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●インキング、な日々。

2007.10.16 Tue

 シリーズ「書きかけで放り出してたテキストをリメイクして(略)」その4。
 今回もまた、英語版Wikipediaの適当なコピー&ペーストして超訳。
 こう、俺ら(「ら」で括るな)にとっては休職のオバちゃん並に当たり前な職業である、「インカー」という存在は、世の中の人にとっては、案外カルチャーショックなモノであるやもしれない、ということに気づいたことがあって(<それはあなたの「当たり前」のボーダーが歪んでるだけです)、その時に発作的に訳してたもの。
 これもダイレクト・マーケットの記事と同じく、その内書き足す予定。


▼インカー<Inker>

「インカー」は、伝統的なコミックブックやグラフィック・ノベルにおいて2種存在する「ライン・アーティスト」の1つである(もう1つは「ペンシラー」)。
 インカーは、ペンシラーから託された下描き(あるいはそのコピー)を、黒インク(大概は墨汁<India ink>)を用い、ラフに描かれた鉛筆の線の上から、洗練された描線を引いていく(インキング)職業である。
 使用する画材はペン(つけペン、サインペン、マーカーなど)と筆(日本製の筆ペンなども含む)が主流で、多くのインカーはその双方を使い分けている。
 一般に、インカーはページ内の全てのインキングに対して責任を持つが、擬音などのレタリング部分は、「レタラー」が処理する。

 メインストリームのコミックブックでは、下描きとインクは別個の人間が担当(分業)するが、コミック・ストリップ(新聞マンガ)においては、日本のマンガと同様、1人のアーティストが下描き、インキング、レタリングまでの責任を持つことが多い(例えばチャールズ・M.シュルツ<Charles M. Schulz>のように)。
 ただし、新聞マンガでも、雇われたアシスタントらがインキングを担当するケースもある。また日曜版などに掲載されるカラー印刷の新聞マンガは、大概、別個にカラリスト(彩色担当者)がつく。

 適切なインキングは、コミックの画に、商品としての見栄えを与えるのに不可欠なものである。が、大概、インカーは、ペンシラーに対して、技能的で、華やかさに欠ける職だと見られ、多くは正当な評価を得ていない。
 こうしたイメージは、コミック界を舞台としたケビン・スミス<Kevin Smith>の映画『チェイシング・エイミー<Chasing Amy>』でもパロディされている。
 この作品の登場人物の1人バンキー・エドワーズ<Banky Edwards>は、プロのインカーだが、作中では彼はペンシラーのホールデン・マクニール<Holden McNeil>の描いた絵を、単に“なぞっている”だけだと責められている。

 確かに、インキングは下描きをなぞる作業だが、その過程で下描きの意味を汲み取り、描線に適切な重みを与え、誤りを修正し、その他の創造的な選択を行うことが求められる。
 故に、ペンシラーの最終的なアートの見栄えの大部分は、インカー次第で変化するといえる。
 優れたインカーは、単に鉛筆線を、ペンと筆の描線に翻案する以上の仕事を行う。その作業は、ペンシラーが、どの程度下描きに描き込んでいるかにもよるが、(下描きに無い)陰影のタッチを加えることは普遍的に行われている。
 また、ペンシラーが大雑把にエンピツで塗った影を、そのままベタで塗りつぶすのか、あるいはカケアミで段階的な影をつけるのか、といった判断は、インカー個人に委ねられており、故に完成原稿におけるベタや影の面積の割合に、インカーは大きく関与することとなる。
 経験を積んだインカーが新人のペンシラーとペアを組む場合、そのインカーは下描きの解剖学上や表情などの誤りを修正し、その他様々な手段を駆使してアートワークを変更・改良する責任を引き受ける。

 一部のインカーは、まずページの基本的なレイアウト(コンテ)を自身で行い、それをペンシラーに渡して詳細な下描きを描かせ、しかる後に自分がペン入れを行うという、インカーを主体とした工程で、仕事をしている。
 この手法はジョー・サイモン<Joe Simon>がジャック・カービー<Jack Kirby>のインカーだった頃によく行っていた。また、マイケル・ギルバート<Michael Gilbert>が『メルニボネのエルリック<the Elric of Melnibone>』のコミック版で、ペンシラーのクレイグ・ラッセル<Craig Russell>と組んだ際にも、同様の工程で作業している。

 メインストリームのコミックブックでも、少なくないアーティストが、恒常的に自身の下描きをペン入れしている。
 ジョー・キューバート<Joe Kubert>やジム・アパロ<Jim Aparo>は、大概、下描き、ペン入れ、レタリング、さらにフキダシを置く位置の検討までを自身で行っている。
 またスティーブ・ディッコ<Steve Ditko>、カート・シャッフェンバーガー<Kurt Schaffenburger>、ニック・カーディ<Nick Cardy>、ビル・エベレット<Bill Everett>のようなアーティストも、かなりの割合で、自身の画にペン入れを行い、時に他のペンシラーのペン入れもした。
 ちなみに、ペンシラーがインキングまで行った場合、(当たり前だが)そのペンシラーは、本来インカーに払われる分の予算も受け取れる。デビュー当時のロブ・ライフェルド<Rob Liefeld>は、苦しい実家の家計を支えるために、進んで自分のペンシルワークにインキングを行ったという。

 なお、上記で紹介しているペンシラーとインカーの区分は、ペンシラーとインカーが個々に出版社に雇われ、ペアを組んだ場合の通例である。
 フリーのアーティストがインク担当のアシスタントを雇うような場合、こうした構造は流動的となる。
 例えばあるアーティストのスタジオでは、彼が全てのキャラクターの顔をペン入れする一方で、アシスタントにキャラクターの身体や、背景その他のインクを託している。また他のスタジオでは、より複雑で、より密接な協力体制で仕事を行う場合もある。
 日本のマンガにおいては、作家本人が、メインとなるキャラクターのみペンシル・インキングまでを行い、背景や、モブのキャラクターのペンシル・インキングをアシスタントに行わせる、という作業が主流である。このため、モブのキャラクターなどのタッチが、その作品のクリエイター本人の画風と著しく異なっていることも多い。

 現在、多くのインカーは、アドビ・イラストレーターやフォトショップ、インクスケープ<Inkscape>、コレル・ペインター<Corel Painter>などの強力な描画・編集ツールの使い方を学んでおり、それらコンピューターソフトを用いた“デジタリー・インク”も一般化しつつある。
 デジタル・インキングにおいては、もはや失敗がページを台無しにすることがないが、従来よりも時間がかかる傾向にある。
 また一方で、(線をある程度整理した)ペンシルの状態の絵をスキャニングし、インキングを経ずにカラーリングを行う(※)、といった行程で原稿を完成させる作品も登場しており、これらデジタル化を受け、インカーという職業の立ち位置は、今後大きく変質していくことが予想される。

(※)ちなみに、こうした作画体制の場合、ペンシラーに対して通常のペンシルの原稿料に加え、下描きの鉛筆画を完成原稿として見せられるように「線を整理する」作業分の原稿料も発生することがある。この話は、マーヴル・コミックス社で仕事をしていた作家からオイラが聞いた話であり、他の会社でもそうなのかは知らない。ていうか、マーヴルという会社がどうこうというより、担当編集者の裁量や作品に与えられた予算にもよるのだろうが。



  
  
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