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●続・最近の野次馬

2010.03.26 Fri

▼コミックス・コードの話、まだ続いた(スマン):

 スマン、まだコミックス・コードの話が続く。

 山本弘氏(検索してみたら、ウチのブログで2度ほど話題にしてましたね)が自身のブログで、まあ、例の「非実在青少年」絡みのエントリを書いておりまして。

「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示する [ 山本弘のSF秘密基地BLOG]

 で。

 その文中で、コミックス・コードについて触れられてた箇所があったよ、と。

 けど、微妙に事実誤認がない? と思ったので、ちょいと突っ込んでみようという、そんなエントリ。


 エントリの冒頭に、「トラックバック、転載はご自由に」と書いてあるので、遠慮なく該当箇所を引用してみる。

 以下は前掲のブログのエントリより抜粋。

 さらにアメリカのデータを見てみよう。
 アメコミ・ファンならご存知だろうが、アメリカでは1949年ごろから反コミックス運動が高まった。当時のコミックスには、残酷なシーンやセクシャルなシーン(斧で切断された首、目をナイフでえぐられようとしている女性、ムチで打たれている女性、きわどい衣裳で踊る女性、下着姿で縛られた女性などなど)が多く、それが青少年に悪影響を与えると騒がれたのである。出版社やニューススタンドには「俗悪なコミックスを売るな」という抗議が殺到。一部の地方では、大量のコミックスが学校の校庭などに集められて燃やされた。
 1954年、合衆国議会の少年非行対策小委員会は「コミックブックと非行」と題するレポートを発表、青少年に悪影響を与える可能性のある表現を規制するよう、コミックス出版界に勧告した。
 これを受け、全米コミック雑誌協会は「あらゆるコミュニケーション・メディアの中でもっとも堅苦しい」と彼ら自身によって評されたコミックス・コードを制定した。1954年8月26日のことである。
(中略)
 暴力表現や性的な表現にきびしい規制が設けられた結果、コミックス界全体から活力が失われた。そのため、読者の多くがコミックスを買わなくなった。コミックス・コード制定前、コミックス誌は650タイトルもあり、毎月1億5000万部も発行されていたのだが、ほんの数年で半減してしまった。多くの出版社がコミックスから撤退した。フィクション・ハウス社やベター社など、倒産した出版社もいくつもある。
 その結果が上のグラフである。アメリカの指標犯罪(凶悪犯罪や窃盗犯)の件数をグラフにしたものだ。
 まさに一目瞭然! コミックス・コードが施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!
 Wikipediaの解説にもあるように、80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて、現在ではほとんどコードは形骸化している。

 以上、引用終了。

※文中にある「上のグラフ」「Wikipediaの解説」は、まあ、オリジナルのエントリを見てください。


 まず、ウチの前々回のエントリで、「コミックス・コード(だけ)によってコミック業界は壊滅的なダメージを負った」という認識はすげぇ極論じゃね?という結論に至ったオイラ的には、

暴力表現や性的な表現にきびしい規制が設けられた結果、コミックス界全体から活力が失われた。そのため、読者の多くがコミックスを買わなくなった。コミックス・コード制定前、コミックス誌は650タイトルもあり、毎月1億5000万部も発行されていたのだが、ほんの数年で半減してしまった。

 って文章は「それはどうだろうか」と思うのですよ。

 いや、コミックス業界から活力が失われたのは事実ですよ。でもそれは、TVが一般家庭にも普及したんでみんながコミックを読まなくなった、なんて影響もあるわけで、「活力が失われた」原因をコミックス・コードだけに還元するのは極論でしょう、と。


 あと、
コミックス・コードが施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!
 って一文ですが。

 そのね、そもそも、「(コミックス・コードによって)コミックス界全体から活力が失われた」んなら、コミックブックという文化がアメリカの社会全体に与える影響ってのは、非常に小さくなってしまってるのでは? と、素朴に思うワケですよ。

 故に、そんな影響力のないメディアが、アメリカの犯罪発生率に与える影響なんて、テンで小さくなってるのではと。

 だから、
「コミックス・コードが施行されて以降、アメリカの犯罪発生率はむしろ増えている!」

 とか言われましても、

「それはたまたま1954年の前後にアメリカの犯罪発生率が増えてるだけで、実はコミックス・コードは――ていうかコミックという文化自体は――、それらの発生率になんら影響を与えてないんじゃ?」

 とか、素朴な疑問を抱くだけなのですが、どうでしょうか。


 ていうか、
「(      )が施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!」

 って一文って、( )内に、1954年にアメリカの文化史で起きた重大な事項(できれば、犯罪に関係がありそうなもの)を適当に入れ込んでも成立すると思うですよ。

「世界初のトランジスタ・ラジオが発表された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!」

 とか、

「ラジオドラマ版『ローンレンジャー』が最終回を迎えた54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!」
 とか(いまいちですね、すみません)。
  
  
 追記:

 山本弘氏はその後のエントリの方で、今回引用しているエントリに関して追記やコメントへの返信等を行ってますが、そちらの方で、上記のコミックス・コードと犯罪発生率の下りに関して、伝えたかったことをまとめています。下記の引用文が、まぁ、一番わかりやすいですね。

 重要なのは、「コミックス・コードができたにもかかわらず、犯罪は増加した」という事実です。すなわち、コミックスの影響よりはるかに大きな、犯罪増加の要因があったに違いないのです。
 だから犯罪を減らすには、コミックスの表現を規制するより、まずその要因の方をどうにかしなきゃいかんだろ……という話なんです。[「目に見える形で反論を提示する」:Q&A]


 と、いうことで、上の方で、オイラが
「それはたまたま1954年の前後にアメリカの犯罪発生率が増えてるだけで、実はコミックス・コードは――ていうかコミックという文化自体は――、それらの発生率になんら影響を与えてないんじゃ?」
 とかツッコんでますが、このツッコミを山本弘氏にしても「うん、だからそう言ってる」って言われるだけですね、という。

 オリジナルのテキストの方にその旨をもっときちんと明記してくれないかしら、というのは行間を読めないオイラのグチですね、はい。

 追記終わり。
 

 あと、
フィクション・ハウス社やベター社など、倒産した出版社もいくつもある。
 の一文。

 その、1950年代にコミック事業から手を引いた出版社は多いと思いますが(オイラの大好きなフォーセット・コミックスもその1つですね)、「倒産」にまで追い込まれた出版社って「いくつも」あったのか? と、思うのですが。

 例としてあげられてるフィクション・ハウス社にしてもコミックス・コードその他の影響で、出版事業から手を引きはしましたが(この件に関しては、コミックス・コードが与えた影響はかなり大きいと思います)、「倒産」はしてないでしょう、と。

 ……他方、ベター社というコミック出版社のことは、寡聞にして知りません。すみません。

 ――Better Publications社ってのはありますが、同社はコミック出版社じゃなくてパルプ雑誌の出版社だし、そもそも1943年以降Standard Magazines社に社名を変更しているので、多分違う。
  
  
 でもってラスト、
 Wikipediaの解説にもあるように、80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて、現在ではほとんどコードは形骸化している。  
 とありますが。

 文中で提示されているWikipediaのリンク先で、「80年代頃からコミックス・コードを破る作品」について全く解説されてないのは、いかがなものかと。

 そもそもコミックス・コードを破る作品って、1970年代からじゃなかろうか(Wikipediaの解説にもその旨書かれてますが)。

  
 以上。
  
  
 一応、いいわけガマシクいっておくと、別にオイラは都条例に賛成する立場じゃないですから。

 ただ、かつて「自国の文化の優秀さを誇るために、他国の文化を不当に貶めるのは許せない。特にその批判が、無知と偏見によるものである場合には」として、『日本型ヒーローが世界を救う!』を批判していた山本弘氏が、アメリカの文化に対して、ツッコまれるようなことを書いてるのはなんだかなぁ、と思っただけで。
  
  
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タグ:コミックス・コード関連

●最近の野次馬。

2010.03.25 Thu

▼コミックス・コードの話、余談:

 こないだのエントリで触れた、

 Twitterまとめ「アメコミの表現規制~コミックコードとワーサム~」

 に対して、

 はてな匿名ダイアリー「非実在青少年とコミックス・コード」

 なる、田中氏よりの視点で書かれたエントリが掲載されてたのですが、

 この件に対して、当事者の1人であるnk12こと海法紀光氏が、

 自身のブログの「ワーサムと増田本について」

 なるエントリで語っているのを、今日見つけたぜ、というそれだけの話。
  
  
 こう、個人的に思うところとしては、この件で「海法紀光氏はアメコミ翻訳家だからシロウトじゃないぜ!」的な擁護があったけど、それって「戸田奈津子は映画字幕翻訳家だから映画史にも凄く詳しいぜ!」って言ってるのと変わらない気がするような気がするのですが、いかがでしょうか。

 あと俺的には、イヤミっぽくなってもいいので、海法氏には「私はこれだけの資料を読んだ上で、田中氏の意見に懐疑を投げかけるものであります」的に、参考にされている資料を挙げてもらえると(俺が後でその資料をAmazon.co.jpで買えるので)、いいのだがなぁと思った。

 こう、昨日のエントリで紹介した『企業家たち オリガークの生態学』にしても、田中秀臣氏のブログで紹介されてたんで買ってみたものだしね、と。


 ここまで書いて「……本当に、俺という男は、他人の論争とかよりも、そこで提示されている情報だとか、そのソースとなる資料にしか興味がないのだなぁ」という、俺自身もウンザリする結論に至った所で、オワル。
  
  
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タグ:コミックス・コード関連

●最近のコミックス・コード。

2010.03.24 Wed

▼コミックス・コードの話で耳目を集めようというアサマしき考えのエントリ、の巻:

 ……どうして俺は、この手のエントリを書こうとする際に、露悪的なタイトルを付けるのか。

 それはそれとして。


 何となく、「フレデリック・ワーサム」の検索ワードでググって、見つけたブログの記事(毎度トラックバックのやり方が解らない)。

 コミックス・コードというものに対する、日本におけるステロタイプな(そしていささか誤った)認識に、流行の「非実在青少年」を絡めつつアジテートな方に振ると、かような文章に仕上がるのだなぁと、心を揺り動かされた。

 こう、割かしフラットな文章を書くクセが染みついているオイラには、書こうと思っても書けない文章であることなので、学ぶべき点があるかもしれぬ、と思った。

 書かれている内容それ自体について、何かしらを語る気はないので、感想は読者諸兄に放り投げる(ヒデェ)。

 ……書かれていることの主張や思想に何ら興味がなくて、そこに書かれた「情報」の多寡や精度、成り立ちなどに興味を持つという、オイラのこの姿勢が「フラットな文章しか書けない」遠因なのだろうな。うむ。
  
