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●最近読んだ邦訳アメリカン・コミックス、の巻。

2013.05.13 Mon

▼最近読んだ邦訳アメリカン・コミックス、の巻:

 最近、といっても、例によってエントリを書こう書こうと思っいつつ、更新する機会を逸してた感じなので、割と前に出た本ですが。


 とまれ、こないだ出た、『JLA:逆転世界』と、『JLA:バベルの塔』を読んだ。

JLA:逆転世界 (DC COMICS)
JLA:逆転世界 (DC COMICS)グラント・モリソン フランク・クワイトリー

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JLA:バベルの塔 (ShoPro Books)マーク・ウェイド ハワード・ポーター

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 それぞれ1997年創刊のオンゴーイング・シリーズ『JLA』から、本編の1ストーリーアークな『タワー・オブ・バベル』と、外伝的な描き下ろし単行本『JLA:アース2』を日本語訳したモンで、この『JLA』オンゴーイング・シリーズが好きだったオイラ的に、「いえーい」な感じの2冊刊行であったなぁ、と。

 ──まあ、『JLA』オンゴーイング・シリーズが好きだった、といっても、個人的に面白かったのはジョー・ケリー期までだけどな。<余分なことをゆーな。


 でー、モリソンの『JLA:アース2』は、刊行当時にハードカバー版を予約して買って読んだっけなぁ、というのを思い出した。当時のDCコミックス社は、「描き下ろしハードカバー単行本」というフォーマットを模索してて、この『アース2』や『グリーンランタン:レガシー』みてぇな本をバンバン出してましたっけねぇ(遠い目<年寄りめ)。

 でまぁ、モリソンというのは荒唐無稽な理屈のSFを書く人で、そのモリソンがライターを担当していた『JLA』は、彼のセンス・オブ・ワンダーなところが存分に発揮されていたシリーズであるなぁ、と思う。

 また一方で、モリソンの『JLA』は古典的な少年もののコミックスの文法に則っていて、そのおかげで非常に読みやすかったなぁ、と。

 ──まあ、明快ではあるけれど、その分、無駄な展開はバッサリ切り落としやがるんで、端々の長い説明セリフをきちんと読み込んで、前後の流れを理解する必要があるのが手間ではあったけど。

 ああ、「古典的な少年ものコミックスの文法」っつーのは、要するに……毎回起きる事件は、悪役が「一定のルール」に則って引き起こしてるもので、主人公側は当初そのルールを理解していないせいで苦戦する、けれど、やがてルールを理解し、相手と同じ土俵に立った上で、ルールを利用して勝利を収める……って感じのアレね。

 日本のマンガでいえば、荒木飛呂彦のスタンドバトル、アメリカのコミックスでいえばガードナー・フォックスの『フラッシュ』といえば解るでしょうかどうでしょうか。

 でー、この『逆転世界』も同様に、「こちらの世界では○は勝利しない」「あちらの世界では●は勝利しない」というルールがあり、それを利用して世界に混沌をもたらそうとする黒幕にJLAが挑む、という構図になっていて。で、クライム・シンジケートが黒幕と思いきや実は彼らも……というヒネリがあるのが、また面白いなぁ、と。

 まあ、適当な結論としては、この本が面白がれた人はモリソン期の『JLA』を1巻から読んでくと、いい読書経験ができるのでは、と。モリソンの『JLA』が評判良いらしいけど、自分には合うかな、とか思ってる人は、まずこれ1冊買ってみればよくね? と。

JLA Vol. 1
JLA Vol. 1Grant Morrison

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 一方のマーク・ウェイドの『バベルの塔』はね、その、むかし読んだ当時はね、「ううむ、ウェイドはSFが書けない、むしろSF書かせちゃいけない作家だよなぁ」とかいう感想を抱いて、「モリソンと比べていまいち」という評価だったんだけどな。

