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●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その5(まだ続いた):

2007.04.07 Sat

 あー、前回で終わりだったはずですが、なんか、色々と(余談だけども)書きたいことができたんで、もっかいやろうかと。

 っつーわけで、スタート(つか、も少し導入に気を配れ、俺)。


▼余談追加その1:スーパーボーイ(コナー・ケント)は、やっぱり、法的に問題あるかもしれない。

「NEKOMISO+」さんで、3月末に紹介されてた、Karl Kerschl(名字の読みが解らん)のブログの記事。

This is a job for...Wonder Girl?

 ま、簡単に言いますと、『52』#47のバックアップに掲載される、ティーン・タイタンズのオリジンのページで、ペンシラーのKarl Kerschlが当初スーパーボーイ(コナー・ケント)を描いてたら、「法的な理由」で、スーパーボーイを載せらんなくなって、代わりにワンダーガールの絵にした、という話。

 前回(その4)で、「コナー・ケントさんは、シーゲル家の持つスーパーボーイの著作権的には、さほど抵触してないのだぜ」的に、偉そうに書きましたが、そうでもないやもしれませんね。すいません。

 まぁ、こう、「法的に問題なさげだけど、万一のことを考えて、描かないでおこう」的に、現場の判断で決まったかもしれませんが(<未練がましいです。やめましょう)。

(2007/12/20追記:現状のDCコミックスではスーパーボーイ(コナー・ケント、スーパーボーイ・プライム)は、
1)絵にする時は、「あまりアップにしない」、「胸のSマークは絶対に描かない(影にしたりする)」、などして、「スーパーボーイである」とハッキリ分かるような絵にしていない。
2)セリフなどで言及する時は「コナー」とか「プライム」などといった具合に呼ばれ、「スーパーボーイ」という単語は一切使われない。
3)スーパーボーイ・プライムに至っては、「スーパーボーイ・プライム→スーパーマン・プライム」と、改名された。
 と、いった具合に、徹底して「スーパーボーイ」という存在、名前がコミック上にでないような配慮が成されている。
 一方で、カートゥーン版『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ』には、あいかわらず“ヤング・スーパーマン”が登場し、そのコミック版として、DCが発行している『リージョン・オブ・スーパーヒーローズ・イン・ザ・サーティファースト・センチュリー』にも、やはり“ヤング・スーパーマン”がレギュラーとして登場している。
 ……DCコミックスと、親会社のワーナーブラザーズでは、対応が違ったりするのかなぁ。


▼余談追加その2・シーゲル&シャスター以外の作家の、著作権契約の話。

 その、別に調べてた訳じゃねぇけど、最近読んでた資料に、ゴールデンエイジ期のコミック作家で、シーゲル&シャスターとは異なった形で、出版社と契約してた人のエピソードを見つけたんで、ついでに書き記すナリ。

その1:ジョー・サイモン&ジャック・カービィ:

 まぁ、おなじみ「キャプテン・アメリカ」の作者のコンビですね。

 で、彼らは、マーヴル・コミックス(当時の正式な社名はタイムリィだっけ、アトラスだっけ? ……確認するの面倒くさいんで、以降もマーヴル・コミックスで記述しますが)のパブリッシャー、マーチン・グッドマンの要請で、「キャプテン・アメリカ」を作ったわけですが。この制作途中で、サイモンは、

「あれ? この新キャラクター、凄く魅力的で、凄く人気が出るキャラクターになるんじゃね?」
とか、気づいてしまうわけですよ(まぁ、実際に「なってしまった」わけですが)。

 でー、お金大好きなサイモンは、(当時の業界では、まだまだ2流の出版社だった)マーヴル・コミックスに作品を渡すより、もっと大手のナショナル・パブリケーションズ(後のDCコミックス)や、フォーセット・コミックスに売った方が儲かるぞ、などと考えます。

 賢明ですね。

 でー、既に、サイモンから、キャプテン・アメリカのラフなんかを見せられてて、やっぱり、
「こいつは売れるぜ!」
と、乗り気だったグッドマンは、
「うーん、ヨソならもっと高く買ってくれるだろなぁ、フフン?」
的な態度でゴネだしたサイモンと話し合うことになりまして。

