜなら当時の多くのアメリカのファンダムは、むろん俺も含めて、サンライズのTV版から、『ダーティペア』に触れたんだ。……あと、映画版も出てたかな。それが、俺らみんなが親しんだバージョンなんだ。
 まあ、俺ですら、異なるデザインのダーティペア(※)が出たときには、ウンザリしたもんだ。“こんなのは本物のダーティペアじゃないぜ! うえぇぇぇ!”ってな、シロモノは山ほどあった。でもやがて、沢山の異なるバージョンのアニメが出てきた。『ダーティペア・フラッシュ』みたいなのもな。これで、どんな馬鹿でも100万もの異なるダーティペアがあるってのが解った。
 俺の『ダーティペア』も、だいぶ長く在りつづけて、人々も馴れてきたから、それほど大騒ぎすることもなくなった。そんなのは、古典的なファンの執着に過ぎないんだ。

(※)異なるデザインのダーディペア:多分、OVA『ノーランディアの謎』バージョンのキャラクターデザイン。頭身が上がったことで、日本のファンの間でも賛否両論あった。

パルプ:あなたがいかにトーレン・スミス(※)と知り合ったかについて、少々お話し頂けますか? 彼との出会いはどのような具合でしたか?

(※)トーレン・スミス<Toren Smith>:スタジオ・プロテウス<Studio Proteus>代表。スタジオ・プロテウスは日本のマンガ・アニメの版権取得や翻訳などを行う会社。

ウォーレン:ま、いわゆる“友達の友達”ってやつだ。キューバート・スクールの級友の1人にジョー・ロザス<Joe Rosas>って奴がいた。こいつは後で、『ダーティペア』や『バブルガム・クライシス』を描いてた頃、短期間、手伝ってくれた。その彼が、ジェームス・D.フドナール<James D. Hudnall>を知っていた――彼はライターで、初期からのアニメファンで、シーンにかなりの初期からいた。そしてジムはトーレンを知っていた。彼はちょうどスタジオ・プロテウスを始めたばかりだった(1987年頃)。俺はといえば依然アメリカンコミック版『ダーティペア』を描くための権利を取ることに執着していて、そこで俺たちはつながった。ま、全てはここから始まったのさ。
 俺はポートフォリオと短編を描いた。そして俺たちは日本の小説版『ダーティペア』の作者・高千穂遥が作った会社、スタジオぬえと接触した。そして程なく……まあ紆余曲折あったが、俺たちはアメリカン・コミック版『ダーティぺア』を描く権利を得た。しかしながら、コミック版は小説版を元にすることとなり、アニメ版を元にはできなかった。このことは後に当時のアニメファンから、ちょっとした因縁を付けられるきっかけになった……俺ですら、ちょっとビビってたしな。

パルプ:一方で、単に既存の話をコミック化させるようなことにならなかったのは、幸運でしたね。

ウォーレン:そいつは驚異的に幸運だったよ。何せ俺は画風も作風も、全てが「俺流」の『ダーティペア』しか描けなかったんだからな。

パルプ:作風としては、何に影響を受けていますか?

ウォーレン:コミックからの影響で言えば、最も大きいのはハワード・チェイキンの『アメリカン・フラッグ!』の風刺的な側面、非常に商業主義的<hyper-commercialization>な所、などだ。
 作家としちゃあ、俺はサイバーパンクの第1、第2の波に影響を受けている。ウィリアム・S.ギブソン<William S. Gibson>からの影響は相当だ。それにウォルター・ジョン・ウィリアムス<Walter John Williams>、ブルース・スターリング<Bruce Sterling>、マイケル・スワニック<Michael Swanwick>ら。それに、いささか無名の作家たちからも。
 最近じゃ、ニール・スティーブンソン<Neil Stephenson>、スティーブン・バクスター<Stephen Baxter>その他の最近のSF作家たちもだ。それらが俺に大きな影響を与えている。

パルプ:自作のアクション映画からの影響について、少々、触れられていましたが、作風への映画からの影響を意識したことはありますか?

ウォーレン:かなりね。問題は、真に複雑で、真に映画的なアクションを描くには沢山のページがいるってことだ。そして、大部分の所、俺は描けちゃいない。何故なら俺は手が遅いんで、充分に長いアクションシーンを描けない。完璧なアクションシーンも、エキサイティングなアクションシーンも、流麗なアクションシーンも描けてないんだ。
 そうしたことは常々気にかけているんだが、限られた量のページ数でストーリーを語らなければならない以上、大概できていないね。

パルプ:あなたのコミックのスタイルは、とてもアメリカ的だと思います……あなたの作品の密度の濃さや、詳細な描き込み、それに沢山のことが起き、沢山のセリフで満ちている点などですが。

ウォーレン:ああ……それらは必要に迫られてのことだ。だが、それらは常に問題になる。平均的なミニシリーズはだいたい全4号だ。そして俺は4号の中に多くのストーリーを詰め込まねばならない。それが俺を常に悩ませるのさ。何故なら俺は、全4号よりも長いシリーズを描けるほど手が早くないからだ。
 俺は手広く仕事を受けたいと思ってる、だがそれは不可能だ。俺が語りたいストーリーの量を、徹底的にそぎ落としでもしない限りな。
 時折、なんのドラマもない話を描こうかと考えるんだ。『ダーティペア』のミニシリーズでね、2人が朝飯を食うんだよ! 詳細にね!
 どうすりゃいいんだかな。俺が今の所ワイルドストームに向けて書いている話は、そうしたことを少しは考えている。けど、終わってみりゃ、駆け足なペースになっているだろう。


※オリジナルの原稿では、ここでウォーレンの同人誌の表紙画像が入ってたんじゃないかと思う。以下はそのコメントらしきもの(オリジナルのサイトが残ってないんで確認できねぇ)。
(同人誌「アダム・ウォーレン スケッチブック」について)
 日本に住んでる俺の友人の1人がまとめてくれたのさ。こいつは本当にドージン出版社から出版されたドージンシだ。とても面白かった。しかも実際、まあまあよく売れた……っていわれた。
 だが、これは記憶に留めといて欲しいんだが、これは俺の「スケッチブック」じゃない。カバーに書かれてるのは不幸な誤りだ。何故ならこの中の絵は、商業作品や人に描いてやったコミッションだけだ。こいつは強調しとかなきゃならない……なぜならボンデージの章が多いんだよ。解るかい? 俺はお家でスケッチなんかしてない。自分の愉しみのために、こうしたスケッチを描いてるわけじゃないんだ。解ってくれ。


パルプ:あなたの作品は、翻訳されたことがありますか? あなたのファンは日本にいますか? 実は、あなたのドージンシを見たことがあるのですが。

ウォーレン:ちょっとした輸入市場がある。“まんがの森”が、細々と日本の市場に輸入していて、少数のコアなマンガファンが、輸入された俺のアメリカ版コミックを追っているようだね。無論、翻訳なんてされてないよ。なぜなら俺の『ダーティペア』は日本じゃ出版できない。俺たちの契約には、そこまで含まれていないんだ。

パルプ:どのような経緯で『Gen 13』に関わったんですか?

ウォーレン:当時の『Gen 13』の担当だったサラ・ベッカー<Sarah Becker>――『ザ・リアル・ワールド』(※)第1シーズンに出てたサラ・ベッカーでもある――が、俺の『ダーティペア』を見た。それで俺はワイルドストームがたまに出す本に、いくらかのピンナップを描くことになった。
 その後彼女は俺を『Gen 13:ブートレグ』のラインナップに入れた。その本は、オルタナティブ系のアーティストとライターが『Gen 13』のストーリーを描くような本で、まあ短命なシリーズだった。そこで俺は「グランジ・ザ・ムービー<Grunge: The Movie>」を描かせてもらった。で、そいつはワイルドストームにちょいとした感銘を与えて、まさに全てがそこから始まった。

(※)『ザ・リアル・ワールド<the Real World>』:MTVの人気番組。アメリカ各地から集められた7人の素人(性別、人種、宗教などが異なる)が共同生活をする様を延々とカメラで撮る疑似ドキュメンタリー。2007年現在、第19シーズンが放映中という、MTV最長の長寿番組。サラ・ベッカーが出演してたのは、正確には第5シーズン『リアル・ワールド:マイアミ』。
 ちなみに第3シーズン『リアル・ワールド:サンフランシスコ』(各シーズンで舞台となる都市が変わる)には、あのジュド・ウィニックが出演してたりする……。


パルプ:この『Gen13』と『タイタンズ:エルスワールズ』の2作で、あなたの星は、スーパーヒーローものの上で輝きだしたように思えますが。

ウォーレン:ああ、それは真実だ……俺はいくらかのアメリカのスーパーヒーローものを読んでいた。でも主にイギリス野郎の書いたものだ。なぜなら、コミック業界で最高のライターは、イギリスに住んでるか、ブライアンって名前だからな(笑)。だから俺は『プラネタリー』や、グラント・モリソンの書いたものも、なんでも読む、そんな感じだ。
 だから俺は、このジャンルの本質的な部分の大ファンってわけじゃない。このジャンルは、コミックという媒体を永遠に締め付けてると思っているが、面白くなりうるものでもある。それが俺のこのジャンルについての見解さ。
『Gen 13』なんかだと、現時点で俺は9、10号分の脚本を書いてるが、いまだにコスチュームを着せてないことに気付いたよ。俺にしてみりゃ、「ふむ。もしかしたらヒーローものにはコスチュームがいるかい? まあ、検討してみるよ」って感じだがね。

パルプ:あなたのアートの評判が良いということは、マンガとアニメがアメリカのスーパーヒーローコミックの中で主流になりつつある兆候だといえませんか。

ウォーレン:そいつは大筋で合っている。確実に、以前よりもお偉いさんがたにも受け入れられてるね。
 1980年代中頃のコンベンションに、俺が初めて作品を持ち込みした時、それらは完全に異質で、多くの編集者にとってはフリーキッシュな代物だった。全員がそうだったわけじゃないが、多くは嫌な顔をしていた。「ああ、『スピードレーサー』っぽいの、ね」みたいに。
 お気に入りの話がある。これは、俺が直接言われたんじゃなくて、知り合いがマーヴルの編集者と接触した時の話だ。彼らは彼女にこう言った「あぁ、我々にはもうマンガがある。我々には『AKIRA』がある。それ以上はいらんね」 やれやれ!
 マンガに影響を受けたアーティストたちが、いくつかのベストセラーのコミックを手掛けてることを考えれば、今やお偉いさんにも広く受け入れられてるんだろう。
 一方で、一部では依然非難されている。気にしない方がいいんだろうが、時折ネット上を見れば、「あんなマンガのクズを、無理矢理読ませられる身にもなれよ。耐えられないね、全く!」ってな、激烈な長文を見ることだってある。単にマンガを見るだけでムカついてる奴だっている。

パルプ:では、アメリカのメインストリームのアーティストらがマンガの影響を見せ、“マンガ・スタイル”アーティストらが突然に良い仕事を得ている、現在の潮流についてどう思いますか?

ウォーレン:ふむ……そいつは難しい質問だ。実に難しい。ジョー・マドレイラ<Joe Madureira>のような有名人たちが知られて、より多くの作品がメインストリームに露出していった。彼はよりメインストリームに近いアーティストとして現れ、多少のマンガの影響を受けている。そして多分、俺より良い具合に作品を露出させた。
 俺は疑いようもなく、マンガ・スタイルの奴らの中ではよく知られた1人だ。だが俺は、つい最近までメインストリームでの仕事をもらえてなかった。だから、俺には解らんよ。多分、俺がもっとヒーローものをやってれば、後進の助けになったのかもしれないがな。
 あるいは、誰かが俺に説明してくれたんだ。「もしもお前が、肌も露わなお姉ちゃんが人々をぶち殺すようなコミックスをシリアスに描いてたら、もっと成功できたろう」って。あぁ、そうだよ。『ダーティペア』の風刺的な側面は、俺を傷つけてるだけさ! 俺はあの当時のバッドガール市場でうまくやってけたかもしれないのに!(笑)

パルプ:あなたの作品の全ては、実にユーモラスです。大概は極度のブラックユーモアだとしても。そうした、より……「よりシリアス」って言葉を使わずにどう言えばいいですかね?(笑)――ともかく、そうした方面に傾倒したストーリーを手がけることに興味はありますか?

ウォーレン:あー、俺が“ストレートな”作品を描く時は、そうしたユーモアが全然ない、非常に、非常にキツい作品になるよ。俺のユーモラスな作品ですら不愉快な要素を秘めている。ユーモアなしには、多くの読者にとってはキツすぎるものになる……。ユーモアはいわば、逆のカタルシスだよ。
 俺が『ダーティペア』を描いてた初期の数年、その大部分、俺は鬱病で過ごしていた。ライティングからは解らないだろうが。その作品ですら、当時の俺の人生に比べりゃ、軽薄すぎたよ。

パルプ:“アメリカン・マンガ”といった語は、もはやなんの意味も持ってないと思いますか? 今日それは、どういった意味を持っているでしょうか? それはどれだけ深くアメリカン・コミックに浸透しているでしょうか?

ウォーレン:神のみぞ知る、だね。俺はそうした語は使わない、そう言う括りは好きじゃないんだ。

パルプ:昔の『アニメリカ<Animerica>』のインタビューではこう言ってますね。「マンガ・スタイルって語に言外に含まれている“マンガのように描く”ってことは、俺はやっちゃいない。ただ、俺はひどくマンガに影響されている」

ウォーレン:ああ、それは、より的を射ている。つまり、マンガは俺に支配的な影響力を与えてるかもしれない。そして、アメリカ的なものからの影響は、かなり不明瞭だ。スティーブ・ルード(※)、ジャック・カービィ、マイク・ゴールデンの作品からの影響は、“『3×3アイズ』からもってきた歯を食いしばってる口の描き方”よりは見えにくいだろう。

(※)スティーブ・ルード<Steve Rude>:1980年代初頭にインディーズ系SFコミック『ネクサス<Nexus>』で名を成した作家。ジャック・カービィとマイク・ゴールデンは、各自ググれ。

パルプ:ああ、彼は犬歯を描くのが好きですよね。

ウォーレン:ああ、俺はあそこから戴いてるんだ。俺が叫んでる人を描くときは、大げさな歯の形にしている。こいつはマンガの影響だが、「マンガ・スタイル」を指向しているものじゃない。
 つまり、俺は画風を全くマンガ家らしくすること、完全な模倣もできた。しかし、そんなことに何の意味がある? でも誰もが言いやがるんだ、「奴の絵にはマンガっぽさが足りない!」だの「奴の作品はマンガじゃない!」だの(泣)。
 ああ、勿論マンガじゃないさ。俺はアメリカ人だ。どういうこったね。よその文化のように見せかける、なんてのを目指してどうする?
「見ろよ、こいつはイカれた日本のアーティストの完璧な模倣だ! 凄ぇ!」だって? 俺はただ、俺流のことをするだけさ。俺はけしてそれらをマンガや、マンガ・スタイルとは呼ばない。いいかい、「MANGA」という単語は、単なる言語学上の概念だ。俺らはそんな概念だのの中に首を突っ込まなくてもいい。
 俺が本当にたまらんのは、誰かがそれらを価値判断に使ってる時だ、例えば「うん、彼の話の進め方は良い。こいつはマンガだ」だってさ。いいや、ヒデぇストーリーのマンガは山ほどある。駄目なマンガだってマンガさ、坊や。ま、何はともあれ、だ。

パルプ:多くのアメリカ人が“マンガ・スタイル”で描くことに惹かれるのは、それが単に簡単そうに見えるから、だと思いますか? キューバート・スクールで古典的な訓練を受けたアーティストであるあなたとしてはどう思いますか?

ウォーレン:“楽な部分”ってのは俺は知らないね。いつも俺を驚かせるのは、俺のアーティストの友人のいくらかは、いわゆる写実的な奴らで、とんでもない絵の技法を身につけていて、それらは全く俺の理解を超えている。俺は絵画なんてできないし、俺の写実的な描画技法はてんで限られている。しかし彼らが“マンガ”的なアプローチや“アニメ調”のキャラクターデザインを試みると、大概全てがひどいことになる。実に驚きだよ。
 ま、何にせよだ、話を質問に戻せば、それは単に俺らの多くにとって――特に、俺にとって――ドキテ(※)のキャラクターデザインや高橋留美子、その他の絵は、非常に魅力にあふれている。そして、自分も、そんな風に描きたくなる。これに楽な部分がどれほどあるかは知らんさ。単に、見てるのが好きなものを、自分でも描いてみたいだけさ。理屈なんかない。
 多くの人々にとっては、こうした絵は実にクールに見える、そして描きたいと思う。実はな、今の所、こいつがコミックを描きたがる奴らの、でっかい入り口になってるのさ。なぜならコミックは死にかけの媒体だからだ。一方でマンガは若年層の大きな入口になっている。
 そう、もしもお前さんがアニメやマンガが好きで、そうしたものを描きたい場合、選択はちょいと限られてくる。アニメーションを学ぼうと思って、ハンナ・バーベラで中割りを描く? そいつはあまりスリリングじゃない。でも、自分自身のマンガ的な作品は、描こうと思えば描けるんだ! コミックでな! だから俺が目にするコミック界にきた新人の多くは、アニメに影響を受けている。彼らはあんな具合に描くことが大好きで、そうし続けることを望んでいる。

(※)ドキテ:土器手司。アニメ版『ダーティペア』のキャラクターデザイナーが有名。

パルプ:それに加えて、アメリカのコミック市場にアピールできる要素としては、“巨大な日本のコミック界で人気を得られるかも”という夢でしょうか。

ウォーレン:ああ、そいつは真実だ。でも実のところ、マンガに関わろうという奴らのどれだけが、そのことに気付いているかは解らない。で、悲しいことに、少なくとも俺の聞いた範囲では、マンガ市場は縮小している。まあ、例えその市場が、現状の1/25くらいまで収縮しようが、依然、どの時期のアメリカン・コミック市場よりもでかいんだがね。だから、マンガが危機に瀕してる訳じゃない。だがまぁ、聞いてて当惑させられる話だね。

パルプ:マンガが夢を与えている点というのは、「俺の作品がみんなに読まれるんだ! 駅でも読んでる!」という所だと思いますが。

ウォーレン:ああ、サラリーマンにね! 電車の中でね! そうした夢だのの一切合切は、ちょっと忘れてたよ。むかしむかし、俺が初めてマンガに踏み込んだ時、俺のビッグな計画は、カリフォルニアに移って、そこでなんかの仕事を得て、その後で日本に行きたかった(笑)。そう、日本のマンガ家になりたかった。ま、あっという間に、ほんの数ヶ月のうちに思い直したよ。こいつは賢い人生設計じゃねぇ、って。

パルプ:講談社が1990年代中頃に行っていた、いわゆる「スターサーチ<Star Search>・プログラムに挑戦したことはありますか?

