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●最近読んだマンガについて思ったこと。

2010.02.16 Tue

▼最近読んだマンガ:

『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』 西島大介(太田出版・刊)

「描き下ろしマンガ原稿が、出版前に67ページまるまる紛失!! この史上最大規模の原稿紛失事件の当事者が、顛末そのものをマンガ化!!」という宣伝文句がつけられてた本。何をもって「史上最大」なのかは知らぬが、とにかく凄い自信だ。

 まぁ、そんな感じで、「原稿がなくなったんで単行本が出せないんで、他社でも出る単行本あわせの連動企画をどうするか」ってのを思案しつつ、「結局、原稿出てこないので、どのように補償するか」というのを版元と話し合ってくってのを、赤裸々に語ってるドキュメントっぽいマンガ。

 業界の慣例としてだいたい「原稿料の10倍」とされる原稿紛失の際の補償額に対し、クダンの原稿は描き下ろしマンガなので原稿料がそもそも存在しないというレアなケース、しかも版元はマンガ出版の経験値がロクにないので、無論、こうしたことに対するマニュアルもない。
 ……っつー具合なヤッカイな背景から、版元と作者がおそるおそる補償額を決めていくというのが、まぁ野次馬的な読者にとってのヤマ場。

 この交渉の経緯や結果は、「ま、本を読め」とか言う感じですが、最終的に版元は「印税」「部数」を根拠にした計算式で、補償額の基礎となる「原稿料(ページ単価)」の数字を割り出し、作者との合意を得ますわ。


 でー。

 個人的にはね、この原稿料の「計算式」がね、どうにも納得いかないというか。

 正直、出版社側が「作者に支払った金額を、総ページ数で割ればページ単価が出ねぇ?」的な、もっともらしいけれど、実際の現場では通用しない理屈を元に割り出した数字が、たまたま「作者が何となく評価していた自分自身の原稿料の値」と近似値だっただけに過ぎないと思うのですよ。このケースの場合。

 ブッチャケ、本書の作者と異なるキャリアの作家が似たような被害にあって、この計算式を元に原稿料を計算された場合、かなりデタラメな数字になるですよ。

 試しに、ページ数や定価は作者と同じ値で、部数のみ7500部/10万部に変えて計算してみると、かなりアリエナイ数字になります(特に後者はどこの本宮ひろしかと思うような額になります)。

※ちなみに計算式に用いられる部数は「初版部数」でなく「累計部数」。


 個人的には、印税とか部数とかの変数の多い計算式を導入するんじゃなく、シンプルに「作者の他社のページ単価を聞いて、それに幾分か上乗せした数字を原稿料の基本の値とする」とかでよかったんじゃないかと思うのですが。


 まあ、この計算式は作者自身も作中で「かなり例外的な算出方法」といってはいますが。こう、今後、他社で仕事してる作家が、なんらかの事件に遭った際に、このケースを根拠に原稿料の値を決める、なんてことはあり得ないでしょうし。

 ……ただ、今回の件で作者にこの計算式を根拠に保証金を支払った版元のみは、今後こうした事態が再発したら、この計算式を根拠に補償金を算出する、ということをアピールしたも同然じゃないですか。その、それが「根拠ある計算式」として出版社が提示し、作家の合意も得、しかもその経緯が印刷物として残されてる以上。

 それって、凄く怖いことじゃね? と思うのですが、どうでしょうか。

 とりあえず、ご友人などに「マンガの編集者」を生業としてる人がいましたら、この本を投げつけてやると、かなりドンヨリとした顔で返されて、下手をするとマンガの現場についての、どうにもならない愚痴を延々聞かされると思いますのでレッツ・トライ(毎度ナゲヤリなシメ)。


 あ、書き忘れてましたが、このマンガ自体は、非常に面白い本でした。主観を交えてることを自覚しつつ、冷静に事態の推移を伝えようとしてるトコが好感持てた。

 あと(1巻だけ読んでた)『トリポッド』の続きを読もうかなぁ、と思った。
  
  
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