  
 でー。

 その、日本でのコミックス・コードの一般的(※)な認識って、こう、

悪の心理学者フレデリック・ワーサム博士「フハハ バットマン&ロビンはホモなのだ! 貴様らクライム・コミックスはすべて罰されよ!!」

世論「そうだーそうだー」

表現の自由を求める出版社「駄目だ、世論には逆らえない! しょうがない、コミックス・コード・オーソリティを作ろう!」

コミックス・コード・オーソリティ「ホホホ、厳格なコミックス・コードを制定して出版物を厳しく取り締まるザマス!」

出版社「これでは、コミックスの表現の自由と多様性が失われてしまう!」

 ……的な、その、なんつーか「表現の自由」を御旗に掲げつつも規制された側の出版社側が「善」で、表現の自由に制限を加えたワーサム側が「悪」って感じの、わかりやすい二項対立で捉えられてるのではないか、と愚考するのですが。

(※)ここでいう「一般的」ってのは、大雑把に「マンガというメディア自体に対して面白みを感じてるような“マンガ読み”で、しかしアメリカのコミックスは積極的に読むでもなく、一方で耳年増的にワーサム博士のことなどは知識として持っている」とかいう感じな層、こう、ネットでマンガの感想ブログとか書いてるような方々を想定しているのですが、どうか(知らぬ)。
  
  
 こうした前提がさほど的を外していないのでは的な、虫の良い仮定のもとに、今日買った古本『企業家たち オリガークの生態学』(サイマル出版会・刊)に載っていた、コミックス・コードの成立に関する記述を抜き書いてみることで、その前提に懐疑を投げかけるという、手短に言えば「自作自演で目に見えない何かと戦っているヤッカイな人」的エントリ。

※筆者註:「オリガーク」は大雑把に言えば「大企業家」「大資本家」とかそんな感じの意味合い。




※以下、斜体で記載されたテキストは前掲書P.152「自主規制の功罪」の項より引用(ブラウザ環境によってはあまり斜体に見えないけれども)。


 業界に対して騒々しく批判を行う者をなだめるための一つの方法は、自主規制を行うことである。規制法案が議会を通過した場合の結果に見られるように、こうして自主規制を行えば、企業の経済力の基礎をまったくおびやかすことなしに、こうした刺激の原因となっていることのうち極端なものを取り除くことができるとオリガークは考えるのである。
(中略)
 一九五〇年代のこと、漫画出版業界は、テレビ番組との競争で売上げにひどい大穴をあけてしまったが、それはともかく、有名な心理学者のフレドリック・ワーサム博士が、多くの漫画本に描かれた暴力、残忍、倒錯などが青少年の犯罪を育てるものだとしたことから、問題は大きくなった。
(中略)
 このワーサム博士の批判により、漫画本の販売禁止の法律を制定しようという動きを示した州も多かった。博士の見解を支持する運動が各地で起り、地方によっては売上げは史上空前の不振を記録したほどであった。そこで業界は重大な危機に直面し、それを防衛するためのあらゆる努力をおしまなかった。
(中略)
 結局のところ、新しい倫理規定に基づいて自主規制
(※筆者註:いうまでもなくコミックス・コードのことだが、一応注釈しておく)が作られ、極端なかたちで恐怖を表すことを禁止し、この規定の実施については一人の業界の実力者が管理に当たることになった。この任に選ばれたのは青少年犯罪問題に経験があり、また偶然にも、漫画本の売れ行きの悪さで悩む業界の問題を理解している現実的な人間だと考えられる一人の判事であった。
 自主規制が設けられ、判事は細心の注意を払ってこの管理にあたり、鋭い批判を浴びせていた多くの市民運動の指導者たちは、論争に勝利を収めたものと考えた。しかし、漫画本の出版者たちは、ワーサム博士が反論を唱えた暴力を描いた漫画のうち、もっとも極端なものだけが規定によって閉め出されただけであるから、勝ったのは自分たちだとも考えたものである。
 つまり、内容はいくらか変わっても、つねにその漫画本の特徴となっている基本的な材料は同じで、引き続き出版を続けてもなんの障害も起きることはないことは明らかであり、また業界はその営業上、暗に含まれている基本的な社会問題に取り組まないで、問題を解決したことも明らかであった。そして出版社の社長たちが出版物の与える感覚的な影響に対して責任を取ることは、どんな影響であるかは別として、まず当座は考えられないことだったのである。



 以上、引用終了。


 筆者のデイビッド・フィンは、1950年代当時に漫画雑誌協会のパブリックリレーションズの顧問をしていたとのことで、上記は単なる歴史の叙述ではなく、現場の前線にいた人間の証言といっていい。

 これを読むと、その、コミックス・コードというものがコミックス業界をがんじがらめにした“常軌を逸した規制”でもないし――少なくとも、施行された当時に大手出版社が出してた一般的なコミックの内容を縛るものではない――と思うのですが、どうか。
 

 でー、ね。

 その、「コミックス・コードはコミックの内容をそんなに縛ってない」ってことは、「コードの施行によってコミックスのジャンルとしての多様性が失われていった」という(日本でよく言われがちな)認識は、実は極論ではないか、と思うのですよ。

 要は「コミックスのジャンルが多様性を失った」ことと、コミックス・コードとは、さほど関連しないのではないか、と愚考するのですよ。

 例えば、西部劇ものは1940年代後半がブームのピークだったわけで、コードに関係なくすたれてたワケだし。あとジャンルの内容的にもコードの影響は少なそうだし。

 こないだも書いたけど、コードがその内容を大きく規制していたロマンスものにしても、すでに1950年代前半にバブルがハジケてたし。

 SFコミックスなんか、1950年代のソレは「科学万能な明るい未来の啓蒙」的な側面もある、教育的なジャンルで、故にコードの影響はロクに受けてないにも関わらず、あんまりジャンルとして伸びなかったのは、まぁ、ジャンル自体のパワーがそんなモンだっただけだと思いますよ。

 コードによってトドメを刺された「犯罪・怪奇もの」にしても、大手出版社はあまり精力的には出していなかったから、大手出版社的には特に影響はないしねー(“暴力を描いた漫画のうち、もっとも極端なもの”を出して市場を荒らしていた新参者の出版社が大ダメージを受けはしましたが、大手には関係ないことです)。

 でもって、日本のコード関連のテキストでよく見かける「コミックス・コードに準拠すると、勧善懲悪なソレしか書けなかったので、ヒーローものが再びブームになった」的な論調のソレも、この際、眉にツバをつけてみるべきだと思う。

 ――ごく単純に、ヒーローものというジャンルの潜在的なパワーが、他ジャンルに比べて高いポテンシャルを持ってて、リバイバルした結果もう一度ブームを起こせた、とかいう認識でいいんじゃないかと思うよ、オイラは。

※そもそもコミックス・コードの施行された当時は、ヒーローもののジャンルはスッカリ衰退してたので、「コミックス・コード施行の結果、ヒーローものしか書けなくなった」とかいう文章は、認識からして間違っています。


 ……いやまあ、「コミックスのジャンルが多様化しなかったのは、コードに全く責任ないぜ!」とかまで極論する気はないのですが(ここ大事)。

 一方で「コードによってコミック業界は壊滅的なダメージを負った」というその認識が“すげぇ極論”であることに気付いていない人が、割と多いような気がするのですが、どうか。
  
  
 以上、毎度トリトメなく、何かの思想を含むわけでもなく、そこにある事実をただ羅列しつつ、素朴な感想を書いてみた。
  
  
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タグ:コミックス・コード関連

●いかん、書き忘れた な日々。

2010.03.19 Fri

▼書き忘れたねん、なソレ:

 前回のエントリで、『スポーン』第200号がらみの話で書こうと思ってたことを書き忘れてたので、追記。

 予告されてるのに出てない、といえば、トップシェルフから昨年に刊行を予告されてた、『マーシャル・ロー・オムニバス』って、まだ出てないよね?

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 Amazon.co.jpでは、シレっと「今在庫切れだけど、入荷したら連絡するよ!」とかなってるけど、そもそも出てないよね? 上のリンクでも「2009年11月15日発売」とか書いてあるけど、間違いだよね?

 つか、Amazon.co.jpは、過去にも『ショーケース・プレゼンツ:スーサイド・スカッド』や、ハードカヴァー版『ヤングブラッド』でも同様に、発売延期になってるけど出てない商品を「在庫切れだよ!」とかやりやがってたですが、この辺、改善されないモンですかね(ていうかそもそも、発売日に本が出ないことが問題な気もしますが)。

 ていうか、海外の掲示板をザッと見たら「まだ編集してるらしいよ」「出るのは元々の発売予定の1年後じゃね?」とか書いてあったけど、大丈夫なのか、マーシャル。
  
  
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タグ:Amazon

●在庫放出、な日々。

2010.03.18 Thu

 こう、まるまる1本更新するネタもないので、適当な雑記をダラリと書いてみる。
  
  
▼スポーンとコミックショップな日々:

 あれから色々調べてみたけど、結局『スポーン』第200号は、出てなさげ、という(俺個人の)結論に達する。

 でー、今回の結論としては、こういった「あのコミックって出てたっけ?」的な勘所がすっかり鈍ってしまっているなぁ、俺は、という感じで。

 その原因は、ここ数年「コミックショップ」的な店に行ってなくて、「店頭に並んでいる最新刊を、なんとなく眺める」という行為を全くしてないせいだな、と気付いた。

 コミックショップの店頭だと、買ってない本でもなんとなく表紙を見て、「ああ、あれ出てるんだな」とか、無意識に認識してるモンですが、そういう情報のインプットがなくなってるのよね、と。

 もっとコミックに熱心だった頃は、コミックショップに週1回で通ってたモンですがね。

 ま、「コミックショップ」的な店がなくなってる、というのも大きいのですが。……何故なくなったかというと俺のようなヤカラが、バーゲンの時にしかコミックショップで買い物をしなくなった、とかいうのも原因の1つなのだろうなぁ、と、思ってみる。

 そういや、恵比寿のモンスターJAPANがコミックの取り扱いを再開したそうで。15年ほど前には、あそこで『ヤングブラッド』だの『サイバーフォース』だのを買ったモンだなぁ(遠い目)。今度ひやかしに行くか。
  
  
カービィの遺族がマーヴルを訴えたんだってね

 日本の映画情報サイトでも紹介されてたけど。

 個人的には「和解しろ」の一言に尽きますが。あと、カービィ家を焚きつけた奴らがいるのなら、そいつらにささやかな呪いが降り注がんことを願う(貴様らの家の風呂場の水がよく溜まるあたりのタイルがヒビ割れますように)。

 ていうかこう、シルバーエイジのマーヴルの作品なんて、複数の作家のコラボレートで生み出されてるわけで。例えば『アイアンマン』なんて、オリジナルのアーマーのデザインはカービィだけど、キャラクターデザインはドン・ヘックで、キャラクターの文芸設定はおおよそスタン・リー、実際の脚本はラリー・リーバー、なんて具合だし。

