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●俺メモ:キャプテン・アメリカの誕生した頃のアメリカとは。

2012.09.07 Fri

▼最近、調べようと思ったことなど:

 こう、「仕事が忙しくなくなったら、調べたいなぁ」と思うことをメモしておく感じな、まあ、俺の日記帳なエントリ。


 テーマは、「果たして『キャプテン・アメリカ・コミックス』が創刊されたときの、アメリカの市民の反応や、空気はどうだったのか?」ということ。

 でー、その辺を調べるにアタり、現時点で適当なネット検索によって知り得た事実関係をひとまず箇条書きにしてみる。

 そんなわけで。


▼以下メモ:

・キャプテン・アメリカが初登場した『キャプテン・アメリカ・コミックス』誌が創刊されたのは1941年初頭。同号のカバーデートは1941/3なので、まあ、実際の発行月は1941年1月くらいじゃないかと思われる(※コミック誌の奥付などに書かれているカバーデートは、実際の発行月と開きがあることが多い)。

・で、この時点でのアメリカは、第2次世界大戦に参戦してない。同年12月7日の、日本軍による真珠湾奇襲を受けて、アメリカは第2次世界大戦に参戦し、有志のミステリーメンによる義勇大隊オールスター・スコードロンが結成されることとなる(<待て、最後の一文待て)。

※追記:一応、説明をしておきますと、「オールスター・スコードロン」というのはDCコミックス社の出していた、第2次世界大戦を舞台としたコミックスのタイトルであります。刊行されたのは1980年代で、「あの当時のヒーローものコミックの主人公たちがみんな連合して枢軸国の脅威に立ち向っていたら」的なコンセプトのシリーズでした(ただし、枢軸国の勢力圏にはヒトラーがロンギヌスの槍を使って結界を張ってたので、ヒーローらは最前線にはいけないという縛りあり<行けたら戦争終わっちゃうからね)。

・もちろん、『キャプテン・アメリカ・コミックス』創刊当時のアメリカが、第2次世界大戦に参加する気運は高まってたことは否定しない。ただしそれは、「イギリス他の連合国を経済的に応援し、ドイツ他の枢軸国に対しては中立を保つ(要は何もしない)」といった具合の、経済的な、間接的な参加であった。

・こうした経済的な支援の流れは1939年制定の中立法(1939年中立法)が、それまでの「アメリカは完全孤立です! イギリスにもドイツにもソビエトにも等しく何もしません!」的なものから、「孤立は辞めて、輸出再開しようぜ!(ドイツには輸出しないけどね!)」的な方向にシフトしたことが発端な模様。

・つか、『キャプテン・アメリカ・コミックス』創刊の2ヶ月ほど後(1941年3月)には、輸出どころか「レンドリース法」に基づき、イギリス、ソビエト、中国他の連合国軍に対し、事実上無償で軍需物資を供給し始めている。


・が、これだけのことをしておきながら、アメリカの世論は「アメリカは参戦しない」という反戦派が主流だった。これは、1940年の大統領選挙でルーズベルト大統領が、「アメリカ国民を戦争に送らないこと」を公約にかかげてに三選を果たした影響が非常に大きい。

・選挙中もその後も、ルーズベルトは何かと「アメリカ本土が攻撃を受けでもしない限り、参戦しません」「アメリカのお母さんたち、あなたの息子さんは海外での戦争に送られたりはしません」とか繰り返していた。


・――まあ、日本軍によってアメリカ本土が攻撃を受けちゃったので、アメリカは参戦したわけだが。


・ここで推論:こう、キャプテン・アメリカというヒーローが、第2次世界大戦の頃に誕生したという点から、「アメリカに戦争をしかけてきた枢軸国に対し、アメリカの国旗の化身キャプテン・アメリカという、アメリカの正義を体現したヒーローを作り、マンガの中で活躍させてナショナリズムを訴えようとした」的な経緯で誕生したのだと思っている日本人は、案外に多いのではないかと、個人的に思っている。――ネットの書き込みとかを見た印象に過ぎず、確証などはないのだが。

・しかし、実際には、キャプテン・アメリカは、アメリカの参戦前に誕生したヒーローであり、アメリカの世論が「参戦はしないだろう」という空気の中で刊行されたものである。ここは、キャプテン・アメリカというキャラクターを語る上で、大事なことだと思う。