ウォーレン:ああ、見たよ。だけど、その気にはならなかった。いいかい、彼らはマンガの中にあるようなものを、積極的に探しに来た訳じゃない。だから、俺に取っちゃ、“ま、なにはともあれ”って感じさ。
 加えて、ジャポノフィリア<Japanophilia>(※)が無数のファンとプロに蔓延していた頃に流行った「凄ぇ! 俺の作品が日本で出版されるかも!」なんて類の妄想は、既に俺は卒業していた。日本で出版された俺の作品もあったしな。まあ、コミック丸々とか言ったもんじゃないが、「コミッカーズ」で言及されてたのは面白かった。

(※)-philia:~愛好癖。この場合は、日本大好き。

パルプ:人々にマンガ・スタイルへの興味や愛情を喚起させるものがなんなのか、考えたことはありますか?

ウォーレン:俺には解らない。異質な文化からきたものが、ここまでアメリカ人にアピールできるのは、とても奇妙に思える、だが実際問題、それは、そこにある。俺が特に気にしてないマンガですら、ヨーロッパのコミック――俺には冷めて見えるし、関わりたくないと感じてる――よりも、文化的な共鳴を与えてくれる。

パルプ:あなた自身も他のアーティストに影響を与えていますよね。チナ・クラグストン・メジャーがマンガ・スタイルで描きだした理由の1つは、あなただそうですよ。

ウォーレン:なんてこった! そいつはクールだ。俺は彼女の作品が大好きでね。彼女は夢物語を描かず、なかば自伝的な作品を、優れた作法、多くの創造的なストーリーテーリングの技法を用いて描いているのがいい。実にすばらしい。

パルプ:私が『ドラゴンボール』の編集者をしていて学んだことの1つは、実に途方もない量のファンアートが送られてくる、ということです。それらは非常にアニメに影響された、アニメっぽいものです。私は、そうした絵が、彼ら若い読者の中に基本的なスタイルとして吸収されていくのではないか、と感じました。ちょうど、カービィ/ロミータのスーパーヒーロー・スタイルが、1970年代から1980年代初頭の人々に吸収されていったように。

ウォーレン:そいつは全くありそうなことだ。それらが長い年月をかけてどのような意味を持っていくかには興味があるね。より長期的な影響は、コミック界よりもコマーシャルアートの分野にあるだろう。何故って誰も彼もがコミックなんか読んでいないからだ。そして彼らが、今後コミックを読みだすようなこともないだろうしな。
 が、実際の所、現在はおそらくかつてないほどに良質なコミックスが揃っている。しかし同様に、かつてないほどの数のクズも存在している。膨大な量の作品が世の中に溢れている現在、それらの中から傑作を選別するのは、良質なコミックが数えるほどしかなかった頃よりも難しくなっているね。



  
  
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●DCユニバース講座:スピードフォースについて

2007.10.18 Thu

 シリーズ「テキストリライト(略)」、今回は、旧ホームページに掲載していた「フラッシュ講座」のリライト版テキスト。

 こう、Wikipedia日本語版「ザ・フラッシュ」の項目が、明白にオイラの「フラッシュ講座」のイタダキな上に、明白に間違ってる箇所がある(「フラッシュとグリーンランタンとの因縁」って項目書いた奴は誰だ)ことにフンガイして、2007年度版として丸きしリライトし……ようとして、途中で放り投げていた奴。

 本当はこの原稿も未完成やねん。諸設定の出典をロクに記してないんで。
 ま、気が向いたら追記する。<また口だけか。


●DCユニバース講座:スピードフォースについて

 さて今回は、歴代フラッシュやキッドフラッシュのように、こう、DCのチームものにゃあ、1チームに1人は居たりする、この、割合メジャーな存在である所の“高速移動能力者(スピードスター)”の人についての講座なワケですが。
 その、割と皆さん彼らについては「速く走る人」っていう単純明快なコンセプトだけで、こう、満足しちゃってて、彼らが「何故に」高速移動が出来るのか、っつーところまでは踏み込もうとはして無いんじゃないか、と思いましたんで、こう、今回、その辺を解説しようというワケですが。


▼スピードフォースの基礎知識:

 ま、ブッチャけた話、歴代フラッシュ、インパルス、ジョニー・クイックらの、乱暴に括っちゃえば、“フラッシュと仲間たち”なスピードスター系の方々ってのは、ですね。“自力で”高速移動(※1)をしているのではないのですよ、実は。

 その、我々の住んでるこの世界に隣接している次元界に、ですね。「スピードフォース」っていう、意志を持つといわれる(※2)、未知の運動エネルギーで満ちた世界がありまして。フラッシュたちはこの次元界にアクセスすることで、無尽蔵な運動エネルギーを引き出し、高速移動を行っているわけなのですわ。これが。

 つまり、正確には彼らの超能力というのは、“高速で走ること”では無く、“スピードフォースにアクセスして、運動エネルギーを引き出すこと”なのですね。高速移動というのは、運動エネルギーの最も解りやすい使い方に過ぎません。

(※1)例えば、マーヴルのクイックシルバーさんが、自力(ミュータント・パワー)で、高速移動してる人の例。てか、スーパーマンやマーシャン・マンハンター、ワンダーウーマンあたりも、「自力(超人クラスの筋力)で高速移動してる」人ですが。

(※2)スピードフォースが意志を持ってるか、ってのは、実際のところは不明。スピードフォースの発見者兼、命名者であるマックス・マーキュリーは、常々「ある」といってるけど、歴代フラッシュで最もスピードフォースと関わりの深いフラッシュ(3)は、「ない」と断言している(こないだの『オール・フラッシュ』第1号冒頭の独白など)。

 さて、具体的には、スピードフォースから運動エネルギーを引き出すことで、以下の様な能力を行使できます。

・超高速での移動(~光速):走るですよ。速く。ちなみにスピードフォースと接触している間は、フラッシュ自身の五感も高速状態に対応した状態となり、高速移動中でも、視界などは、通常とそんなに変わらぬ様です。なぜか音速を超えて走るスピードスター同士が、普通に会話もできたりします(<これは、後述する“フィールド”を接触させているせいかもしれませんが)。

・悪路の踏破:こう、右足を壁面につけて、その右足が下にすべり落ちる前に、左足を前に出し、その左足が落ちる前に、右足を前に出し……を高速で繰り返すことで、垂直なビルの壁面も、駆けのぼることができます(そんな勢いで壁面を蹴ったら、反作用ですぐに壁面から離れちまう、とかいう野暮は、いわないでいただけると幸いです<あるいは、その反作用すらもスピードフォースから指向性のある運動エネルギーを引き出して相殺してる、とか)。
 同様に、右足で海面を踏んで、その右足が沈む前に(水の表面張力が耐えきれなくなる前に)、左足で海面を踏んで、その左足が沈む前に右足で海面を踏んで……を繰り返すことで、海の上も走れます。

・物質通過:その、『キテレツ大百科』の「潜地球」の回でも説明されていましたけど(<ニッチだ、その説明は)、物体の原子と原子の間ってのは、結構「スキマ」があるわけですよ。で、スピードスターは、自身の身体の原子を高速振動させることで、他の物体の原子間のスキマに、自分の原子をスベり込ませて、結果的に物体を“すり抜ける”ことができます。できるんです。できてるんだからしょうがないじゃないですか(逆ギレ)。
 ただし、この能力は、全身の原子のコントロールを行う必要があるとかで、多少の訓練が必要だそうです。
 3代目フラッシュ、ウォーリー・ウェストは、一応、この能力が使えたのですが、通過した物体の原子の状態を不安定にしてしまい、通過直後に対象の物体が破壊されたり、いきなり爆発する、といった、オマケが付きました。

・透明化:文字通り、目にも留まらぬ速さで移動、あるいは目にも留まらぬ早さで肉体を高速振動させることで、第3者から見て透明になる技です。

・分身の術:透明化の応用。忍者マンガでおなじみ、素早く動くことで、何人もいるように見せる技。目にも留まらぬ速さと、観察者の視覚が捉えられる程度の速さの、2種の緩急をつけた高速移動を行うことにより、残像を生み出すとか何とか。多分。
 2代目フラッシュはこの技を応用して、隠し芸「1人ピンポン」を完成させました。

・地震:素早く地面を踏みつけ踏みつけ、更に踏みつけることで、振動を盛大に増幅させ、地面を揺らす技。……足が折れそうな気もしますが(無粋)。

・風を起こす:運動エネルギーを消費することで(要するに走ったりして)、空気に対流を起こし、大気の流れを生み出す……まぁ、要するに「風」を起こすわけですね。
 大概は、その場でクルクル回ったり、腕をグルグル回して、竜巻を生み出す、といった使用法が多いですな。竜巻は、武器として使用する他、高い所から落ちている仲間の下に発生させて、落下速度を和らげるなどの活用法もあります。

・浮遊:風を起こす能力の応用で、四肢を高速回転させて小さな竜巻を起こし、暫定的に浮遊することができます。ただし飛行自体はできず(※例外アリ。後述)、高所から落ちた時などに落下速度を和らげるのに用います。

・ソニックブームの投射:「ソニックブーム」っつーのは、音速以上で移動する物体が発する衝撃波のエネルギーが伝播し、不連続な音波として観測される現象です。まぁ、マンガとかゲームの必殺技でおなじみですね。「風を起こす」能力の更に上位の能力になります。

・高熱の発生:えーと、物質ってのは、その分子なり原子なりの持つ「運動エネルギー」っつーもんが、「熱エネルギー」に対応してるわけですわ。その、「E=(3/2)RT」でしたっけ、分子の運動エネルギーは温度に比例する、ってアレ。
「温度が高い状態=分子が運動エネルギーをたくさん持ってる状態」、逆に「原子が運動してない(運動エネルギーが少ない)状態=温度が低い」。で、分子が限界までエネルギーが無い状態が、「絶対零度」って、アレ。その辺良い大人なら解りますね?(解ってください)
 で、まあ、フラッシュは接触している物質の分子に運動エネルギーを与えることで、物質の温度を上昇させることができます。砕いていうと、フラッシュさんはヤカンの底を思いっきりコスって、摩擦熱で湯を沸かせます。

・飛行:その、フラッシュさん他のスピードスターたちってのは、基本的には“飛行”はできないことになってるんですわ(つか、運動エネルギーを自在に引き出すことができるんなら、いくらでも空を飛べる様な気が……<無粋)。
 ですが、何故かジョニー・クイックとその娘ジェシー・クイックだけは、ですな、スピードスターの中でも飛行能力を持ってるのですわ。これが。なぜか。
 DCのキャラクター辞典『Who's Who』のジョニー・クイックの項目を参照しますと、彼らの飛行原理は「スーパースピードパワーを利用した反重力パワー」だそうです。なるほど。納得ですね(納得したまえ)。反重力の癖にその場に浮けない、その癖、「かなりのエネルギーを反重力に費やすために、飛行速度は高速移動時よりも遅い」そうで(それって能力の使い方間違ってるような……<無粋)。
 でもこう、同じスピードフォースから力を得ているスピードスターの中で、何故彼らだけが反重力パワーを持っていて、フラッシュさんたちは持ってないのか、ってことは、多分、今まで一度も明文化されてないです。
 少なくともスピードフォース理論の提唱者であり、「ジョニー・クイックらの能力も、スピードフォースを起源としている」との、統一理論を打ち出しちゃった元締マーク・ウェイド先生は説明してないですわ。
 まぁ、その、ジョニー・クイックが飛べるのは、そもそもゴールデンエイジにジョニーさんが初登場した際、先達のフラッシュとの差別化のために、能力を付け加えた結果で、一方のフラッシュが飛べないのは、「飛べちゃうと、万能過ぎて詰まらない」っつー、演出上のソレなんでしょうが(<無粋、無粋)。


 で、この他に、熟練した能力者になりますと下記の能力なんかも使えるようになります。

・運動エネルギーの付与:スピードフォースから引き出したエネルギーを、自分で使わず、他の物体に与える能力です。基本的には接触している物体にのみ、エネルギーの転移は可能。こう、手に持ったボールをノーモーション&剛速球で投げ返したり、吹けの悪い車にちょいと触れて猛加速させたり、あるいは何らかの事情でスピードフォースに接触できなくなった能力者Aに対し、接触できている能力者Bが、自身のパワーをAに与える、とかいうことも可能です。

・時間移動:まぁ、本気を出せば、光速近くまで走れるフラッシュさんは、ちと懸命に走り続けてれば、ウラシマ効果で未来にいけたりしますが<やや無粋。
 実際にはコズミック・トレッドミルという専用の機械(「東京フレンドパーク」の一生懸命走ると電力が起きてクイズの解答ボタンが押せるアトラクションに出てくるローラー付き機械、の親戚みたいなの、って分かり難いな、おい)を用いて、運動エネルギーを時空エネルギーに変換することで、(トレッドミルごと)過去と未来に移動することができます。

・次元間移動:えー、こうDCユニバースってのは、平行世界(マルチバース)ってのが異なった周波数の障壁で遮られてまして。
 で、フラッシュさんは自身の身体の振動率を、その次元障壁と同じ周波にすることで、障壁を突破し、お隣の次元(アース2だのアース3だの)に移動できるのです。この、周波数を同調させる技術は、一朝一夕では身に付きませんで、スピードスター各人の長年の勘と経験が、これを可能にします。
 ま、1986年の『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』で、アース2だの3だのといった平行世界は消滅しちまいましたんで、以降はこの能力は滅多に使われませんでしたが。
 が、2006年の『インフィナイト・クライシス』以降のDCユニバースは、マルチバースの世界観が復活しまして、今後、この能力が復活するやもしれません。
 現行の『カウントダウン』誌の巻末に連載されている「マルチバースの歴史」中のセリフで、「スピードフォースによる次元間移動は可能」と明言されてますし。


 で、更に更に熟達すると、下記のような能力も可能になります

・運動エネルギーの吸収:今までとは逆に、任意の物体の運動エネルギーを吸収する能力です。飛んでくるピストルの弾を静止させたり(もちろん重力ってものがあるんで、普通は下に落っこちますが、超熟練者ならば、弾丸を空中に静止させることすら可能)、原子の運動エネルギーを奪うことで物質の熱を奪うことが可能になります。
 3代目フラッシュなんかは、敵の強力なコンピューターの回路に物質通過の能力で手を突っ込みつつ、回路を絶対零度まで冷やして「超伝導」を引き起こし、ショートさせたこともありますが(普通に壊した方が効率が良いような……)。
 多分、自分の身体の運動エネルギーとかも奪えるんじゃないかと思います。冷房いらずですね。
 で、更にこの吸収したエネルギーを、ですな、自分の運動エネルギーに上乗せすることも可能です。かつて初代フラッシュさんは、亜光速で走りながら、併走してる仲間(こっちも亜光速)の運動エネルギーを吸収し、「亜光速+亜光速=超光速」な具合に加速しまして、コズミック・トレッドミルなしに、自力で時空間を超えたりしました(そこの方、俺が語ってるのはフィクションの話ですんで、相対性理論うんぬんを持ち出してツッコむのは辞めてください)。

・停滞フィールド:これは上の「運動エネルギーの吸収」の、更に発展型でして、自分の周囲に運動エネルギーを吸収する一種のフォースフィールドを展開させ、自身に向けて発射された弾丸や飛び道具などを無力化するという、一種のバリヤーです。多分、いっぺんに吸収できる運動エネルギーやその範囲は、能力者の熟達具合に比例すると思われます(ま、この辺、劇中で描写されたことはないけど)。

・超回復:自身の細胞の代謝速度を加速させることで、身体に負った傷を瞬時に癒す能力です。そこ、「いや、運動エネルギーで代謝速度は……」とか、無粋な突っ込みしない。

・スピードフォースの固体化?:一時期、3代目フラッシュは、「スピードフォースでできたコスチューム」を、身につけていたことがあったんですよ。
 運動エネルギーをどうやったら固体にできるのかは、作中でロクに説明されたことはないので、聞かないでください(※)
 とりあえず、3代目フラッシュが念じると、全身をスピードフォースのオーラが覆って、それが赤・黄色の例のコスチュームになるんですよ。
 で、フラッシュは、このコスチュームを任意に変形させることもできまして、腰のあたりにポケットを作ったり、普段は露出している口の回りを覆ってガスを吸わないようにしたり、といったこともしています。

