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●どうでもよき資料:クリストファー・プリーストによる『デッドプール』反省会。

2015.10.15 Thu

▼前書き:

 今回は、『デッドプール』の初代オンゴーイング・シリーズ(1997年創刊の奴)の第34~45号のライティングを担当したクリストファー・プリーストが、自身のホームページだったかで「なぜ俺の『デッドプール』はあんな感じになってしまったのか」を愚痴ってたコラムの日本語訳をデロリと載せてみるエントリ。

 ……「何か知らんけど『デッドプール』の出版ラッシュだし、何かデッドプール絡みのエントリを書いて注目を浴びよう!」とかいうアサマシいことを考えて書き始めたエントリだったのに、なんでこんな、誰も求めてないネタに行き着くのか、俺は。

 とりあえず、このコラムでの発言を踏まえて、『デッドプール・クラシック』第6巻(プリースト期の『デッドプール』全話収録)を読むと、あのヤケクソな話の数々は、結構な苦悩と苦労と不本意さの中で書かれたのだなぁ、と思った。

 あと今回面倒くさいので、このコラムで言及されている「解説しといた方がいいディテール」に関しては、あえて解説しない方針を採った。そもそもクリストファー・プリーストという作家がどのような立ち位置の作家で、どのような作品を手がけた末に、『デッドプール』のライターに就任したかとか、前提として説明すべきだなぁ、と、気付いたけど、面倒なのでしない(最悪だ)。

 最低限の解説:本稿で言及されてるクリストファー・ジェームズ・プリーストは、イギリスのSF作家、クリストファー・プリーストとは同姓同名の別人。ちなみに元々はジェームズ・クリストファー・オウズリーという名だったが、色々あって1993年頃に改名した。

 そんな感じで。


▼『デッドプール』回想

『デッドプール』は俺にとって胸を張れた作品ではない。この件に関しては、長々とした泣き言じみた弁明を続けることもできるのだが──まあ手短にいえば、俺はこの仕事に関して最適な人材ではなかった、ということだ。ファビアン・ニシーザが創造したデッドプールは、いくらかの作家の手を渡り、それぞれの解釈で書かれてきたが、最も長く続いたのは人気ライター、ジョー・ケリーによる連載だった。実際の所、現在の『デッドプール』はジョー・ケリーの影響の色濃い作品だ。現在の『ブラックパンサー』が、俺の影響が色濃いように。そのジョーが降板した後は、『デッドプール』のけして多くない読者が離れていくことは明白で、それ故に俺は、ジョーの後任ライターになることを心底危惧していた。

 そもそも俺に声をかけたのは、同誌の担当編集者ルーベン・ディアズだった。何故なら俺たちは良き友人で、彼は俺にユーモアのセンスがあることを知っていたからだ。だがユーモアという奴は、非常に主観的なものだ。ジョーのユーモアはハードコアなファン(恐ろしく無名なキャラクターの歴史を驚くほど詳細に知っているタイプの人々)の感性に訴えかけ、その期待に応える類のものだ。一方、俺のユーモアは、そうしたファンからの期待を裏切る類のもの──要するに、『デッドプール』で3年の間繰り広げられていたユーモアの対極に位置するものだった。

『デッドプール』を担当することになった俺の元には、ケリーによる『デッドプール』のコミックブック一式(『エンサイクロペディア・デッドプーリカ』なる副読本も含む)が送られてきた。奇妙なことに、編集者はプールの過去の冒険の概要を説明する一方で、けしてデッドプールが誰で、どんな経歴を持つのかといった事柄に関して、簡単な説明すらしようとしなかった。一方俺は、ジョーのイシューは込み入っていて、連載の流れに乗ろうとする新規読者(例えば俺だ)に対して不親切な造りだと気付いた。

 それでも流れに沿おうとした俺は、編集者に依存するようになった。何となれば彼は、マーベルで最もデッドプールに通じた人間であるはずだからだ。結果、ライティングの過程で編集者が多大に関与することとなり、いくらかの全くアイデア不足のイシューとコンティニュイティ上のミスが生み出されることとなった。

 一方で俺の組んだアーティストは、エクストリームなプロポーションの絵を描く作家で、ストーリーテーリングのセンスはいまいち持ち合わせていなかった──こいつは『デッドプール』の様な本にとっては致命的だった。結果、俺の書いた視覚的なギャグは一切、ただの1つも成功せず、複雑なシーン(例えば第36号の救急車同士のカーチェイス)は救いようもなく混乱したものとなった。そしてまた、アーティストと俺との間には言葉の壁があったようで、重要なディテール(例えばグリーンゴブリンとホブゴブリンの差異だとか)の見落としも生じた。

