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●『ウルヴァリン:オリジン』読んだぜ、な日々。

2009.09.10 Thu

 ツマらないものを『ツマらない』と断じるのは、実にツマらない行為なワケで。

 いつもは、この手の感想文は悪口雑言をバッサリカットしてるのですが。

 たまには長々と雑言を書いてみたくなった。

 そんなエントリ。

 きちんとしたのが読みたきゃ、Days of Current Pastのコデラさんが、長年のX-メンファンの立場から実にタメになるレビューを書いてるのでそっち読め(むしろあのレビューがあるからこそ、俺はこっちで延々と愚にも付かぬ戯言を書けるのですが)。
  
  
▼最近読んだ邦訳:

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・率直な感想:
 とどのつまり、この本の意義は、
「タイトル通り、ウルヴァリンのオリジンが明かされるよ。ビックリだ」
という点にあるワケで。

 それ故に、読者の興味や物語の盛り上がりのピークというのは、「この人物が後のウルヴァリンだった」という事実が明かされる瞬間にあると思うのですが。

 ですが。

 そのピークの瞬間が、全6号の序盤も序盤、第2号のラストに来るあたり、この物語のプロットを考えた人間はどうかしている。


 加えて、そこで明かされるウルヴァリンの正体が「実はこの『いかにもウルヴァリンらしい少年』ではなく、こちらの『ウルヴァリンっぽくない少年』でした!」という、単に初見の読者を驚かせるためだけの一発ネタなトリックに過ぎないのも、理解に苦しむ。

 四半世紀の間タブーとされていたウルヴァリンのオリジンというパンドラの箱の中身が、考えに考えぬかれ、再読することでいっそう面白味を増すようなソレではなく、1回読んで「あっそう」で終わる、こんなチープなトリックであっていいのか。
  
  
 しかもこのトリック、読者のミスディレクションを誘おうとする演出が露骨過ぎて、逆に読者が「ああ、この少年は、いかにもウルヴァリンぽすぎるので、むしろウルヴァリンじゃないのだろう。ということは、消去法でこちらの少年がウルヴァリンなのだな」という先読みが(したくなくとも)できてしまうのが最悪だ。実に、最悪だ。

 正味の話、この本を読んで、「あぁ、こちらの少年がウルヴァリンじゃなかったんだ! やられた!」といった具合にビックリできるピュアな読者は、どれだけ存在するんだろうか。

 今この文章を読んでるあなたも、物語の冒頭で「ウルヴァリンぽい少年」と、「ウルヴァリンぽくない少年」がでてきた時点で、「ああ、こちらの少年は“ひっかけ”で、この少年がウルヴァリンなんだろな」と気づいたはずだ。
 幼い頃からアニメ・マンガで良質な構成のフィクションに接せられるジャポネーゼに生まれ、フィクションに対する勘所を知らず知らずのうちに磨いてる君らが気付かなかったとは言わせねぇ(<脅迫かよ!)。
  
  
 でもって正直な所、この話は上記のチープなトリックが明かされる瞬間以外の物語に見るべきところもない。

 なんというか、
「BはAが好きなのでいっしょにいる」、「CはAを嫌いなので殴る」といった類の、「好き/嫌い」だけで語れる人間関係が提示され、
「AもBが好きだったけど、Bは別の人を好きになってしまったので悲しい」「成長したAはCを殴り返す」といった具合の、単純な帰結が描かれてるだけで。

 まあ、基本に忠実なメロドラマと言えなくもないけど、その、『ウルヴァリン:オリジン』という浪漫溢れるタイトルに惹かれて、定価2625円ナリを支払った人間が、そんなものを読みたいと?

 あと、単にキャラクターの関係が示されるだけで、キャラクター自体の掘り下げは放っておかれてるんで(この辺、意味もなく――本当に意味がなくてラストで愕然としたよ!――ナレーションをローズの日記にしちゃったのが裏目に出てるんじゃないかと思う)、あまり各人に感情移入しがたいのも、どうかなぁ、と。
  
  
・ブッチャケた話:
 ミもフタもないことを言えば、この本の一番の見所は、巻頭・巻末に掲載されている各関係者たちのコメントだと思う。個人的には。

 ビル・ジェイマス、ジョー・ケゼーダ、マイク・マーツ、ポール・ジェンキンズを筆頭とする、本作に関わったスタッフがそれぞれ充分なスペースを与えられて語っているこのコメント。

 これらを読めば、この『ウルヴァリン:オリジン』という物語が、いかにして発案され、いかにして形をなし、いかにして「あんなんなっちゃった」かが解るようになっている。このページを構成し、必要充分な情報量を盛り込んだ編集者には、心からの拍手を送りたい。

