Homeスポンサー広告アメコミ講座風>●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その3

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その3

2007.03.23 Fri

 続きー(棒読みで)。

 あさて、前回は、「なんでスーパーボーイ(だけ)が、ジェリー・シーゲルの著作物だったのか」、「どうしてそんなことになったのか」の説明として、スーパーマンの著作権の移転だの、スーパーボーイの誕生だの、「スーパーマン」の著作権を巡る1948年の裁判の話をしたわけですが。

 さて今回は、
「なんで、今になって(っつーても5年前の2002年ですが)、シーゲル家はスーパーボーイの著作権を取り戻そうとしたのか?」ということについて、語ってこうかと。

 まあ、先に答えを言っちまうと、
「著作権法でそう決まってたから」なんですが。

 そんなわけで、今回は著作権の話ですが。まぁ、俺が語れる程度の法律の話ですんで、そう難しくはないので、安心してくださいな。


▼著作権の「移転」のおはなし:

 さて、シーゲル&シャスターらが、裁判の和解の条件として、DCコミックス社に「スーパーボーイ」の著作権を「移転」したのが、1948年のこと。

 えー、ここでお詫びをひとつ。
 前回までの記事で、権利を「委譲した」あるいは、「売却した」と、軽々しく書いちまいましたが、これは誤りでした。
 正確には、シーゲルは、DCコミックスに10万ドルで「スーパーボーイ」の著作権を「移転した」が正解です。すいません。

 で、この「移転」っつーのは、著作権法において、「保持期限」が定められております。
 ですんで、この保持期限が過ぎれば、移転させていた著作権は、元の著作者(この場合はシーゲル家)に帰ってくるわけですよ。
(※「委譲」や「売却」じゃ、権利を放棄した形になりますんで、帰ってきませんね。すいません)

 めでたいですね。
 ……ま、この保持期限が、すぐに終われば、の話ですが(<ワザとらしい振り)。


▼著作権の「保持期限」のおはなし:

 あさて、その保持期限ですが。
 この当時の著作権法では、DCコミックス社は、移転された「スーパーボーイ」の著作権を、以降、28年間保持することができました。
 でもって、この保持期限は、望むなら更新手続きを行うことで、もう28年間、伸ばすことができたりしました(まぁ、DCとしては、望むでしょうな)。
 要するに、DCコミックス社は、28+28=56年間、「スーパーボーイ」の著作権を保持することができたわけですな(具体的には、1948年+56年=2004年まで)。

 しかも、1976年、アメリカの著作権法が改定されたことで、この保持期限が伸びやがります。 

 この結果、DCコミックス社は、従来の56年に加えて、更に19年間、「スーパーボーイ」の著作権を保持できるようになりました(つまり、1948年+28年+28年+19年=2023年まで)。

 めでたいですね。
 ……保持できれば、ですが(<ワザとらしいフリ・その2)。


▼著作権の「終了権」のおはなし:

 で、ですな。
 この、1976年に改定された、著作権法ですが。
 この改定法では、上記のような、著作権を移転された側の保持期限を延ばしたのみならず、移転に同意した、元の著作権の所持者にも、新たな権利を与えていたんですわ。

それが、「終了権」ってヤツです。

 この「終了権」ってのは、簡単に言いますと、自分の著作権を、他者に移転させた人間が、
「あなたに著作権を移転していましたが、色々と不都合がありましたので、やっぱり返してください」
と言った具合な書類(むろん、もっとキチンとした書面ですが)を相手側に通知し、著作権局に登記することで、著作権の移転を、文字通り終了させられる権利です。

 この終了権は、正規に手続きを踏んでしまえば、移転された側が「断じて、返しません」などとゴネようが、実効されちまう、強力な権利なのですわ。

 ただし、これだけ強力な権利ですんで、おいそれと行使できるようにはなっておりませんで。
 具体的には、著作権の移転からある一定の期間が経っていないと、行使できないのですわ。

 現行のアメリカの著作権法ですと、
「原則として権利付与の実施の日から35年後から5年の間」、つまり権利の移転から35~40年の期間にこの権利を行使できます。
 ただし、
「スーパーボーイ」の場合、この「終了権」の行使が盛り込まれた改定著作権法の実施(1978年)以前に権利が移転されている著作物ですので、扱いは異なりまして、
「著作権が最初に確保された日から56年後、または1978年1月1日のうちいずれか遅い日に始まる5年間」っつーことになります。
 で、「スーパーボーイ」の場合、「いずれか遅い方」ってのは、「著作権が最初に確保された日から56年後」になります。