 結果、サイモンとグッドマンは、

1.マーヴル・コミックス社が「キャプテン・アメリカ」から得る収益の15%を、印税としてサイモン&カービィに支払うこと。

2.「キャプテン・アメリカ」を、いきなり独立誌として創刊すること。

 という、実にサイモン側にとって有利な条件で、契約を結ぶこととなりました。

※この当時のコミック誌は、1冊5、60ページくらいで、複数のコミックや読み物を収録した、アンソロジー形式が主流。で、雑誌の連載作品の中で、特に人気の高いものを独立誌として創刊する、ってのが、「あるべき」流れでした(っつーても、独立誌を獲得できたのは、この当時では、「スーパーマン」「バットマン」「キャプテン・マーヴェル」といった、コミック市場の中でも、頂点を極めたキャラクターのみでしたが)。
 でー、独立誌を得ること自体が稀なのに、ここで紹介しちょる「キャプテン・アメリカ」のように、(アンソロジー誌での連載を経ず)いきなり独立誌が創刊、ってのは、さらに稀なことでありました。注釈長ぇな畜生。


 でー。

 晴れて創刊されました『キャプテン・アメリカ・コミックス』ですが。
 その創刊号は、サイモン、そしてグッドマンの思惑通りに、100万部近くが売り切る、という、大大ヒット振りを記録するわけです(当時は、「スーパーマン」あたりが、毎号100万部前後。『キャプテン』は、いきなりそのクラスに喰い込んじちまった、と)。

 えーと、当時のコミックブックが、1冊10セントですから、1冊あたりのサイモンらへの印税は、1.5セント。それが、仮に100万部売れたとすると、150万セント……1万5千ドルですか。月収で。凄ぇぜ!

 が、実はグッドマンは、じきに(あるいは最初から)、この印税の支払いを、ごまかしやがりまして(ありがちですね)。

 およそ1年後、サイモン&カービィは、マーヴルの会計士を勤めていたモリス・コインより、グッドマンが彼らに正当な印税を支払ってなかったことを伝えられます。
 実に正直な、会計士の鏡ですね。

 ……ま、実はこのコインさんは、当時、マーヴルの競争相手だったMLJコミックス社の株を買ってまして。

カービィ&サイモンに本当のことを言う→サイモン&カービィ怒ってマーヴルを離脱→MLJに移籍?→MLJの株急上昇

とかいう「風が吹けば桶屋が儲かる」理論を狙って、明かしちゃったらしいんですが。大人ってやぁねぇ。

 で、この後、コインズの思惑通り、サイモン&カービィはマーヴルに憤るんですが。コインズの期待に反して、彼らはMLJではなく、ナショナル(後のDCコミックス)と接触します。
 結果、サイモン&カービィは、マーヴルの契約社員として働く傍ら、マーヴルにはナイショで、週500ドルの給料で、DCコミックス向けにも原稿を描くこととします。前向きですね(ちなみにこの当時のサラリーマンの平均的な年収は2000ドルくらい)。

※こっから先は、割と眉唾で読んでね。

 が、2人のこの秘密の行動は、ですな。なぜだか、1人の青年に気付かれちまいます。その男、ってのが当時マーヴルで働いてた、グッドマンの甥のスタンリー・マーチン・リーバーって野郎なんですが。

 でー、リーバーは、サイモン&カービィを尾行しだしまして、遂に彼らがナショナル向けの原稿を描く仕事場としていたホテルを見つけだします。

 サーモン&カービィは、シブシブ実状を話して、
「どうか、このことはグッドマンにナイショにしててね♪」
とか、この若造に言ったんですが。

 正直なんだかイジワルなんだか、このリーバー、すぐに叔父の元へ行きまして。サイモン&カービィの「裏切り」を報告します。
 無論、グッドマンは(自分の印税のゴマカシは棚に上げて)、即座にサイモン&カービィをクビにしまして。
 かくて、サイモン&カービィは、円満に(<ヲイ)、ナショナルに移籍しましたとさ。

 めでたし、めでたし。


余談:なお、この当時、ジョー・サイモンはマーヴルの編集長、ジャック・カービィはアートディレクターを勤めておりまして。
 その彼らをクビにしたことで、(グッドマンはともかくも)マーヴルの編集部は、えらく混乱しました。

 で、ですな。
 この後、マーヴルの編集長とアートディレクターの両職に就任したのが、くだんのグッドマンの甥、スタンリー・リーバーでした。
 ……外様に裏切られたんで、身内を重職に据えた、っつーことですかね。

 ……こう、この人事を考えると、リーバーがサイモン&カービィの所行をグッドマンに話しちまった理由を勘ぐりたくなりますな

 その後、スタンリー・リーバーは、第2次世界大戦で、一時マーヴルを離れるものの、戦後、再度マーヴルの偉い人に復帰。けど、戦後、コミックが売れなくなって、おまけに流通業者がツブれて、あきらめて会社を閉じようとした所、戦後、色々あって職にあぶれたジャック・カービィがマーヴルを訪れ……って、面倒くさいんで、スタンリーの一代記はここでも読め。