(※)もしかしたら、「スピードフォースでできたコスチューム」ってのは、単なる比喩表現かもしれませんし(<オイ)。こう、スピードフォースが空気中の任意の元素のみに指向性を与えて(マクスウェルの悪魔か)、その場でポリマーを化学合成している……とかいうのはどうか(<本気にしないように)。

・ハイパータイムの突破:えー、『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』~『インフィナイト・クライシス』の間の時期のDCユニバースってのはですな。こう、単一のユニバースになったと思いきや、実は依然、多元宇宙的な世界観だったのですよ。その、「ハイパータイム」って言葉に代表される、後付け設定なんですが。
 まあ、『インフィナイト・クライシス』によって、多元宇宙の世界観が復活した現行のDCユニバースじゃ、「ハイパータイム」の設定はイマサラ知っても意味がないんで、詳細は語りませんが。
 とにかく、その当時のDCユニバースでは、他のユニバースへ次元間移動をするのは異様に困難で、大量のエネルギーを必要としてました。熟練したスピードスターが集中してスピードフォースを全開にすることで、ようやく可能になるくらいに。
 ただし、そうまでして次元の壁を突破しても、たどり着く次元ってのは、それ専用の機械とかを装備してない限り、ごっつランダムでして、大概は「見知らぬ世界」に顕現することになります。

・超停滞状態:最近のコミックで、怒り心頭に達した結果、フラッシュ(3)が、とある人間に対して使用した技です。文章で説明すると面倒なんですが
1)特定の対象(仮に「Iさん」としておきます)のエネルギーの流れを制御して、100年をかけてマバタキを1回するような、超々々々々スローモーな状態にする。
2)しかも、Iさんは、通常の時間流の流れから切り離されており、100年経とうがマバタキ1回分しか年齢を重ねない。
3)ただし、Iさんは、肉体が100年かけてマバタキ1回しかできないにも関わらず、この状態でも普通の速度で思考できる(これは、Iさんがスピードスターなせいもあるかと思われます)。
 要するに、彼の体感時間で永遠に近い年月、外界と隔離された状態で(視覚は残ってる模様。当然、視線は動かせないけど)、意識だけ保ち続けているという、肉体の檻に囚われてるわけですな、Iさんは。イヤだなぁ。
 っつーかこれは、運動エネルギー云々で解決するモンじゃなく、時空間の方を歪めてるだろ、おい、な感じですが。
 とりあえず、この能力は、フラッシュ(3)が必要以上にスピードフォースと接触していたことで発動できた「超裏奥義」な模様。


▼スピードフォースの凄ぇ力:

 あさて、通常、物体が高速で移動するってぇと、こう反作用だぁの、空気抵抗だの摩擦熱だの衝撃波だのがアレしまして、はたまた光速の近所まで行きますと、赤方偏移とか、質量の増加とか、まぁ、その手の障害が生じてくる、ってのはみなさんご存じですね(知らなくてもこの際、頷いといてください)。

 で、まぁフラッシュたちも、一応、通常の物理法則の影響は、受けるわけですよ。一応は。
 ですが、スピードフォースってのは、恐ろしいことに、そうした高速移動時に生じる一切の影響をですね、打ち消してしまうことが出来るんです。

 えーと、皆さんお手持ちの、フラッシュが登場するコミックをですね、ちょいと見て下さい。その、フラッシュが能力を行使している時にはですね。その身体が稲妻状の(スピードフォースの)オーラで覆われて、ますね? このオーラがですね、空気抵抗、衝撃波、赤方変移、その他一切をキャンセルしてるんです。
 運動エネルギーの付与だの吸収だのもできるってことは、熱力学の法則すらも、無視できるようですな。

 凄いですね、実に。

 まぁ、マンガですから。<大無粋。

 つまり、このオーラに覆われてる限り、フラッシュのコスチュームは摩擦熱で燃えたりしませんし、フラッシュが市街地を音速で走っても、衝撃波で窓ガラスが割れたりしません。フラッシュが超音速で本を読んでも、めくったページが空気にぶち当たって爆散したりもしませんし、超超高速で飯を食って、噛んだパンが音速を突破して顎をぶち抜いたり、飲み込んだ後で味を認識する、とかいうこともないし、超光速で走ってる時に視界が赤方変移を起こしたりもしません。

 あと、このオーラは、使用者の周囲の任意の対象にも、同様の効果を与えてくれます(ただし、オーラを対象に接触させる必要アリ)。だから、恋人を胸に抱いたフラッシがマッハで走っても、恋人の首がもげたりしません。
 その他、柳田理科雄あたりがツッコミをいれてきそうな、面倒くさいもろもろの物理現象も、オーラ様のおかげで無効です。
 ありがたいですね(主にコミックの作者が)。

 ちなみにこのオーラってのは、通常は自分の身体の周囲にしか発生しないんですが、熟練者になりますと、このオーラの影響範囲を拡大(身体から2、3メートルぐらいまで延長可能)させることが可能となります。
 で、その辺の物体をこのオーラで包み込むことで、肉体的に接触することなく物体を移動させる、一種のテレキネシスとしても使用できます。

 で、このオーラってのは、ですな。劇中や各種資料にて明文化されたことはないのですが(……多分。下手したらお便りコーナーとかネット上の掲示板とかで明文化されてる場合も有るんで、断言はしませんが)、その効力の発揮する対象を「能力者の任意で」指定できる模様です。

 例えばこう、上記のように市街地に突風を巻き起こすことなく走るフラッシュは、一方でその場で高速回転することにより竜巻を起こして、悪人を巻き上げるということもしています。ですがこの「高速回転して竜巻を起こす」ってのは、オーラの「高速移動時に生じる一切の作用を打ち消す」ってのに明らかに矛盾していますね?

 これは竜巻を作ろうとしたときに限ったことではなく、「衝撃波を敵にぶつけて倒す」、「摩擦熱を利用して火を付けようとする」等々、能力者が高速移動時に生ずる物理現象を意図的に利用しようとする際、それらの現象に対してオーラの効果はキャンセルされます。

 以上のことから自分的には、こう、オーラってのは、使用者が任意の対象にその効力を及ばさないようにすることも可能だと、推測するのですが、どうすか。

 あと、フラッシュが音波なり衝撃波なりを敵に投射しようとする場合、普通だったらその波は、フラッシュを中心に放射状に拡散するはずなのに、大概は敵の方に、まっすぐ突き進んでます。
 っつーことは、オーラには能力者の任意で「高速移動で生ずる各物理現象に指向性を与える」能力も有るんじゃ、とか思ったりもしますが、いかがでしょうか。


 ま、かように能力者の意志の力で、物理現象を自在に制御する、っつーのがフラッシュさんたちの能力の本質でありますわ。

 つまり、その能力を効果的に用いるためには、能力者が“運動エネルギーを自在に操る”という力で、何がなし得るのか、ってのを知識として解っている必要があります。
 歴代のフラッシュが科学・物理分野に広範な知識を持つ人物だった(初代:研究所所員、2代目:科学捜査官、3代目:大学にて物理専攻)ことは、まさに天佑、と申せましょう(※)

(※)4代目フラッシュも「超高速で図書館の本を全部読んだ」ことで、一応、知性が底上げされてたのですが……(発揮する前に……)。

 かつて、他の誰よりもスピードフォースに通じた悪のスピードスター、セヴィターは、「速度が力ではない、知識こそが力なのだ」っつーケダシ名言を残しています。

余談:その昔ソビエトの科学者が、スピードフォースへの接触を可能にする薬品を作りまして、その人体実験を自分自身で行った所、摩擦熱で焼け死んだ、ってエピソードがありまして。
 これは恐らく薬品が不完全だった訳じゃなく、その科学者の中に「高速移動すれば摩擦熱が発生する」って知識を持ったまま実験しちゃったために、その無意識の「こうあるべきだ」って理屈をオーラが感知して、その摩擦熱の効果を打ち消しちゃったんじゃないかな、と、個人的に解釈してますが。
 一方で、フラッシュ3人の場合は、突然のアクシデントで能力を発現させために、こう、「高速移動すると色々起きる」とか無意識にでも考える前に、「何の問題もなく高速移動が可能」って現実を先に提示されたのが功を奏したんじゃないか、とか。まぁ、全部妄想ですが。

余談その2:『フラッシュ』(vol.2)の初期、まだスピードフォースの設定が登場してなかった頃は、フラッシュの身体のオーラは周囲の運動エネルギーを吸収して、フラッシュの推進力に変える能力を持ってる、とされてました。
 またこの当時、フラッシュさんは運動時に自身の体内のエネルギーも消費していたようで、能力を全開で使った後では、メシを多量に食ってエネルギーを補給する必要がありました。


▼スピードフォースの弱点

 さて、この能力とて万能ではございませんで、いくつかの弱点があります。

 最も致命的なのは、スピードフォースは能力者の身体能力に対して何らの影響も及ぼさない、という点です。たとえスピードフォースと接触している状態であろうと、彼らの肉体ってのは常人のそれと同じですんで、加えられた危害に対して容易に傷ついてしまうのですわ。これが(フラッシュの能力には周囲に停滞フィールドを投射する、一種のバリヤーもありますが、この能力は、無意識に発動出来る性質のものではないですし)。

 第2に、この能力の上限は、能力者の肉体及び精神状態に大きく左右されてしまいます。
 例えば、老人となり、相応に肉体・精神が衰えたフラッシュ(1)は、最盛期に比べてその能力は大きく落ちています。
 また、フラッシュ(3)は、『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』事件にて、先代フラッシュが死亡した後、彼の跡を継いでフラッシュを襲名したのですが、その際、先代の跡を継ぐ、ということに対する潜在意識下のプレッシャーによって、最高速がマッハ3前後にまで落ち込み、時に能力が全く使えなくなることすらありました。

 そして第3の弱点。それは、“もの凄ぇ便利過ぎ”ってことですか。
 いやもぉ、普段は「スピードフォース」&「オーラで無効化」でナシにして、都合が悪い時ゃ無効化を無効化、っつーのは、ね。ライター的に楽だよな、と。
 こう、“たか鬼”とかで小石を踏んづけて“地面より高いからセーフだよ”とかいったり、ジャンプして「空中だからセーフ」とかくだらねぇ理屈こねる小学生と同レベルっつーか。
 ま、そういう制限との戦いなんてのは、フラッシュという物語の本筋じゃないし、そういう些末なディティールを楽しむ、何てのは年長のマニヤくらいなんで、そう突っ込んでどうこういうものでもないですが(<じゃ、いうなよ)。

 で、最後に第4の、最も重要な弱点ですが、スピードスターたちはスピードフォースからあまり大量にエネルギーを引き出しすぎると、逆にスピードフォースに取り込まれてしまい、この次元から肉体が消失して、フォースと一体化してしまうんですわ。

 えー、長くなるんで、項を改めますが。


▼スピードフォースとの一体化

 でー、この「スピードフォースとの一体化」ですが、これまで幾度か、確認されてまして。
 例えば、
・フラッシュ(3):恋人をレーザー光線(当然ながら光速)から庇うために超光速を出して飲み込まれた
・ジョニー・クイック:娘のジェシー・クイックを救うために、限界以上の能力を引き出して飲み込まれた
 なんてぇ事例があります。

 また、能力者が熟練して、より強くスピードフォースにアクセスできるようになると、やっかいなことにスピードフォースに能力者が“呼ばれる”(※)ようにもなるようです。
 で、この呼び声にウッカリ答えて、走り出しちまうと、これまたスピードフォースに突入しちゃうのですな。

(※)この「呼ばれる」ってのは、「スピードの禅僧」の渾名で呼ばれる、マックス・マーキュリーがそう表現しているだけなんで、スピードフォースに意志があって、実際に「呼ぶ」のかどうかは、俺は知りませんが。<逃げた。

 ただし、スピードフォースに飲み込まれても、この世界に帰還できないことはないです。

 例えば、先の事例で、恋人を守って、スピードフォースに突入したフラッシュ(3)は、その「恋人への愛」がアンカーになって(クサいね、どうも)、スピードフォースに飲み込まれることなく、元の世界に帰還することに成功してます。
 ウォーリーさんがいうには、スピードフォースは能力者がこの次元に未練がある場合はそうそう「向こう側」へ引っ張らないそうです。

 また、「呼ばれて」も、スピードフォースへの突入に失敗することもあります。
 マックス・マーキュリーの場合、かつてスピードフォースに呼ばれて、次元の向こう側に突入しながら、最期の一瞬、集中を乱したために、スピードフォースに「弾かれ」、元の世界に帰還しています。ただし、「弾かれた」ショックで、時間を飛び超え、数十年後の未来に顕現しましたが。
 悪のスピードスター、セヴィターも、かつてマックス・マーキュリーらとの戦いで、スピードフォースに飲み込まれかけましたが、やはり弾かれ、数十年後に帰還を果たします。

 また、強力な魔力などを用いることで、スピードフォースに飲み込まれたものを「引きずり出す」ことも可能です。初代フラッシュの仇敵であったスピードスターのザ・ライバルは、一時スピードフォースに飲み込まれていたのですが、異次元の魔術に精通した悪人ジョニー・ソローの援助によって、この世界に帰還しています。

 ちなみに、飲み込まれる、あるいは弾かれるなりして、スピードフォースの“ヘリをかすめて”生還したスピードスターたちは、以前よりもその能力を格段にアップさせる、っつー副作用があります。“死に損なう程強くなる”サイヤ人方式ですな。


▼『インフィナイト・クライシス』以降のDCユニバースにおけるスピードフォース

 さて、長々と説明してきましたが。

 その、2006年に行われたクロスオーバー『インフィナイト・クライシス』。DCユニバースの世界観を大きく変えることとなったこのイベントにおきまして、ここまで長々と説明してきた「スピードフォース」の本質もまた、大きく変わっちまってます。


※こっから先は、『インフィナイト・クライシス』のネタバレを含みますので、注意してくださいな。

 さて、この『インフィナイト・クライシス』第5号で、この事件の黒幕の1人、スーパーボーイ・プライムが狂奔し、ティーン・タイタンズ歴代メンバーを含む、数十名のヒーローを相手に、大立ち回りを繰り広げたのですが。
 この際、3代目フラッシュと、初代フラッシュ、2代目キッド・フラッシュの3人は、スーパーボーイ・プライムを掴まえたまま超光速まで加速することで、スーパーボーイ・プライムもろともスピードフォースに突入しようと試みます。

 が、敵もさるもの、ヒッカくもの(<何十年前のセンスだ)。スーパーボーイ・プライムも抵抗しまして、なかなか超光速に達することができませんで。まず、初代フラッシュが、スタミナ切れで脱落。次いで3代目フラッシュが、エネルギー体となって時空の彼方に消え去ってしまいます。
 残されたキッド・フラッシュだけでは、スーパーボーイを封印できないかに思われたのですが、次の瞬間、彼らの前方に渦巻く時空の裂け目から、2代目フラッシュ、マックス・マーキュリー、ジョニー・クイックら、かつてスピードフォースの彼方に消失したスピードスターが現れ、キッド・フラッシュを援助、スーパーボーイをスピードフォース内に封印します。

 このできごとの後、ただ1人、この世界に残ったスピードスターである初代フラッシュは、「スピードフォースは失われた」といい捨てます。

 まあ、この後、スーパーボーイ・プライムは、封印された次元から脱出し、一方で、キッド・フラッシュも、彼の体感時間で4年の間、時空をさまよったあげくに、元のDCユニバースに帰還するのですが。

 でー、この『インフィナイト・クライシス』での描写で、1つ重要なのが、スーパーボーイ・プライムの封印を試みた時に、ジョニー・クイック、マックス・マーキュリー、2代目フラッシュの3人が、スピードフォース内から顕現した、ってトコですが。
 まず3人のうち、マックス・マーキュリーですが、実は彼は、「肉体をとある敵に乗っ取られた」ために、長年行方不明だったんですがね。とりあえず、このシーンを見る限りは、「肉体は奪われたものの、精神の方はスピードフォースと一体化していた」っつーことが判明しました。
 同様に、2代目フラッシュも、『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』事件後の帰趨が、「死亡した/光になった/行方不明になった/スピードフォースと一体化した」など、諸説あったのですが、このシーンによって、やはりスピードフォースと一体化していたことが判明しました。
 また、彼らスピードフォースと一体化したスピードスターたちは、(どのような状態になっているかはさておき)死亡したわけではなく、またそれぞれの自我も、依然、保っているであろうことが、このシーンからは推測できます。
 もしかしたら、「何らかの意志を持っている」とされる、スピードフォースの「意志」の正体は、彼らスピードフォースと一体化したスピードスターに他ならない、かもしれませんな(ま、作中で明言されてませんので、ここで断言する気はありませんが)。

