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●エンパワードな、日々。

2007.06.09 Sat

 割と久々な「今日読んだアメコミ」なエントリ(っつーか、ブログに移行してから、めっきり減ってましたね)。

 っつーワケで、今回は、この単行本。

▼『エンパワード<Empowered>』 Volume 1

 最近は、ライターの仕事が増えて、絵の方は割とご無沙汰だったアダム・ウォーレンが、久々に作・画双方を手掛けた新作単行本。

 版元は古巣のダークホース・コミックス社。

 とりあえず、オイラはAmazonで購入したんすが、
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」の欄の商品が、
Power Girl
Supergirl and the Legion of Super-heroes: Strange Visitor from Another Century
Essential Ms. Marvel 1
 という、実に解りやすいラインナップで苦笑する。

 でー、内容は、「着ると超能力(怪力・耐弾性・光線の投射・透明化)を発揮できるスーパースーツ」を何故か入手して(入手の経緯は劇中では一切語られず)、スーパーヒロイン“エンパワード”ちゃんが、ヒーローチーム・スーパーホーミーズの仲間たちと共に頑張るお話。

Empowered 1
Empowered 1Adam Warren Ryan Kinnaird

Dark Horse Comics 2007-03-21
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この表紙の中央がエンパワードちゃん。これだけ見ると、まぁ、ヒーローものっぽく見えるんですが。

 ……っつーと、まぁ、真っ当なヒーローものっぽく聞こえますが、実際には、このスーパースーツが、思った通りに能力を発揮できないポンコツでして。

 ヒロインとしてロクに活躍できないエンパワードちゃんは、ホーミーズのオミソあつかいで、任務中に姿を消しても誰にも気付かれないという空気っぷり&どうでもいい三下悪人相手の任務に適当に送り込まれる小物ぶりで。

 しかもスーツにゃ、「わずかでも破けるとパワーがガタ落ち、かなり破けると無力になる」っつー致命的な弱点がありまして(※ちなみにスーツ自体には再生機能があり、破けても元に戻る……数時間後だけど)。

 一方で、エンパワードちゃんは先天的な「ドジっ子」キャラでして、毎回のようにスーツを破いちまって悪人に捕まり、あられもない格好のまま縛られ、口にはギャグをカマされ、更にヒドい目にあわされる、っつー。

 一言で言うと、「ダメなヒロイン大ピンチ」系のコメディですな。

 で、このシバられるエンパワードちゃんが、非常にエロくてな
 ……こんな具合に。

emp01.jpg

……俺は何を本気になってスキャンしてるんだ。
毎回、ご丁寧にギャグ(猿ぐつわ)をカマす所に、ウォーレンの業の深さがウカガエますね。


 ちなみに、この本な、
1.シュリンクパックされてて、立ち読みできないようになってる
2.表紙に「Parental Advisory」(子供が読む場合、保護者の指導を要する)のシールが貼られてる

 ってな具合で、最初、「何このガードの堅さ」とか思ったんだけど、中身見て、「うむ、こりゃ確かにお子様の手の届く所に置けん」と、納得した。

 ま、エロイけど、「Parental Advisory」なんで、「チクビは絶対に見えない」んだけどな。

 でも、「明白にセックスしてる」シーンはやたらあるんですが……。

emp02.jpg

……これ絶対「Mature Readers」だと思うがなぁ。

 チクビ見えなきゃ「Parental Advisory」って、それはどうかと思うねん。<なにを真面目になってるんだか。

 閑話休題。

 その、元々アダム・ウォーレンには、ボンデージ趣味があって、しかも「縛り」に特化したフェチだ、っつーのは、ウォーレンのファンなら常識ですが(<知らねぇよ)
 どれくらい常識か、っつーと、ウォーレンがコミッション(※簡単に言うと、作家にそれなりの金を払って自分の好きな絵をスケッチブックなどに描いてもらう習慣)を描く際、依頼主からリクエストとして「エロい格好で縛られてるヒロイン描いてくれ」っつーのが、カツ丼の三つ葉並に付き物なトッピングだったりするぐらい、ですが。


手持ちの同人誌「アダム・ウォーレン スケッチブック」より、ウォーレンのボンデージ趣味のサンプル。
クリックすると大きくなるヨ!


 でー、この手のコミッションを延々と描き続けてきたウォーレンは、単なる「エロい格好の姉ちゃん」を描くのに飽きて、やがて、この「エロイ格好のお姉ちゃん」の設定を作り込んで、コミッションの絵を物語仕立てにしていったそうで(単なるエロイ格好では燃えず、シチュエーションを掘り下げにこだわるあたり、フェティッシュのあるべき態度ですな)。
 こうして誕生したのが、エンパワードちゃんなのでした、と。

 その後、ウォーレンは、この勝手に発展したエンパワードちゃんのショート・コミックスを、気が向いた時に描き下ろしては、知り合いの編集者や作家などにメールで送ってたそうで。
 でー、この「Eメール・コミックス」の連載は2年間も続きまして、ウォーレンはそのうちウェブ・コミックスかなにかの媒体で発表しようか、と思ってたら、メーリングリストの参加者だったダークホースの編集者に声をかけられて、ってな経緯で、単行本になったそうで。