 重ねて言うが、個人的にはこのコメントを読めただけでも、2625円を払った価値はあった。
  
  
 結論から言えば、全ての起点は当時のマーヴルの社長、ビル・ジェーマスだ。

 彼がこの企画を立ち上げた。

 そして、彼が例のトリックを(あんなミスディレクションも含めて)、考えついた。

 なにせ、ビル・ジェイマスが書いた最初期のプロットの時点で、「あのトリック(<もはやトリックというのもおこがましいが)」が堂々と書かれているのだから始末に負えない。

 ついでにいえば、この物語を一層退屈たらしめている「全6話の内最初の3話は少年時代で、後半3話は青年時代を描く」とかいう2部構成も、ジェイマスの最初期のプロットの時点で盛り込まれている。

 なんたるファックか。


 無論、実際の『オリジン』の物語では、舞台設定や登場キャラクター、彼らの配置等が最初期のプロットから変更されてるのだが。

 なのだが、「あのトリックっぽいの」と「2部構成」の2つの要素、言ってしまえばジェイマスのプロットの根幹を成しているこの2つは、完成版でも変えられていない。

 つまりは、この2つこそがジェイマスにとって「変えてはならない最高のアイデア」で、このプロジェクトのために集められた作家・編集者たちの誰もが、そこに口を出せなかったのだろうな、という。

 要は、この物語は最初期から「あんなんなる」定めにあったのだなぁ、という、やるせない事実がそこにある。

 それら変えようのない箇所以外に極力手を入れて、この物語を多少なりともマシなものにしようとした(※)ジェンキンズやマーツらの努力に、なんとはなしな拍手を送りたいと思う。
(※)なにせジェイマスの初期案ではウルヴァリンの両親はヤッピーだとか書かれてる有り様で(夢がねぇなぁ)、しかもミスディレクションにも失敗してる(<「ウルヴァリンっぽくない少年」の名字をローガンにしちゃったら読者の興味がそっちに向いちゃうだろ!)。
  
  
・終わりに:
 こー、とりあえず、ビル・ジェイマスみたいな古今未曾有な(※悪い意味で)エグゼクティブがいた、という事実を後世に伝えるためにも、レッツ購入『ウルヴァリン・オリジン』とかいう適当なシメでどうか。
  
  
 以上。
  
  
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コメント

*

うわ、来週映画を見に行くのですが、これはショックな話です(涙

かわんでよかったとは、正直期待していたので、言えない………
うやむやになって、新しいオリジン、出てくれないかなあというのは、ファン失格なんでしょうか?

*

>kanou さん
お久しぶりです。
>かわんでよかったとは、正直期待していたので、言えない………
こんな場末のブログの悪口雑言なんか気にしちゃ駄目ですよ! 買ってその目で
確かめてみるのがファントしての正しい態度d
……とかいう「自分の目で確かめなきゃ」的なコメントを書こうかと思ったのですが、
自分の読みたくないモノが載ってると感づいてる本、しかも2600円もする本を
「買おうぜ!」とかいうのはどうかと思ったので、今のナシで。

ウヤムヤには……多分ならないんでしょうね……。
今回の映画でも部分的に取り入れられてますし……。

*

どうも初めまして。検索から来ました。

映画を観たけど、正直そんなに驚きはなかった。
Xメンシリーズのほうが面白かったような気がするなあ。
なにより、あのデッドプールはない(マジで
最後、バイオハザードのクリーチャーみたいになるのはかまわないけど、せめて一度でいいからマスクをしてくれ。オリジンの設定はどうした?

っと、つい最近デッドプールのシークレットインベイジョンを買ったばかりのにわかファンが言ってみる。

映画がそれなりだったから、こっちに期待していたんだけどなあ。
まだパーフェクトガイドのほうがいいのかも?

*

>ラントルさん
こんな場末のブログにようこそ。
映画版のデッドプールさんはねぇ……。
もう「ああいうもの」と割り切って、
むしろここでデッドプールさんに興味を持ってくれた新規のファン層が
コミック版を「映画とは全然違うけど面白いね」的に受け入れてくれるのを
祈リたいというか何というか……。

>映画がそれなりだったから、こっちに期待していたんだけどなあ。
>まだパーフェクトガイドのほうがいいのかも?
オイラ的にも、ウルヴァリンに強い興味を持った人に勧めるなら、
オリジンよりもパーフェクトガイドですかね。
いきなりオリジンだけ見せられても……ってのもありますし。

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