 さて、この『インフィナイト・クライシス』でのスーパーボーイ・プライムとの戦いの結果、スピードフォースは消滅しちまいまして……以降、DCユニバースにおけるスピードスターは、初代フラッシュただ1人となります。
 何故にスピードフォースが消えたのに、初代フラッシュがスピードスターとして活躍できてんのか? と、いいますと、「実は、初代フラッシュは、元々高速移動能力を発揮するメタジーン(※)の持ち主だった」ことが判明したからです。
 だもんで、初代フラッシュは、『インフィナイト・クライシス』後も、スピードスターとしての活動を継続しています。ただし、スピードフォースの恩恵がないため、最高速度が音速程度にまで落ちています。

(※)メタジーン:地球人類の遺伝子に含まれる「超能力因子」のこと。主に、外的な要因(死ぬような危機に直面した時など)によってこの因子が発現し、なんらかの超能力が使えるようになる。
 つまり、DCユニバースにハルク(っぽいヒーロー)がいた場合、彼の超能力が発現した原因は、「ガンマ線の未知の力でハルクへの変身能力を獲得したから」ではなく、「致死量のガンマ線に被爆したことでメタジーンが発現し、ガンマ線に耐性を持つハルクへの変身能力を獲得したから」な感じになります。
 このメタジーンっつーのは、DCユニバースの超能力の獲得方法に「統一理論」をもたらす、画期的なガジェットなんですが、「浪漫がない」のが最大の弱点です。だってさぁ、「ユカタン半島に伝わる幻の果実・ジンゴの濃縮果汁を飲んで、両手足が伸びるようになった」っていう、ワンダーなオリジンが、「ジンゴの果汁が、ラルフ個人の遺伝子に含まれるメタジーンを刺激し……」とかいい直されても、ねぇ。
「アワーマンのミラクロピルは、彼のメタジーンにのみ適合するので、彼以外が飲んでも効かない。でも、彼の遺伝子を受け継ぐ息子ならOK」とかいう風に発展させたのは好きだけど。
 ちなみにこの設定の発案者はキース・ギフェン先生(『インヴェーション!』より)


 まぁ、初代フラッシュがこれまでメタジーン・ポジティブだったなら、かつてセヴィターとの戦いの際、スピードスターとスピードフォースとの接触が断たれた時、初代フラッシュが高速移動できなくなってたのはおかしくないか、とかいうツッコミもなくはないのですが(ま、「インフィナイト・クライシス事件での時空の混乱によって過去が変わった」とか、「インフィナイト・クライシス事件の直後に遅まきながらメタジーンが発現していた」とか、解釈はいくらでもつけられますが)。

 で、一方で、消滅したかに思われていたスピードフォースですが、『インフィナイト・クライシス』後に創刊された新『フラッシュ』オンゴーイングシリーズ(インフィナイト・クライシス事件から1年後のDCユニバースが舞台)で、驚きの事実が判明します。

 実は、くだんのスーパーボーイ・プライムとバート・アレン(元インパルス/元2代目キッド・フラッシュ/新『フラッシュ』の主人公)が、スピードフォースに突入した際、スピードフォースは完全に消滅したのではなく、いくらか残ったエネルギーがバートさんの肉体に吸収され、彼と一体化していたのであります。
 これにより、『インフィナイト・クライシス』後、スピードフォースとの接触を断たれ(たと、思いこんで)、キッド・フラッシュを引退していたバート・アレンくんは、やがて、スピードスターとしての能力を完全に取り戻し、4代目フラッシュとして活動を再開します。

 がー、ですな。それから約1年で、「スピードフォースの体現者はバート1人」な、この新設定も一変しちまいます。


※えー、ここからは、こないだ打ち切られた『フラッシュ』第4シリーズと、『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』&『ジャスティスソサエティ・オブ・アメリカ』両誌のネタバレになるんで注意。


 さて、手短にいいますと、『インフィナイト・クライシス』後に、4代目フラッシュを新主人公に迎えて創刊された『フラッシュ:ザ・ファーステストマン・アライブ』誌が、ですな……微妙に人気がなくて、その、打ち切られることになりまして。

 その最終号である『フラッシュ:ザ・ファーステストマン・アライブ』第13号にて、フラッシュ(バート)は、仇敵イナーシャの生み出した機械により、体内に宿ったスピードフォースを吸収されます。パワーを失ったバートは、なおも戦おうとしますが、キャプテン・コールド、ヒートウェーブ、ウェザー・ウィザードらの一斉攻撃を受け、死亡します。

 一方、『インフィナイト・クライシス』事件で、時空の彼方に消失したはずの3代目フラッシュこと、ウォーリー・ウェストは『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』誌 第8~10号と、『ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ』誌 第5~6号とのクロスオーバー・イベント「ライトニング・サーガ」事件にて、元の世界に帰還を果たします。

 でー、結果的には、フラッシュ(4)の体内のスピードフォースが解放されたことで、『インフィナイト・クライシス』以降のスピードフォースの設定は新設定は、ウヤムヤになりまして、元の状態に戻ったようです。

 めでたし、めでたし(スケープゴートにされたバートくんはめでたくも何ともねぇですが)。


●おまけ:スピードスターな方々:

▼フラッシュ(1):
 ジェイ・ギャリック。アメリカン・コミック史上初のスピードスター。希元素ハードウォーターの揮発したガスを吸い込み、スピードフォースに接触する能力を得る。現行の設定では、ジェイが正義の味方になったのは、パルプ雑誌に掲載されていたウィップ・ホイールウィンドの小説の影響が大きかったとか。キーストーンシティにて現役。
 戦後に、恋人ジョーンと結婚。子供はないが、現在も円満な夫婦生活を過ごす。
 現在は、スピードフォースとの接触する力はなくし、メタジーンによる超能力で、高速移動している……と、思いきや、まぁ、色々あってスピードフォースとの接触技能は復活した模様。

▼フラッシュ(2):
 バリー・アレン。セントラルシティ在住。落雷によって帯電した化学薬品を浴び、スピードスターの能力を得る。後に、恋人のアイリス・ウェストと結婚。アイリスの従弟である、ウォーリー・ウェストの叔父になる。後にバリーは引退し、アイリスと共に30世紀の未来にて過ごす。
 が、『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』事件の際、フラッシュに復帰。この事件の黒幕アンチモニターのアンチマター・キャノンを破壊するため、限界を超えて能力を使用した結果、スピードフォースと一体化した。
「光となったバリーは時空を遡り、落雷となって12年前のバリーに能力を与えた」という設定は、現行では無かったことにされてます。気を付けましょう。
 あと、マーヴ・ウルフマンによる小説版『クライシス』では、実は某キャラクターがスピードフォースに接触できるようになったのは、スピードフォースに突入したバリーが関与していた……とかいう描写もありますが、まぁ、これも気にしない方向で。

▼キッド・フラッシュ(1):
 ウォーリー・ウェスト。後のフラッシュ(3)。伯父であるバリー同様、落雷&化学薬品を浴びて能力を得る。
 後に未成熟な内に超能力を得た副作用で、「超能力を使うと寿命が縮む」ことが判明し、タイタンズのチームメイトだったロビンと共にヒーロー活動から引退(ロビンはその後、ナイトウィングとして復帰したのはご存じの通り)。

▼フラッシュ(3):
 一時期引退していたキッド・フラッシュことウォーリー・ウェストが『クライシス』後、死亡した叔父の跡を継いで新フラッシュに。上記の「超能力を使うと寿命が縮む」病気は、『クライシス』事件のさなかに、エネルギー波に打たれた影響で快癒(いいのか、それで)。
 程なく、初代フラッシュの妻ジョーンの薦めでキーストーンシティへ引越し。そこにて出会ったレポーターのリンダ・パークと恋人になり、紆余曲折を経て結婚。後にリンダとの間に双子をもうける。
『インフィナイト・クライシス』事件の際、リンダと双子と共に、異次元に消失した、かに思われていたが、現代に到来したリージョン・オブ・スーパーヒーローズのメンバーらによって、「彼方」より帰還。その直前に退場したフラッシュ(4)に代わり、再びフラッシュとしての活動を再開する。

▼インパルス:
 トルネード・ツインズ(後述)のドン・アレンと、メローニ・ザウンの息子で、バリーとアイリスの孫。ちなみにメローニはリバース・フラッシュの子孫。30世紀生まれ。生まれたときからスピードフォースへの接触技能を持っていた。能力の制御が出来ないため、祖母アイリスによって現代に連れてこられ、フラッシュたちのもとで指導を受けることに。
 後にキッド・フラッシュ(2)に改名。インフィナイト・クライシスを経て、フラッシュ(4)を襲名。

▼フラッシュ(3)ダッシュ:
 ウォルター・ウェスト。別次元の3代目フラッシュ。その次元にも存在していたセヴィターを倒した際、その技量の多くを自分のものとした。性格はウォーリーよりも残忍で衝動的で思いこみが激しい(ヒドイなぁ)。
「チェイン・ライトニング」事件でウォーリーが次元の彼方に消失した直後、入れ替わりでこの次元に顕現。一時期ウォーリーに代わり、フラッシュとして活動していた。
 後、異世界出身のウォルターが、この次元に長く留まり続けると、次元間に悪影響を与えることが判明したため、超光速を突破して“ハイパータイム”に突入。この次元から去る。元の世界に戻れたかは不明。

▼フラッシュ(4):
『インフィナイト・クライシス』事件から1年後、スピードフォースとの接触技能を取り戻したバートが、フラッシュ(3)の跡を継いで、新フラッシュになる。


▼アウェホタ<Ahwehota>/ウィンドランナー:
 19世紀頃に活躍した(設定上は)史上初のスピードスター。元は、騎兵隊の連絡係の青年が、ネイティブ・アメリカンのシャーマンの呪術によって高速移動能力を得たもの。彼はこの能力を用いて、騎兵隊とネイティブ・アメリカンとの無用の衝突を防ぎ、以降も、その力を人々のために用いていく。
 アウェホタは、ネイティブ・アメリカンの言葉で“風に乗りて駆けるもの”の意。

▼ウィップ・ホィールウィンド:
 19世紀末頃に活躍した、史上2番目のスピードスター……と思いきや、実は、スピードフォースに突入しかかり、しかし「弾かれた」ために時空を跳躍し、その時代に顕現したウィンドランナー。以降、この名を名乗って活動。

▼クイックシルバー:
 コミック史上2番目のスピードスター。元々はクォリティ・コミックス社のキャラクター。現行の設定では、実は、再度、時空を跳躍したウィンドランナー/ウィップ・ホィールウィンドが名乗っていた別名(ちなみにゴールデンエイジ当時、クィックシルバーの本名&オリジンが語られたことはなかったりする)。
 身よりはないが、1950年代に人妻と不倫した結果、娘が1人できる。

▼ブルーストリーク:
 1950年代末に活躍したスピードスター、と見せかけて、1957年頃に時空跳躍したクイックシルバーが名乗っていた名前。1950年代に、この名前のヒーローのコミックが存在していたわけではないので注意。

▼マックス・マーキュリー:
 一時期引退していたシルバーストリークが、「リターン・オブ・バリー・アレン」事件のさなかに、フラッシュ(1)の要請を受けて復帰。以前使っていた「クイックシルバー」の名前は、マーヴル・コミックス社が商標を獲得しちまってるため、マックス・マーキュリーなる名前で活動再開。
 後に、何の因果かインパルスの保護者に。
 近年、フラッシュ(1)の旧敵ザ・ライバルに肉体を乗っ取られる。残された精神はスピードフォースと一体化した模様。


▼ジョニー・クイック:
 本名ジョニー・チャンバース。コミック史上3番目(DCでは2番目の)スピードスター。4次元にアクセスする空間構造式「3X2(9YZ)4A」を唱えることで、スピードフォースにアクセスできる人。
 とりあえず、キャラがかぶってるフラッシュとの差異化のため「空も飛べる」ことにされる。
 後にスーパーヒロインのリバティ・ベレと結婚。娘ジェシーを授かる。1950年代にヒーローを引退した後は、健康食品の会社を興し、資産家となる。
「デッドヒート」事件で、レディ・セヴィターから娘を守るため、限界を超えた能力を発揮、結果スピードフォースに突入し、この次元から消失する。

▼ジェシー・クイック:
 本名ジェシー・チャンバース。ジョニー・クイックと、リバティ・ベレの娘。父親から次元式を教わり、スピードフォースに接触することが可能に。
 後に、フラッシュ(3)とズームとの戦いの際、フラッシュに彼女自身のパワーを貸したことでスピードフォースとの接触技能を失う(実際には、回復することはできたのだが、あえて回復しないことを選択)。
 以降、父親の残した会社の経営に専念していたが、『インフィナイト・クライシス』から程なくして、母親であるリバティ・ベレ譲りの超能力(怪力、耐弾性ほか)が突如発現。2代目リバティ・ベレとして、ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカに参加。またフラッシュ(4)の退場を受け、スピードフォースとの接触技能も復活した模様。

▼キャプテン・ブーメラン(2):
 本名オーウェン・マーサー。フラッシュの仇敵である初代キャプテン・ブーメランの息子。
 かつてキャプテン・ブーメランは、フラッシュ(2)との戦いで時空流に巻き込まれ、記憶を失った状態で30世紀に顕現。そこにて遭遇したメローニ・ザウン(バート・アレンの母親)との間に生まれたのがオーウェンになる。
 つまりはバート・アレンの異父兄弟なのだが、ブーメランが顕現した時代がバートの誕生前なのか、それとも後なのかは不明なため、どっちが兄なのかは謎。
 後に不明の理由により30世紀から現代に転送され、オーウェン・マーサーとして過ごす。
 後に、彼の存在を知ったキャプテン・ブーメランは、逡巡の末に息子と対面。彼に自身の持つブーメランの技術を教え込む。直後、ブーメランは死亡(詳細は『アイデンティティ・クライシス』読め。いや読むな)。オーウェンは父の跡を継ぎ、2代目キャプテン・ブーメランとなる。
 ザウン家の血筋に連なるせいか、微妙にスピードフォースとの接触が可能で、父親が危険に瀕した際、無意識に高速移動能力を発揮したことがある。『インフィナイト・クライシス』以降、その能力は消失した模様?
 バートの義兄弟なのだが、作中では遂に対面することはなかった。

追記:2007年9月に出た、『Outsiders Five of a Kind Week 1: Nightwing Boomerang』(長い)で、オーウェンが高速移動能力を発揮してました。どうもスピードフォースが戻ったことにより、高速移動能力が回復した模様。意識して能力を発動できるようになっているが、一方でまだ能力の行使に不慣れなこともあり、音速に達するのがせいぜい、といった所。


▼ジェイ・ウェスト&アイリス・ウェスト:
 フラッシュ(3)ことウォーリー・ウェストと、リンダの間に生まれた双子。それぞれ、生まれた直後にスピードフォースとの接触技能が発現。詳細は現行の『フラッシュ』読め。<いい加減。


▼ブルートリニティ:
 フラッシュを参考にソビエトが自力開発した3人のスピードスターのチーム。最初に実験の献体となった彼らは、高速移動能力と引き替えに、精神が不安定になる。
 内1人クリスチーナ・アレクサンドロノフは、後にレディ・フラッシュを自称したり、レディ・セヴィターになったりと、かなりくトラブルメーカーだったり。

▼レッドトリニティ:
 フラッシュを参考にソビエトが自力開発した3人のスピードスターのチームの、一応の完成版。精神的にも安定している。後にアメリカに亡命。

※ブルー&レッドトリニティはスピードフォースと接触しているわけではなく、特殊なステロイドの摂取や、特殊な電極の埋め込み、遺伝子改良などの複合により、高速移動能力を獲得している。その上限は音速程度。


▼プロフェッサー・ズーム/リバース・フラッシュ:
 エオバルド・ザウン。25世紀出身。フラッシュマニアの未来人が常軌を逸して誕生した悪のフラッシュで、20世紀に到来しては悪さをくり返す。フラッシュ(2)の生涯の仇敵。
 時間旅行系のキャラだけに、オリジンは微妙に錯綜しているので、知りたきゃ『バリー・アレンの帰還』のTPB読め。
 バリーの妻、アイリスを殺害(後に色々あって、死んでなかったことになるが)。更に後、バリーの新たな婚約者を狙う。この時、ズームはバリーによって強引にブレーキをかけられ、その反動で彼の首の骨が折れ死亡する。
 が、現在の『フラッシュ』誌上にも“死ぬ前の時点のズームが時を超えてやってきた”とかいう感じで、時折、健在な姿で登場する難儀なヤツ。

▼セヴィター:
 冷戦時代、東側のテストパイロットが飛行中にスピードフォースと接触し、誕生したスピードスター。スピードフォースを狂信的に崇めており、彼の神にふさわしくない他のスピードスター(ジョニー、ブルーストリーク※)を排除しようと画策。が、ブルーストリークスピードフォースに突入し消失。
 が、スピードフォースに弾かれたセヴィターは、『ゼロ・アワー』事件の直後の時点に顕現。他のスピードスターのスピードフォースとの接触を断った上で、彼らを抹殺しようとする。が、ウォーリーとの最終決戦で今度は本当にスピードフォースに突入し、この世界から消え去る。
※この時代、フラッシュ(1)は故郷のキーストーンシティ共々、異次元に封じられていた。<『インフィナイト・クライシス』以降もこの設定残ってるのかなぁ……。

