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●最近のアメリカン・コミックスとクトゥルフとか。

2013.12.09 Mon

 ういす。

 毎度お馴染み、適当な日常のハナシを書こうと思ったら、話の最初に持ってきたネタが長くなったので、それ単体でエントリにするという、いつもの計画性のない感じのソレ。


▼最近のクトゥルフ:

 森瀬 繚さんがTwitter上で講義してる「アメコミにおけるクトゥルー神話」の話が面白いなぁ、と思ったのでリンクを貼ってみる。

 1970年代前半頃のコミックス界の、怪奇・SF・ソーズ&ソーサリーといったジャンルがそれなりな盛り上がりを見せてた頃って好きなのよね、と、クトゥルフあんま関係ない感想を漏らしつつ。


 でー、ね。

 その、無粋は承知で1箇所だけ突っ込ませていただくと「アメコミとクトゥルー神話」第3回で言及されている、『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』第10号(1962/3)が

「現時点で確認されている、DCコミック作品への最初のクトゥルー神話ネタの挿入がこの作品であるようです」

 という解説は、適切ではない、と思うのですよ。
  
  
 具体的にいうと、件の『ジャスティスリーグ』第10号が刊行される20年以上も前、1941年にナショナル・コミックス社(DCコミックス社の前身ですね)から刊行された、『モア・ファン・コミックス』第65号(1941/3)掲載の「ドクター・フェイト」のコミックで、既にクトゥルフ神話的な悪人とガジェットが登場してるのですね。

 オイラの記憶が確かなら、この「ドクター・フェイト」の話は「スーパーヒーロー・ジャンルで初めてクトゥルフ神話的なガジェットが言及された話」とみなされてたかと思います。

 ……いや、これが「初めて」ではないとしても、『ジャスティスリーグ』第10号よりも前に「クトゥルー神話ネタの挿入」がなされたDCのコミックスが存在していたことは、確かかと。
  
  
 この「ドクター・フェイト」のお話ですが、タイトルからして、「ザ・フィッシュメン・オブ・ニャルラ=アメン(The Fish-Men of Nyarl-Amen)」というモノでして。

 タイトルの「ニャルラ=アメン」ってのはこの話の悪役の名前なのですが……まあ、クトゥルフ神話の神性ニャルラトテップ(Nyarlathotep)の名前が元になっているのでしょうね。

 でで、この話は、水晶玉によってニャルラ=アメン率いる魚人(頭が魚で、身体が人間という、クトゥルフ神話の怪物「深きものども」と同じ容姿)が地上侵攻を開始したのを察知したドクター・フェイトが、魔法で魚人軍団を撃退し、さらに魚人たちの海底都市に潜入、魚人たちの王ニャルラ=アメン・ザ・エンシェント・ワン(“旧きもの”ですな)を打ち倒し、しまいには海底都市も壊滅させる……という具合です。

 と、まあ、タイトルだけでなく、お話の舞台やキャラクター、そのネーミングにもクトゥルフ神話ネタが盛り込まれているのは、同意していただけますでしょうか。

 ……ちなみに、「The Fish-Men of Nyarl-Amen」で画像検索したら、こちらのブログに全ページアップされてましたので(ヒデェ、けどありがたい)、お暇な方は現物をご確認しちゃってください。わずか5ページですし。

※てか、たった5ページで、これだけの大スペクタクルな話が展開してくのが凄ぇ。

 紙メディアじゃなきゃ嫌だ! という方は、この話が収録されている『ドクター・フェイト』のハードカバーを購入して読むのもよいかもしれませんね(またそうやってお前はアフィリエイト・リンクを貼りやがる)。

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 ちなみに、この「ドクター・フェイト」の話を書いたライターはガードナー・フォックス。元は弁護士だったのが、世界大恐慌の影響で失職し、コミックブックのライターに転身したという異色の経歴の持ち主であります。

 彼はコミックブックのライター業のかたわら、1940年代後半からは小説家としても健筆を振るい、『ウィアード・テールズ』『アメージング・ストリーズ』といったSF雑誌にも作品を発表していたというSF畑の人でした。

 その後フォックスは、編集者ジュリアス・シュワルツと組み、ジョン・ブルーム(ライター。この人もSF小説家から転身)らと共に、1950年代後半からのヒーローものジャンルの復興(いわゆるシルバーエイジ)にも尽力しました。

 元々SF小説界の住人だったシュワルツの下で、その資質を存分に発揮したフォックスは、『フラッシュ』第123号(1961/3)掲載の「フラッシュ・オブ・2ワールズ」において、以降のDCコミックス社の世界観の基礎となる「マルチバース」の設定も創出しております。


 ていうか、クダンの『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』第10号のライターを担当していたのもガードナー・フォックスでして。