 これで、カービィ家の主張が通った日には、他の作家の遺族も出てきて偉いことになるよな、と。
  
  
▼アウトサイドな日々:

 そういやダン・ディディオが『アウトサイダーズ』のライターになると聞いて、ディディオの過去の経歴を調べてみたのですが。
 ディディオって、かつてメインフレーム・エンタテインメント社でライター兼ストーリー・エディターを務めてたんだそうで(メインフレームの代表作である『リブート』にも参加してたらしいぞ)。ならいきなし『アウトサイダーズ』のライターになっっても大丈夫なのかしら。

 ていうか、ディディオの『アウトサイダーズ』第1回を読んだら、アウトサイダーズの新メンバーとしてクリプトン星出身の「あいつ」が参加してて驚く。

 こう「あいつ」ってば、ポスト・クライシスのクリプトン星の設定(ジョン・バーン版の設定を、ダン・ジャーゲンスあたりが大きく拡大させたソレ)がある上でああいうキャラクターなんであると思うのですが。
 その「あいつ」が、現行ハバをきかせてるジェフ・ジョーンズ版のクリプトン星の設定に、フィットできるのかなぁ、と、少し心配してみた。
  
  
▼5月のマーヴルな日々:

 5月に出る『アメージング・スパイダーマン・アニュアル』第37号が、カール・ケセル&カート・ビュシークによる「スパイダーマンとキャプテン・アメリカの初共演話だよ!」って感じでな。

 ビュシークと『アントールド・テールズ・オブ・スパイダーマン』という響きに、惹かれてしまうオールドファンを狙ってやがるコンチクショーとか思いつつ、結局買ってしまう俺オールドファン。

 まあ、同月に出るミニシリーズ『エイジ・オブ・ヒーローズ』もビュシークがライターで、確実に狙われているなぁ、と。

 その一方で、マーヴルの「ヒロイック・エイジ」自体が、俺らオールドファンの求めてるモンを「安易に与えるわけないでしょ?」的な匂いがプンプンしてて、関連タイトルをホイホイ買う気になれぬ……いや、DC買ってるだけで手一杯、ってのが本音ですが。
  
  
 以上、トリトメのかけらもなく。
  
  
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タグ:プレビューズ

●スポーンが出ない、の巻。

2010.03.12 Fri

▼どうでもよいロクデナシ、の巻:

 こう、ね。オイラ、第198号から『スポーン』を定期購読し始めた、ハズなんですが。

 その、2009年11月発売予定としてアナウンスされていた、第198号から。

 がー、2010年3月第2週が終わろうとしてる現在も、まだ第198号が送られてきてなくてな。

 さすがにそろそろ気になってきたんで調べたら、どうも「まだ出てない」模様。
  
  
 ローンスター・コミックスのバックナンバーのページで調べたら、『スポーン』第194号がカバーデート2009/7で出てる(だいたい昨年5月頃出てる勘定)。

 でー、続く第195号が、なぜかカバーデート2009/10。『スポーン』は月刊なのに、なぜか3ヶ月の間を開けて、刊行されてる。

 現在の最新号らしき第196号が、カバーデート2010/3(まあ、今年の1月ぐらいに出たんでしょう)。

 5ヶ月も開いてる。

 ……このペースだと第197号は今年の初夏ぐらいに出るのかしら。するってぇと、俺の注文した第198号は、年内に出れば……御の字でしょうね(苦笑)。

 ちなみに、『スポーン』はグレッグ・カプロをゲストアーティストに迎えた第193号を経て、第194号からアーティストがトッド・マクファーレン&ウィル・ポータシオになってます。……誰のせいで刊行が遅れだしたのか、小学生でも解りますね。

 たまにオリジナルのクリエイターであるマクファーレン様が出張ってくると、この有様だよ。なんたるファックか。

 なんつーか、“車田正美が描かない方が嬉しい”今の『聖闘士星矢』にも似たグダグダ感だぜ。

※3/14追記:コメント欄でご指摘いただきましたが、第196号が大幅に遅れたのはゲスト・アーティストとして参加したロブ・ライフェルドが原稿を遅らせたのが理由な模様。ライフェルドが参加してなければ、第195号程度の遅れで済んだのかな……?
  
  
 ……面倒くさいから、アーティストをカプロあたりにすげ替えて、第201号以降を月刊ペースで出してくんないかな。第200号までの原稿は「溜まったら出す」とかで。

 昔も『スポーン』第20号が出るのが遅れて、先に第21~25号くらいまでを出すとかいうバカな真似をしてたんだから、それでよくね?
  
  

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●検索ワードとコミックス・コード、な日々。

2010.03.10 Wed

▼どうでも良き日常:

 こう、昨日あたりから「ワーサム」の検索ワードでウチのブログを訪れてる方が増えてたんで、何となく検索かけてみた。

 ……多分、このページが原因、だと思う。

 内容的にあんまり突っ込んだことは書かれてないと思うけど(俺の印象では)、今はこういうことを書くと(例の「非実在青少年」絡みで)注目を集めるのかしら。

 中盤から田中秀臣氏にコメントを入れてるnk12という人が、海法紀光氏であることに気付いて、なんかこう、喜怒哀楽のどれとも付かぬ「ああ」とかそんな感じの嘆息を漏らす。

 あと、「コミックス・コード」です。「コミック・コード」「コミックコード」ではないです。表記を正確にするのは、文化に対する最低限の敬意だと思います。


 以下、どうでもいい余談。

 例の「非実在青少年」な都条例に対して、コミックス・コードを例に挙げて、何かしら語るのは、まぁいいと思うのですが。

 ただ、例の都条例は「行政機関が作った規制条項」であり、対してコミックス・コードの方は「法律でコードが作られることを危惧した業界有志が作った自主規制コード」であるという決定的な差異は案外に見逃されてね? とか思うのですが、どうか。

 あとこう、コミックス・コードのことが話題になると「アメリカマンガの多様性は、コミックス・コードによってその成長を阻害されたのだ!」とかいう言説がつきものじゃないですか。

 でー、ややもすると「アメコミに少女マンガがないのはコミックス・コードのおかげでロマンス・コミックが滅びたからだ」とかいう、トンガった意見も見かけるのですが。

 ケド、あの時代のロマンスものコミックって18歳かそこら以上の、ヤング・アダルトな年齢層を対象にしてるんで(このジャンルの創始であるプライズ・コミックスの『ヤング・ロマンス』創刊号の表紙には「Designed For The More ADULT Readers of Comics」って、デカデカと書かれてるし)、このジャンルから「少女マンガ」みたいなモンへは、なかなか発展しないと思うんですが、どうでしょか。

 ていうか、ロマンスものコミックって、1949~1950年に壮絶なバブル時代を迎えて(Grand Comics Databaseで「love」もしくは「romance」で検索してみると、1949、1950年(一応、いっておきますが、コミックス・コードの施行前です)に常軌を逸した数のロマンスものが創刊されてるので試してご覧なさい)、結果、その2年でバブルがはじけて、以降はジャンルとして尻すぼみになっていった感じなんで、コミックス・コードがジャンルの成長を阻んだ「直接的な原因」的に捉えるのは事実誤認じゃないかと思うのですよ。

 ――こう、旬を過ぎたジャンルにトドメを刺した「一因」程度じゃないかと思うのですが、どうでしょか。


 ……しかし『ヤング・ロマンス』って、創刊から3号目で部数が3倍に、最盛期は100万部刷ってた(姉妹紙の『ヤング・ラブ』と合わせりゃ200万部!)って、狂い咲きにも程があるな。

 こう、ヒーローものコミックの衰退でヒット作の枯渇してる市場に、しかも中堅のプライズ・コミックス社からこんな大ヒット・ジャンルが生まれたら(その上、特定のキャラクター人気でヒットしたワケじゃないし、誰でもマネできる話形だし)、そら、あっという間に食い尽くされるわな。

 以上、トリトメのない感慨でした。
  
  
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タグ:コミックス・コード関連

●プレビューズっぽい日々@DC5月の巻。

2010.03.09 Tue

▼5月のプレビューズの巻:

 っつーわけで、フェイト講座も書き終えたところで、イマサラ5月発売予定のDCの新刊プレビューズ私見。

 5月から正式に始まる『ブライテスト・ディ』。プレビューズで出てる表紙には、「ブラッケスト・ナイト」で暴れてた故アクアマンさんの姿がいますが。
 とりあえずアラスジは、「君らの予期してない話になるよ! 今はいえないけど、凄いことになるよ!」とかいう思わせぶりなソレなので、全く参考になりませんね。

 でもって、『グリーンランタン』第54号と『グリーンランタン・コーズ』第48号が、当然のように『ブライテスト・デイ』とタイイン。
『グリーンランタン』の方は、地球にとどまることになったニュー・ガーディアンズの面子が地球の文化になじもうとするよ! それはそうとシネストロは、消えたアイツの後を追うよ! とかいう感じ。
『コーズ』の方では新オナーガードに昇格したジョン・スチュアートさんと、ガンセットさん(この場合、降格か?)が頑張るぜ! 先任オナーガードのカイルさんの胃が痛いぜ! とかなんとか。新ライターのトニー・ベダードのお手並み拝見、とか、適当な感想を書いてみる。

 でもって、『ブライテスト・デイ』での露出を経て、隔週刊の新シリーズ『ジャスティスリーグ:ジェネレーション・ロスト』が始動ー。
 何者かが旧JLIのメンバーを襲っている! 生き残ったブースター、アイス&ファイア、キャプテン・アトムらは、謎の敵の正体を探るが……とかなんとか(どうでもいいが、この「とかなんとか」シメは、非常に便利すぎるので、今後自重したいと思う)。
 全スーパーヒーローコミュニティが危機に! とか、血まみれだよ! とかいうアオリが非常に不安。ライターのキース・ギフェンのブラックな部分(余人には理解不能な「ギャグ」として大量虐殺をしたりとかするアレ)が出そうな予感がするので、そこを共著のジュド・ウィニックにうまく押さえていただければ、とかいう感じで、ひとつ。

 も一個、『ブライテスト・デイ』での露出を経て、『バーズ・オブ・プレイ』が新創刊。ガイル・シモーネ作、エド・ベネス画と、前シリーズ末期のコンビが再びタッグを組んで登板だそうで(だったら、通しナンバー継続させて再開でいいじゃねぇか、とか思ったけど、新規読者獲得のためにはリセットしたほうがいいのか)。
 個人的には、エド・ベネスは、こう、ジム・リーっぽい、メリハリのあるプロポーションのお姉ちゃんを描くけど、ジム・リー同様にお姉ちゃんの顔の描き方にバリエーションがないので、「も少し頑張っていただけないか」とか思う次第ですが。
 あと、ガイル・シモーネはこれで『ワンダーウーマン』『シークレット・シックス』『バーズ・オブ・プレイ』と、オンゴーイング・タイトルを3つ持つわけですが、一頃のジョン・オストランダー(※)のように、「ガイル・シモーネ・ユニバース」的なソレを築いて、世界観を広げてって欲しいなぁ、と思った。