▼ズーム(2):
 もとフラッシュ(3)の友人だったプロファイラーのハンター・ゾロモンが、時空エネルギーに被爆して高速移動能力を獲得した存在。色々あってフラッシュを逆恨みし、2代目のズームとなる。
 フラッシュ以上の高速移動能力を持つが、実はズームの能力は、自分の周囲の時間流を任意に操作するというものであり、スピードフォースからエネルギーを引き出してるワケではない。
 ……要するに、ズームは、回りの時間の流れをうんと遅くできるんだけど、ズーム自身はその空間を普通に移動出来るですよ。でー、例えばズームが秒速1メートルで走りつつ、周囲の時間の流れを1/1000にすると、周囲の人間にとっては、ズームは秒速1000メートルで走ってるように見えるんですわ。
 その、ドラえもんのひみつ道具の「狂時機(マッド・ウォッチ)」と同じ能力なんだけど、知らん?
 ……ただ、結局はズームの体感時間を速度と交換してるだけなんで、能力を行使すればするほど、ズームは年老いていくって欠点があるような……。
 あと、速度×時間分の距離を、実際にズーム自身が移動しなければならない、っつー致命的な欠点もあるし……(秒速10万キロを1分間維持するには、とりあえず、600万キロを自力で移動しなけりゃならない。時間の歩みを極限まで遅くした上で、ノロノロ歩いて600万キロ移動してもかまわないが、体感時間が限りなく犠牲になる)。
※ま、これらの弱点はコミック中では無視されてるんで、気にしないようにしよう。

▼イナーシャ:
 バート・アレンの祖父、ザウン大統領(プロフェッサー・ズームの子孫で、娘がアレン家に嫁いだことがどうしても我慢できない)が、孫に対する愛憎の結果、生み出したバートのクローン人間。バートと同じ遺伝子を持つため、スピードフォースへの接触技能を持つ。
 かつて、インパルス時代のバートを狙うが、自らの命を賭けてマックス・マーキュリーを救おうとしたバートの姿に、“復讐の道具”としてのみ作られた己のアイデンティティを揺らがせ敗北。
『インフィナイト・クライシス』後、イナーシャはフラッシュ(1)らと同様に、スピードフォースとの接触技能を喪失。代わりに、デスストロークより供与された麻薬「ヴェロシティ9」を用いて、高速移動能力を得る(音速程度)。その縁で、デスストロークのタイタンズ・ウェストにも参加したり。
 バートがフラッシュ(4)になった後は、フラッシュの仇敵達(通称:ローグス・ギャラリー)を招集し、彼らを騙して手駒として使い、バートのスピードフォースを奪おうとした。が、バートの体内からスピードフォースを引きずり出すものの、それを自身の物とすることは失敗。
 彼のその後の運命は、こないだ出た『オール・フラッシュ』増刊号を参照のこと。

▼ザ・ライバル:
 本名ドクター・クラリス。フラッシュ(1)ことジェイ・ギャリックの大学の恩師。彼は偶然、フラッシュの正体を知ったのをきっかけに、数年の歳月をかけて、スピードフォースに接触する方法を開発。フラッシュに似たコスチュームをまとう、謎の怪人ザ・ライバルを名乗り、更にスピードスターによるギャング団を結成して悪事を行う。
 が、彼らの超高速移動能力は、一時的なものであり、配下らの能力が切れた所をフラッシュ(1)にまとめて倒される。これが1949年のこと。その後、彼は再びパワーを回復し、フラッシュと交戦するが、激戦の果てにスピードフォースに引き込まれる。
 近年、ライバルは、悪人ジョニー・ソローによって、スピードフォースから開放され、彼のインジャスティス・ギャングに加入。新生JSAに所属していたフラッシュ(1)と再戦するも、スピードフォースの接触能力に熟達したフラッシュに破れる。
 その後、純粋なエネルギー体に変質したライバルは、マックス・マーキュリーの肉体を乗っ取り、いずこかの時代へ逃亡する。

▼ジョニー・クイック(その2):
 初代ジョニー・クイックの親類、ではなく、『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』(vol. 1)#29 [1964/8]にて初登場した、悪のスピードスター。
 我々の世界とは価値観が正反対で、スーパーマン、バットマンらが悪人として活躍し、悪人軍団クライム・シンジケートを結成している異世界アース3に住む。能力的には当時のフラッシュ(2)とほぼ互角。

▼ジョニー・クイック(その3):
『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』で、アース3が消滅&歴史が書き換わったのを受けて、ポスト・クライシスの世界観に登場したジョニー・クイック。っつーか、厳密には“登場”したわけではなく、「かつて、クライム・シンジケートという悪人軍団がいた」的な回想シーンで、背景に描かれたのが唯一の登場。
 このバージョンの彼は、アース3ではなく、異世界アンチマター・ユニバース出身のクワード人で、フラッシュに似た能力・コスチュームを見につけている。クワード人なので、常に目を真ん丸く見開いてるのがチャームポイント。

▼ジョニー・クイック(その4):
「ハイパータイム」の設定が元気だった頃に発表されたグラント・モリソン作の、『JLA:アース2』に登場する悪のスピードスター。
 アンチマター・ユニバースに存在する、地球に良く似た星(やはり、我々の世界とは価値観が逆転していて悪が常に勝利を収める)の悪人軍団、クライム・シンジケート・オブ・アメリカに所属。「スピード・ジュース」と呼ばれる麻薬により、スピードフォースとの接触技能を得る。

▼ジョニー・クイック(その5):
『インフィナイト・クライシス』後に誕生した「52ユニバース」内のアース3に住む悪のスピードスター。設定は、ジョニー・クイック(その4)のソレが大体踏襲されてる模様。ただし、所属チームは「クライム・ソサエティ」。


▼フラッシュ(ver. c27):
 ジョン・フォックス。27世紀出身の高速移動能力者。一時、未来に時空跳躍したフラッシュ(3)に代わり、現代のキーストーンシティの平和を守っていた。後に857世紀に飛びジャスティス・リージョンAに参加。

▼フラッシュ(3)(ver. KC):
『キングダム・カム』他に登場。ウォーリー・ウェスト。名前は同じでも、ウォルターと同じく別次元の3代目フラッシュ。なぜか初代のヘルメットを着用。
 一応、『インフィナイト・クライシス』後の、多次元宇宙が復活したDCユニバース(52ユニバース)においては、『キングダム・カム』の世界観は、アース22に相当する模様。なので、この人(厳密には、限りなくそっくりな別人)も、一応DCユニバース内にいる模様。

▼キッド・フラッシュ(ver. KC):
『キングダム・カム』、『タイタンズ』他に登場。ウォーリー・ウェストとその妻アンジェラ・マルゴルン・ウェスト(※アイリスでない点に注意)の娘。


▼トルネード・ツインズ:
 ドン・アレン&ドーン・アレン。『クライシス』で死んだバリー・アレンと、アイリス・ウェスト・アレンの間に授かった双子の子供。30世紀生まれ。異星人ドミネイターズの侵略軍との戦いで死亡する。
 ただし、2人共に、その戦いの以前に子供を授かっており(バートとジェニ)、フラッシュの血は耐えることなく後の時代に受け継がれる。

▼XS:
 本明ジェニ・オグナッツ。ドーン・アレンの娘で、バートの従妹。30世紀生まれ。インパルスとは異なり成長後にスピードフォースが発現。後に30世紀のヒーローチーム、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの一員。
 が、近年、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの歴史が書き変わり(リセットされ)、それ以降、XSはコミックには未登場。「今の『リージョン』のライター、マーク・ウェイドはXSの生みの親だし、出すよ、その内」などといわれて、はや3年……。「彼女の従兄のバートが消失していないんだから、XSも歴史からは消えていないはず」とは、いうものの。
 ……とりあえず、最近の『ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ』第7号で、スターマン(8)がXSの名前を言及してるけど……このスターマンって、消滅したはずの過去の無数の設定を脈絡なく口にするっつー、「あたまがおかしい」人なんで、その言を信用すべきかは……微妙。

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●なんたる書き逃げ・その2。

2007.10.17 Wed

 シリーズ「書きかけテキストをリメイク(略)」その5~。
 こないだのチナ・クラグストン・メジャーインタビューに続いて、今は亡き『PULP』の公式サイトから引っ張ってきた、ベン・ダンのインタビュー。

 っつーか、アレだ。現在『PULP』の公式サイトは、ウェブ・アーカイブですら見れなくなってて、このインタビューのオリジナルのテキストをはじめとする、数々の名コラム&インタビューが参照できなくなってるのは、大いなる文化的損失だといわざるをえん。
 まぁ、『PULP』実本のバックナンバーを買えば読めるんだけど……バックナンバー自体が非常に入手困難だっちゅうねん。

 とか、愚痴をこぼしつつ、書き逃げる。

 インタビューの時期は、多分、ベン・ダンが『マーヴル:マンガヴァース』の企画に入るか入らないかぐらいの時期で、ベン・ダン的に、ある意味でキャリアの頂点に近づいてた時期ですんで、割と大きな口を叩いてるのは勘弁してやってください。


▼インタビュー:ベン・ダン<Ben Dunn>
ニンジャ・ハイスクールの駆け抜けた時代


 インタビュアー:ジェイソン・トンプソン<Jason Thompson>

“マンガ・スタイル”のキャラクター・デザインを用いたアメリカ人は、1980年代初頭に現れた。そして、このムーブメントに追従した初の出版社は、ベン・ダンのアンタークティック・プレス<Antarctic Press>だった。
 ダンはサン・アントニオ<San Antonio>を拠点とする自費出版社アンタークティック・プレスを1984年に創設。そして1987年、彼の『ニンジャ・ハイスクール<Ninja High School>』(通称・NHS)は、安定したファンを得た、初の“マンガ・スタイル”コミックとなった。
 1985年のアンソロジー誌『マンガジン』に始まり、同社は多くの若手アーティストたちを孵化させていった。ダンは第2の代表作『ウォリアー・ナン・アレアラ<Warrior Nun Areala>』をもって、1990年代初頭のアメリカン・コミックス市場の凋落の波に乗り、最近再創刊された『マンガジン』やその他のタイトルをもって、今また、新世代のアニメファンに備えようとしている。

 1964年、台湾に生まれたベン・ダンは、ケンタッキー州ルイスヴィル<Louisville>と、テキサス州サン・アントニオで育った。
 ベンは、『ニンジャ・ハイスクール』、『タイガーX<Tiger-X>』、『マイティ・タイニー<Mighty Tiny>』、『ウォリアー・ナン・アレアラ』などの彼の個人作品(その多くは同一のユニバース内を舞台としている)に加え、『ダイナモ・ジョー<Dynamo Joe>』、『ソーズ・オブ・テキサス<Swords of Texas>』、『エアボーイ<Airboy>』、『スカウト<Scout>』、『ブシドー<Bushido>』、それに数多くのライセンシーを受けたアニメのコミック版を手がけた。
 最近、彼は大手のコミック出版社との、謎めいた新プロジェクト(※1)にかかる一方、『NHS』と、フレッド・ペリー<Fred Perry>の『ゴールド・ディガー』を原作としたアニメーションの共同プロデュース(※2)を手がけ、更に、『ガイガンター』と『ニンジャ・ハイスクール』の2誌を描いている。

(※1)謎めいた企画:『マーヴル・マンガヴァース』だと思われる。
(※2)ゴールド・ディガーはビデオアニメ化されたが(確か、原作者のフレッド・ペリーが自ら原画を描いた、家内制手工業アニメだったような)、ニンジャ・ハイスクールは実現してなかったような……。


パルプ:あなたがマンガを見つけたのは1977年、台湾を訪れた時と聞きました。それらは中国語版でしたか?

ベン:ああ、それらは全て海賊版の、中国語訳マンガだった。字は少しも読めなかったけど、絵はとても気に入ったよ(笑)。

パルプ:当時は、どの作品に興味を持ちましたか?

ベン:僕のお気に入りは、みんな巨大ロボットのマンガだった。わかるだろ? そうした作品は、沢山あったんだ。後になって、僕が熱狂してたのは永井豪の作品だったと知った。その他の作品にも熱中した……手塚、石ノ森、そして松本(零士)。それに『ゴルゴ13』のような作品や、その他の当時のマンガさ。

パルプ:それ以前に、TVで日本のアニメを見たことは?

ベン:僕は『バトル・オブ・プラネッツ<Battle of the Planets>』(※1)の大ファンだった。休みの時期、ブラウンズビル<Brownsville>で『スピードレーサー<Speed Racer>』(※2)を1話見たことを覚えている。とても好きだったよ。

(※1)『ガッチャマン』の北米向け再編集版。タイトル通り、各話の舞台は、ヨソの惑星ということに改変された。過剰な暴力描写がカットされたおかげで尺が足りなくなり、オリジナルキャラクターのロボットの、どうでもいいシーンが合間に挟まれることとなった。でも、人気は高かった。
(※2)『マッハGoGoGo』の北米版。こちらも人気は高かった。

パルプ:当時、他のマンガファンやアニメファンはいましたか?

ベン:いや、全く。僕は1人のマンガファンも知らなかった、少なくともサン・アントニオ<じゃあね。この頃からかな、僕がみんなにマンガを勧めだしたのは。僕は元々、マンガを台湾から持ってこようと思っていた。でも、やがて僕は考えた、“ふむ、これらは結局、海賊版だ。じゃ、これらを本当の出版社から持ってくることは、できないんだろうか?” 結局、このことがマンガをアメリカへ持ってこようとする試みの妨げとなった。それで僕は、次にすべきことは、僕の読んだマンガに基づいたコミックスを描くことだと考えた。

パルプ:その当時、既にあなたは、いつかマンガを翻訳することや、人々にマンガを紹介することを考えていましたか?

ベン:ああ! もちろんさ。僕の大きな夢、それは人々をマンガにハマらせることだった。なぜならマンガは、その当時、非常にユニークで、異質だったからだ。僕はマーヴルとDC、その他のフルカラーのコミックスで育ったんで、マンガは実に異質な経験だった。マンガは本当に分厚い、何百ページもあるような本で、すべて1色刷りだった。僕はそれまでそんな代物を見たことはなかった。加えて、マンガにはコミックス・コードもなかった。だから本当に暴力的で、突き抜けていて、実にクレイジーだった! で、思った。「こいつは俺のためにあるんだ」って。

パルプ:あなたはアメリカン・コミックスも読んでいたんですか?

ベン:勿論さ、僕はアメリカン・コミックスを読んでいた、なぜなら僕はアメリカン・コミックスが好きだったからだ。だから僕は考えた、なんで両方読まない? 僕は正に、アメリカ式のストーリー感覚に、マンガ的な見かけをなじませたんだ。

パルプ:子供の頃は、どんなアメリカン・コミックスを?

ベン:マーヴル、DC、『リッチー・リッチ』、時々は、アーチーも。僕は心底コミックを愛していた。コミックブックならなんでも読んだ。それだけだ。

パルプ:1977年から1984年にかけ、テキサスのマンガとアニメのファンダムは、どのように発達しましたか? あなたは、それらの黎明期から、深く関わっていましたか?

ベン:ああ、僕はとても深く関わった……実際の所、1978~1979年頃、オースティン<の「カートゥーン/ファンタジー・オーガニゼーション<」が立ち上がった時、僕はレギュラーで参加していた。当時僕はC/FOのサン・アントニオ支部すら開いた。僕はファンダムに深くはまりこんでいて、アニメとマンガを扱う、いかなる種類のサークルにも関わっていた。マンガよりは、アニメについてのサークルの方が多かったかな。当時はマンガは、ロクに気付かれてなかったからだ。マンガがダイレクト・マーケットにぼつぼつ流れ出したことに気付いたのが1980年代初頭かな。当時はそれほど沢山、翻訳物があった訳じゃなかった、しかし1984年か1985年頃、僕は『リオン2990<Rion 2990>』(※)なんかの“マンガ・インスパイア”のコミックを見るようになった。このことに駆り立てられた僕は、『マンガジン』を創刊し、やがては『ニンジャ・ハイスクール』を描くに至ったんだ。

(※)『リオン2990』:『鉄腕アトム』にインスパイアされた、アンドロイド少年が主人公な作品。最初期のマンガ・スタイルのコミック。画風はリンク先参照。第1号の表紙には、全4号と書かれているけど、実際には2号しか出ていないので注意。そういや、昔買ったけど読んでないや。<オイ

パルプ:あなたは最初から、自費出版を行うつもりだったのですか? それとも元々は、アーティストとしてコミック業界で働きだしたかった?

ベン:あー、解るだろ? 僕はアーティストとして、業界入りしようとしていた。でも……当時の僕は、充分に上手くはなかった(笑)。それで僕は考えた。僕が業界に食い込むには、僕自身でコミックを出版するしかない、と。それで僕は、僕自身の“マンガ・インスパイア”を描くために、僕自身の会社を開始した、何故なら当時、そんなスタイルは受け入れられておらず、なにがしか“マンガ・インスパイア”されたコミックを描くには、それが唯一の道だった。そして、僕が多くの本を手がけるにつれ、マンガの独特のスタイルに興味を持つ人々との接触が増えていった。それで僕は、彼らに寄稿してくれるよう頼み、その作品も出版しだした。

パルプ:それらの人々の中で、現在も寄稿してくれる方は?

ベン:初期の寄稿者の1人は『ゴールド・ディガー』のフレッド・ペリーだった。それと嘘みたいな話だが、後にイメージで作品を描いているデイヴ・ジョンソン<Dave Johnson>もだ。ロバート・デヘズース<Robert De Jesus>(※)、ロッド・エスピノーザ<Rod Espinoza>、それらみんなさ。僕らは互いに引き寄せられたんだ。だろ?