 同号に登場するフェリックス・ファウストやデーモン・スリーの諸設定にクトゥルフ神話的なガジェットが盛り込まれていたのは、個人的には、編集者であるシュワルツよりも、1941年から「ああいう話」を書いていたフォックスによるところが大きいのではないか、と、思う次第であります。

(ていうか編集者であるシュワルツは、どちらかというと物語の大筋をライターと共に決めてくのが仕事であって、タイムレス・ワンとかネクロノミコンみたいな、瑣末なガジェットを考えるのはライターのフォックスの領分だと思うのですよね)
  
  
 ……とまあ、そんな感じで、

・DCコミックス社における「最初のクトゥルー神話ネタの挿入」は、少なくとも『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』第10号ではない。

・あと『ジャスティスリーグ・オブ・アメリカ』第10号において、クトゥルフ神話ネタを盛り込んだのは、ライターであるガードナー・フォックスではなかろうか?

 という2点を主張したく思うわけですが、いかがでしょうか。
  
  
 以上。


 ちなみにこの後、「旧支配者ムナガラー(M'Nagalah)の出てくる『トレンチコート・ブリゲイド』全4号をDCデジタル・コミックスで買おうとしたけど無かったので、COMIXOLOGYで買ったけど、ついでにタダで落とした『サイバー・フォース』がTPB丸々1巻分タダで読めるんで驚いたぜ!」とかいう話を続けようと思いましたが、長くなるのでまた今度。
  
  
※編註:筆者のどうでもいいコダワリにより、本稿では「Cthulhu」を「クトゥルフ」とカナ表記しております(引用は除く)。
  
  
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タグ:豆知識

コメント

*朝鮮魔法

そのエピソードは読んだことあるかな~。まぁ、この時期はアメコミがパルプマガジンと併走してる時期なので、「ラブクラフトもマナ板に上がったか」位の感慨だったんですがDCでクトゥルフ神話といえば、何年か前の『エル・ディアブロ』(3代目のヤツ)の最終回が打ち切り也に纏めに入るのかーと思わせて、最後にガタノゾーアを出してきたのて吹きました。あとDCじゃないけど、ムーアのLXGからのスピンオフ(ネモの娘のヤツ)が『狂気の山脈にて』とか色々入ってたなー

*

ドクターフェイトさん、5ページでさらりと凄まじいことしてますなぁ
そういえばアニメのジャスティスリーグでもクトゥルフっぽいのとドクターフェイト等が戦ってましたね
まああれは参加面子的にディフェンダーズパロディだったのかもしれませんが

*ララクロフトってラヴクラフトと似てるよな

マルさん「よく考えたら全然似てないでごわすよ」
ジュンペイ「ンモ~」

ラヴクラフトと言えば中二病を患えば避けては通れない道ですな、ドグラ・マグラ同様に学生時代に読んだ覚えが。そして仕事に就いてゾンビ&スプラッタ映画華やかなりし頃より愛すべきクソ映画メーカーのエンパイア・ピクチャーズが思いの外の数のラヴクラフト映画を作っていた事を再確認。どれもロクなもんじゃなかったw
いやホントにココは拾ってくるコンセプトだけはスゲェいいセンスあった会社だったんだよな、「ロボ・ジョックス」のマツモト14号がなければ今のデル・トロはないしね!
しかしデル・トロ「狂気の山脈にて」を映画化しようなんてスチュワート・ゴードンでも思わねぇよ!やりたきゃポケットマネーでやれよ!!とは映画会社じゃなくても俺もそう思う。

*

どうも。オイラです。

>ロヒキアさん
>この時期はアメコミがパルプマガジンと併走してる時期なので
フォックスの場合は、パルプ作家からの転身とかじゃなく、
読者側でとして読んできたものをコミックに取り入れてる感じというか、
その辺が、ロイ・トーマスとかウルフマンとかウィーンあたりを想起させるなぁ、
と思ってみたり。

リンク貼った「アメコミとクトゥルー」でも触れられてましたけど、
近年のコミックスは割とクトゥルーネタがカジュアル化していて、
ウッカリ流し読みしてると、クトゥルフネタを仕込んできたりしておりますな。
ムーアなんかだとインディーズでクトゥルフもののコミックスに関わってたりと
直に書いてたりもしますし。

>通りすがりさん
>ドクターフェイトさん、5ページでさらりと凄まじいことしてますなぁ
そのくせ、「敵は拉致したアメリカ軍の将官に魔法をかけて、アメリカ軍の
軍事機密を聞き出している」とかいう、全うな「侵略者っぽいこと」の描写も
入れているのが、フォックスの非凡なところであるなぁ、と、思う次第です。
(と、長々話して後半で振られたアニメのジャスティスリーグを
 見てないことをごまかす<ヲイ)