・疑問の提示:では、当時の人々は、このコミックに対して、どんな反応をしたのだろう。「そうだ! アメリカも参戦すべきだ!」だったのか、それとも「一応、アメリカは中立なので、そういうことは声高に言うものではない」といった具合か。――まあ、「人種や立場による」とかいう、結論になるのだろうが、そこは資料を見た上で結論づけたい。なのでそうする。


・ひとつのサンプル:「アメリカが参戦してない時期に発表された、ナチスドイツを批判したフィクション」といえば、チャーリー・チャップリンの映画『独裁者』がある。

・かの映画は、1930年代末から制作が開始され、1940年9月に公開された。この映画は、当時のチャップリンがハリウッドのスタジオに属してない、独立した立場にあり、なおかつ巨万の財を築いていたからこそ制作できた作品だとされる。――ヨソの会社だとそもそも作らせてもらえないし、予算も出ない。

・そしてこの作品は「アメリカとドイツが中立であるのに、あえてドイツを悪くいう映画は公開できるのか?」などと公開を危ぶまれていたようだ。また、チャップリンも“公開できなかったら破産する”覚悟を決めて撮影していたらしい。

・そして公開後は、一部の評論家からナチスを非難する箇所を批判された。一方で、ユダヤ人からは声援が送られた。こうしたことは『キャプテン・アメリカ』にも起きたのだろうか。どうだろうか。


・もう一つのサンプル(2015/11追記):1940年7月頃に刊行された「ライフ」誌の世論調査を見ると、この時点(※つい1月前の1940年6月にフランスはドイツに降伏している)で、すでにアメリカ市民の56%は「欧州戦線でドイツとイタリアが勝利するだろう」と考えており、66%の市民が「枢軸国が優勢になることでアメリカも危険にさらされるだろう」と考え、そして88%ものアメリカ市民が「軍備を増強すべし」と考えていることが解る。

・ただしこれらは、個人的には「枢軸国がアメリカに侵略してくるなら、軍備をもって対応すべし」的な考えがメインであったのではないかと思う。当時はまだ一応中立の立場をとっていたアメリカの中で、積極的に「ヨーロッパ戦線にアメリカ人の兵隊を送り込め」といったことを考えていた市民は、少なかったのではないかと、個人的には思うが、どうだろうか(「あなたは自説にこだわりたいが故にそう思うのだろう」という指摘は実に正しい)。

・なお、「諸外国の侵略に対し、我々自身のために、南アメリカを防衛すべきだと思いますか?」といった質問を見るに、当時のアメリカ市民は、枢軸国が攻めて来るのであれば、「大西洋側」からであると考えていたのだろう。まさかハワイが攻撃されて、太平洋が戦場になるとは。


・1つの視点:とてもぶっちゃけたことをいえば、『キャプテン・アメリカ』を創造したのは、ユダヤ系のアメリカ人だ。

・1930年代を通じて、ナチスドイツはユダヤ人を迫害してきた。それに対し、義憤を燃やしたユダヤ系のアメリカ人は、欧州で行われている戦争にアメリカも参加し、ナチスドイツを正してくれることを願った。

・そして、コミック作家のユダヤ系アメリカ人が、アメリカ的なコスチュームに身を包んだヒーローが、ナチスドイツと戦うというアイデアを思いついた。そんなわけで彼は、「ヒトラーを殴るキャプテン・アメリカ」という、かの有名な表紙イラストを「そうあって欲しい」との願いを込めて描いた。

・その原稿を受け取ったのは、ユダヤ系アメリカ人の経営する出版社だった。彼らはキャプテン・アメリカ単独のコミック誌を創刊するという、破格の待遇で扱った。

・そうして彼らはドイツに対して中立の立場をとり、欧州の戦争に参加しないアメリカに突きつけたのだ。「こうあって欲しい」という彼らの願いを。

・つまりキャプテン・アメリカは、「アメリカの正義を体現した存在」として作られたのではない。「アメリカに体現して欲しい正義を仮託した存在」として作られたのだ。


 ……とかなんとか。


・今後の方策:とりあえず、ジェラルド・ジョーンズの名著『Men of Tomorrow: Geeks, Gangsters, and the Birth of the Comic Book 』を、部屋の中から発掘して、「キャプテン・アメリカ」について触れられてる章を読もうと思った。あとカービィの伝記か。