(※)ロバート・デヘズース:1990年代前半のマンガ・スタイルの作家の中でも、群を抜いた画力の持ち主だったと、個人的には思う。絶望的なほどに遅筆な上に、後にベン・ダンと喧嘩別れしてアンタークティックを離脱。その後カットしか描かないマンガ家を経て、カットすら描かないマンガ家にジョブチェンジという、ありがちな転落をたどり、ある意味、伝説に。画風は公式サイト(更新止まりっぱなしだけど)参照。

パルプ:あなたが1985年に『マンガジン』を創刊した時、アニメは広く知られていましたか?

ベン:ああ、クソ、「ノー」だ。実にまったく、当時のファンダムの主流じゃあなかった。しかしいまや、マンガは広く流行し始めた。むしろ、僕の見たところでは、かなり浸透もしている。表現方法としてもだ。

パルプ:そして1986年に『プロジェクトA子』が日本でリリースされました。あなたはこの作品に最も強く影響を受け、また、この作品がオールタイム・ベストのアニメだといわれてましたよね?

ベン:実際には、ベストの1つさ(笑)。その異質さ、特異さに加えて、フザケたキテレツなユーモアが、僕を打ちのめした。そして僕は、この作品が僕のコミックを描く上での偉大な出発点になるだろうと思った。もちろん、僕は他の作品の影響も受けている、『うる星やつら』や、永井豪、松本零士からも。僕は、自分の好きなアニメとマンガの全ての要素を、僕自身の作品に組み込んだ。

パルプ:あなたはコメディに関心があるようですが。

ベン:ああ、コメディは偉大だよ。笑うことが嫌いな奴なんているかい? それにね、適切になされたコメディは、同時にドラマも生み出すんだ。

パルプ:『ニンジャ・ハイスクール』の創造に至ったものはなんですか?

ベン:君もいったように、僕は『プロジェクトA子』を見て、とても気に入った。そして僕は新たな雑誌を立ち上げようとしていた。なぜって、(『マンガジン』のような)アンソロジー形式の雑誌では、できることは限られていたからだ。だから、単独の雑誌が必要だった。で、僕にはいくつかの選択があった。僕はスーパーヒーローものをすることもできた、こいつはいわば、先の見える道さ。でも僕は、アニメ/マンガパロディの本を描くことに賭けて、その道の先に何があるか見てみようと思った。僕は元々、シリーズを全3号にしようと考えていた。もしもうまくいかなければ、別の作品に移ることができるからね。でも、幸いなことに、うまくいった。そして、今やみんながいうように、歴史が生まれたんだ。

パルプ:『ニンジャ・ハイスクール』は、マンガを知らない人にとっても取っつきやすい本でしたね。同作は、私が初めて見た“マンガ・スタイル”コミックでしたが、その全部のジョークが解らないにしても、とても面白い本だと思えました。

ベン:(笑)。ああ、そこが重要なんだってことは、自覚してるよ。マイナーな方へ行きすぎては、誰もついてこれやしない。だから、そうしたものを書く時は、せめて読者が予備知識なしで解るような話にしようとしている。そして、その要素ってのが、僕にとっては最も重要なのさ。元ネタを知っている読者への、ちょっとしたお遊びで、内輪ネタを書くことはある。でも、大半の部分は、アニメやマンガについて知らなくても、何が起きているのか理解できるように書いている。

パルプ:ダイレクト・セールスの市場と、自費出版の方法は、どのように見いだしましたか?

ベン:少し前から、ダイレクト・セールス市場については知っていたよ。『タートルズ』が先鞭となって、この市場は小規模のインディーズ系出版社に開かれたんだ。同時期、僕はダイヤモンドやキャピタルシティ、その他もろもろについての情報を集め出していたんだが、驚いたことに、彼らとの手続きは、非常に簡単だったんだ(※)

(※)ダイヤモンド、キャピタルシティは、いずれもダイレクト・セールス専門のコミックの卸問屋。手続きの方法は、聞いたところによると、彼らの担当者に自社のコミックを送りつけて、むこうに「まぁ、売れるだろう」と見なされたら扱ってもらえるんだとか(<まぁ、地方の出版社もあるし、いちいち面接とかはしてられんわな)。

パルプ:一時期、エターニティ・コミックス<Eternity Comics>(※)が『ニンジャ・ハイスクール』を出版していましたが。

ベン:当時、マリブ・コミックス<Malibu Comics>、あるいはエターニティ・コミックスは、正に拡大していた。そして彼らは、いくつかの小規模のインディーズと連携したがっていた。彼らは僕らにも極めて良いオファーをしてくれて、まあ、トントン拍子に合意した。それで、およそ5年間、彼らのために『NHS』を描いた。

(※)エターニティ・コミックス:1986年に創業したマリブ・コミックス社のレーベルの1つ(ってことでいいのか?)。主にクリエイターオウンの作品を出版していたが、『キャプテン・ハーロック』などの、アニメのコミック版なども出していた。母体であるマリブ・コミックスが1990年代中頃にマーヴル・コミックス社に買収されたのを受けて、解散。

パルプ:『A子』や『ロボテック』(インタビュアー註:1980年代のコミコ<Comico>版ではない。アンタークティック・プレスは1990年代後半にライセンスを取得している)、『ガイガンター(※)のような、ライセンス・コミックを手がけるのは、どんな具合でしたか?

(※)ガイガンター:横山光輝のマンガ『鉄人28号』を原作とした、エイケン制作のモノクロアニメ版『鉄人28号』の、北米輸出時につけられたタイトル。ちなみに、諸事情により、ベン・ダンのコミック版『ガイガンター』は、光プロの許諾を得ずに製作されてたりする。→ヒント

ベン:ライセンサーとの応対をしないでいいなら、非常に楽しいよ(笑)。もしもむこうが好きにやらせてくれるなら、こっちは誰かのオモチャで遊んでりゃいいだけさ。でも、こっちがオモチャで遊んでいる間、向こうが見張っているんなら、面白くはないさ。そりゃ、なにがしかの楽しさはある、でも山ほどの制限事項もある。しかも僕らは、最終的に、それらの作品を自分の物にできない。で、けして自分の物にできないものに、自分の全てを投入したいと思うかい?

パルプ:『プロジェクトA子』のコミック版は、とりわけ、楽しめましたか?

ベン:ああ、描いてて楽しかった。面白かったけど、ただ1つの問題は、それがビデオ版のコミック化だったってこと、誰もが、そいつの母親ですら、数え切れないくらい見返してるものをコミック化した、ってことさ。誰もまだ見たことのない、読んだことのない作品ってことが、コミック版を描く唯一の理由になるのに、さ。僕は新作を、新しいストーリーを描きたかった。でも、向こうはうんとはいわなかった。でもね、ビデオ版を見たい奴が、コミック版を読もうと思うかい?

パルプ:あなたがアズリアル<Asrial>やマイティ・タイニーMighty Tiny>(※)を創造した際、いわゆる“ケモノ萌え<furry>”のファン層というのは存在していましたか?

(※)いずれもケモノ系のキャラクター。日本の「ケモノ萌え」マンガは、基本的に人間にネコミミやシッポなどの「パーツ」がついているだけなのに対し、アメリカの「ケモノ萌え」コミックの多くは、動物と人間の混ぜ込む比率がかなりイーブンに近く、多くのキャラクターは全身フサフサの「ファー(毛)」で覆われている(だから、向こうのケモノ萌えのファンのことは「ファーリー」という)。

ベン・ダン:勿論! 実際、当時は“ケモノ萌え”はアニメやマンガのファンダムよりも強い勢力だった。『アルベド<Albedo>』、『ウサギ・ヨージンボー<Usagi Yojimbo>』、『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ<Teenage Mutant Ninja Turtles>』、『フィッシュ・ポリス<Fish Police>』、『クンフー・カンガルー・ラッツ<Kung Fu Kangaroo Rats>』等々が大人気だった。僕にいわせれば、あの当時は擬人化もの<anthropomorphics>のゴールデン・エイジだった(※)。僕はケモノを描くのが好きだ、でも僕は、ケモノ萌えだけで彼らを捉えてる訳じゃない。僕は、ケモノをストーリーテーリングの技法の1つとしても、考えているんだ。

(※)けだし、名言だと思う。

パルプ:あなたは軍隊にいたことはありますか? あなたとテッド・ノムラ<Ted Nomura>(※)の作品はメカとミリタリー的な要素が山のように盛り込まれているようですが。

(※)テッド・ノムラ:アンタークティック・プレスの作家の1人。その名の通り日系人。1980年代から『ルフトバッフェ1946』などの架空戦記ものを延々と描き続けている、ある種の鉄人。あまり読んだことないので、画風などの評価は避ける。

ベン:僕は高校ではジュニア・リザーブ・オフィサー・コー<Junior Reserve officer corps>(※)にいた。けど、軍隊に入ったことはないね。いやいや、ミリタリーを楽しむのに、軍に入る必要はないよ。ま、僕は今ではテッドが軍にいたことを知ってるし、その上、彼はつま先までミリタリー浸けだ。だから彼は、そうしたことには慣れ親しんでいるだろうけどね。

(※)正式には「ジュニア・リザーブ・オフィサー・トレーニング・コー<Junior Reserve Officer Training Corps>」。通称・JROTC。高校の通常授業の一環として、志願した生徒に対し軍人になるための訓練を授けるプログラム。指導に当たるのは現役の軍人で、訓練中はきちんと軍服を着る。大学にも同様のプログラムがあって、こちらは「リザーブ・オフィサー・トレーニング・コー」と呼ぶ。ま、「Reserve Officer Training Corps」で検索すると、日本語で解説してるページもあるので、ググれ。

パルプ:1993年から1995年にかけ、アンタークティック・プレスは『ウォリアー・ナン・アレアラ』などの影響で大きく成長しました。そしてあなたは『ボックス・オフィス・ポイズン<Box Office Poison>』のようなオルタネイティブ・コミックの出版も始めましたよね。

ベン:その頃は、僕らがマンガ翻訳を初めだしたころでもあるね。僕らは、初めて“ドウジンシ”という言葉を流布させ、みんなにコミック・マーケットを知らしめた会社の1つだった。僕らはまた、僕ら自身のアクション・フィギュアを手がけた最初のコミック出版社さ。そうとも、僕らは沢山の「初めて」をやった。そして僕らは、今や珍しくなったイヤーブックとアニュアルも出している。僕らは他とは異なってなければならない、解るかい。だから、僕らは他と一線を画せるものを見つけたら、まっすぐ飛び込んで行くのさ。

パルプ:あなたにマンガの出版を始めさせるに至った、日本のアーティストとの接触は、どのように築かれたのですか、?

ベン:文通から始めたのさ。僕は日本人のペンパル(※)がいる、もう、11年くらいのつきあいになる。偶然彼は、君らがファンサークルと呼ぶものの会長だった。だが彼のジャンルは、皮肉にもアメリカン・コミックスだったんだ。彼は「コミックス・バイヤーズ・ガイド<Comics Buyer's Guide>」誌を通じて僕に接触してきた。そして僕らは実に仲良しになった。やがて彼は、彼のドウジンシについて話してくれた。僕が“ドウジンシって、一体なんだ?”って聞いたら、彼はそれがどんなものか教えてくれた、基本的にはファンジンで、彼のはアメリカン・コミックス、とりわけスーパーヒーロー・コミックスを扱っている。それで僕は聞いた“もっとドウジンシとやらについて教えてくれよ”。彼は教えてくれた。うん、コミックマーケットについても話してくれたし、いくらかのドウジンシも送ってくれた――大箱に一杯、もらったよ。で、僕はとても感動した上に、ちょっとしたアイデアもひらめいた。“そうだ、僕はメインストリームのマンガを出せないとしても、多分、こういったものなら出版できるぞ”。そして僕はコミック・マーケットについても学んだ。その場に行って、そうした事柄について話した。それから滞在中には、僕はいくらかの日本の出版社に行き、マンガについて交渉もした。

(※)CLA会長石川裕人その人である。

パルプ:あなたの会社が翻訳し、出版したはじめてのマンガは何でしたか?

ベン:僕らが翻訳した最初期のマンガは、『マイティ・ボムシェルズ<Mighty Bombshells>』(※1)[1993/9]って奴だ。作者のユージン・イシカワは、皮肉にも、マーヴル・コミックスの日本語版(※2)の編集者だった。そして彼は、マンガ版『X-メン』(※2)を手がけた責任者の1人だった。

(※1)『マイティ・ボムシェルズ』:これ。
(※2)小学館プロダクション版の邦訳コミック群。
(※3)日本人作家による竹書房版『X-メン』。

パルプ:編集者で、ライターではないのですね?

ベン:ああ、彼は編集者の1人だ。彼はまた、2、3の物語も描いている。彼は『マイティ・ボム・シェルズ』のライトとアートを担当した。この作品は基本的には日本的なスタイルのアメリカン・スーパーヒーローの物語だ。この作品はまた、“アメリカン・スーパーヒーローのマンガ版をやったっていいだろ?”ってアイデアをくれた(笑)。それで僕は、彼のファンジン『ジャスティス<Justice>』のリプリントも出した[1994]。

パルプ:あなたのペン・パルは、『ガジェット<Gadget>』も手がけたのですか?

ベン:ああ、彼は『ガジェット』と『ジャスティス』(※)を手掛けた。そして彼らのメンバーの1人は、驚いたことに『ポケモン<Pokemon>』を手掛けた、トシヒロ・オノだ。“マンガ的にスーパーヒーロー・コミックスを扱う”という方向性についての、おおよその考えは、ここから得たんだ。

(※)いずれもCLAの同人誌。

パルプ:あなたは、どんなスーパーヒーロー・コミックを読みますか?

ベン:たまにだけど、『デス:ザ・ハイコスト・オブ・リビング<Death: The High Cost of Living>』やなんかの、僕の好みに合った作品を読む。それに沢山の戦争ものコミックを読んだ。『エネミー・エース』や『ミニストリー・オブ・スペース』みたいなものを。だが実の所、今は、ほんの少ししかスーパーヒーロー・コミックを読んでいない。もう、それほど興味を引かれないからだが、時々は読んでいるよ。『バトル・チェイサーズ<Battle Chasers>』や『クリムゾン<Crimson>』といったものをね。一種のマンガ・スタイルで描かれているそれらの作品に、僕も遅れずについて行かねばならないからね。

パルプ:『ウォリアー・ナン・アレアラ』[1993]についてですが、これは、当時の市場に出だしていた作品(※)に対するリアクションとして、誕生したものでしたか?

(※)『レディ・デス』や『パーガトリー』、『アヴェンジリン』、『ダークチャイルド』、『ヴァンピレラ』などなど、「悪そうな見かけのお姉ちゃんが悪人どもを容赦なく切り刻む」感じの、バッドガール・コミックスが1990年代初頭にブームになっていた。

ベン:ああ、まったくイエスだ。僕は一連のバッド・ガールの狂乱にウンザリしていた。ばかげた流行だと思っていたけど、明白な稼ぎ時だとも思っていた。あんな、女戦士みたいなのを描けばいいんだろって。僕は思ったんだ。“この時流に乗らない手はないぞ? 僕だって、できるだろ”ってね。

パルプ:あなたはそれらをパロディとして始めたのですか?

ベン:ああ、こいつは僕からの、全てのバッド・ガール的なものへのパロディだ。でも当時は誰も気付かなかった。彼らは単に、また別のバッド・ガール・コミックスだと思った。ま、正直、あの当時くらいのセールスが今もあればと思うよ(笑)。

パルプ:では、現在あなたの会社が集中している事柄、そしてあなた個人が集中している事柄は、何でしょう?

ベン:僕らは、そもそも会社をスタートさせた時に目指していたものに戻ったんだ。――良質で、堅実な、クリエイター・オウンの作品だ。それと、読者を育てることに集中した。作家たちをそれぞれの作品に張り付かせ、各誌をスケジュール通り出すようにした。これが僕らの原動力だ。そしてこれは、僕らが、元々やろうとしていたことでもある。

パルプ:3度目の『マンガジン』の創刊が、その幕を切ることに?

ベン:正にね。僕らは何か少しだけ違ったもの、何か少しだけ違ったものを実験してみようと決めた。解るだろ? で、ボリュームのあるコミックブックに対し、小売りや人々がどんな反応をするかを見ようとした。今までの所、僕らは良くやっているよ。

パルプ:ダークホースの『スーパー・マンガ・ブラスト!<Super Manga Blast!>』や、ヴィズの『アニメリカ・エクストラ<Animerica Extra>』のように、今や多くの人間がアンソロジー誌を試みているように見えます。『マンガジン』も、幾分、それらに似たフォーマットになるでしょうか。

ベン:ああ。僕は彼らを賞賛しなければならない。実に勇気ある決断だと。正直いって、彼らの雑誌がうまくいくことを願ってやまない。『マンガジン』が、それらと唯一異なるのは、1色刷りの作品に加えて、カラーもあるってことだ。アメリカの読者はカラーを好む、というのが僕の信念だ。みんなは、カラーに慣れ親しんでいる。もしもカラーでマンガを出せれば、多分もっと売り上げを伸ばせるよ。問題は制作費が許してくれるか、ってことだけど。

パルプ:1985年当時、アニメとマンガを知るものが無く、あなたが初めて、唯一、マンガ・スタイルのコミックを描いていた当時と比べて、アンタークティックのイメージが変わったことについてどう思いますか?

