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●最近のコミックス・コード。

2015.01.29 Thu

▼最近のアクセス解析:

 こう、昨日(1/28・水曜)の閲覧者が、「174人」と、うちにしては多い数字だったんで、久々にアクセス解析などをしてみたら、「フレデリック・ワーサム」のキーワードで検索して、ウチの「●フレデリック・ワーサム、な日々。」のエントリにたどり着いた人がゾロゾロいた模様で。

(あと、『ディスクウォーズ・アベンジャーズ』にローニンが出てきたらしくて「マーベル ローニン」のキーワードで検索して、そっちのローニンとは全く無関係な『5ローニン』の紹介記事にひっかかる人もボチボチいましたがそれは余談)


 でー、なんでイキナリ「フレデリック・ワーサム」で検索してくる人が増えたのかを調べてみたら(※Twitterを「ワーサム」で検索しただけですが)、Webマンガ誌「となりのヤングジャンプ」に連載されている『有害都市』というマンガで、フレデリック・ワーサムとコミックス・コードの話をしてたから、みたい。


▼とりあえず、『有害都市』を読んでみた(以下ネタバレ大いに含む):

 見た。

 『有害都市』の大まかなストーリーとしては、国会で「有害図書類指定制度に関する新法案(通称・健全図書法)」が可決されて以降、もろもろの文化の「浄化」が進む2020年の日本が舞台な、緩やかなディストピア話で、主人公のマンガ家さんがマンガを描く上で、「自主規制して」っていわれたりして、色々不自由な思いをするけど、なるべく描きたい作品を描いてくぜ、みたいな内容。

 でー、水曜に更新された第7話の内容は、主人公のマンガ家が描いたマンガ(規制を受けにくいウェブでの連載)に可能性を見出したアメリカ人の出版エージェントが来日して、海外版の翻訳出版の権利を獲得しに来て、ついでに「アメリカンコミックが多様性を失ってしまったのは 『コミックスコード』という取り決めがあったからだ」とかいう話をする、という感じ。


 感想としては……マンガ翻訳の会社を立ち上げたばかりの出版エージェントが、単行本も出ていないマンガの権利の取得のために、いきなり来日するとか、ウェブマンガとはいえ集英社の「ヤングジャンプ」の連載作品を、ポッと出の出版社が権利を獲得できちゃうとか、あまつさえ、エージェントがマンガの作者本人&担当編集者と直で対面して、契約成立しちゃうとか、リアリティなくね? と思った(論点そこかよ!)。

 ……まあ、主人公のマンガが連載されてるのは、実際には「ヤングジャンク」という架空のマンガ誌(の、ウェブコミック)で、出版社も集英社じゃない架空の出版社だし、第一、この物語はフィクションですので、

「この世界では、海外の出版エージェントは、出版社内の版権管理の部署とかすっ飛ばして、マンガ家本人といきなり交渉して、権利を獲得するのです!」

 とかいわれたら、「はい、そうですか」と納得せざるを得ないのですが。

 ……だったら作中で、フレデリック・ワーサムとか、コミックス・コードみてぇな実在の人名と実在の規制コードを挙げて、実際にアメリカであった出来事を語るのはアンフェアじゃね? 近未来SFとして、ズルくね? 第4話に出てきた架空の事件「松本事件」みたいに、こちらの事件も、フレデリック・ウォルサムみてぇな架空の人名で、架空の事件として描くべきじゃね? と思った。

 あと、第7話のラストで、エージェントの人が「少年ジャンプが大好きで、『北斗の拳』や『シティハンター』をよく読んでたよ」とかいってたのだけど、そこは誌名は「少年ジャンク」にして、フィクションの作品名を挙げるべきじゃね? そこで現実の作品の「判りやすさ」に頼るの? とか思った。


 それと、作中で描写されているコミックス・コード関連の話がね、ところどころに現実とは異なる描写があるのですが。

 ──例えば、

「今のアメリカの商業コミックには二種類の作品しか存在しない 一つは能天気なヒーローもの もう一つは能天気じゃないヒーローものだ」

「アメリカンコミックが多様性を失ってしまったのは 『コミックスコード』という取り決めがあったからだ」

「唯一存在を許されたのがヒーローものだ それもマーベルやDCコミックのような星条旗に忠誠を誓うヒーローでなければならなかった」

 みたいな、現実のアメリカン・コミックス史とは異なる状況を示唆するセリフ。

 あるいは、「この馬鹿げた騒動を作り出したのは1954年 フレデリック・ワーサムという精神科医が著した一冊の本だった」とかいうセリフや、ワーサム博士がテレビに映っているコマなど、あたかもコミック規制運動がフレデリック・ワーザム博士1人を中心に行われたものであるかのような印象を持たせる描写。

 この辺って、まあブッチャケ、「作者がコミックス・コードの歴史を誤解してウッカリ描いてしまった誤り」なのではないかと思うのですが、あるいは、「『有害都市』というフィクションの中では、そのような歴史があった」という可能性もあるので、ツッコミしづらくて非常に居心地が悪いなぁ、と。