 これが、今になると別な読み方ができるというか、なんというか、「SFコミックとして読まなければ、普通に面白い作品である」ことに気づいた。

 いやな、当時この「バベルの塔」をモリソン期の『JLA』と比較しちゃったことには理由があってな。

 そもそも、ウェイドは、大団円で終わったモリソン期の『JLA』の後任ライターとして起用された人でね。んで、ウェイドってのは、市場のニーズに出来うる限り応えようとする、空気の読める作家で。

 だもんで「荒唐無稽なSF」と「バットマン=リーグ最強」とかいうモリソン期の『JLA』テイストを受け継ごうと、それらしく書いてた、という背景があって。そらどうしても当時の読者はモリソン期と比べちゃうし、モリソン期のように「SFコミックス」として読むよなぁ、と。

 で、ウェイド的にはそれらしく書いてるつもりでもね、モリソン期の『JLA』が「荒唐無稽なSF」であったのに対して、ウェイドの『JLA』って、「荒唐無稽な話にSFっぽいディテールを盛ってる」感じだったのよね。荒唐無稽だけど、SFじゃない、という。

 作中にはナノマシンとかなんとか、SFっぽい言葉は出てくるけど、でもモリソンの『JLA』をSFコミックたらしめていた「ルールの提示とルール内での知恵比べ」みたいなモンはなくって、それが(当時の)オイラ的には「こいつはSFではない」的に、反発してたというか。


 その、本質的にはウェイドの『JLA』って、「相手が提示したルールを、チームワークでルールごとブッ壊す」的な、ストレートでプロレス的な殴り合いなのよね。そんな瑣末なガジェットやディテールにこだわって読むようなコミックじゃあない。

 そんなわけで今回、「バベルの塔」を、当時の自分が「モリソンならこんなガジェットは使わない」的に気にしてた「瑣末なディテール」は、まあサラッと流して、本筋の活劇に集中して読むようにしたらね、普通にストレートな少年向けコミックとして楽しめたのさ。

「味方が秘匿していた弱点を奪われて窮地に立たされる」って話形は、熱血バトルコミックスとしては王道じゃないさ。燃えるじゃないさ。

 なんつーか、その、ウェイドの『JLA』は、日本のマンガでいうなら……ゆでたまごの超人プロレスよね。だからまあ、『キン肉マン』を楽しむ上で必要なある種の“おおらかさ”をもって読むべきである、と、イマサラにして気づいた。

 例えば、「バベルの塔」内でマーシャン・マンハンターを無力化するために「周囲の元素からマグネシウムを精製するナノマシン」とか出てくるけどさ、……周囲の元素から特定の金属元素を作り出せるって、どんだけ凄いテクノロジーだよって、話じゃないですか。

(つか、そんな便利なナノマシンを、なぜラーズは地球環境の回復のために使わないのか)

 でも、そんなスゴいテクノロジーなのに、物語の本筋とは何の関係もなくて、登場人物の1人を無力化するだけの些末なガジェットにすぎないのね。あの辺の、「しょうもない目的のために良く考えたらとんでもない手段を使う」って感覚はさ、正に「時空間を自在に操る能力」とかを、ただ単にプロレスの技の掛け手を入れ替えることにしか使わない『キン肉マン』に相通ずるじゃないですか。

 だから、そういうガジェットは「そういうもの」としておおらかにツッコミを入れつつ、本筋は本筋として楽しめばよかったのだなぁ、とね、今更ながら気づいた。

 つかそもそも、モリソン期の『JLA』の後に、ウェイドの『JLA』が続いちゃったことが、まぁ、不幸だったのだなぁ、と。

 っつーワケで、やはりこの『バベルの塔』を普通に楽しめた人は、以降のウェイド期の『JLA』も続けて読むといいのでは、と思った。

JLA: Divided We Fall
JLA: Divided We Fall - VOL 08 (Justice League (DC Comics) (paperback))Mark Waid Bryan Hitch Paul Neary