ベン:僕は、何であれ過去にやったものに留まるのは嫌いなんだ。過去の栄光に腰掛けてたらね、変わりゆく読者の好みについていくのが上手い、より迅速で素早い会社に。だから僕らはできうる限り迅速で素早くありたいと試みている。これが自分自身の本を描く長所さ。マンガの場合、翻訳されている本は、おそらく数ヶ月前、数年前、あるいはそれ以上古い本だろう。そしてそれらが、全く新しいか、あるいはアメリカの読者に向けて特別に描かれたものでなければ、大概本を買うだろう読者の多くは、既にそうしたものを読んでしまっている。僕らがそれらに対して一種のアドバンテージを持っているのは、僕らの本はいつでも買った時が新作だ、ってことさ。本質的には焼き直しのものなど、誰も買いやしないさ。それと僕は、マンガ・アーティストがアメリカン・コミックスを手がけることが現在の流行だと見ている。そして僕の見たところ、これはまだ大きく発展する余地のある流行だと思うね。

パルプ:どういうことですか?

ベン:僕はとある会社からEメールを受け取った。その会社は日本のマンガ・アーティストに合衆国でオリジナルの作品を描かせるブローカーのようだった。それと僕は、『サイレント・メビウス』の作者、麻宮騎亜が何かアメリカの市場に向けた作品を描いてると聞いている(※イメージ・コミックから出たのカラー版『ダーク・エンジェル:フェニックス・リザレクション<Dark Angel: Phoenix Resurrection>』のこと)。だからこれは確かに流行なんだと思うし、これが良い流れだと思っている。マンガの洗礼を浴びた人が増えるのは、いいことだからね。

パルプ:『NHSアニュアル』に寄稿していた、マイナーな日本のアーティストがいませんでしたか?

ベン:それらは実際には日本の『ニンジャ・ハイスクール』のファンサークルが描いたものだ。タケシ・スズキ(※)という奴がいてね、彼はサークルを率いてて、『ニンジャ・ハイスクール』の大ファンだった。彼は僕に恒常的に作品を送ってくれて、エターニティから選集を出版できるほどの作品がそろったんだ。

(※)タケシ・スズキ:「ヤングパーソンズ・ガイド:ニンジャ・ハイスクール」とかいう『ニンジャ・ハイスクール』の解説同人誌を出してたと思う(おいらも1冊持ってる。今、現物手元にないけど)。昔、「ニンジャ・ハイスクール」でググったら、色々とベン・ダンとの生臭い思い出を書いたページを見つけたんだけど、今じゃ消えてるみたい。っつーか、「ニンジャ・ハイスクール」って名前のラップ・グループがデビューしたお陰で、ググるのが非常に困難だ。

パルプ:あなたは、かつてエターニティとしたような、他との提携を選ぶ気はありますか? そもそも、自身のコミックを描いて給料をもらうという待遇は、あなたが望んでいた理想的な環境でしたか?

ベン:そいつは難しい質問だ。僕は大部分のところ、安定した給金なんかは気にしていない。だが、自分自身の運命を決めることについては、黙ってられないね。僕がエターニティで働いていると、むこうの気まぐれにつきあわざるを得ず、そして何であれ僕のしたいことをできなくなる。実の所、当時むこうは僕の作品に2、3度検閲を加えなければならなかった。故に、僕は全てをコントロールできていなかった。でも、自分自身で出版できるなら、自分がボスだ。誰も何をすべきかいってこない。思うまま望むままに、自分の本の方向性を定めることができる。こいつは基本的には長所だが、同時に短所でもある。次の給料がどこから来るかってのが、解りゃしないからね。(笑)
 
 

  
  
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タグ:アメリカのマンガ

●インキング、な日々。

2007.10.16 Tue

 シリーズ「書きかけで放り出してたテキストをリメイクして(略)」その4。
 今回もまた、英語版Wikipediaの適当なコピー&ペーストして超訳。
 こう、俺ら(「ら」で括るな)にとっては休職のオバちゃん並に当たり前な職業である、「インカー」という存在は、世の中の人にとっては、案外カルチャーショックなモノであるやもしれない、ということに気づいたことがあって(<それはあなたの「当たり前」のボーダーが歪んでるだけです)、その時に発作的に訳してたもの。
 これもダイレクト・マーケットの記事と同じく、その内書き足す予定。


▼インカー<Inker>

「インカー」は、伝統的なコミックブックやグラフィック・ノベルにおいて2種存在する「ライン・アーティスト」の1つである(もう1つは「ペンシラー」)。
 インカーは、ペンシラーから託された下描き(あるいはそのコピー)を、黒インク(大概は墨汁<India ink>)を用い、ラフに描かれた鉛筆の線の上から、洗練された描線を引いていく(インキング)職業である。
 使用する画材はペン(つけペン、サインペン、マーカーなど)と筆(日本製の筆ペンなども含む)が主流で、多くのインカーはその双方を使い分けている。
 一般に、インカーはページ内の全てのインキングに対して責任を持つが、擬音などのレタリング部分は、「レタラー」が処理する。

 メインストリームのコミックブックでは、下描きとインクは別個の人間が担当(分業)するが、コミック・ストリップ(新聞マンガ)においては、日本のマンガと同様、1人のアーティストが下描き、インキング、レタリングまでの責任を持つことが多い(例えばチャールズ・M.シュルツ<Charles M. Schulz>のように)。
 ただし、新聞マンガでも、雇われたアシスタントらがインキングを担当するケースもある。また日曜版などに掲載されるカラー印刷の新聞マンガは、大概、別個にカラリスト(彩色担当者)がつく。

 適切なインキングは、コミックの画に、商品としての見栄えを与えるのに不可欠なものである。が、大概、インカーは、ペンシラーに対して、技能的で、華やかさに欠ける職だと見られ、多くは正当な評価を得ていない。
 こうしたイメージは、コミック界を舞台としたケビン・スミス<Kevin Smith>の映画『チェイシング・エイミー<Chasing Amy>』でもパロディされている。
 この作品の登場人物の1人バンキー・エドワーズ<Banky Edwards>は、プロのインカーだが、作中では彼はペンシラーのホールデン・マクニール<Holden McNeil>の描いた絵を、単に“なぞっている”だけだと責められている。

 確かに、インキングは下描きをなぞる作業だが、その過程で下描きの意味を汲み取り、描線に適切な重みを与え、誤りを修正し、その他の創造的な選択を行うことが求められる。
 故に、ペンシラーの最終的なアートの見栄えの大部分は、インカー次第で変化するといえる。
 優れたインカーは、単に鉛筆線を、ペンと筆の描線に翻案する以上の仕事を行う。その作業は、ペンシラーが、どの程度下描きに描き込んでいるかにもよるが、(下描きに無い)陰影のタッチを加えることは普遍的に行われている。
 また、ペンシラーが大雑把にエンピツで塗った影を、そのままベタで塗りつぶすのか、あるいはカケアミで段階的な影をつけるのか、といった判断は、インカー個人に委ねられており、故に完成原稿におけるベタや影の面積の割合に、インカーは大きく関与することとなる。
 経験を積んだインカーが新人のペンシラーとペアを組む場合、そのインカーは下描きの解剖学上や表情などの誤りを修正し、その他様々な手段を駆使してアートワークを変更・改良する責任を引き受ける。

 一部のインカーは、まずページの基本的なレイアウト(コンテ)を自身で行い、それをペンシラーに渡して詳細な下描きを描かせ、しかる後に自分がペン入れを行うという、インカーを主体とした工程で、仕事をしている。
 この手法はジョー・サイモン<Joe Simon>がジャック・カービー<Jack Kirby>のインカーだった頃によく行っていた。また、マイケル・ギルバート<Michael Gilbert>が『メルニボネのエルリック<the Elric of Melnibone>』のコミック版で、ペンシラーのクレイグ・ラッセル<Craig Russell>と組んだ際にも、同様の工程で作業している。

 メインストリームのコミックブックでも、少なくないアーティストが、恒常的に自身の下描きをペン入れしている。
 ジョー・キューバート<Joe Kubert>やジム・アパロ<Jim Aparo>は、大概、下描き、ペン入れ、レタリング、さらにフキダシを置く位置の検討までを自身で行っている。
 またスティーブ・ディッコ<Steve Ditko>、カート・シャッフェンバーガー<Kurt Schaffenburger>、ニック・カーディ<Nick Cardy>、ビル・エベレット<Bill Everett>のようなアーティストも、かなりの割合で、自身の画にペン入れを行い、時に他のペンシラーのペン入れもした。
 ちなみに、ペンシラーがインキングまで行った場合、(当たり前だが)そのペンシラーは、本来インカーに払われる分の予算も受け取れる。デビュー当時のロブ・ライフェルド<Rob Liefeld>は、苦しい実家の家計を支えるために、進んで自分のペンシルワークにインキングを行ったという。

 なお、上記で紹介しているペンシラーとインカーの区分は、ペンシラーとインカーが個々に出版社に雇われ、ペアを組んだ場合の通例である。
 フリーのアーティストがインク担当のアシスタントを雇うような場合、こうした構造は流動的となる。
 例えばあるアーティストのスタジオでは、彼が全てのキャラクターの顔をペン入れする一方で、アシスタントにキャラクターの身体や、背景その他のインクを託している。また他のスタジオでは、より複雑で、より密接な協力体制で仕事を行う場合もある。
 日本のマンガにおいては、作家本人が、メインとなるキャラクターのみペンシル・インキングまでを行い、背景や、モブのキャラクターのペンシル・インキングをアシスタントに行わせる、という作業が主流である。このため、モブのキャラクターなどのタッチが、その作品のクリエイター本人の画風と著しく異なっていることも多い。

 現在、多くのインカーは、アドビ・イラストレーターやフォトショップ、インクスケープ<Inkscape>、コレル・ペインター<Corel Painter>などの強力な描画・編集ツールの使い方を学んでおり、それらコンピューターソフトを用いた“デジタリー・インク”も一般化しつつある。
 デジタル・インキングにおいては、もはや失敗がページを台無しにすることがないが、従来よりも時間がかかる傾向にある。
 また一方で、(線をある程度整理した)ペンシルの状態の絵をスキャニングし、インキングを経ずにカラーリングを行う(※)、といった行程で原稿を完成させる作品も登場しており、これらデジタル化を受け、インカーという職業の立ち位置は、今後大きく変質していくことが予想される。

(※)ちなみに、こうした作画体制の場合、ペンシラーに対して通常のペンシルの原稿料に加え、下描きの鉛筆画を完成原稿として見せられるように「線を整理する」作業分の原稿料も発生することがある。この話は、マーヴル・コミックス社で仕事をしていた作家からオイラが聞いた話であり、他の会社でもそうなのかは知らない。ていうか、マーヴルという会社がどうこうというより、担当編集者の裁量や作品に与えられた予算にもよるのだろうが。



  
  
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●ネメシスな日々。

2007.10.13 Sat

「書きかけで放り出してたテキストをリメイクしてブログの更新頻度を上げよう」計画第3弾。
 現行の『ワンダーウーマン』のレギュラーキャラクターとして登場してる「ネメシス<Nemesis>」さんについての覚え書き。
『ワンダーウーマン』創刊直後に書いて、そのまま発表する時機を逸してたのを、臆面もなく掲載。


▼ネメシスの歴史:

 ネメシスは、『ザ・ブレーブ&ザ・ボールド<the Brave and the Bold>』誌の第166号(カバーデート・1980/9)に初出の、DCのそれなりに古参な(まぁ、27年って歴史を長いと捉えるか、短いと捉えるかは、各自の主観にお任せしますが)スパイ系のキャラクター。

 彼を主人公としたコミックは、『ブレーブ&ボールド』の第166~193号にかけて連載。その物語は、基本的に同誌のバックアップ(巻末連載)として、毎回8ページ程度、掲載されていた。
 ただし、第170号(1981/1)と、最終回である第193号(1982/12)の2回のみは、ネメシスは同誌の看板キャラクターであるバットマンと共闘し、1冊丸々の登場を果たしている(※この当時の『ブレーブ&ボールド』は、毎回異なるゲストヒーローがバットマンと共闘する、いわゆる“チームアップ誌”だった)。

 この『ブレーブ&ボールド』掲載の物語は、アメリカの某諜報組織に所属する青年トム・トレッサー<Tom Tresser>が、変装の技術を生かして、犯罪組織「ザ・カウンシル」に立ち向かう、といった具合の話。
 カウンシルによって、同じ諜報組織に所属していた育ての親と兄弟を殺された彼は、ネメシス(復讐の女神)をコードネームとして名乗り、カウンシルに真っ向から戦いを挑む。彼は肉親の名を刻んだ分銅を載せた天秤を傍らに置き(ネメシスは剣と天秤がシンボル)、いつかこの天秤を釣り合いの取れた物とすることを誓うのだった。
 この『ブレーブ&ボールド』での連載の最終回で、ネメシスはザ・コウンシルの本部にヘリコプターで特攻し、死亡する。彼の死を見届けたバットマンは、ネメシスの天秤に分銅を置き、その均衡を回復させる。

 が、後のジョン・オストランダー作の『スーサイド・スカッド』誌上で、ネメシスは「じつは爆発直前に、ヘリコプターから救助されていた」ことが明かされ(と、いうことにされ)、復活。同誌の前半のレギュラーキャラクターとなる。
 政府の秘密部隊スーサイド・スカッドの指揮官であるアマンダ・ウォーラーの暴走を抑えつつ、チームのフィールド・リーダー、リック・フラッグをフォローする、良い具合なサブキャラクターとして活躍する。

『スカッド』が休刊した後は、スカッドのメンバーがサブレギュラーとして登場していた『エクリプソ』に数話出演した程度で、特に目立った活動はせず。

 後、ディヴィン・グレイソンがライターをつとめていた時期の『キャットウーマン』第62号に、ネメシスは久しぶりにゲスト出演する。
 この回は、犯罪組織への潜入捜査のために、腕利きの盗賊に変装しようと考えたネメシスは、キャットウーマンに接触し、彼女から盗賊としての技術を学ぶ、といったストーリー。
 で、この話のラストにおいてネメシスは、先任の潜入捜査官の裏切りにより、しごくあっさりと(2度目の)死を迎える。

 ……ちなみにグレイソン本人の言によれば、ネメシスが死んだのは彼女のせいではない模様。
 当時、「ネメシスって名前は気に入っているけどネメシスってキャラクターは気に入らない」という編集者がいて、彼が自身の計画(まぁ、新ネメシスを登場させたかったのだろう)のために、彼を殺すことを指示したのだとか。
 一方でグレイソンは、彼の死が覆ることを願いつつ、作中で精一杯、彼がいかに偉大なキャラクターであるかを書いたんだとか(いい話だ)。

 このグレイソンの努力が実を結んだのかは解らないが、この数年後、『スーパーマン:シークレットファイルス&オリジンズ』にジェフ・ジョーンズが書いた短編にて、“実は生きていた”ネメシスが再々登場する。ただしこの短編では「実は生きてた」ことが判明するだけで、復活の経緯などは語られていない。
 その後、この短編の話は、他の作家にフォローされることもなく、復活したこと自体、忘れ去られるかに見えたが、現在の『ワンダーウーマン』誌上にサブキャラクターとして登場。現在に至る。

 ちなみに、『ワンダーウーマン』現行シリーズの第2号では、過去にネメシスが競演したヒーローの名前をダイアナ(ワンダーウーマン)が次々に挙げていくシーンがある。
 この最後に、ダイアナはキャットウーマンの名前を挙げるが、ネメシス当人は、キャットウーマンと遭遇した覚えはないと、一笑に付している。

 とりあえず、ネメシスの復活の経緯は、現在のところ明言されていないが、推測するに
1.『キャットウーマン』に出演したネメシスは別人で、元々死んでなかった。
2.『キャットウーマン』に出演したネメシスは本物だけど、実は死んでなかった。
3.『インファニティ・クライシス』の影響で、ネメシスが死んだ現実が改定された。
 のいずれかであると思われる。
  
  
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●キャプテンなトリビア。

2007.10.12 Fri

 もいっちょ、過去に書きかけのテキスト再利用シリーズ。

▼キャプテン・アメリカのシールドが、五角形から丸に換えられた訳:

 キャプテン・アメリカのシールドは、最初期は(※)円形でなく、アメリカの国旗をかたどった、5角形の盾だった……というのは、ヒーローものコミック好きの人間にとっては、もはや常識だが、何故に5角形から円形に変えられたかは御存知か。

 これは、キャプテン・アメリカの出版元であるタイムリィ・コミックス(後のマーヴル・コミックス)と、その競争相手である出版社、MLJコミックス社との間で交わされた取り決めの結果による。

(※)っつーか、キャプテンが初出を飾った『キャプテン・アメリカ・コミックス』第1号だけ。

 当時MLJコミックス社は、キャプテンの初出に先駆け、アメリカ国旗をコスチュームのモチーフにした「ザ・シールド<the Shield>」というヒーローもののコミックを出版していた(初出:『ペップ・コミックス<Pep Comics>』第1号/カバーデート・1940/1)。

 やがてキャプテン・アメリカが登場すると、MLJはキャプテンのデザインがシールドに似ていると指摘。特に、キャプテン・アメリカが、その5角形のシールドを正面に構えると、シールドにそっくりになると主張し、タイムリィ・コミックス社に対し、訴訟の用意があることを告げる。