 現実世界の事件を描くなら、なるべく正確に。それが徹底できないなら、描かないか、「架空の事件」にすべきだと思います。


 個人的に一番引っかかったコマ。



 まず、「星条旗に忠誠を誓う」というセリフが恣意的に過ぎると思います。

 あと、シルエットでスパイダーマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、アイアンマンが描かれていますが、キャプテン・アメリカ以外のキャラクターは1960年代以降に生まれた方なので、コミックス・コード施行の話の流れで出すのは不適切でしょう。

 キャプテン・アメリカはコミックス・コード施行当時に、『キャプテン・アメリカ・コミックス』誌がリバイバル刊行されていましたが、同誌は再開からわずか3号で休刊したので、「唯一存在を許されたのがヒーローもの」という例で挙げるには全くもって不適切ですし。

 ていうか、DCコミック社(社名表記は正確に)のヒーローがいませんが……。


 それと、巻末に今回の話の参考文献として、『有害コミック撲滅!―アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』が挙げられてるけど、あの本って、「コミック規制史」の資料としては最良の部類に入るけど、「コミック規制」に特化した資料であるが故に、「規制されるようなコミックや事件の話」しかしてないじゃない。

 故に、あれだけ読んで「アメリカン・コミックスの歴史」を語られるのは、いささか問題があると思うのね。他にもっとスタンダードな資料も読んだ上で参考にすべき資料だろう、と。

 ……その、1990年代初頭の「成年コミック」マークの話をするにあたっては、『ANGEL』とか『いけない! ルナ先生』とか『IKENAI! インビテーション』とかの作品とそれらの引き起こした事件の話に集中せざるを得ないけど、当時のマンガ雑誌にはそういうマンガしか載ってなかったわけじゃないでしょ? みたいな(分かりづらい)。

 あと、『有害コミック撲滅!』って、「各州でコミックブックを対象にした州法が制定され、更にコミックス・コード・オーソリティが組織され、コミックス・コードが施行され、中小の出版社は次々に会社を畳み、多数の作家が職を失いましたとさ」というドン底で終わってて、その後の、犯罪・怪奇コミックスを出してなかった大手コミック出版社を中心とした、コミック業界の復興については「他の資料を当たってください」って態度なのがズルいよね……(以下略)

(※編註:この後、『有害コミック撲滅!』は要所で恣意的な書き方してるのがどうも気になる、とかいう批判がもう少し続いたのですが、読み返してウザいし、本題と関係ないので消しました)


▼まとめらしきもの:

 ていうか、『有害都市』の主人公のマンガ家は、ゾンビものっぽいジャンルのマンガを描いてて、グロテスクな表現を規制されて四苦八苦してるわけですが(作中では表現規制の関係で「ゾンビもの」にさせられるので、ここでは「ゾンビものっぽい」と形容しました)。

 作者の筒井哲也さんは、同ジャンルの『ウォーキング・デッド』とか、ご存じないのかなぁ。現在、アメリカで刊行されているコミックスの中でも屈指のグロテスクな作品で、なおかつ全米屈指の売り上げを誇っていて、そのくせヒーローものでもなんでもない作品なのですが。


 まあ、結論としては、アレ。 いつもの奴。

 TPPとか著作権とか都条例とか、二次創作同人誌のガイドラインがどうとか、表現の規制が取りざたされるときに、アメリカン・コミックスのことをロクロク知らないのに「このままじゃ、マンガがアメコミみたいになっちゃう!」とかいう、失礼な物言いでコミックス・コードを引き合いに出してた人々に投げかけてたのと同じ結論。

「自国の文化を守るために、他国の文化を貶め、それらの文化に関する誤った情報を拡散して、それで何が残るっていうの?」

 以上。


<完>


 どうでもいいけど、第5話で、2人のマンガ家が「表現の規制との戦い」に関して熱い意見を戦わせてるシーンがあるのですが。

「マンガ家の収入は単行本の印税が頼りだ」

「原稿料は経費とアシスタント代でほぼ消える」

 という、マンガ界の抱える致命的な経済構造には、双方とも「そうでしょう」「そうですね」と、「納得している当たり前のこと」として話してて、「そことは戦わないのか」と、素朴な感想を抱きました(いや、戦わねぇだろ)。
  
  
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コメント

*

ギャラリーフェイクの村上隆ネタが好き嫌い以前に事実誤認だらけだったのを思い出しました。

ボキもオタキングの影響で最近までジャパニメーションは蔑称だと思い込んでたので人の事言えないっす。

*

>ytさん
コメントありがとうございます。

わたくしも岡田斗司夫の影響で、富野由悠季が、キャラクターデザイナーのラフに対して「お前、こんな女のXXXをXXしたいのか」と言った、とかいうエピソードが本当にあったことだと信じてたクチですので、人のことは言えません。

とりあえず、自分の手の届く範囲のことに関しては、誠実に事実関係を確認することを心がけ、残り少ない余生を生きようと考えております(反省)。

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