(※)ジョン・オストランダー:代表作は『スーサイド・スカッド』『スペクター』他。ジェフ・ジョーンズやガイル・シモーネがリスペクトしてる作家で、他誌に登場させたサブキャラクターを、その後、別の雑誌に登場させたりといった世界観の奥行きの出し方、マイナーなキャラクターを拾い上げて、うまくキャラクターを立てさせる手腕に優れる。
 ジョーンズの『フラッシュ』でのローグスのキャラの掘り下げ方とか、シモーネの『シークレット・シックス』に、『ワンダーウーマン』や『バーズ・オブ・プレイ』のキャラクターがゲスト出演して話をかき回すあたりは、オストランダーの影響が濃いと思うねん、俺は。
 例えば、『スーサイド・スカッド』に登場したクレイマー神父は、チームの精神的なケアを行う名脇役として、シリーズの各キャラクターの掘り下げに強く関わる。また彼は、後に『スペクター』誌にて再登場。神の怒りの執行者スペクターの宿主ジム・コリガンの良き友人となり、彼がスペクターという存在の本質を探る手助けをした。
 神父がスペクターとの交流故に、神に対して割合に達観した発言(他者には不敬と取られかねない発言)をするようになったために、所属する教会の異端審問にかけられ、そこへ『スカッド』時代の仲間が弁護に現れるという展開は、2シリーズを通して読んでいるとかなりグッと来る。

  
  
 あと、4月から『ブライテスト・デイ』とタイインしてる『ザ・フラッシュ』と『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』は、今月も引き続きタイイン。『ジャスティスリーグ』の方は、パワーガールvs.スーパーガールのキャットファイト(違う)だヨ!

 あと、『ブライテスト・デイ』第0号の展開を受けて『タイタンズ:ヴィランズ・フォー・ハイアー』なんてワンショットが出るとかで。デスストローク率いる新暗殺チームが、アトムを狙うよ! って、『タイタンズ』のワンショットなのに何故に現ジャスティスリーグのメンバーを狙う……。


 あと、レン・ウェイン作、ジョー・キューバート&アンディ・キューバート&J.G.ジョーンズ画という豪華布陣で送る全10話のマキシシリーズ、『DCユニバース・レガシーズ』が始動。第2次世界大戦から現代までの、DCユニバースのヒーローたちの歴史を、全10話で俯瞰する感じなソレ。
 こういう感じの「ユニバースの歴史まとめます」系のシリーズは今後も出て欲しいなぁ、ていうか、『フーズ・フー』とか出してくんないかなぁと思う、資料大好き人間の俺さんであった。ほら、最初の『フーズ・フー』って、レン・ウェイン&マーヴ・ウルフマンが編集者やん。この2人をシニアエディター格かなんかで迎えて、その手の資料系の一切を取り仕切らせればええと思わん?(なぜエセ関西弁か)

 あと、5月のイベントとしては『バットマン:ザ・リターン・オブ・ブルース・ウェイン』全6号ミニシリーズの第1号と2号が出やがりますね。……せめて隔週でなく月刊にならんものか……。お財布が死ぬねん……。


 バットマン・フランチャイズ的には、『バットマン&ロビン』で「バットマンvs.ロビン」ストーリーラインが完結ー。ショッキングなあのキャラクターが帰ってくるよ! とか書いてありますが、誰でしょ(ナゲヤリ)。
 あと『レッドロビン』も現行のストーリーラインがクライマックス?(なぜ疑問型か) と、まぁこの2誌しか買ってないので、他のコミックのことは興味ナシ(ヒデェ)。ま、6月の『バットマン』第700号は買いますけど。

 あ、『バットマン/スーパーマン』はポール・レーヴィッツがライターか……。久々に買おうかしら。
  
  
 スーパーマン・フランチャイズの方は、ミニシリーズ『スーパーマン:ウォー・オブ・ザ・スーパーメン』全4号ミニシリーズを週刊ペースで出して、5月で一気に終わらせる感じ。
 殺す気か! と思ったら、5月はレギュラーの『アクション・コミックス』『スーパーマン』『スーパーガール』がお休みな模様。じゃ、先月より1冊増えるだけなのね! なら死なないわ!(<騙されてる)

 あと『アドベンチャー・コミックス』第11号で、ブレイニアックとブリル・ドックス(ブレイニアック2)とブレイニアック5が対面するぜ! とかいう話だけど、現行のブレイニアックの設定だと、ブレイニアックはドックスさんの父親じゃないような気もするのですが、どうなんでしょ。


 レギュラーのタイトルでは、スペシャルとか新創刊とかがちらほらと。

『ザ・マイティ・クルセイダーズ・スペシャル』では、「レッドサークル」レーベルのヒーローが集って、「マイティ・クルセイダーズ」を復活させるようで。……いや、現行の設定だと復活じゃなくて、今回が初の結成になるのかしら(すいません、「レッドサークル」は読んでないので適当な相づちしか打てないのです)。

 でもって、ポール・レーヴィッツの『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』が創刊。アラスジに「グリーンランタン・コーズとタイインするよ!」とか書いてあるけど、未来のコーズかしら、それとも現代のコーズと?
 アーティストのYildiray Cinarさん(カタカナにするのをあきらめた)のdeviantartに掲載されてる集合イラストがカッコよすぎて困る。センターにいるブレイニアック5がステキすぎて非常に困る。

 ストラジンスキーが脚本を書いてる『ザ・ブレーブ&ザ・ボールド』第34号は、リージョン・オブ・スーパーヒーローズの創設メンバー3人とドゥーム・パトロールが競演。このカップリングは面白いので(ていうか、この2チームが競演するのって初めて?)久々に買おうかしら。

『JSA:オールスターズ』第6号の表紙でスターガールとアトムスマッシャーが見つめ合ってますが、よりを戻してしまうのか、オノレ(※このブログの筆者は、コートニーさんとアトムスマッシャーのカップリングに対して「断じて許さぬ」というスタンスを取っております。非主流なのは自覚してる。してるんだ……)。

 ちなみに、JSA関連は今まで全部買ってましたが、4月分から『マゴグ』『パワーガール』を切ってみた。まあ、単行本派に転向したわけですが。こういう買い方ができるようになったのって、金と場所がなくって別に「最新号を競って買わなくてもいいか」的に情熱もなくなってるジジイ的に、非常にありがたいやもしれぬ、とイマサラながら思ってみた。今の若者は、まぁ、普通に「単行本派」とかがいらっしゃるのでしょうね。

『ブースターゴールド』第32号は、新ライターとして、キース・ギフェン&J.M.デマティスが就任。
 いや、いいけどさ。いいんだけどさ。……なんか、こう、「『ブースターゴールド』の新ライターをこいつらにすれば、君ら『JLI』ファンは、買うだろ?」的な、向こうの思惑に、マンマと載せられてしまってるようで……。いや、買うんだけど……なんか歯がみしちゃうねん。
 ていうかギフェンは『ドゥーム・パトロール』に『ブースターゴールド』『マゴグ』それに『ジェネレーション・ロスト』(隔週)と、毎月5誌の連載を抱えるのか。大丈夫なのか。
 ま、そろそろどれか1、2誌が打ち切られるから……いや、最近のギフェンの作品は、1年たっても打ち切られなくなってるからダメか。
 こう、『ブック・オブ・フェイト』『ヴェクスト』『スーサイド・スカッド』みてぇな、1年以内に打ち切られて、「実は今まで登場してきた主人公は偽物でした、正体? 教えないよ」オチとか、「別に何をするわけでもなく酒を飲み続ける最終回」とか「夢オチ10連発」とかいう、やる気のない最終号を書き飛ばしていた頃のギフェンが懐かしいぜ……。

※編註:このあと延々5行に渡り、『キャプテン・マーヴル(2002)』の最終回のあまりに素晴らしいナゲヤリっぷりを称えるテキストが続いてましたが、よく考えたらあれはペンシルがギフェンなだけで、ライターはピーター・ディヴィッドだったので消した。

 あと、『ザターナ』新オンゴーイング・シリーズがスタート。Stephane Rouxが(カバーだけでなく)中も描いてるようなので購入してみようかと。
  
  
 単行本関連では、7月に「ブラッケスト・ナイト」のハードカヴァー単行本が7冊もでやがるのが「うへぇ」という感じ(無論、買いませんけど)。

 あと、何故か数年に渡り発売が延期されていた(うちのブログの過去の記事を検索したら、最初は2007年11月に出る予定だったらしい)『ショーケース・プレゼンツ:スーサイド・スカッド』第1巻が、ようやく出る。ようやくだ。ようやくなのだよ。
 内容的には、当初アナウンスされてた通りに、Suicide Squad (vol. 1) #1-19, Doom Patrol/Suicide Squad Special #1, Justice League International #13を収録(全552ページ)。2年半前から突っ込んでますが、なんで『スーサイド・スカッド』の実質的な第0話である『シークレット・オリジンズ』第14号を収録しないのか。
 それと、この収録方法だと、次巻でクロスオーバー「ヤヌス・ディレクティブ」がうまく収録できない気もするけど……まぁ、まずは第1巻が出たことを喜んでおこうか。


 いじょー。

 そんなわけで、今回の裏テーマは「君らもオストランダーの『スーサイド・スカッド』を読め」でした。


Showcase Presents: Suicide Squad Vol. 1
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DC Comics 2010-06-22
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表紙が今時のデジタル塗りになってて、なんか新鮮
ボリューム1、という記述を信じていいんだな? 
続刊に期待してもいいんだな?