 これを受け、タイムリィの社長であるマーチン・グッドマンは、MLJのパブリッシャーであるジョン・ゴールドウォーター<John Goldwater>と会談。いかなる話し合いが行われたかは不明だが、ともかく、タイムリィが問題の焦点であったキャプテン・アメリカのシールドのデザインを変更することで、手打ちとなる。

 かくて、キャプテンのシールドは、ジャック・カービィによってリデザインされ、おなじみの円形に変わったのだった。
  
  
 どうでもいいけど、レス・ダニエルズによる「コンプリート・ヒストリー」3部作みてぇに、キャプテン・アメリカというキャラクターの歴史を語った本って無いものか。
  
  

  
  
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タグ:豆知識

●ダイレクトな日常:

2007.10.12 Fri

▼適当なる計画:

 こう、「とりあえず、過去に書きかけて放り出してたテキストを再生して、ブログの更新頻度を上げよう」計画を発動。

 本日は、昔、同人誌「101匹ロビン大行進」の原稿を書く際に参考にした(※)「ダイレクト・マーケット」についてのWikipediaのテキストをコピー&ペーストして、適当に翻訳した文章。
 Wikipediaのエントリってば、まぁ、別に文章の上手い人が書いてるわけじゃないんで、所々原文と変えてますが。<盗人猛々しい。

 あとまぁ、Wikipediaからのテキストですんで、正確さは微妙やもしれないので、読む人は鵜呑みにしない方がいいやも。<猛々し過ぎ。
 こう、今度、きちんと資料を引いて、加筆しようと思ってます。

(※)参考にして書いてた文章は、全ボツにしたんで、完成版の同人誌には1行たりとも活用されてませんが。


▼ダイレクト・マーケット<Direct market>

 ダイレクト・マーケットは、北アメリカ地域のコミックブック市場において支配的な、流通・小売販売網である。この販売網は、少数の卸業者と大多数のコミックス専門店(それとコミック関連商品の小売業者)からなる。
「ダイレクト」の名称は、元々は、小売店が既存の卸業者を介さず、出版社から“ダイレクトに”仕入れを行っていたことに由来するが、後にはこの流通モデルは、間に卸業者を挟むようになり、「ダイレクト」とは言えなくなっている。

 ダイレクト・マーケットの最大の特徴は、「買い切り制」である。
 通常、書店やニューススタンド(それにドラッグストア、スーパー、玩具店など)に流通するコミックは、売れ残った場合、出版社に商品を返本することで、その分の商品代金が返金される。
 これに対してダイレクト・マーケット流通では、卸業者・小売業者ともに、注文した商品を返品することはできない。しかし、卸業者と小売店は在庫を抱えるリスクを負う代わりに、ニューススタンド流通よりも大きな値引き率でコミックを仕入れることができる(一方で出版社側も、返本率がゼロになるというメリットを得る)。


▼歴史:

 ダイレクト・マーケットは、ニューススタンドでのコミックブック市場の低調に応える形で1980年代初頭に誕生した。
 コンベンションの主催者も担当していたフィル・スーリング<Phil Seuling>という男が、各コミック出版社と接触し、卸業者を介さず、コミックを出版社からダイレクトに仕入れられないかと持ちかけたのが、全ての始まりだった。
 やがて、スーリングの個人的な取引は、他の店にも波及し、「ダイレクト・マーケット」流通を利用するコミックショップが増加する。
 この結果、煩わしい出版社への受注と諸々の処理を、各コミックショップに代わって行う、大小のダイレクト・マーケット専門の卸業者が誕生し、「ダイレクト・マーケット」は、それほどダイレクトな市場ではなくなる。

 一方、コミックショップという、専門店への流通経路を確保できた各コミック出版社は、「ダイレクト・マーケット専門」の作品――要するに、ニューススタンドや雑貨屋に集まる子供よりも、コミックショップに通うようなファンに向けた作品――を送り出していくようになる。
 こうしてダイレクト・マーケットが発展していく一方で、ニューススタンドのセールスは落ち続け、ついには2大コミック出版社(DCコミックス、マーヴル・コミックス)ですら、ダイレクト・マーケットがメインの市場となる。

 1980年代末から1990年代初頭、後世「スペキュレーターズ・バブル<Speculator's Bubble>」と呼ばれる、投機目的でコミックを買いあさるような、実体のない泡のようなコミックブームが市場を席巻。この波に乗ろうと、無数のコミックショップが開店し、ダイレクト・マーケットに参入する。更には、トレーディングカードショップやゲームショップなどの、コミックに隣接した業種の小売店も、コミックをサイドビジネスとするようになり、やはりダイレクト・マーケットを利用しだす。

 しかしながら、そうした不健全で、急速な発展は長くは続かなかった。1990年代中頃にバブルが崩壊し、無数のコミックショップが閉店すると、ダイレクト・マーケットも大きく縮小した。
 またバブルの末期、マーヴル・コミックスは地方の卸業者ヒーローズ・ワールド<Heroes World>を買収し、同社を通じて自社の出版物を流通させようと考えた(ヒーローズ・ワールドはまた、他の出版社のコミックの扱いを停止した)。
 マーヴル離脱による大量の損失を埋め合わせるため、他の卸業者はマーヴル以外の主要出版社との独占契約を結ぼうと試みる。
 最終的に、業界大手ダイアモンド・コミック・ディストリビューターズ<Diamond Comic Distributors>が、DC、イメージ、ダークホース、それにいくつかの小規模の出版社との間に、独占契約を締結――要するにマーヴル以外の主要出版社の流通をダイアモンド1社が抑える、という異常な事態を実現させる。
 これにより、当時のダイアモンドの最大の競合相手であるキャピタルシティ・ディストリビューション<Capitol City Distribution>を含む卸業者の大多数は、「倒産するか、ダイアモンドに買収されるか」という絶望的な選択を迫られる(残されたごく少数の業者は、再注文を専門に扱うなど、ニッチな路線に転換して辛うじて生き延びた)。
 しかも、程なくしてマーヴル&ヒーローズ・ワールドの自主流通計画は頓挫し、マーヴルとも独占契約を結んだダイアモンドは、ダイレクト・マーケットを9割がた独占する卸業者となった。

 2000年代初頭、人気が上昇してきたグラフィック・ノベル(単行本)の流通路として、一般書店の販路が注目されだす(※コミックの単行本は、ごく少数だが、一般書店でも流通している)。
 その間にもダイアモンドはダイレクト・マーケットの支配体制を継続。残された数少ない卸業者、FMインターナショナル<FM International>が2006年に経営破綻したことで、更に市場を独占していった。
 他方、一般書店および一般書の出版社がコミック(主に単行本のマーケット)に目をつけだしたことで、いくつかのコミック出版社は、ダイアモンドを通さない形で、一般書店に単行本を流通させようとした。
 例えば、英訳マンガをメインに扱うトーキョー・ポップ<Tokyopop>は一般書の出版社ハーパーコリンズ<HarperCollins>と提携。オルタナ系の大御所ファンタグラフィックス<Fantagraphics>は、アメリカ最古・最大手のインディーズ出版社W.W.ノートン<W. W. Norton>と提携し、自社のコミックを書店流通に乗せている。
 一方でダイアモンドは書店流通のための部門、「ダイアモンド・ブック・ディストリビューターズ<Diamond Book Distributors>」を創設し、それらの流れに対応している。


▼影響:

 ダイレクト・マーケットの発展は、一般には1990年代のバブル崩壊後に、北米地域のコミック出版業界の回復に貢献したとされている。
 また、低リスクの流通システムの誕生は、マーヴルとDCの2大出版社が大きなシェアを占める――しかもそのシェアは更に拡大しつつある――コミック市場に、新興コミックス出版社らが参入する機会を与えた功績も認められている。

 一方でダイレクト・マーケットは、コミックをマニアだけの閉じた市場にすることを促したとして批判されている。
 ダイレクト・マーケットを利用する小売業者は、いまや既存の読者と熱心なマニアによって支えられている専門店が大多数となっており、ニューススタンドその他の小売のような、広い層に訴える機会が失われている、というのがその主な論旨だ。
 またダイレクト・マーケットが新しい読者と消費者を確保できない現状は、既存の市場を食い潰し、自滅させるだけだと主張する者もある。


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●キングな日常。

2007.10.11 Thu

 コミックス・コンティニューム、10月9日付の記事より。大意を適当に拾いつつ超約。

▼DCコミックス、ジャック・カービィの『フォース・ワールド』のアートを修復する:

 火曜、DCコミックスは3月出荷予定の『ジャック・カービィズ・フォース・ワールド オムニバス』第4巻の目玉として、『ザ・ハンガー・ドッグス』が収録されること、しかもマイク・ローヤー<Mike Royer>のインクによる、修復されたアート24ページ分が追加されることをアナウンスした。

「シリーズの有終の美を、カービィのオリジナル版で飾る喜びを、読者と分かち合えることに、我々自身興奮している」とは、DCの副社長で、デザインとDCダイレクトの企画を担当しているゲオルグ・ブルーワー<Georg Brewer>。
「この単行本には、『ハンガー・ドッグス』グラフィック・ノベルの版型に合わせて修正される前の原稿、カービィがペンシルした時点の状態を再現した24ページ分の原稿が収録される」
「マイク・ローヤーによって、忠実にインクされたそれらのページは、『ハンガー・ドッグス』の物語内に挿入される。それらの原稿は他の『オムニバス』のハードカバーの原稿と調和するよう、慎重に、かつ完全に再彩色される。更に『フーズ・フー』のフォース・ワールド・キャラクターのエントリー用にカービィが描き下ろした絵も収録される。それらエキサイティングで、レアなカービィの仕事と、この重要なストーリーにより、この本は、全ての真摯なコミックス・コレクターにとって必須のものとなるだろう」

『ジャック・カービィズ・フォース・ワールド オムニバス』第4巻ハードカバーには、『ハンガー・ドッグス』と『フーズ・フー』からのアートに加え、『ミスター・ミラクル』第10~18号、『フォーエヴァー・ピープル』第11号、『ニュー・ゴッズ』第11号、それにオリジナルは1984年刊行の『ニュー・ゴッズ』第6号に掲載された48ページの作品「Even Gods Must Die」が収録される。

 以上。
  
  
『ハンガー・ドッグス』は、1980年代中頃の「グラフィック・ノベル」ブーム期(乱暴に言うと、版型がでかくて上質紙を使用した、高級な単行本を出すのが流行ったねん、この時期)の1985年に、ジャック・カービィが送り出した『フォース・ワールド』シリーズの最終作。

 この物語において、カービィはサーガの主役であるオリオンかダークサイドを殺そうと計画するが、DC側はこのアイデアに反対(なぜなら当時DCはオリオン、ダークサイドをメインに据えたアクション・フィギュアシリーズ「スーパーパワーズ」のリリースを控えてたんで)。
 結局、カービィが折れることになり、完成版のコミックは内容が大きく変わったんだとか。

 カービィ本人は、後年この『ハンガードッグス』について、「フォース・ワールズ・サガの完結篇とするにはオチが弱かった」と述懐してますが、上記の介入の結果、オチが弱くなったかは、まぁ不明(っつーことにしといてください)。

 今回、挿入される24ページの原稿で、グラフィック・ノベル版『ハンガー・ドッグス』の内容が、どの程度変更されるかは不明。
 とはいえ、カービィの未発表原稿が世に出るのはめでたいなぁ、と。

 ただまぁ、グラフィック・ノベル版の『ハンガー・ドッグス』も余計に欲しくなるよなぁ、と、あまり真摯でないコレクターの俺は思った。



  
  
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●スタン・リーな日々:

2007.10.04 Thu

 下記は「the Comics Journal Library 6: the Writers」収録の、ゲリー・コンウェイのインタビューより、コンウェイがマーヴルにいた当時のスタン・リーのエピソード。

 スタンの人となりを伝える良い逸話だと思うんで、突発的に翻訳してみた。
 

――あなたがマーヴルにいた間に目にした、スタン・リーの良い点、あまり良くない点について教えてもらえますか?

コンウェイ:スタンについて言えることの1つ目は、僕が1969年末から1970年初頭にかけて、マーヴルで試用期間だった頃の話だね。
 ロイ(・トーマス)が、当時のマーヴルのライティング・テストの機会を与えてくれた。それは、4ページの原稿のコピー、僕の場合は『キャプテン・アメリカ』だった。
 各ライターは、それら4ページに台詞を書くことを求められ、それを元に、スタンがそのライターを使うかを決めるんだ。
 僕はその4ページを書いた。それも、僕がDCで書く時のスタイル、スーパーヒーロー的なものよりは、ムードを重視させたスタイルでね。
 ロイは気に入ってくれて、それをスタンに渡した。で、それを読んだスタンの反応は「ふーむ、この書き口は、いささか若くないかね」という感じだった。
 ロイは言った。「ええ、実の所ゲリーは16歳ですから。ですが、16歳にしては充分に書けてますよ」と。
 で、スタンは言った「ふむ、何故に誰か別の、大人なりに書ける人間を取らないんだね?」(笑)
 彼はやがて、僕がマーヴルで働くに充分だと認めてくれた。スタンのそうした、およそデリカシーに欠けた性格は、常に僕に面白い衝撃を与えてくれたよ。
 僕の妻のカーラ<Carla>はスタンの元で働いていたんだが、彼は彼女がこれまで働いてきた中で、最高の雇用主の1人だと感じた。
 彼は非常に優しく、彼女を雇用者として気にかけてくれた。しかし彼はまた、彼女に山ほどの仕事を投げつけてきた。なぜなら彼は、カーラが彼のアシスタントとして精通している仕事、契約やなんかについての個々の性質を、てんで熟知していなかったからだ。
 スタンは常にそうした“優しい無頓着さ”の持ち主だ。
 彼は基本的にはいい人だと僕は思う。彼自身もいい人であろうとしているし、なにより彼の従業員に対して良くありたいと思っている。けれど彼は、精細な人間じゃないんだと思う。
 もしも彼が、誰かを個人として捉えているなら、彼は君に対して非常に良くしてくれるだろう。だが問題は、彼にその誰かを個人として捉えさせることなんだ。彼は一種、自己中心的な人間だからね。
 その彼が“僕らの1人”でありたいとする試みは、非常に滑稽でね。
 僕がマーヴルで働いていた時期、DC(コミックス)では、こんな習慣があった。
 DCのパブリッシャー、カーマイン・インファンティーノは、時折、オフィスの人間を引き連れてフライア・タックス<Friar Tuck's>――DCのオフィスの真向かいにあるレストランだよ――に行くんだ。みんなは数時間ばかりくつろぎ、飲んで食べてダベる。
 カーマインは取り巻きの心を掴み、僕らの1人であろうとしていた。カーマインは欠点のある人だったが、それ以上に良い所を持っていた。その中の1つが、この僕らの1人であろうとする姿勢だった。それは彼の魅力でもあった。
 一方でスタンは、群衆の中の1人であろうとすることを、何ら気にかけていなかった。でも、カーマインがそのようなことをしていると聞いたスタンは、それが素敵なアイデアだと思いこみ、同様のことを僕らに対して試みようと思った。
 その結果、終業時間が近づいていた、とある午後のマーヴルのオフィスに、突然スタンが現れて興奮して言った。「どうだ、階下のビーフン・ブルー<Beef 'n' Brew>に行こうじゃないか。みんなの飲み代は私が持とう」とね。
 まあ、その時オフィスには5人ばかりしかいなかった。僕とジョン・バーポーテン<John Verpoorten>、ジョン・ロミータ<John Romita>、トニー・モーテラロ<Tony Mortellaro>、それにスチュー・シュワルツバーグ<Stu Schwartzberg>もいた。彼は当時『クレイジー<Crazy>』(編註:当時マーヴルが出していたユーモア雑誌)のアーティストをしていて、写真複写機<stat machine>(編註:ゼロックスが普及する以前の複写装置)で作業をしていた。
 そしてスタンは僕らを集めると、階下のビーフン・ブルーに連れて行った。
 彼は言った「どうだい、まずは1杯」
 僕らは言った「OKです」
 彼はバーテンダーを呼びつけると「皆にビールを」と、注文した(笑)。
 僕らはその場に強ばった姿勢で、呆然と座っていた。なぜならスタンは、人々をくつろがすのが得意とはいえなかったからね。
 彼はテーブルに身を乗り出し言った「ふむ、何について話すかね?」(笑)。
 当たり前だけど、スタン・リーにそこにいられちゃ、よそよそしくなるさ。僕らはみんな、互いをチラチラ見ては、とりとめのない雑談を続けてた。
 やがて話をしていたスタンが、自分の時計を見ると「ふむ、“良き仲間”として過ごす時間はこんなものかな」とでも思ったのか、「すまん、君らを残していかなければならない」と言うと、去っていった。
 僕らはみんなショック状態で座り続けていた。“何だったんだ?”僕らは互いに言い合った。
 ま、これがスタンについての良い話と悪い話さ。
 この話から解ることは、こうだ。彼は機会があれば、彼の雇用者に対し手をさしのべ、触れあい、そして近づこうとしている。だが彼には、場を和やかにしたり、一緒にいる人々に対して気を回すといった技能を全く持ち合わせていないんだ。


 以上。

 こんな感じに「他人が語るスタン・リーのエピソード」を沢山集めたいなぁ、とか思ってるんですが(ブッチャケ、竹熊健太郎の名著『1億人の手塚治虫』のパクリ)、俺の読む資料ってDC系が多いんで、あまりスタンの話は出ねぇなぁ、と気付いた。
  
  
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