 元『アクアマン』のアーティスト、ジム・カラフィオレによるフィルイン(※訳者註:レギュラー・アーティストのスケジュール調整などのために挿入される、ゲスト作家が担当するイシュー)が掲載された第37号から、事態は上向きになり始めた。この話を書く過程で、ついに俺は「デッドプールをバカみたいに書いてもかまわないんだ」という真理に気付いたのだ。

 このことは俺にとって大いなる天啓だった。それまでの俺は“ヒーローは断じてジョークの対象とすべきではない”と教えられていた。だがデッドプールは気狂いだ。おそらくは気狂いすぎて、自身が馬鹿げた振る舞いをしていることにすら気付けない類の気狂いだ。

 こうして俺はデッドプールをよりバッグス・バニー的なキャラクターとして書くことができた──仕掛け人にして扇動者、それと同時に自由な精神の持ち主で、何事にも全く動じないキャラクターだ。ようやくデッドプールというキャラクター──俺独自のデッドプールであり、ケリーの物真似ではない──が形を成し始め、ジムはその記念すべき第37号を絵にしてくれた。デッドプールがソーのハンマーを持ち上げる資格を得て、ベータ・レイ・ウェイドになる回だ。

 不可解なことに、編集者はベータ・レイ・ウェイドがハンマーを持ち上げている絵を表紙に使おうとせず、その上“ベータ・レイ・ウェイド”というフレーズも使わなかった。そんな訳で、この分水嶺となったイシュー(まあ俺にとっては、だが)は、他と同様に読者の目を惹く機会を逸した。

 やがて新編集者が来た。当時の『デッドプール』は致命的なまでに生煮えのスペースオペラの只中だった。しかもその話は俺が書きたかったものではなく、俺が担当になった時からルーが暖めていたアイデアだった。新担当が、この“ダーティ・ウルフ”の話について語りたがらなくなったのは、就任から1週間もしない頃だった。宇宙を舞台にした話を書くのは、去り行くルーへのたむけだったが、後任の編集者はこの話が全くの誤りであると嘆いていた。

“スーパービランによる『となりのサインフェルド』”という、俺の一連の連載で唯一マシに思えるアイデア、これも実際にはルーベンのアイデアだ。ルーベンはタイタニアとコンストリクターを選び出し(彼らの起用に関して誰とも話をしてなかったようだが)、俺にプールが彼らとルームシェアをする話を書かせた。ご存知の通り、我々がデッドプールを新たな舞台に置いた正にその号で、ルーはどうしたわけかプールを宇宙に放逐し、新たな登場人物から引き離したのだが。

 俺の連載のいくらかマシな時期は、正にこのスーパービランたちの平凡な日常生活絡みの話で、このテーマは遠くないうちに再考してみたいと思う。だが新編集者がやってくると、俺たちは互いに現状から逃げ出す方法を模索し始めた。『デッドプール』は大いなる負担となり、そのライティングは負け戦そのものだった。この頃の俺は、とにかく「俺のためにデッドプールの設定に沿った話を仕上げてくれる編集者」のいない仕事がしたかった。一方で、新編集者は負の売り上げのスパイラルに落ち込んだ『デッドプール』をどうにかしたがっていた。

 で、「お前はクビだ」と告げられた覚えはないので、多分、俺から辞めたんだろう。あるいは、新編集者(アクレイム・コミックスで担当編集だった友人で、マーベルでも引き続き援助してくれた)が、苦痛に満ちた電話をかける手間を省いてやったのかもしれない。何にせよ、俺らは共に『デッドプール』から解放された。俺は間違った人材で、俺の起用は間違った判断だった。今となっては『デッドプール』が継続し、新たな才能の元で大いなる成功を収める事を祈るばかりだ。──そして願わくば、ジョー・ケリーが(今何処にいるのかは知らないが)、俺を許してくれますように。

クリストファー・J.プリースト

2000年9月


▼以上:

 いじょう。

 ちなみにこのコラムが書かれた「2000年9月」というのは、プリーストが最後に担当した『デッドプール』第45号の刊行から1ヵ月程度しか間が空いてないことを申し添えておく。

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