・余談:キャプテン・アメリカよりも先んじて愛国的なコスチュームに身を包んだヒーローである「ザ・シールド」のオリジンは、第1次大戦時、アメリカに潜入したドイツのスパイによる「ブラック・トム大爆発」事件(実際にあった事件)で父親を亡くした青年が、薬物とX-線によって超人的な力を獲得。愛国的なコスチュームに身を包み、FBIのエージェントとして、アメリカ国内に潜入したスパイと戦う、というもの。

・「アメリカ国内に入り込んだスパイと戦う(=国外では戦わない)」という話型は、アメリカ参戦前のコミックにおける、適切な落としどころだといえる。

・そういえば、ゴールデンエイジのコミックスには、ヒーローが「アメリカに潜入した某国のスパイ」と戦う話が多いが、これは実際にブラック・トム大爆発事件という、ドイツのスパイが引き起こした大事件があったことで、「スパイがアメリカ国内に潜入している」「しかも、大規模な破壊工作をしようとしている」という話に説得力があったからなのだろうな、と、ザ・シールドのオリジンを調べている途中で気付いた。<ヲイ。


 以上。
  
  
Men of Tomorrow: Geeks, Gangsters, and the Birth of the Comic Book
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 ゴールデンエイジの基礎資料としてこの上ないノンフィクションなのでみんな読むよろし。作者はどうもボブ・ケーンが嫌いなようで、割と冷静にディスってて、読んでた俺もケーンが嫌いになったぞ。<ヲイ
  
  
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コメント

*

BLOG記事と全く関係なくて恐縮なんですが、最近はACコミックス辺りを色々と調べておりまして、パブリック・ドメイン化したゴールデンエイジ・キャラクターをチーム化(ユニバース化)してしまうとは、ダイナマイト・エンターテイメントの『プロジェクト・スーパーパワーズ』の先を行ってるなと思いつつ、ロイ・トーマスが同時期にマーベルやDCのゴールデンエイジ整備に躍起になっていたのに倣ったのだろうけど(ファントム・レディ問題もあったりとか)、ロイ・トーマス先生がACコミックスの動きにどこまで気にかけていたのか?など、気になっております。

*

>ロヒキアさん
ACとはまた渋い……というか、すみません、今検索して
会社が存続していることを知りました(<失敬だ)。
あと『フェム・フォース』がまだ続いてたことも(<失敬だ・2)。
トーマス先生くらいになると、ACのパブリッシャーあたりとも懇意にしてそうなイメージですが、まあ、作品的には「我関せず」だった、とかいう感じですかねぇ。
  
ファントムレディといえば、うちらの世代的にはヴェロティック・コミックスからなぜか1冊だけ出てた再録TPBが何となしに印象深いですな。……なんで1冊だけ出したんだろ……。
(あのTPBを「エッチなマンガ」だと思って購入したら、ゴールデンエイジのリプリントでガッカリ、という経験をしたのはオイラだけじゃないはずだ!<阿呆がおる)

*

はじめましてです。大変興味深く読ませていただきました。
ブラック・トム大爆発事件等非常に勉強になりました。そういえば、アースキン博士はスパイに殺害されてましたね。初期の敵はナチのスパイだったそうですし。

またこれは常日頃から思っていたのですが、戦前のヨーロッパでは連合国・枢軸国を問わず、ファシズム・ナチズムの政治団体が多数結成されていたと、以前NHKのドキュメンタリーで見たことがあります。
アメリカでも同様の団体が組織され、若者(一部でしょうが)の支持を集めていたとか。
一方でアメリカの若者文化の一端であるヒーローコミックで愛国的なコスチュームを身にまとい、ナチのスパイと戦うキャップが登場したのも、もしかしたら一種の反動なのかなぁと、興味深く思うのです。
移民排斥、人種差別という明確なメッセージと、ビシっときめた制服に整然とした軍隊行動という分かりやすいメッセージを喧伝するナチスに対し、さらに分かりやすくアピールしようと登場したのがキャップなのではないかと。

そう思うとキャプテンアメリカには時代を超えた普遍性があるようにも感じるのです。ちょっと大げさですが。
以上、長文失礼しました。

*

>ジンジャエールさま
レスありがとうございます。そして返信非常に遅くなりまして申し訳ありません。
こちらもアメリカの歴史については不明でして、テキストを書きながら学んでいる感じではありますが、いくばくかの参考になりましたら幸いです。

それと、大げさな話ではなく、キャプテンの明快さ、解りやすさは何ものにも代え難い、強味だと思います。
明快すぎて、受け手によっては「ナショナリズムの権化だ!」とか必要以上に反応されてしまうこともありますが……。

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