 めでたし、めでたし。


その2:ウィリアム・モールトン・マーストン<William Moulton Marston>:

「誰?」とかいうツッコミが聞こえてきそうですが、「ワンダーウーマン」の作者の人です、はい。
(まぁ、「ワンダーウーマン」は、チャールズ・モールトン<Charles Moulton>の筆名で書いてたんですが)。

 この人はハーバードのロースクール出身で、しかも、当時のDCコミックス(正確には、ナショナル・ピリオディカル・パブリケーションズと、オールアメリカン・コミックス)の教育的相談役もしてたんで、相応の待遇で、契約を結んでいたのではないかと思われます。

 ちなみに、ウィリアム・マーストンは、1947年に皮膚ガンで死亡しまして、残された奥さんは唯1人で、自分の2人の子供と、旦那の愛人と、愛人の産んだ2人の子供(法的にはマーストン家の養子になってる)を養った上(※愛人の人は、旦那の生前からマーストン家で生活をしていた)、4人の子供全員を大学までやったそうで(しかも、1人はロースクールへ、もう1人は医学校へ進学した)。

※マーストンの実に奇妙な生涯については、そのうち単独のエントリで語れると良いですね。

 で、奥さんは、大学講師で、しかもブリタニカ百科事典の編集者、っつー、当時の女性としては破格の経歴&収入があった人ですが、それでも4人の子供を大学にやるに当たっては、旦那の残した『ワンダーウーマン』の印税が、手助けとなったことは想像に難くないです、と。

 まぁ、どの程度の印税をもらってた、とかは、資料が見つからなかったんですが、ウィリアム・マーストンが、DCコミックスとの間に、それなりに周到な契約を結んでいたことをうかがわせる、事例がございまして。

 それは、DCとマーストンの契約には、
「DCが、1年間で4話分以上の『ワンダーウーマン』のコミックを出さなかった場合、同作の著作権がマーストン家に戻る」
 っつー条項が、あるそうなんですわ。

 この条項は、多分、出版社が著作権を所持していながらコミックを出版しない、いわゆる「塩漬け」状態にするのを防ぐためのモンでしょうが。
 そんな細かな条項も盛り込むくらい、相当にきちんとした契約書を取り交わしてたんだろうなぁ、と、思う次第ですわ。

 めでたし、めでたし(マーストン家が)。


 余談:およそ20年前、DCコミックスは、1985年の『クライシス・オン・インフィナイト・アーシズ』イベントに併せ、1985年末に一旦『ワンダーウーマン』のコミックを打ち切りまして(最終号は第329号・カバーデート:1986/2)。
 その後、設定を一新した新シリーズ『ワンダーウーマン』(vol. 2)を創刊する、と言うことを試みてたんですが。

 が、この新シリーズの立ち上げが、微妙に難航してた様でして(新シリーズのライター、グレッグ・ポッターが創刊号で下ろされ、2号からはアーティストのジョージ・ペレズがライターも担当するようになった、とかいう経緯を見るに、まぁ、色々あったんでしょう)。

「この分だと、1986年内に新シリーズを4冊出せない可能性もある」
と、判断したDCは、ゴールデンエイジのワンダーウーマンを回想する全4話のミニシリーズ『レジェンド・オブ・ワンダーウーマン』を送り出して備えたそうですわ。

 結局、ペレズの『ワンダーウーマン』第2シリーズは、創刊号が1986年末に出まして(カバーデート:1987/2。第1シリーズ最終号の丁度1年後)。DCの判断は、まさしく正解だったのですが。

※ちなみに、現在、DCは『ワンダーウーマン』の権利を完全に買い上げた(もしくは、その条項を除いて契約を更改した)ので、この条項を気にする必要はなくなったんだとか。


 っつーわけで、今度こそオワル。
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タグ:アメコミ講座

コメント

*

>『レジェンド・オブ・ワンダーウーマン』
若き日のカート・ビュシーク先生のお仕事ですな。
そうか、何でこの時期にこんなミニシリーズが…と疑問に思っていた謎が氷解しました

*

この頃のビュシーク先生は、ジャスティスリーグをチョロリと書いたり、
『レッドトルネード』ミニシリーズ書いたりと、
キャラクターは、割合メジャーだけど、中身は地味な話をチョボチョボ書いてましたな。

「『クライシス』が終わってるのに、何でゴールデンエイジのワンダーウーマンを回想できるんだよ!」とかいう、企画自体へのツッコミを、確か最終話でフォローしてたのが、ビュシーク先生らしかった、ような(<すいません、いまいち記憶があいまいです)。>レジェンド・オブ・ワンダーウーマン

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