 ちなみに、この権利は、当初は著作権者本人、配偶者、直系の子孫しか行使できませんでしたが、1998年に改定された結果、血縁のない遺言執行人も行使できるようになったそうで(次回以降への伏線になるかも)。

 とまれ、この法律によって、シーゲルが「スーパーボーイ」の権利を移転させた1948年から56年後、すなわち2004年に、シーゲル家は、DCコミックスへの「スーパーボーイ」の著作権移転の終了権を行使できることになります。


▼で、シーゲル家は終了権を行使したわけだ:

 そんなわけで、第1回目冒頭で箇条書きにしたのの繰り返しになりますが、

 2002年11月、ジェリー・シーゲルの未亡人であるジョアンヌ・シーゲルと、シーゲル夫妻の娘、ローラ・シーゲル・ラーソンは、DCコミックスに移転させていた「スーパーボーイ」の著作権の終了権を行使すべく、諸手続きを行いました(※ジェリー・シーゲル本人は1996年に他界)。
 で、2年間の猶予期間の後、(権利移転から56年目の)2004年11月をもって、「スーパーボーイ」の著作権は、法律上は、シーゲル家に戻りました。

 当然、DCコミックス社(っつーか、その親会社のタイム・ワーナー)は、
「スーパーボーイはウチの著作物です。なんでシーゲル家に返さなきゃ、いけませんか?」とばかり、「スーパーボーイ」の著作権を巡り、シーゲル家と裁判をいたします。

 が、2006年3月23日、連邦裁判官ハロルド・S.W.ルーによって、「スーパーボーイの著作権は、2004年11月17日の時点でシーゲル家に戻っている」との判決が下されますわ。

 ここで、ルー裁判官が判決の根拠としたのが、前回話しました、「スーパーマン」の権利を巡る、1948年の「シーゲル&シャスターvs.DCコミックス」の裁判ですな。
 この裁判でヤング裁判官が下した、「スーパーボーイはジェリー・シーゲル個人の著作物である」という判決が決め手となりまして、「スーパーボーイ」の著作権は、シーゲル家のものとなりました。

 めでたし、めでたし。


※この記事のソースの1つである「スーパーボーイ・コピーライトFAQ」ですと、シーゲル家は、以降、19年後の2023年まで、「スーパーボーイ」の著作権を保持できて、それ以降は、「スーパーボーイ」の著作権は失効する、とか書いてあるのですが。
↓こんな具合
[Siegels, who, if this decision stands (and it seems pretty clear cut), will retain the copyright until 2023, when the copyright expires.]
 こう、現行の著作権法だと「スーパーボーイ」の(1978年以前に発表された作品の)著作権の保護期間は「著作者の死後70年」だから、2066年(前述したようにシーゲルは1996年に他界)まで、著作権は失効しないんじゃないか、と思うんですが、俺、間違ってる?



 
 っつーわけで、今回は、
「なんで、今になって、シーゲル家はスーパーボーイの著作権の移転を終了させる手続きをしたのか?」という、お話でした。

 あい、今日はここまで。

 次回は、「以下余談」な、感じのモロモロの話をしようかと。


※今回触れている、アメリカの著作権法に関しましては、こちらのサイトの、日本語訳を参照しました。


関連記事

タグ:アメコミ講座

コメント

*

勉強になりました。どうもです。

でも、こんなん知ってしまうと、『インフィナイト・クライシス』のオチも、いろんな含みがあったのかな~と邪推しちまいますよ(汗)

*

>ロヒキアさん
>でも、こんなん知ってしまうと、『インフィナイト・クライシス』のオチも、
>いろんな含みがあったのかな~と邪推しちまいますよ(汗)
個人的には、「含み」ってよりは、「たまたま」じゃないかなぁ、と思うですが<ICのオチ
その辺は、これから更新する4回目で、語ってみるですが。

コメント投稿

Private

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://ironjoe.blog7.fc2.com/tb.php/45-ec251728
この記事にトラックバックする(FC2ユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。