  
  
関連記事

●DC講座Re:フェイトと呼ばれた者たち・その2

2010.03.08 Mon

▼前口上:

 そーいうわけで、続きー(ナゲヤリ)。

  
  
▼フェイトA(ジャレッド・スティーブンス)

・オリジン:ゼロ・アワー事件の後、ナブの兜・アヌビスの護符・運命の外套の3種のフェイトの呪具はネルソン夫妻の支配から離れる。次空間を超えた呪具はナブの墳墓にて実体化し、盗掘家のジャレッド・スティーブンスによって見いだされる。
 直後、ネルソン夫妻はフェイトの塔(時空間の狭間に存在する塔で、時にマサチューセッツ州セイラムに顕現する。ドクター・フェイトの称号を受け継いだものの拠点)にジャレッドを召還し、呪具を取り戻そうとする。が、フェイトの呪具を求める謎の教団キングダムの配下が乱入し、夫妻は殺害される。この時ジャレッドは、右手にアヌビスの護符を握り配下に殴りかかるが、護符は彼の右手ごと砕かれてしまう。護符のエネルギーの暴発により、かろうじて怪物を退けたジャレッドは、引き裂いた運命の外套を包帯がわりに右腕の傷に巻く[Fate #0: 1994/10]。
 程なくして復活したナブは、ジャレッドをケント同様、自身の依代にしようと試みるが、ジャレッドは拒否。ジャレッドの右腕と一体化したアヌビスの護符のために彼に手を出せないナブは、不承不承彼を放す。
 その後、ナブの兜はナイフとアンク状の投げナイフに変異(元々ナイフの使い手のジャレッドが使いやすいよう)。彼はフェイトとして混沌の勢力と戦うこととなる[Fate #1: 1994/11]。

・能力:暫定的な魔力の行使。ジャレッド自身は魔術師としての訓練を全く受けていないため、物質変換などの高度な魔術は行使できない。主にナイフやアンクを媒介に魔力を発動させる。

・備考:フェイトは『ゼロ・アワー』直後に開始された『フェイト』オンゴーイング・シリーズの主役。『クライシス』で代替わりさせたはずが、気付けばまた初代に戻ってるドクター・フェイトを、再び代替わりさせようと試みた……んだと思う。
『フェイト』の連載は約2年程継続(#0-22 [1994/10-1996/9]の全23号)。
『ゼロ・アワー』イベントを契機に創刊された新世代ヒーローのオンゴーイング・シリーズは、ぶっちゃけジェームズ・ロビンソンの『スターマン』以外は短命に終わったのだが(※記憶で書いているので「あれは長命だったじゃねぇか!」とかいうツッコミ歓迎)、その中でも『フェイト』はもった方だと思う。

・余談:そういや、『フェイト』のオンゴーイング・シリーズが出てる時期にアマルガム・コミックスから『ドクター・ストレンジフェイト』が出てるけど[1996/4]、面倒なのでパス。
  
  
▼ドクター・フェイト(1)E(ケント・ネルソン+ナブ)

・オリジン:上記の『フェイト』シリーズの最終エピソードにて、ユージン&ウェンディ夫妻(前回参照。ドクター・フェイト(2)が転生した肉体な)に、死んだネルソン夫妻の魂が乗り移り、さらにユージン(ケント)とその娘ライナ(ナブ)が、かつてケントが使用していたハーフ・ヘルムを媒介に合体し、ドクター・フェイトとして再生する。
 ナブに支配されたこの新ドクター・フェイトは、真の力を取り戻すためにフェイトを襲撃する。が、折しもフェイトは謎の存在ファラオ、それに復活したティフォンと戦っており、大混戦となる。最終的にティフォンと共闘したフェイトは、新ドクター・フェイトを倒す[Fate #20-21: 1996/7-8]。
 この後、突如現われた秩序、混沌の大公らによって「私欲に堕した」との裁きを受けたナブは秩序の大公の資格を剥奪され、混沌の大公にされる(そんなすんなり転職できるものなのか)。また現世をさまよっていたネルソン夫妻は、スペクターが召還した大天使ミカエルの祝福を受け、昇天する[Fate #22: 1996/9]。

・備考:『フェイト』最終エピソードに登場した、ドクター・フェイトのバリエーション。デマティスの『ドクター・フェイト』の設定を再利用しつつ、フェイトvs.オリジナル・ドクター・フェイトという夢の対戦実現という、かなり燃えるシチュエーションなのだが、諸事情により、現在では「なかったこと」になっている模様(後述)。

・余談:ナブとケントの合体した存在ってことで、一応、ドクター・フェイトに含めたけど、この人、劇中でドクター・フェイトって名乗ってたっけ(うろ覚え)。
 追記:アメコマー菅野さんにより、劇中のモノローグで「ドクター・フェイト」と記載されてたことが確認されました。なのでこのバージョンもドクター・フェイト(1)の1バリエーションであります。
  
  
▼フェイトB(ジャレッド・スティーブンス)

・オリジン:ゼロ・アワー事件のさなか、エクスタントによって魔力を奪われたネルソン夫妻はフェイトへの変身能力を失う。それから3月と7日と16時間後、ナブの寺院に盗掘に訪れたジャレッド・スティーブンスは、幽霊のような姿のケント・ネルソンと遭遇する。
 ケントはジャレッドを寺院に導き、発狂したインザの傍らに置かれたフェイトの呪具を示す。呪具に触れたジャレッドは、いずこかの領域に転送され、秩序の大公ナブと遭遇する。
 ジャレッドを次代のドクター・フェイトにしようとするナブだが、ジャレッドは拒否し、ナブの寺院に戻される。と、呪具の内、兜と護符はいつのまにかナイフとアンクに変化していた。
 呪具がジャレッドに託されたことでナブのくびきから解放されたネルソン夫妻は、閃光と共に消失。ジャレッドは呪具を集め、寺院を去ろうとする。が、そこへナブと混沌の大公が現われ、それぞれジャレッドを己の配下にしようと争う。ジャレッドの半身は混沌、もう半身は秩序に犯されるが、ジャレッドはどちらの勢力につくのも拒む。やがて寺院は爆発。右腕に重傷を負ったジャレッドは、外套を包帯がわりに腕に巻く。こうしてジャレッド・スティーブンスはフェイトとなり、秩序、混沌いずれにも属さぬ、均衡のエージェントとして活動することになる。

・能力:まあ、フェイトと同じ。

・備考:『フェイト』オンゴーイング・シリーズ終了から数ヶ月後、新タイトル『ブック・オブ・フェイト』[1997/2]が創刊される。同誌は、『スケア・タクティクス』『チャレンジャーズ・オブ・ジ・アンノウン』『ナイトフォース』といったオカルト系タイトルと共に「ウィアードバース<Weirdoverse>」というレーベルを構成していた――まあ、長らく不遇だったオカルト系のコミックを復権させよう、ってな試みですな(同時期にはSF系のタイトルの復権を目指したレーベル「ヘリックス<Helix>」もやってましたね)。
 で、この『ブック・オブ・フェイト』の創刊号にて、フェイトのオリジンは上記のような具合に全面改定される。でもってオリジンが改定されたことにより、『フェイト』オンゴーイング・シリーズの展開は、割とウヤムヤにされる。
 やがて『ブック・オブ・フェイト』は1年で終了(#1-12: 1997/2-1998/1)。ウィアードバースの他のタイトルも、やはり1年かそこらで力尽きる(ついでにいえば「ヘリックス」の方も、『トランスメトロポリタン』以外はいずれも1年程度で終わりましたが)。
 ギフェン自らがアートも担当した『ブック・オブ・フェイト』最終回のナゲヤリっぷり――フェイトがロボとバーで延々と酒を飲んでるだけ――は一見の価値あり。


▼ドクター・フェイト(4)(ヘクター・ホール+ナブ)

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・オリジン:混沌の大公の1柱である魔導師モードルーは、ドクター・フェイトの力を求め、フェイトことジャレッド・スティーブンスを殺害する[JSA #1: 1999/8]。結果、ジャレッドの支配を離れたフェイトの呪具は、再び元の兜・アミュレット・マントの姿に戻る。続いてモードルーは、次代のドクター・フェイトになるべき運命を持って生まれた赤子を捜し出し、その力を奪おうと試みる。
 が、このモードルーの計画は、再生したJSAによって防がれ、赤子はナブの魔力によって急速に成長を遂げる。しかもその赤子は、JSAとゆかりの深いヘクター・ホールが輪廻転生した存在であった。かくて、再び現世に降臨したドクター・フェイトは、JSAに参加し、悪と戦っていくのだった。

・能力:魔力の投射。へクターは魔導師としてはまだ未熟だが、ナブの兜の中の秩序の大公ナブの加護を受けることにより、相応に高度な魔術を操る。

・備考:ゼロ・アワーのスピンオフとして創刊されたジェームズ・ロビンソンの『スターマン』オンゴーイング・シリーズは、当時巻き起こっていた「王道もののヒーローものコミック再評価」なブームにも乗り、望外のヒットとなる。
 このヒットは同時に、『スターマン』にてリスペクトされたDCのゴールデンエイジ期のヒーローの再評価にもつながる(ゼロ・アワーは、JSAの面々を一線から引かせて、フェイトや新スターマンら、新世代のヒーローを送り出そうという意図もあったのだが、まるっきり逆の結果を残したことになる)。
 そんなわけで1999年、『JLA』へのJSAのゲスト出演[JLA #28-31: 1999/4-7]や、イベント「ジャスティスソサエティ・リターンズ!」[1999/8]といった露出を経て、新生『JSA』オンゴーイング・シリーズが創刊される運びとなる(あとジェフ・ジョーンズのデビュー作『スターズ&ストライプ』も『JSA』に先駆けて創刊されてますね)。
 で、この最初のエピソードにて、ドクター・フェイトが新生することとなる(※フェイト/ジャレッド・スティーブンスはあくまで「フェイト」というヒーローであって、「ドクター・フェイトの○代目」としてカウントされるわけではない点を、今更だが指摘しておく)。
『JSA』の創刊当初のライターは、ジェームズ・ロビンソン&デヴィッド・ゴイヤー。ロビンソンは、なんつーか、新規タイトルの第1話で「景気づけにマイナーキャラを殺す」というイヤなクセがあり、『JSA』ではフェイト/ジャレッド・スティーブンスに白羽の矢が当たる……。
 なお、『JSA』創刊号に登場したフェイトのコスチュームは、何故か『ブック・オブ・フェイト』版ではなく『フェイト』版だったりする。ただし、『JSA』の作中にて、「ネルソン夫妻がアヌビスのアミュレットの中に住んでいる」「ナブが秩序の大公として登場」といった事柄が描写されており、このことから『フェイト』のラスト・エピソードの「ネルソン夫妻昇天」「ナブ、混沌の大公に転身」の展開は「なかったこと」になった模様。