>ビートルさん
エンパイア・ピクチャーズはね、中二病を患ったいい大人が
なんか勢いに任せて会社を作っちゃった感じの会社でしたな。
『死霊のしたたり』は見たけど、『フロム・ビヨンド』は見てなかったなぁ。
『ロボ・ジョックス』も「ホビージャパン」の増刊号でスチルを見て
心ときめかせたけど、現物は見なかったっけ。
マツモト14号って秀逸なんだか抜けてんだかわかんないネーミングは
今も脳の片隅に残ってますが。
『狂気の山脈』はねぇ、見ては見たいけど、古のものどもの歴史を
読み上げてくだけの原作が、どう映画になるんだかが気になってねぇ。
それとも南極探検隊がショゴスと古のものどもに襲われまくりつつ、
合間にちょろっとだけ太古の様子が映像化される程度の
カイジュー映画になるのかしら(AVPみたいに)。

*

Twitterにて「アメコミとクトゥルー神話」テーマを不定期でぼそぼとTweetしております森瀬と申します。初めまして、そしてご指摘に心より感謝いたします。
1940年代のブツについてはなかなか情報がありませず、その上、ebayでもおっそろしい値段がついていることが多いため、調べが十分にできていないところがありました。
ドクター・フェイト方面で何かしらあるような気はしていたのですが、何分、昨年末から急に興味を持ち、あれこれ調べ始めた1年生なものでして、先達からのご指摘が非常に有り難いです。
他にも何かしらございましたら、ご意見などいただければ幸いです。

*

>森瀬繚さん
始めまして、そして地の果てで妄言をつぶやいているだけのこんなブログへようこそ。

その、古いアメリカン・コミックスを読んで色々とテキストを書いてきた先人からの助言としては、「現物を入手して、自分の目で確認するのは大事なことですが、オリジナルにこだわるとお金も無くなりますので、DC、マーベルやECあたりの有名どころは再録されてる単行本から探すのが、ベターかと思います」という感じでしょうか。

「アメコミとクトゥルー」のスライドは、非常に眼福でしたが、「実際にオリジナルでこれらを揃えるといくらかかるのだろう」などと余分なことを考えつつ、見ておりました。

※自分はオリジナルを所持することについては何らのこだわりのない人間でして、上記の発言で気分を害されましたら申し訳ありません。

それでは、「アメコミとクトゥルー」第4回の方も心より楽しみにしております。

*

たけうち様:
 いえいえ、本当、ご助言感謝致します。
 こうした御反応がいただけただけでも、Twitterの方で始めた甲斐がありました。
 ついつい楽しくて、今年の収入の殆どを調査に突っ込んでしまったという大馬鹿野郎なのですが、「ゴールデンエイジものについては、再録本でどうにかするしかあるまい……」と考えてはいたのです。(他に、内容紹介を見ていると実に怪しい1940年代ものがちらほら)
 とはいえ、"CONAN THE BARBARIAN"のように、勢いで全冊セット買いしてしまったからこそ細かい部分を拾えたというものもございまして、このあたりは使い分けていく所存であります。
 とりあえず、ドクター・ストレンジ単体作品は全部揃えてみようかと……。

*

>森瀬さま
>今年の収入の殆どを調査に突っ込んでしまった
 非常に腹の座った買いぶりといいますか、御見それしました。(一礼

 なので、「マーベル・コミックス社のクトゥルフっぽいガジェットとしては、魔導書ダークホールド(Darkhold)とクトーン(Chthon)も、調べてみると割と面白い存在かもしれませんよ」と、アメコミ沼に引きずり込む方向での返信など(オイ)。

 このダークホールド&クトーンは、ロイ・トーマスの下の世代の作家兼編集者であるゲリー・コンウェイやマーヴ・ウルフマンが設定を作った存在で、次元の彼方に封印された邪悪な旧神(Elder God)とその智慧を書き記した魔導書、という、まあ、定番のガジェットなのですが。

 なんというか、トーマスほどにガチな旧支配者ではなく、かといって近年のカジュアル化したクトゥルフ系ガジェットに混ぜ込むには、割合に歴史が古い故に、中途半端な存在に留まっているというか、

「ヒーローもの向けに翻案されたラヴクラフトっぽいガジェット」として便利に使われてるだけというか、

 一応、ヒーローものコミックにゴシックホラーっぽい味付けを与える名脇役ではあるのだけど、メインに立てない立ち位置というか、

 ……まあ、一言でいえばアカ抜けなさがダメ可愛い奴、であります。

 1990年代中頃に『ダークホールド』という単独誌を得るも、あっという間に打ち切られ、同時期の『ドクター・ストレンジ』の最終回で無理矢理伏線が回収されるという、絶妙なダメさがまた愛しくありまして。

 この時期の『ドクター・ストレンジ』を購入される際には、ついでにこの『ダークホールド』も抑えておくのも良いかと思います──人気がないので捨て値で買えますし。

 それでは。

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