 こう、ジャパンでも最近微妙に流行りの、「人気ブログのマンガを単行本化」とかに近い感じ……ってほどでもねぇか。


 で、元々内輪で見せてたコミックですんで、絵的には、「鉛筆描き→線を整理→スキャナ取り込み」な感じのスタイル。この辺も、「ブログのマンガ単行本化」なコミックに似てるっちゃ似てるけど、ウォレンの場合、密度が凄ぇ。
 単に作業の省力化、ではなく、画材として鉛筆を存分に活用してる感じが、良いです。

sample03.jpg

 ウォーレンは革ジャン大好き、ってのは、ファンの間では常識(<だから知らねぇって)ですが、このコマとかの革ジャンのシワの寄り方とか質感とか、すっげぇフェティッシュに描き込んでるよなぁ。

 こう、ウォレンは、無駄に緻密なネーム(完成原稿に近い密度)を描いた上で、さらに1から下描きを描く、ということはウォレンファンの間では(<もういい)。
 一方で、ウォレンはインクのスピードが遅くて、全行程の中では一番時間がかかるっぽいのですが。
 この『エンパワード』の場合、通常の行程の
「(異様に緻密な)ネーム」→「(1から)下描き」→「ペン入れ」→「仕上げ」
 の、
「ネーム」以降を全部すっ飛ばせるので(まぁ、線の整理とか、タッチの追加はあるでしょうが)、非常に楽なんだそうで(ウォレン曰く、「1日2、3ページ描けるぜ!」)。



前述の同人誌より、ウォーレンの「ネーム」の例。これを破棄して、さらに下描き描くんだぜ!

 こう、元々、内輪で気楽に発表してたコミックですんで、各話のページ数は、4~8ページくらいと、割合「気分次第」(最短2ページ、最長でも13ページ程度)。
 単行本は全240ページで、まぁ、30数本ほどの短編が掲載(各話の合間にはタイトルとして1ページ入る。このタイトルは描き下ろしで、エンパワードちゃんが読者にやくたいもないことを話しかける「メタ」なページ<と、エンパワードちゃん自ら言ってるねん)

 こう、初期の物語は、上で描いたような、悪人に捕まったりするエンパワードちゃんの受難の日々を描いてるんですが(ページ数が少ないんで、開幕、いきなりつかまってるのがミソ<まぁ、描きたいトコだけ描いてる、ともいうが)。
 単行本の1/3くらい、エンパワードちゃんの恋人サグボーイや、女友達のニンジェット、チームメイト(兼、イヤミなライバルキャラ)のシスター・スプーキー、世界の破壊者デーモンウルフ様(仮名)あたりのサブキャラクターが出そろったあたりから、物語の方向性が如実に変化してきまして。「エロいシチュエーションを描くコミック」から、「エロネタが満載なヒーローものコメディ」にシフトしてくねん。
(※ちなみに登場人物は全員コードネームやアダ名などで呼ばれており、本名は不明。元々エンパワードちゃんが、コミッション用の「誰でもない誰か」なヒロインとして出発した流れでそうなってるのかね)。

 で、物語にも連続性が出てきまして、サグボーイの秘められた過去とか、スプーキーがエンパワードちゃんを一方的に嫌ってる理由だのが明かされて、各キャラクターが掘り下げられてきまして。
 後半1/3では、サグボーイがアレとアレしてたことが発覚して、2人の関係が非常にアレなことになり、でも本当にしょうもない(しかもエロイ)ことからモトサヤに収まるっつー、「ヒーローものとかどうでもよくなってるだろ、おい」「でも、キャラクターを生き生きと描いてやがるなぁ」な展開に。
 カナリク、キャラクターが勝手に動き出しちゃったんだろうなぁ。うん。

 こう、キース・ギフェンの『ジャスティスリーグ』の「カメラが向いてない時のヒーローたちの日常を描く」路線に「セックス」をブチコンで煮詰めた具合な、オフビートなヒーローものコメディ、とかいうと、ウチのブログのコアな読者さんには解りやすいでしょうか(ウォレンは明言してないけど、デーモンウルフ様のキャラクター造型とか、絶対ギフェンの影響下にあるよなぁ)。

 こう、これまでのウォーレン作品とは随分と毛色が変わったというか。根っ子のギャグのセンス自体は、いつものウォーレンではあるけれど、「うっかりSFファンとしての地が出ちゃって、延々とガジェットの説明ネームを読まされる」とか「時系列を変に入り組ませる」っと行った辺りの、“ウォーレンの悪い癖”は、まったくないので、非常に読みやすいです。

 結論としては
「オフビートなヒーローものコメディの好きな人は、読め、断じて」
 もしくは
「ヒロインがエロい目に遭わされるのが好きな人は、読め」
 な感じ。

 ちなみに、2巻も7月発売予定。
Empowered 2
Empowered 2Adam Warren

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スーパーヒロインとして華々しく成長したエンパワードちゃんのカッコいいトコが……見れないんだろうなぁ、多分。

 第2巻のレビューはこっち


  
  
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タグ:今日読んだアメコミ アメリカのマンガ

コメント

*

丁寧なレビュー楽しませて頂きました。
何故鉛筆書きなのか・・との疑問も氷解致しました。
以前は日本アニメのパロディと認識していた作家でしたが
この作品に関してはその限りではなく
エンパワードちゃんのこってりタラコ唇に驚かされました。
第二集も楽しみです。

*

感想コメント、ありがとうございます。
ウォーレンの作品については、第2巻発売前に、あと2、3作品紹介しようと
考えてますので、気が向きましたら、また見に来て頂ければ幸いです。

豆知識:ウォーレンのあのクチビルは、本人の弁によれば、複数の作家の影響。特に木城ゆきと と寺田克也あたりの影響を受けている模様。

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