・備考2:ヘクター・ホールは、ゴールデン・エイジ・ホークマン&ホークガールことカーター&シーラ・ホール夫妻の1人息子。この人とその周辺の歴史を語るとすげぇ長くなるのですが、語る。
 大学へ進学したヘクターはエヌス・メタル(着用者が意志の力で重力を制御できるようになる神秘の鉱石で、ホークマンらの飛行能力の源)を用いたパワードスーツを開発し、ヒーロー・シルバースカラベとしてデビュー。
 一方で、同世代の仲間たち(いずれもゴールデンエイジのヒーローとゆかりが深い)と共にJSAへの加入を志願するが、すげなく断られる。これを受けて独自のヒーローチーム・インフィニティ・インクを結成する[Infinity, Inc. #1: 1984/3]。
 インフィニティ・インクとして活動するかたわら、ヘクターは幼なじみであり、チームメイトのフューリー(リタ・トレヴァー。旧設定ではゴールデン・エイジ・ワンダーウーマンの娘。現設定ではワンダーウーマン(3)ことヒッポリタ女王の義理の娘っぽい人の娘)と恋仲になり、婚約する[Infinity, Inc. #16: 1985/6]。
 が、ホークマンの仇敵ハス・セトの呪いに支配されたシルバースカラベは、インフィニティ・インクと交戦し、死亡する[Infinity, Inc. #44: 1987/11]。
 しかし、彼の魂はいかでか異世界ドリーム・ディメンジョンに引き込まれ、そこにて死亡していた2代目サンドマンの肉体に憑依。3代目サンドマンとして活動することとなる。ドリーム・ディメンジョンの住人となったサンドマンは、現世には1日に1時間しかとどまれず、ヘクターはその時間を、婚約者のリタとの逢瀬に利用する。やがて、インフィニティ・インクの面々は、ヘクターの現状を知り、最終的にリタが現世での生活を放棄し、ドリーム・ディメンジョンに住むことになる[Infinity, Inc. #49-50: 1988/4-5]。
 ……が、実はヘクターは夢界(ドリーミング)の妖魔ブルートとグロブによって、王なき夢界を支配するための道具として利用されていたのであり、サンドマンが守護するドリーム・ディメンジョンは偽りの世界に過ぎなかった。
 やがて夢界の本来の王モルフェウス(ドリーム)は、永きにわたる幽閉より解放され、夢界に帰還する。夢を操る呪具と、夢界の支配を取り戻していく過程で、モルフェウスはヘクターを打ち倒す。この結果、現世に帰還したリタは、モルフェウスをヘクターの仇として憎むようになる(実際には、ヘクターは3代目サンドマンとなった時点で死亡しており、モルフェウスは彼の魂を解放したに過ぎぬのだが)[Sandman (vol. 2) #12: 1989/12]。
 モルフェウスの兄弟であるデスによって、ヘクターの魂は死後の世界へ送られた……はずだったが、運命の気まぐれによって、彼は再び現世に転生することとなる。

・備考3:その後リタは、ヘクターの子を出産。モルフェウスにより赤子はダニエルと名付けられる[Sandman (vol. 2) #22: 1991/1]。
 が、程なくしてダニエルは、欺瞞の神ロキによって連れ去られる。ダニエルを連れ去ったのがモルフェウスだと思いこんだリタは、かつて彼女に力を与えたフューリーズ(エリニュスとも)の加護を得て、夢界に侵攻。ついにはモルフェウスを討ち果たす。
 しかし、自身が倒れることを予期していたモルフェウスは、ダニエルに自身の力を託しており、彼の終焉をもってダニエルが新たなドリームとなる[Sandman (vol. 2) #57-69: 1994/7-1995/7]。
 その後、現世に帰還したリタは、いつの間にやらフェイトのアミュレットの中に封じられる。後に彼女は、ドクター・フェイト(ヘクター)によってアミュレットから解放されるが、意識不明のまま眠り続ける[JSA #58, Hawkman (vol. 4) #25: 2004/4]。

・備考4:後の『インフィニット・クライシス』のさなか、ヘクター・ホールは暴走するスペクターと交戦。この結果、ヘクターはフェイトの呪具を失った状態で、意識のないリタと共に地獄の辺境にある雪山へと送られる。
 やがてヘクターが意識を失うと共に目を覚ましたリタは、息子ダニエル(ドリーム)の提示した救済にすがり、現世での生活を放棄し、夢界にて生きることを選択する。ヘクター(の魂)を抱き上げたリタ(の魂)は、ダニエルの開けた扉をくぐり、彼方へと消える一方、彼らの肉体は現世に残される(<つまり、上記の事柄は、リタが死ぬ前に見た幻視というイヤな解釈もできる)[JSA #80: 2006/2]。

・備考4:ヘクターさんはミニシリーズを1回獲得するものの、さして人気が得られなかったようで、上記のように『JSA』誌上で退場(しかもメインのストーリーラインではなく、サブのストーリーとして、他のメンバーと全く絡まない形で)。個人的にはちょっとションボリ。
  
  
▼ナブ

・おなじみ、秩序の大公。ヘクターがドクター・フェイトだった頃は、一時的に彼の精神を支配したり、「リタは死んだからあきらめようぜ!」とかウソをついたりしてた。
 スペクターによってヘクターから引きはがされたのを受け、ナブはしばしの間、“よりしろ”となる肉体なしに、兜・アミュレット・マントだけの状態で活動。3たび復活したモードルーを、JSAと共に倒している[JSA #80: 2006/2]。
 この後、ナブはスペクターと再戦するも、スペクターによって致命傷を負わされる。
 ナブの死により、魔術の第9世代<Ninth Age of Magic>は終わり、 第10世代<Tenth Age>が始まる。
 ナブの兜はデテクティブ・チンプに託されるが、チンプは兜をキャプテン・マーベルに渡し(兜が頭に入らなかったのだ)、マーベルはそれを宇宙の彼方に放り投げ、兜を“運命”の導きに任せる。

・備考:こいつはナブ単独の状態ですので、ドクター・フェイトの○代目としてはカウントせず。


▼「ヘルメット・オブ・フェイト」

The Helmet of Fate
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DC Comics 2007-10-03
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・『インフィニット・クライシス』から1年後、フェイトの兜はラルフ・ディブニーさんの手に渡ったかに見えたが、実はこの兜は偽物であった(詳細は『52』を読もう)。

・本物の兜は、宇宙空間をさすらったあげく地球に戻り(なぜか宇宙をさまよううちにハーフ・ヘルム型に変異)、イベント「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」にて、様々な人物の手に渡るのだった。

・備考:この「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」は
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:デテクティブ・チンプ』[2007/1]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:アイビス・ジ・インビンシブル』[2007/1]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:サーゴン・ザ・ソーサラー』[2007/2]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:ザウリエル』[2007/2]
 『ザ・ヘルメット・オブ・フェイト:ブラックアリス』[2007/3]
 という、隔週ペースで刊行された5冊のワンショット(1冊だけ刊行される特別号のこと。基本的にはボリュームが多めで、読み切りのことが多い)にて展開された。
 それぞれの物語は、まあ、タイトルになっているキャラクターの元に「フェイトの兜」が転がり込んだり、あるいはその敵などの手に兜が渡ったりして、なんやかやして結局は兜を手放すぜ、とかいう具合なお話。

・作中ではデテクティブ・チンプ(なぜかこの時は兜を被れた)がドクター・フェイトのコスチュームを身に着けて短期間活躍したり、ブラックアリスがヘルメットを被ったりしてますが、こいつらはドクター・フェイトの○代目とはカウントしない模様。
  
  
▼ドクター・フェイト(5)(ケント・V.ネルソン)

Dr. Fate: Countdown to Mystery
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DC Comics 2008-09-09
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・オリジン:転々と所持者の変わっていったフェイトの兜は、運命の導きによってケント・ネルソンの甥の息子にあたる、ドクター・ケント・V.ネルソンの手に渡る。
 ネルソンは元々はそれなりに優れた精神科医だったが、浮気が元で妻と不仲になり、あげく、彼の担当患者が正気を失い車で十数名をひき殺すという事件を起こし、わずか数ヶ月で路上生活者にまで身を持ち崩していた。
 わずかな金のために、殴られるところをビデオに撮られたネルソンは、金を取られたあげくゴミ箱に叩き込まれる。が、そこにてケントは偶然にフェイトの兜を手にする。
 何気なしに兜をかぶり、その内に蓄えられていたドクター・フェイトの歴史を知ったケントは、当初は兜を質屋に入れたり、兜を被ってカジノで小銭を稼いだりしつつも、やがて現れた妖魔ネガルとの戦いを経て、ドクター・フェイトとしての運命を受け入れる[Countdown To Mystery #1-8: 2007/11-2008/7]。

・能力:魔力の行使。フェイトの兜の中にはすでにナブはいないが、兜の中に残された魔力と知識によって、広範な魔術を操ることが可能。
 ちなみにフェイトの兜は普段はハーフ・ヘルムの形状だが、いざという時には、フルヘルムに変形して、それと同時にケントの身体がドクター・フェイトのコスチューム、マントに包まれる。日本の変身ヒーローぽくって、なかなかカッコよい。あ、ちなみにハーフ・ヘルムの状態でもそれなりに魔法を使用することは可能。

・備考:一応、現行のドクター・フェイト。元々は「ザ・ヘルメット・オブ・フェイト」の後、スティーブ・ガーバー作の『ドクター・フェイト』新オンゴーイングシリーズが始動する予定だったのだが、ガーバーの体調不良のために、新シリーズは取りやめとなり、代わりに『カウントダウン・トゥ・ミステリー』全8号ミニシリーズにて、「エクリプソ」とのカップリングで掲載されることとなる。
 が、第7号までのシナリオを書いた時点で、ガーバーは亡くなり、物語はケントと友人マディが妖魔ネガルの領域に引き込まれたところで未完となる。
 そこでDCは、ガーバーが生前親しくしていた4人のライター(アダム・ビーチェン<Adam Beechen>、マーク・エバニアー<Mark Evanier>、マーク・ウェイド<Mark Waid>、ガイル・シモーネ<Gail Simone>)を招き、それぞれに「ガーバーならこのように決着をつけるだろう」というエンディングを書かせ、それを各4ページでコミック化したものを、『カウントダウン・トゥ・ミステリー』第8号に掲載する、というやり方でこの物語を完結させる。
 各作家のエンディングは、「ケントがネガルに勝利し、マディ、インザ(※物語の中盤で登場した少女。インザ・ネルソンと同名なのは“運命”の導きか?)と共に現世に帰還する」という流れはおおよそ共通しているものの、ケントがネガルに勝利する方法や、インザの復活の経緯(※インザは初登場回のラストで、ネガルに唐突に液体に変えられ死亡? していた)などが大きく異なっている。
 ちなみに、その後、ドクター・フェイト(5)は、ミニシリーズ『レイン・イン・ヘル』や『ジャスティスソサエティ・オブ・アメリカ』誌に登場しているが、上記の4つのエンディングの内、どのエンディングが「正しい」かは明言されていない。
 個人的には、この「どれが正規のエンディングなのか明言されていない」状態というのは、非常に居心地が悪いので、どれかに決定して欲しいのだが、まあ、そういうワケにも行かないのだろう。


 以上。
  
  
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●DC講座Re:フェイトと呼ばれた者たち・その1

2010.03.01 Mon

▼前口上:

 今回は旧ホームページに掲載してたドクター・フェイトに関する記事のリメイクを、まぁ載せようかという次第で。

 つか、ちょろっとの手直しでリメイクしたかったのに、過去の俺の野郎が諸々の出典を明示してやがらないので非常に困る。

 あと、オリジナルの原稿を書いた当時は、まだヘクター・ホールさんがデビューした当時だったので、今回のリメイクにあたり4代目以降を追記してみた。……つか4代目の過去と、4代目~5代目の間の出来事についての説明を書くのが面倒くさくてイヤになった。

 ていうか、現ドクター・フェイトの初出エピソードはコミックを買ってたけど読んでなかったのですが。今回の記事のために読んでみたら、ラストがエライことになってた(まあ、次回に解説する)。