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 ……一応リンクを貼ってはみたものの、ウェイド期の『JLA』って、単行本にはなってるけど、現在では入手困難なので、デジタルコミックで買うといいよ(今iPadで確認したけど、『JLA』は全話デジタルになってた)。

 特に、ウェイドの『JLA』の最終エピソードである「テラー・インコグニータ」のオチ、「敵の頭脳的な作戦を腕力で強引に打破する」というあれは、プロレス的な展開として非常に秀逸であり、モリソンには書けないウェイドならではの作劇であるので、ぜひ読んで欲しいなぁ、と。できればモリソン期から通しで読んで、2者の作風の違いみたいなのも味わいながら読むといいかも知れぬ。


 ……などと、いった具合に、ウェイドとモリソンの書き手としての資質の違いってのが、明確に解るこの2作品がね、同時に翻訳されるというのは、多分、出版社側で意図してはいないんだろうけど、非常に興味深いカップリングであったなぁ、とかいう結論で締めてみたく思う(適当)。


・その他思ったこと:

 こう、現時点でDCコミックス社の作品の解説を書く場合、プレ・クライシス、ポスト・クライシス、ポスト・ゼロ・アワー、ポスト・インフィニット・クライシス、そしてNew 52と、それぞれの設定について出来うる限り言及しなきゃならないので、面倒極まるなぁ、と、思った。

 んで、『逆転世界』の巻末では、図を使って、マルチバースの設定を解説してて、その辺、送り手の苦労が垣間見えるなぁ、と。

 一方で、『バベルの塔』には、この時期の『JLA』のタイムラインとかを載せてもよかったんじゃないかしら、と思った。

 その、『バベルの塔』の解説テキストで当時の『JLA』のメンバーに起きた事件をツラツラと列挙してたけど、ああいう書き方をするぐらいなら、解説のページをまんま年表として組んで、挙げられてた事件をタイムラインで表した方が見やすかろうと思った。

 あと、どっちもデザインがバナナグローブスタジオだったけど、なんとなく、表紙のタイトル周りの赤の使い方とかが気になるなぁ、とか思った(いい/悪いでなく、生理的に「気になる」)。

 いや、邦訳アメリカン・コミックスといえば長年、真々田稔氏のデザインで、そっちに目が慣れてたんで、無意識レベルで「なんか違う」と思ってるだけかもしれないけど。


 そんなトコで。
  
  
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タグ:今日読んだアメコミ

●アイアンマン3を見た。

2013.05.10 Fri

▼アイアンマン3を見た:

 見た。

 近所の劇場だと2D字幕/3D吹き替えしかなかったんで、成田のIMAXまで行って、3D字幕で見た。


・感想:

 面白かった(小学生以下の感想)。

 第1作とか『アベンジャーズ』と同じくらいの高みに位置してる感じの面白さであった(これら3作に優劣をつけるのはオイラには出来ぬ)。

 なにより、ニック・ファッキン・フューリー&シールドが1カットたりとも登場しなかったのが素晴らしかったですね(<『2』のフューリーのデウス・エクス・マキナぶりをまだ許せてないらしい)。

 あとこう、「バトルもの」としては、最初に「バラバラになったアーマーが宙を飛んで任意の対象に装着される」「アーマーを遠隔操作できる」という、2つの「今回のアイアンマンのテクノロジー」を提示した上で、以降の殺陣をその技術の延長・応用で貫いてるのが、実によかったです。こう、ピンチにそれまで出てこなかった秘密兵器で雑魚敵一掃とかね、割と萎えるよね。

 一方で、エクストリミスの能力も、「すげぇ再生能力」「でも爆発する」って特性を冒頭で提示しつつ、早い段階で「肉体も強くなる」「爆発しないけど熱い」っていう能力のレギュレーションを描いて、その範囲内で戦ってたのがいいですね。