 っつーワケで。


●JSA講座:フェイトと呼ばれた者たち

 えー、今回はJSAのメンバーの中でも、日本では比較的マイナーな、ドクター・フェイトさんの各バージョン(ていうか、フェイトさんが代替わしてることすら知らない方が多いのではないかと思いますが)を、こうザッと書き出していこう、という。


 その前に、各フェイトのオリジンに深く関わってます、秩序の大公ナブさんについて、軽く説明を(面倒なんで箇条書きで)。


▼“賢きもの”ナブ<Nabu the Wise>:

・ナブは原初の宇宙に誕生した秩序の大公<Lords of Order>の1人。

・秩序の大公たちはその対となる存在、混沌の大公<Lords of Chaos>と宇宙創生以来闘争を繰り広げていた。

・約5500年前、秩序の大公のひとりであったナブは、秩序の論理に疑問を差し挟んだために、秩序の領域シリアから追放される。他の大公たちは、ナブを混沌の満ちあふれる惑星(地球)へ送り込んだ。かの地にてナブが混沌と戦い続けることで、彼が秩序の大公としての論理について学ぶことを願ってのことであった。
 古代の地球に降り立ったナブは、魔術師の姿をとり、エジプトにてファラオを助け混沌と闘ってゆく。

・ラムセス王の統治下において、ナブはファラオの宮廷魔術師となる。ある時、創造主の怒りの化身であるスペクターは、ヘブライ人を迫害したラムセスを殺害するためエジプトに顕現する。
 この時ナブはスペクターと戦うが、容易に退けられる。ナブは新たなファラオ、ラムセスII世にヘブライ人の迫害をやめるよう進言したが、王は聞き入れなかった。結果、スペクターは再度顕現し、エジプト中の長男を殺害する[Spectre (vol. 3) #14: 1994/1]。

※このエピソードの元ネタは旧約聖書「出エジプト記<Exodus>」第11~12章。ちなみに『スペクター』誌での描写では、「出エジプト記」第7章でモーセとの魔術比べで杖を蛇に変えたファラオの宮廷魔術師こそナブー……だったはず(うろ覚えかよ)。このファラオをラムセス王と定義したのは『スペクター』誌のオリジナル……だと思う。<注釈でうろ覚えの知識を羅列するな。

・また、ナブがクフ皇子に仕えていた際、サナガー星の宇宙船が、エジプト郊外に墜落する。ナブは宇宙船から回収した未知の鉱石を用い、テス・アダム(魔導師シャザムによって6柱の神性の加護を与えられたチャンピオン、後のブラック・アダム)と共に、呪具「ホルスの爪」を作り出す[JSA #22: 2001/5]。
 また、この時代に顕現したミスター・テリフィック、ホークガール、キャプテン・マーヴェルと共に、ヴァンダル・サヴェイジと交戦する[JSA #42-44: 2003/1-3]。

・やがて度重なる混沌との戦いで疲弊したナブは、当時仕えていた王に願い、ウルの谷なる地に寺院を建てさせ、その最奥にて深き眠りにつく。

・備考:ちなみに、オイラが元々書いてたテキストでは、ナブはメソポタミアに降り立ってて、ウルの谷もメソポタミアのいずこかにあった、と記述してましたが、どの資料を基にしてメソポタミアと書いたのかを失念したので(多分、More Fun Comics #67かSecret Origins #23のどっちか)、今回はメソポタミアの記述を外しました。ま、そのうち調べて修正します。

・ちなみにナブの元ネタはおそらくはバビロニア神話の学問の神ナブ。……メソポタミアともエジプトとも関係ないぞ、おい。

・秩序の大公・混沌の大公の設定は、ぶっちゃけ、マイケル・ムアコックの「永遠のチャンピオン」シリーズのパクリ。DCユニバースにおいて混沌/秩序の大公が初登場したのは、おそらくは『1st Issue Special』第9号[1975/12]掲載のドクター・フェイトのコミック。

・また、この『1st Issue Special』第9号では、ナブはアヌビス神(実は混沌の大公の一柱が姿を変えたもの)を崇める暗黒の僧正カーリスを倒し、彼の持つ強力な呪具“アヌビスの護符”(ドクター・フェイトが胸につけている丸い飾り)を手に入れた、との設定が書かれていた。

・ただし、『JSA』第42号で、「アヌビスの護符は異世界ジェムワールド出身の人間が作った」とかいう記述が登場しており(ただ、この設定も本当かどうかは不明)、『1st Issue Special』版の設定が現在も「イキ」であるかは不明。
  
  
■フェイトさんたち:

 そんなわけで、歴代ドクター・フェイトさんと、「フェイト」の名を冠したその他のキャラクターらの紹介をしてくワケけですが。

 各文の見出し部分は「ドクター・フェイト(n)A(名前)」のように表記していますが。この整数nはそのフェイトが何代目に当たるかを、整数nの後ろにあるアルファベットは各代のフェイトの細かいバージョンの違いを示しております(Aから始まりB、Cと続いていく)。

 カッコ内の「名前」は、そのバージョンのドクター・フェイトの「中の人」を記載しております。ドクター・フェイトというキャラクターは、複数のキャラクターが“合体”して変身するケースがママありますが、その場合は「ケント・ネルソン+ナブ」のように、それらキャラクターを全部書き出しております。

 整数nに関しては、DCのオフィシャルに準拠してますが、アルファベットに関しては筆者が便宜上つけているものだったりします。受け売りすると恥をかきますので注意を。
  
  
▼ドクター・フェイト(1)A(ナブ+ケント・ネルソン)

・オリジン:考古学者である父親と共にウルの谷にある遺跡を訪れたケント少年は、運命に導かれ、ナブの眠る石棺を開く(この時、棺からわき出た毒ガスによって父親は死亡)。復活したナブにより、ケントは20歳相当の肉体年齢まで成長させられ、魔術の秘奥を伝授される。
 かくて混沌と戦うチャンピオン、ドクター・フェイトとなったケントは、世界征服を企む悪の魔術師ウータンと闘い、デビューを飾る[More Fun Comics #55: 1940/5]。
 この時、ウータンに人質として捕らわれてたインザ・クレーマー嬢とケントは恋に落ち、後に結婚する。

・能力:魔力の投射。エネルギー源は彼が被る“ナブの兜”内に存在するナブ。ケントは兜を被ることで、生ける魔素の固まりであるナブ自身から魔力を引き出す事が可能。また無限の知識を持つナブと合一することで様々な呪文を駆使できる。魔力はエネルギーボルトの投射から、妖獣の召還、元素変換、物質生成まで広範。また、超人クラスの身体能力と耐弾性、飛行能力も備える。
 ちなみに歴代ドクター・フェイト共通の弱点は、ナブの兜なしには充分な魔力を発揮できない点(※)。ただしケントは継続した訓練を受けているために、兜なしでもある程度高度な魔力を行使することが可能。

(※)その逆っつーか、ナブはナブで宿主無しには現世で魔力を行使できない、ってのが弱点(と、オリジナルの原稿では書いていたけど、近年の『JSA』誌上にて、ナブ単体で魔力を行使してたりもしますね。ガンバればできるんでしょう<適当な)。 

 
▼ドクター・フェイト(1)B(ケント・ネルソン)

・オリジン:1941年中頃、ケントはドクター・フェイトに変身時に、兜の中のナブが己の行動を徐々に支配しだしていることに気付く。そこで彼はナブの兜の着用を止め、かわりに自作した鼻から下が解放されているタイプの兜(ハーフ・ヘルムとでも言いますか)を自作。以降、戦後までそのマスクを着用して活動する。
 戦後は引退していたケントだが、近代に至りスーパーマンらの台頭によるヒーローの新時代が到来したのを受け復帰。この時はハーフ・ヘルムではなくナブの兜を着用している。

・能力:魔力の投射。ただし、ナブを欠くために、その魔力は従来より大幅にダウン。この状態でも超人クラスの身体技能と軽度の耐弾性、飛行能力は健在。

・備考:「兜の中のナブが己の行動を徐々に支配しだしている~」うんぬんの設定は、後年にロイ・トーマスの『オールスター・スコードロン』誌で提示された後付け設定[All-Star Squadron #23 1983/7]。
 これはゴールデン・エイジ期に連載されていた「ドクター・フェイト」のコミックで、途中からドクター・フェイトの兜のデザインが変更された(※More Fun Comics #72 [1941/10]から)のを理屈付けしたもの。
 ……本来のデザイン変更の理由は、多分、人気がなかったんで路線変更。兜のデザインをハーフ・ヘルム(※普通のスーパーヒーローっぽいデザイン)にしつつ、物語もストレートなスーパーヒーローものっぽくして(要するに魔法とかエジプトっぽい要素を削って)、割と一般受けするスーパーヒーローものに転換させたようです。
 ちなみに、このコスチューム変更の翌月から、掲載誌の『モア・ファン・コミックス』には、いきなり3本の“普通の”スーパーヒーローもの(グリーンアロー、アクアマン、ジョニー・クイック)の連載が開始されておりますが。このことからも、時代がストレートなスーパーヒーローものを求めてたんだろうな、と思うわけですが。


▼ドクター・フェイト(1)C(ナブ+ケント・ネルソン+インザ・ネルソン)

・オリジン:強力な混沌の大公に対抗するため、ナブ+ケントの従来のペアに、ケントの妻インザを加え、三位一体をなした存在。
 ドクター・フェイトは、ナブと男女2人の三位一体による合一によってその真の力を発揮するのだが、ナブはケントを自身の支配下に置くことを願い、ケントに必要以上の力を与えるこの合身を長らく秘密にしていた模様。

・能力:ドクター・フェイト(1)に準ずる。ただし魔力の質・量共に数倍のパワーを誇る。

・備考:この形態の初出は『フラッシュ』(vol.1)のバックアップ連載[the Flash #305-313: 1982/2-9]。この連載分は、『1st Issue Special』第9号などと共に、ミニシリーズ『イモータル・ドクター・フェイト』としてリプリントされてるので、今読むならそっちを購入した方が楽。
 一応、初代ドクター・フェイトの最強形態。劇中でも、強大な混沌の勢力に対抗するために満を持して合体した……ような記憶があるが、どうだっけ(今度実家の『イモータル・ドクター・フェイト』を読み返そう)。


▼ドクター・フェイト(2)A(ナブ+エリック・シュトラウス)

・オリジン:『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』事件の後、秩序の大公たちは宇宙が全き混沌“カリ・ユガ”に突入しつつあることを感じ取る。
 輪廻する宇宙に於いては、全き混沌の後に全き秩序の時代が来ることを知る秩序の大公らは、混沌との戦いを放棄。サイクルが巡るまで宇宙が滅びるままにする(「どうせ戦っても混沌の時代が来ることは運命なんだしー、それって無駄だしー、どうせ待ってれば秩序の時代来るんでしょ? じゃ、何もしないしー」とかいう感じ)。
 が、長年の戦いで人類に対し親近感を抱くようになっていたナブは、この計画に反発。ただ1柱、戦い続けることを誓う。
 が、増大する混沌により、ケント夫妻に若さと活力を与えていた魔力は徐々に失われていた。まず、老いに絶望したインザが自殺し、最愛の人を失ったケントは生きる意志を喪失する。必然、ケントはドクター・フェイトとして活動も辞める。
 そこでナブは、8歳の少年エリック・シュトラウスをドクター・フェイトの後継者とすることとし、かつてケントにしたように、魔術で少年を成人させる。

・能力:魔力の投射。だが当初のエリックは充分な魔術の訓練を受けていないため、ナブの魔力を使いこなせていない。

・備考:エリックの初出は『クライシス・オン・インフィニット・アーシズ』の完結後に刊行されたミニシリーズ『Doctor Fate』#1 [1987/7]。なおこのシリーズの脚本はキース・ギフェン&J.M.ディマティスの共著、アートはキース・ギフェン当人。ギフェンの奔放なアートはカオスそのもので、実にすばらしい。TPBになってないのが残念ナリ。
 こう、『クライシス』の完結を受けて、DCユニバースが新世代に移行していく中、ゴールデン・エイジのヒーローであるドクター・フェイトも代替わりさせて新世代標準にしよう、とか考えたかは知りませんが、ともあれ、ドクター・フェイトは誕生から47年目にして、大きな変革を迎えるのであった。
 
 
▼アンチ・フェイト(ベンジャミン・ストーナー)

・オリジン:かくてドクター・フェイトの称号を継いだエリックだったが、突如現われた混沌の大公ティフォンに容易く退けられ、フェイトの3種の呪具を奪われる。
 ティフォンは配下の精神科医ドクター・ベンジャミン・ストーナーにフェイトの呪具を与え、混沌のドクター・フェイト、アンチ・フェイトを誕生させる。

・能力:魔力の投射。基本的にはドクター・フェイトと同程度の魔力を誇ると思われる。ただし魔力の源はナブではなく、混沌の大公ティフォン。

・備考:その後、アンチ・フェイトは真の力に開眼したドクター・フェイト(2)と交戦し敗北する[Doctor Fate #4: 1987/10]。
 後にドクター・フェイト(2)に対抗するために手を組んだ混沌・秩序の両大公は、ストーナーを拉致し、アンチ・フェイトを復活させる。だがストーナーはフェイトとの戦いの中で大いなる愛に目覚め、業を捨て去り昇天する[Doctor Fate (vol. 2) #18-24: 1990/6-1991/1]。
 ドクター・フェイトのバリエーションにはカウントしないけど、「フェイト」の名を冠した存在の1つとして、まぁ、ここに記載する。
  
  
▼ドクター・フェイト(2)B(ナブ+エリック・シュトラウス+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ティフォンに破れたエリックは、その後、ケント・ネルソンとリンダ・シュトラウス(エリックの義母)によって救出される。
 実はリンダはエリックと魂の奥底で結びついており、輪廻転生を繰り返し、幾千もの人生にて恋人同士として巡り会う定めにあったのだった。
 やがて、フェイトの真の力がナブと男女一組との三位一体にて引き出されることに気付いたケントは、渋るナブを説得し合体を了承させる。エリック・リンダ・ナブは合一し、アンチ・フェイトとティフォンを打倒するのだった[Doctor Fate #4: 1987/10]。

・能力:魔力の投射。パワー的にはケント・ネルソンに勝るとも劣らない。

・備考:この後、ケント・ネルソンはナブに死を許され昇天。ナブは残されたケントの遺体に乗り移り、人間性というものについて学んでいくこととする。そんな感じに舞台が整ったところで、『ドクター・フェイト』ミニシリーズ・完。もうすぐ始まる『ドクター・フェイト』新オンゴーイングシリーズにご期待ください(ヲイ)。


▼ドクター・フェイト(2)C(エリック・シュトラウス+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ナブがケントの肉体を得たことで、エリックとリンダはナブ抜きでドクター・フェイトに変身するようになる。
 通常、ドクター・フェイト(2)と言えば、この状態を指す。
 なお、暗黒の帝王ダークサイドとの戦いで、エリックとリンダはそれぞれ単独でドクター・フェイトに変身。ダブルライダーな感じでダークサイド配下のパラデーモン軍団と交戦している[Doctor Fate (vol. 2) #12: 1989/12]。

・能力:魔術の投射。ただし、エリックとリンダの息が合っていないとフェイトとしての全力が出せない。

・備考:『ドクター・フェイト』オンゴーイング・シリーズ(誕生から49年目にしてようやくソロのシリーズを獲得)における、ドクター・フェイトの基本形態。っつーても、この形態が登場するのはほんの1年だけですが(後述)。
  
  
▼ドクター・フェイト(2)D(リンダ・シュトラウス)

・オリジン:ダークサイドの配下によりエリックは死亡。いずこかへと消えたエリックの魂を探すため、リンダは無理矢理ドクター・フェイトに化身する[Doctor Fate (vol. 2) #13: 1990/1]。

・能力:魔術の投射。ただしリンダはフェイトとして正式な資格はおろか訓練も受けていないため、変身には苦痛が伴う。

・余談:『ドクター・フェイト』オンゴーイングシリーズは、ミニシリーズから引き続いてJ.M.デマティスがライターを担当していたわけですが。
 メヘル・バーバー<Meher Baba>(ミハー・ババ)の熱心な信奉者であるデマティスは、フェイトの物語にバーバーの宇宙観を取り入れて、実にストレンジな味わいの物語を紡いでいったんですな、これが。
 ……ていうか、1年目で主人公のエリックが死亡して、2年目は心の平穏を求めるヒロイン・リンダが輪廻転生したエリックの魂を捜す、ってなスピリチュアルな展開を、ヒーローものコミックで堂々とやってるのが凄ぇよデマティスさん(しかも面白いのは言うまでもなく)。
 ちなみに、「これ、メヘル・バーバーじゃねぇか」な外観のキャラクター(悟りを開いて以降、沈黙を貫いたバーバー同様に、全くセリフをしゃべらない)が、死後のエリックを新たな輪廻に導くヨ!
 っつーか、アンチ・フェイトの業を払った「唯一神」って、明らかに「キリスト教の神様」じゃないし。
 デマティス期の『ドクター・フェイト』、何らかの形で単行本になってくれないかなぁ……。


▼ドクター・フェイト(2)E(ナブ+リンダ・シュトラウス)

・オリジン:復活したアンチ・フェイトに対抗するため、リンダとナブが合一した状態。腕が4本あるのが特徴。
 この戦いの後、リンダはアンチ・フェイトに負わされた傷により死亡。エリックとリンダの魂は、事故で死んだユージン&ウェンディ・ディベラ夫妻の肉体に転生する[Doctor Fate (vol. 2) #22-24: 1990/11-1991/1]。

・能力:魔術の投射。主導権はナブの方が握っているため、かなり高レベルの魔術の行使が可能だが、リンダの肉体がそれに付いてゆけないのが弱点。

・備考:リンダ単体のバージョンは、DC公式ではドクター・フェイト(3)とは見なされてません。
 これは、リンダ単体の状態は、あくまでドクター・フェイト(2)の構成要素「エリック・リンダ」からエリックが抜けた状態(=ドクター・フェイト(2)のバリエーション)であるため……と、オイラは解釈してます(実際は知らぬ。ていうか、リンダ単体バージョンをドクター・フェイト(2)と見なすのかも不明ですが)。


▼ドクター・フェイト(1)D(ケント・ネルソン+インザ・ネルソン)

・オリジン:リンダの死後、ナブはアヌビスの護符の中の閉鎖世界に封印していたケント・ネルソンとインザ・ネルソンの魂を蘇生させ、ドクター・フェイトとして復帰させる。
 諸々を手配し終えたナブは人間についてさらに深く学ぶため、ディベラ夫妻の娘、ライナに魂を移し、人間として転生する。このため、ケント、インザの2人だけでドクター・フェイトに変身するようになる[Doctor Fate (vol. 2) #24: 1991/1]。

・能力:魔術の投射。ナブ抜きだが、ケントの広範な魔術の知識と、ナブの兜から引き出す無尽蔵な魔力により、依然、最強クラスのパワーを誇る。

・備考:ミもフタもない言い方をすれば『ドクター・フェイト』第24号にてライターを降りたデマティスが、後任のライターのために用意した新主人公。


▼ドクター・フェイト(3)B(インザ・ネルソン)

・オリジン:復活したケント夫妻だが、直後、混沌の大公の妨害によって、ケントはドクター・フェイトに合体できなくなる。結果、しばらくの間、インザが単体でフェイトに変身することになる[Doctor Fate (vol. 2) #25: 1991/2]。
 通常ドクター・フェイト(3)といえば、このリンダ単体状態を指す。
 後にフェイトは、合体不全の原因となった混沌の大公を倒し、再びケント+インザの2人で合体可能となる。
 やがて勃発したゼロ・アワー事件にて、ネルソン夫妻はドクター・フェイトに合体し、JSAと共に時空魔人エクスタントに対抗する。が、エクスタントの圧倒的なパワーにより、ドクター・フェイトは変身を解除され、ネルソン夫妻の姿に戻る。フェイトの3つの呪具は次元の彼方に消え、夫妻は変身不能となる。

・能力:魔力の投射。インザは魔術の訓練を受けていないのだが、それなりに高度な魔術も行使できる模様。

・備考:デマティスに代わり、『ドクター・フェイト』第25号から新ライターに就任したのがウィリアム・メスナー=ローブス。なぜだか彼は素直にケント・ネルソンをドクター・フェイトに復帰させず、奥さんのインザが単独でドクター・フェイトに変身するという、誰が望んでいるのかわからない路線変更を行う。
 結局、リンダはシリーズが休刊する第41号[1992/6]まで、ドクター・フェイトとして活躍し続けたのだった。

・備考2:インザ単体のバージョンは、DCから公式にドクター・フェイト(3)と見なされてます。
 ドクター・フェイト(1)の基本の構成要素は「ケント+ナブ」であり、インザは含まれない→故にケントもナブも含まれていないインザ単体のバージョンは、ドクター・フェイト(1)のバリエーションとは見なせない……てな感じにオイラは解釈してます。
  
  
 とりあえず、長くなったので今日はここまで。

 次回は、『ゼロ・アワー』以降、現代までの「フェイト」の名を冠した人たちをお送りする予定ナリ。
  
  

●本日のドクター・フェイトの本:
Golden Age Doctor Fate: Archives - Volume 1
Golden Age Doctor Fate: Archives - Volume 1 (Archive Editions)Howard Sherman

DC Comics 2007-06-06
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 ゴールデン・エイジ期のドクター・フェイトのソロでの連載分(More Fun Comics #55-98)が全話収録されてるという、実にお得な本。値段はそれなりにするけどネー。
  
  
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