 でー、その2者が全面的にぶつかり合うラストの殺陣は、山盛りでアイデアが盛り込まれてて、実によかったなぁ、と。

 あとこう、毎度トニーが抱えてる、「己との戦い」なソレが、レーティング的に無理のあるアルコール中毒でも、いまいち描写に説得力のないパラジウム中毒でもなく、いかにも現代的なPTSDという形で提示されてたのがうめぇなぁ、と。

 こう結局、1970年代の「デーモン・イン・ザ・ボトル」で、トニーが克服すべき内面の敵としてアルコール中毒が選ばれたのは、それが「あの当時のリアル」に合致してたからであってさ、必ずしもアルコール中毒でなければいけないワケじゃなかったやん、と。でー、PTSDってのは「2010年代のリアル」に合致した、いい選択だと思う。

 あと、自分の作り出したテクノロジーへの無力感からPTSDになってたトニーが、発明好きな子供の何気ない一言で、「創り続けることが自分の本質じゃん」って気づく流れ。それまで「強迫観念からの創造」にハマり込んでたトニーがね、物を創ることで病んだ精神は、物を創ることでしか解消できないじゃん! じゃ、創るしかないじゃん! だって俺、メカニックなんだから! 的に、自分の創造性を前向きに捉えられるようになって、その勢いのままにマンダリンとこに乗り込んでく、あのフツフツとした盛り上がりが好き。

 でー、アイアンマンというものは単なるアーマーだけでなく、そういうトニー自身の創造性も含めて完結する存在なんで、たとえアーマーを全部廃棄してても、そういう創造性がある限りはアイアムアイアンマンだってラストもよかったなぁ、と(<この辺は個人的な解釈なんで注意)。


・その他:

 マンダリン&AIM:その、冒頭数分でAIMって名前が出てきた時点で、「あぁ、今回もスーパーサイエンス大戦であって、“魔法っぽく見える超技術”である所のマンダリンの指輪がメインヴィランになる余地はねぇな」と予想がついたナリ。でもまぁ、後半の憎めないオッサンぶりで全て許す感じですね。まあ、こいつのフィギュアが欲しいかといわれたら断固断るけどな! あと、MIAを裏返したらAIMってのは、どうかと思った。

 アルドリッチ・キリアン:どっかで聞いた名前だと思ったら『エクストリミス』の冒頭で自殺した科学者か。個人的にはジョージ・タールトンとかでも良くなかったかしら、と思いました。

 マヤ・ハンセン:こう、『エクストリミス』のコミックを読んでたおかげで、「根っこは純粋だけど、手段を間違えてるマッドな人」という先入観を持って見てたら、結構ノリノりで悪人だったことが明かされる展開が好き。とりあえず、本筋に必要以上に絡ませず、いつの間にか退場さしてるところが「わきまえてる」感じでよかったです。

 ペッパー:ラスト、炎の中に消えてくあたりの描写が軽めだったんで、「ああこれ、エクストリミス発現して生還するな」とか思ってたら、予想外の大活躍で吹いた。後半、ハリツケにされてるシーンのお腹がエロチカ過ぎてどうしようかと思いました(知らぬ)。

 ローディ:無駄に射撃がうめぇ、ってトコ以外、割と扱いがヒドくね? つか、アイアン・パトリオットさんにはもう少し活躍していただきたかった。とりあえず、あんまパトリオットのオモチャは欲しくならない活躍ぶりですね。

 マーク42:阿呆可愛い。『アイアンマン』って作品は、まぁ、盛り上がったところでギャグで外す、という呼吸が毎度のお約束であるワケですが、まさかこの子がその辺のギャグ関連の主役になるとは。

 スタッフロール:後半、デジタル関連のスタッフの名前で画面が埋まったのには唖然としました。まあ、ラストバトルはデジタルの人海戦術じゃなきゃ、出来ない絵面ですけどね。

 スタン・リー:10点。

 いじょう。
  
  
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